本コラムではこれまで、中国のネット社会の動きを、どちらかと言えば民間、特に「草根」と呼ばれる体制の枠外で活発に発言する人々の側から見てきた。だがネット社会のプレーヤーとして、政府の役割を当然無視することはできない。特に「微博」(ミニブログ)など対話型ツールの急速な普及により、政府からネット市民へ向けた発信が盛んになっている。 このようなネットを執政に取り入れようとする動きを、「網絡問政」と呼ぶ。中国版ウィキペディア「互動百科」によれば、網絡問政とは「政府がネットを通じて宣伝、政策決定、民意把握、アイデアの収集を行い、『取之于民,用之于民』(民から得たものは、民のために使う)目的を達成すること」としており、特に地方政府でブームになっているという。 網絡問政のきっかけとなったのが、2008年、胡錦涛中国共産党総書記の「人民網」におけるネット対話だと言われている。それ以前にも、ネットから世論を把