テント村に訃報というのは、噂の形でやってくる。だから、それは必ずしも正しいわけではない。しばらく姿が見えないと、捕まったか死んだか、になって、成功した、などとは言われない、というのが公園在住30年をめでたく迎えたKENさんの口癖でもある。しかし、確実な訃報が立て続けに2つ届いた。 ぼくの隣にテントを建てていたKさん。上州出身の勝ち気な人であり、若い頃は舞台でダンサー(ラインダンス)をやっていたというおしゃれで背筋がピンと延びた女の人だった。Kさんの話では、父親がヤクザで複雑な家庭に育ち、また若くしてKさん自身もヤクザの身辺で生活を送っていたという。その間の経緯はわからないが、橋から身を投げようと思って身の回りのものは投げ捨てたが死にきれず、野宿の生活になった。支援団体が集団で野営している(ある施設の玄関先を利用していたもの)ところにたどり着き、それで一息つくことができたという。そこで寝てい