大統領選の結果に沸くトランプ氏支持者ら=2024年11月6日、米ウェストパームビーチ【EPA時事】 世界各国の「リベラル」凋落(ちょうらく)が著しい。これは現実政治と理念の両面にまたがる。先のアメリカ大統領選は、経済が争点だったものの、アメリカ民主党のよって立つリベラル的価値に改めて疑問符が付けられる結果を迎えた。ヨーロッパでも、欧州議会選挙の議席配分で確認されたように、世論の保守化に伴って政治の重心は右傾化しつつある。ハンガリーやトルコなどいったんは民主化した国々では、リベラルな価値を攻撃する指導者が長期政権を担うようになった。 個人の自己決定権を重視 そもそも「リベラル」とは何か。社会科学には「本質的に論争的な概念」という用語があるが、多種多様な意味合いで用いられてきたリベラルないしリベラリズムも論争的な概念だ。価値的には、個人の自己決定権を重視する立場をリベラルと同義とすることができ