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「実は、『日本国有鉄道最後の事件』というタイトルをずっと温めていて、トリックもプロットもほぼできあがっているんだ」 いつ、どこで聞いたかは残念ながら思い出せませんが、この言葉を種村さんから聞いたときの驚きは今も鮮やかに胸に残っています。この作品が刊行されたのは1987年2月ですから、おそらく、前年の夏ごろ、著者と編集者という立場で種村さんと知り合ってから約5年半後くらいのことだったと思います。 話は、これに先立つこと数か月前にさかのぼります。 当時、私はすでに創隆社(『乗ったで降りたで完乗列車』『きしゃ記者汽車』などを刊行した出版社)を辞めて独立し、先輩と編集プロダクションを立ち上げていました。この会社がなんとか軌道に乗りだし、とりあえず生活の心配がなくなり、何か新しいことにチャレンジしてみたい――そんなふうに思っていた私は、親交が深まっていた種村さんに大胆な提案を持ちかけました。 ――先
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