■結びついた女工とバレーと工業化社会 2020年夏季五輪の東京開催が決まり、あらためて思い返されるのが1964年の前回大会。「東洋の魔女」の異名をとり、金メダルを獲得した日本女子バレーボールの歴史的背景をたどる新書『「東洋の魔女」論』(イースト・プレス)が話題だ。著者の社会学者、新(あらた)雅史さん(39)は、「戦後の女性労働とバレーは密接に結びついていた」と語る。(磨井慎吾) ◇ 圧倒的な強さを誇った当時の日本女子バレー。だが対戦した欧州諸国やソ連が国代表のチームだったのに対し、日本選手のほとんどは大日本紡績(現ユニチカ)貝塚工場という一企業のチームだった。世界最強の女子バレーチームは、なぜ日本の一繊維工場に生まれたのか。新さんは「『東洋の魔女』には、歴史的な必然性があった」と指摘する。 もともと戦後の集団就職を研究しようと考えていた新さん。大学院生だ