国指定史跡の古墳を三基抱える、若狭町の脇袋古墳群を調査している花園大(京都市)考古学研究室は三十日、古墳群最大の全長約百メートルを誇る上ノ塚古墳について、周濠(しゅうごう)から水を排出する水路の遺構を見つけたと発表した。水路は西に隣接する西塚古墳に向けて延び、古代若狭国の首長墓とされる二つの古墳が水路でつながっていた可能性が高い。高橋克寿教授(61)は「一族の王位継承のシンボルとしての役割があったのかもしれない」と力を込める。 (林侑太郎) 水路は、上ノ塚古墳の周濠の北西角から西に向かって延びている。周濠外側の堤防のり面に石が並ぶが水路部分は途切れ、近くの周濠内に同型の石が散らばる。国内の古墳で堤防を掘削した水路は、ほぼ例がないという。 出土した須恵器の特徴から、水路は上ノ塚古墳が完成した五世紀前半~奈良時代の間に掘削されたと推測される。さらに周囲の石の状況から、水路は古墳完成後に掘削され
福井県は22日に41人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。このうち32人は介護施設の入所者や職員で、全員が2回のワクチン接種を終えていることから、福井県はいわゆる「ブレイクスルー感染」のクラスターが発生したとしています。 32人の感染が確認されたのは越前市の介護老人保健施設「シルバーケア藤」です。 職員1人の感染が21日に確認されたことを受けて、入所者や職員など189人に検査を行ったところ、70代から90代までの男女20人の入所者と、越前市や鯖江市に住む20代から70代までの職員12人の合わせて32人の感染が確認されたということです。 福井県によりますと、この施設で感染が確認された人は、全員が優先接種の対象となってことし6月ごろまでに2回のワクチン接種を終えていたということで、福井県はいわゆる「ブレイクスルー感染」でクラスターが発生したとしています。 福井県健康福祉部の窪田裕行部
考古学の調査で山中に入り、道なき道を歩くと、思わぬ発見に出会うときがある。12年前に見つけた福井県越前町の番城谷山(ばんじょうだにやま)古墳群も、そのひとつである。 越前町天王の八坂神社裏山にある7基からなる古墳群で、2010年以降、町教委により発掘調査がなされた。なかでも5号墳は円形の墳丘に、台形状の張り出しがつく墳長45メートルの古墳で、5世紀中頃に築造された。墳丘の斜面には川原石が敷き詰められ、周りには円筒形の埴輪(はにわ)が数多く立てられていた。葺石(ふきいし)と埴輪の両方をもつのは丹南唯一の事例となる。 注目されるのは標高157メートルという高所に古墳が築かれた点だ。しかも、丹南盆地を一望できる絶景の場所にある。葺石の石は麓を流れる天王川の川原から大量に運んだもので、埴輪をもつことも踏まえると、古墳に埋葬された人物は丹南を治めた首長とみられる。 それでは、なぜわざわざ高所に古墳を
妖怪カッパの贈り物と伝わり、長年、彫られた文字が分からなかった福井県敦賀市栄新町の真禅寺が保管する銅印ついて、考古学者でアジアの印章史に詳しい大阪芸術大学客員教授の久米雅雄さん(73)が「『以雅以南』で間違いない」と読み解いた。中国最古の詩集「詩経」の一節にある楽器の共同演奏の場面で、調和や息災などを意味する言葉という。解読を待ち望んでいた前住職の平吹宣夫さん(77)は「長年の謎が解けた」と喜んでいる。 久米さんは、印章に関する書籍や学術論文を多く執筆している。2021年2月に福井新聞に掲載された「カッパの銅印 何と読む?」のオンライン記事を読んで解読に臨み、同寺に見解をまとめた手紙を送った。 手紙などによると、「以雅以南」は文字の形状や古代文字に関する書物との比較などから解読した。この言葉は「詩経」の「小雅・鼓鐘」という詩にあり「雅(が)を以(もっ)てし南(なん)を以てす」と読む。久米さ
ネコと日本人が歩んできた歴史を紹介する福井県の美浜町歴史文化館の企画展「ネコ踏んじゃった!?」がこのほど、同館で始まった。町内で見つかったネコとみられる動物の足跡付きの須恵器片を初めて公開している。足跡付きの土器片では最古級の古墳時代後期(6~7世紀)のもので、同館学芸員は「国内でのネコの生息時期を知る上で貴重な史料」と話している。11月29日まで。 須恵器片は2018年10~12月、興道寺廃寺跡周辺の発掘調査で見つかった。円墳の周溝から土器片約10点が出土し、そのうちの一つの須恵器杯に大きさ約2センチのくぼみを確認。形状がネコの肉球に似ているほか、爪の跡がなく、歩く時に爪を隠す特徴があるネコの足跡と推測。屋外で乾燥させていた時に踏まれたとみられる。 同館の松葉竜司副館長によると、ネコとされる生き物の足跡がついた土器は国内に3点見つかっている。そのうち、同様の足跡が付いた古墳時代の須恵器は
注1)患者数・死亡者数は、内務省衛生局『流行性感冒』1922年による。 注2)人口比、患者比の全国の値は、文末注(2)による。 当時の福井県人口(国勢調査1920年)は、599,155人ですので、42.3%の県民がこのインフルエンザにかかり、5000人をこえる方がたが亡くなりました。全国の患者数が人口比で37.3%(2)であったのに対し、福井県では42.3%でした。 死亡者数から見ても、人口1000人あたり8.53人(全国6.76人)、患者100人あたり2.02人と、全国の値(1.63人)をかなり上回っていました。 また県下の休校数(1918・19年)は、110校、罹患児童数10,814人で罹患率27.9%でした(3)。 2.『大野市史』に記された「スペインかぜ」の被害 このように県内でも広く流行し、多くの死亡者を数えた伝染病であったにもかかわらず、県内自治体史で「スペインかぜ」の具体的な
「ふつうの」展覧会ができるまで【上】 春の府中に「美しい絵」が勢ぞろい、その裏側をたっぷり 金子信久 府中市美術館学芸員(日本美術史) 美術ファン注目の府中市美術館の展覧会「ふつうの系譜」が3月14日から始まります。その開幕を前に、展覧会を企画した同美術館学芸員の金子信久さんが準備の日々を2回に分けてつづります。「論座」では2月15日に、金子さんを講師にトークイベント「江戸絵画の楽しみ」を開きます(詳細・申し込みはこちら)。なお、掲載している絵画作品はいずれも、「ふつうの系譜」に出品される(会期中に展示替えあり)、福井県の敦賀市立博物館の収蔵品です。 今年の春は「ふつう」がテーマ 毎年春に府中市美術館で開催してきた江戸絵画の展覧会は、2019年の「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」で15回目。ありがたいことに、毎回来てくださる方もいるし、2012年から冠するようになった「春の江戸絵
福井県内の歴史を伝える多くの古文書が、インターネットのオークションサイトに流出している。福井県史の編さんから最長40年を経過することを受け、県文書館は本年度から5年計画で編さんに使用した古文書の現状を確認する追跡調査に着手。所蔵者の代替わりや引っ越しによる紛失に加え、近年のお宝志向によるネットでの史料散逸も思わぬハードルになりそうだ。 「福井方面なんかいろいろ出ているようです」。昨年11月末、全国の学芸員や大学教授ら47人でつくる非公開のSNSグループに、京都の歴史研究者から“通報”が入った。グループは5年前に立ち上がり、貴重な史料のネット流出に備えてボランティアでオークションサイトに目を光らせている。 このとき出品されたのは、坂井市内の旧村にまつわる江戸中期から末期の年貢の記録や借金証文など。歴史的価値はそれほど高くないとされるが、帳簿類と思われる史料がバラバラにされ、数枚千円から大量に
福井市朝宮町の丘陵に、古代の北陸では最大級の山林寺院跡があることが2日までに、日本考古学協会の埋蔵文化財保護対策委員古川登さん(58)=同市=の調査で明らかになった。遺物などから奈良時代末~平安時代前半の寺院とみられ、東側の尾根上に大小20面以上の平たん面が見つかった。白山信仰との関係もうかがえ、注目を集めそうだ。 この丘陵(標高約130メートル)は朝宮橋南側の日野川左に面し、地元集落にはかつて神社があったとの伝承が残る。古川さんが旧清水町教委職員だった2004年、近くにある中世の大型寺院・方山真光寺(かたやましんこうじ)跡に関連した調査で、丘陵東側に複数の平地があるのを確認した。字名は「大社(おおやしろ)」で、「朝宮大社遺跡」と呼ばれている。 今年4月、越前町織田文化歴史館の堀大介学芸員とともに再調査したところ、標高72メートル付近で林道の造成跡から複数の須恵器片が見つかった。8世紀末~
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