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ブックマーク / book.asahi.com (22)

  • 「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」 ガン闘病 最終行まで音楽語る 朝日新聞書評から |好書好日

    「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」 [著]坂龍一 ニューヨークの日レストランで事中、いきなり背後から抱きつく者がいた。坂龍一だ。一度会っただけなのに、なんて人懐こい人なんだと驚くと同時に不思議な友情も抱いた。翌日、僕の個展を開催中のギャラリーに来てくれた。オーナーに、Yellow Magic Orchestraのサカモトだと紹介した。彼はニューヨークで有名人だった。 その後、電報のような短い用件のみのメールやCDが届いた。長い空白があって、ついこの間のことのように思うが、東宝スタジオの社員堂で彼と卓を囲んだ。そしてその数日後、アトリエにやってきた。 いつか彼に聞こうと思っていたことがあった。それはヘルマン・ヘッセの「芸術家が政治に関与すると短命に終わる」という発言への見解であったが、政治的行動をしていた彼はその頃ガンを宣告されたので、ヘッセの言葉は僕の中で封印することにした

    「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」 ガン闘病 最終行まで音楽語る 朝日新聞書評から |好書好日
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
  • 『月夜の森の梟』を読む|好書好日

    小池真理子さんの人気エッセー「月夜の森の梟」から5点を再録し、その魅力を識者や読者の意見とともに探ります。5作品は隔週金曜日に全文公開していきます。

    『月夜の森の梟』を読む|好書好日
  • マルジナリア書店(東京) 本屋の空白を10年ぶり埋めた、ドーナツと人文書大賞と|好書好日

    ここは東京都府中市の分倍河原。「歴史に名高い新田義貞」と『上毛かるた』にも登場する鎌倉時代の武将・新田義貞の銅像が、なぜか駅前ロータリーにでんと鎮座していた。群馬じゃないのになぜ……? 群馬県民なら誰でも知る、あの武将が! なんでも1333年、新田義貞は鎌倉幕府を討幕すべく群馬から兵をあげて、この分倍河原で幕府軍と戦い、勝利を収めたのだとか。名前は知ってても何をしたのかをよく知らなかった私は、ひとつ利口になった気になりながら、2021年1月にオープンしたばかりのマルジナリア書店に向かった。 お目当ての場所は銅像から歩いてわずか1分、駅改札向いのマクドナルドが入るビルの、3階に位置していた。店に入るとすぐに、大きく取られた窓が目に入る。 「天気の良い日は、富士山が見えるんですよ」と、店長の松尾つぐさんと代表の小林えみさんが、笑顔で口をそろえた。 大きな窓に面したカウンターでは、コーヒーも飲め

    マルジナリア書店(東京) 本屋の空白を10年ぶり埋めた、ドーナツと人文書大賞と|好書好日
  • 「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日

    文:ハコオトコ 立原透耶(たちはら・とうや)作家・翻訳家 1969年生まれ。ファンタジーなど幅広い作品を執筆。「ひとり百物語」シリーズ(メディアファクトリー)など著作多数。華文SFの翻訳も長く手掛け、最近も中国語圏の作家の作品を翻訳した『時のきざはし 現代中華SF傑作選』(新紀元社)を出版。 戦後、ソ連の影響を受けた中国SF ――翻訳・監修に多くの人が携わった「三体」シリーズ邦訳版ですが、立原さんは主に和訳された文章と中国語の原書と乖離が無いか、固有名詞やルビのミスが無いかなどをチェックする「総監修」を担当しました。華文SFに造詣が深く、翻訳も長く手掛けてきた立原さんですが、まずは三体の背景にある中国SF事情、歴史を教えてください。 第二次世界大戦後、中国ではソ連のSFが最初に(大々的に)影響したと思います。同じ共産国として中国の目指す科学技術立国、「頑張ったらこんな良い未来があるんだよ

    「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日
  • 「月刊住職」 俗世ネタ満載、悩めるお坊さん |好書好日

    普段手にとらない雑誌を読んで、知らない世界を垣間見るのは面白い。 気になる雑誌を読んでみる新連載、第一回は、滅法(めっぽう)面白いと評判の「月刊住職」を取り上げたい。 住職というからには仏の教えや仏教美術、禅や侘(わ)び寂(さ)びといった高尚なテーマを扱うのかと思いきや、三月号は「アパート建築業者の借り上げ商法にお寺が狙われている危険な事実」「末寺七十の名刹(めいさつ)を継いだ娘婿住職が破戒で退山を迫られた真相」とまるで芸能ゴシップ誌のような記事が並んで、あっけにとられる。めちゃめちゃ俗っぽいではないか。 だがそのおかげで、荒波にもまれるお寺業界の現状がわかって面白い。 三月号の第一特集は「お通夜が減っている そんなでいいのか」。 これによると、昨今はお通夜を省略し告別式と火葬のみで葬儀を済ませてしまう遺族が増えているそうだ。お寺にしてみればお布施も減るし危機感をもつのは当然だろう。ある住

    「月刊住職」 俗世ネタ満載、悩めるお坊さん |好書好日
  • 雑多な声を聞き取りながら語る沖縄 「はじめての沖縄」「宝島」レビュー|好書好日

    沖縄の海が好きだという会話から一歩踏み込もうとする時、そこに高い壁があるのを感じる。沖縄の歴史問題はいまだに目に見える形で残っていてあまりにも生々しく、気軽に口にすることがためらわれるのだ。 沖縄について私たちはどのように語ることができるのか。そのことについて考えさせられた2冊を紹介したい。 『断片的なものの社会学』の著者による『はじめての沖縄』(岸政彦著、新曜社)は「ナイチャー(内地の人)」が沖縄を語ることがいかに難しいか、ということを等身大で語っただ。著者の個人的な体験をもとにつぶやくように語るその語り方は、沖縄について考えはじめた人にとって親しみやすく感じられるだろう。 ところがこのはじつはそんなに優しくない。著者はかつて沖縄にハマりはじめた頃の自分を「沖縄病」だったと振り返る。沖縄を愛するあまり、沖縄愛のディープさを競い合うナイチャーの態度は恥ずべきもので、それは欲望の対象とし

    雑多な声を聞き取りながら語る沖縄 「はじめての沖縄」「宝島」レビュー|好書好日
  • コラム別に読む : あなたの人生の物語  [著]テッド・チャン [訳]浅倉久志・他 - 阿部嘉昭(評論家・北海道大学准教授) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■言語と思考があやなすSF 二〇〇三年にハヤカワ文庫で初版の出たテッド・チャンの短編集『あなたの人生の物語』。その表題作が「メッセージ」として映画化され、版を重ねて累計何と15万部という。難解の誉れ高い短編集としては異例ではないか。実際、収録作の解釈については日のネット上でも侃々諤々(かんかんがくがく)で、チャンの仕組んだ知のSFに、多くが巻き込まれている。 権威的な文章にはおのおの特有の書き方がある。チャンはこれを利用する。それらの見た目をなぞってみせつつ、根底を虚構化するのだ。冒頭「バビロンの塔」は神話的建造物の空間記述自体をSF化する傑作だった。「七十二文字」では命名が実質を生むとする中世神学の名辞論がエネルギー論となり、単性生殖の小人=ホムンクルスなどに新見解が与えられる。天使の降臨が災厄へと実体化される「地獄とは神の不在なり」では、旧約聖書的記述がズラされ、神の恩寵(おんちょう

    コラム別に読む : あなたの人生の物語  [著]テッド・チャン [訳]浅倉久志・他 - 阿部嘉昭(評論家・北海道大学准教授) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • コラム別に読む : 書店員に聞く しみる短編 - 大庭牧子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    shig-i
    shig-i 2015/11/22
  • BOOK TIMES (広告特集) : あまちゃんファンブック おら、「あまちゃん」が大好きだ! - 朝日新聞社広告局 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

  • 「江戸絵画の非常識」書評 「風神雷神」本当に宗達晩年の作?|好書好日

    江戸絵画の非常識 近世絵画の定説をくつがえす (日文化私の最新講義) 著者:安村 敏信 出版社:敬文舎 ジャンル:芸術・アート 江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす [著]安村敏信 一例をあげる。「風神雷神図屏風(びょうぶ)」(建仁寺)の作者といえば誰もが疑うこともなく俵屋宗達に決まっていると言う。これは常識である。書はこんな常識に対して異議申し立てをする非常識な研究者がいてもちっとも不思議ではないだろうという論者たちの意見を、美術史家の著者が交通整理しながらその理非を裁量していく手腕が実に鮮やかでスリリングである。 例えば「風神雷神図屏風」は宗達の晩年の作であるというのが定説であるが、この作品には署名も落款もない。証拠がなければ常識の基盤が揺らぐ。書の目的は常識の仮面を剥がすことで非常識を歴史の文脈に、新たな顔として位置づけられないかという挑戦である。 一方〈それがどうした

    「江戸絵画の非常識」書評 「風神雷神」本当に宗達晩年の作?|好書好日
  • コラム別に読む : ローマ法王 藤崎衛さんが選ぶ本 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■聖・俗、二つの顔のあいだで 南米出身者としては初となる新しいローマ法王フランシスコ1世が誕生した。 前法王ベネディクト16世が退位するというニュースに接したとき、映画「ローマ法王の休日」が思い出された。いやいやながら法王にされた主人公が、就任を目前にバチカンから逃げ出すという物語は、法王職の重責と高齢を理由にその座を退いた前法王を彷彿(ほうふつ)とさせ、いかなる人物が次に選ばれるのかという好奇心をかき立てた。 前回2005年の法王交代については『ヨハネ・パウロ二世からベネディクト十六世へ』が、当時を冷静に振り返らせてくれる。臆測や期待感を排除した淡々とした記録で、法王の遺言まで載せている。歴代法王やバチカンの基用語については、マシュー・バンソン『ローマ教皇事典』(三交社・7350円)が参考になろう。 法王の退位はおよそ600年ぶりである。1415年、3人の法王が鼎立(ていりつ)する分裂

    コラム別に読む : ローマ法王 藤崎衛さんが選ぶ本 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    shig-i
    shig-i 2013/03/21
    前駐バチカン大使・上野景文の『バチカンの聖と俗 日本大使の一四〇〇日』など
  • 本の記事 : ひたちなかに茨城県内最大書店 地元店「個性で対抗」 - 松井望美 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    茨城県ひたちなか市に17日、県内最大の書店が開店する。チェーン店の進出、後継者不足などで、既存店は厳しい競争にさらされている。生き残りをかけ、各店は品ぞろえや地域に根ざした接客などに工夫を凝らしている。 同市に進出するのは、関東信越地域に「蔦屋(つたや)書店」など75店を展開するトップカルチャー(社・新潟市)。 ショッピングモール「ファッションクルーズ」など商業施設が集まる同市新光町に、約6千平方メートルの「蔦屋書店ひたちなか店」を開く。約70万冊をそろえ、カフェも併設。文房具やCDも販売する。 県内には約3千平方メートルの「ACADEMIAイーアスつくば店」など大型店が既に点在しているが、蔦屋書店の規模は群を抜く。地元の既存店は戦々恐々だ。 1970年から市内で「ささもと書店」を経営する笹近男さん(72)は、「ただでさえここ数年、売り上げは下がりっぱなしなのに……」と声を落とす。 生

    本の記事 : ひたちなかに茨城県内最大書店 地元店「個性で対抗」 - 松井望美 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • http://book.asahi.com/ebook/master/2012062800002.html

  • コラム別に読む : 現代語から古語を引く 現古辞典 [著]古橋信孝、鈴木泰、石井久雄 - 土屋敦 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    通常の古語辞典は、古語を引いて、その意味を確かめるために使われる。しかし書はその逆。すなわち、現代語を古語でどう言うのかを調べる辞典なのだ。 古語で文章を作成する機会はあまりないだろうし、平安時代や江戸時代の人と話すこともない以上、実用的な辞書とは言いがたい。しかし日常生活でエンジニアを「とものみやつこ」や「ものし(物仕)」と言ったり、交差点を「やちまた」などと呼んだりしてみると、非日常的な気分を味わえ、不思議と楽しい気分になる。ただし「目をさます」のを「おどろく」、「中途半端である」ことを「はしたなし」などと古語を使えば、誤解されてしまうので注意したいところではある。 装丁も辞書風ではなく、通常のハードカバーの単行の体裁だ。すなわち読まれることを想定した製で、実際に読んで面白いなのだ。そして楽しみながら読んでいるうちに、古語辞典を引くより、結果的に古語をよく覚えてしまう、というこ

    コラム別に読む : 現代語から古語を引く 現古辞典 [著]古橋信孝、鈴木泰、石井久雄 - 土屋敦 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • 本の記事 : 老舗書店がカフェを始めたわけ――東京堂書店神田神保町店 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    多くの作家に愛されてきた老舗書店「東京堂書店」(東京・神田神保町)が、3月30日に新装開店した。入り口にカフェを併設した「ブックカフェ」として大変身。玄関はロンドンの書店を参考に設計され、クラシックな趣の書店になった。 写真特集はこちらから ■「持ち込み不可」、喫煙は可 神田神保町店リニューアルオープン当日には作家や文化人などがカフェを訪れ、そのツイートがネットを飛び交った。他のブックカフェと違うのは、「書棚からの持ち込み」を禁止した点。ただしカフェ内に置いてあるは自由に読める。出版前の書籍のゲラ(試し刷り)やバウンド・プルーフ(見)もあり、ひと味違った読書体験ができる。3階までの各階にカフェの座席があるがの売り場とは仕切られ、3階は、書店には珍しい「愛煙家席」だ。カフェとしても楽しめるように、無線LANや電源も完備した。 2階、書籍売り場 カフェの椅子にもこだわりがある。2階は常

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  • 「贈与の歴史学」書評 合理的でドライだった中世人|好書好日

    贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 著者:桜井 英治 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 贈与の歴史学―儀礼と経済のあいだ [著]桜井英治 お歳暮の手配が終わったら年賀状を書き、出していない人から賀状が来たら慌てて返す。たとえそれが、すぐに顔を合わせる人であってもだ。もらったからにはお返ししなければならない、という意識は、現代でも脈々と生き続けている。 こうした贈答儀礼を虚礼だ、建前ばかりで情が薄い、などと批判する人が書を読んだなら驚くことだろう。主従関係が血より濃く、絆で深く結ばれた共同体が形成された時代、というイメージが広く流通している中世像だが、こと経済活動に関していえば、その姿はあっけなくくつがえされるからだ。中世人は贈答において、現代人以上に合理的かつドライな計算をしていたのである。 中世では、贈答品は「もらって嬉(うれ)しいもの」ではない。物

    「贈与の歴史学」書評 合理的でドライだった中世人|好書好日
  • 朝日新聞書評

    朝日新聞で毎週土曜朝刊に掲載している読書面。 今週掲載予定の書籍を先行チェックできます。 更新は毎週月曜日!

    朝日新聞書評
    shig-i
    shig-i 2011/08/11
    参考になりそう。読みたい本がたまっているけど
  • asahi.com(朝日新聞社):庶民を描く歴史人口学 文化勲章・速水融さんに聞く - ひと・流行・話題 - BOOK

    庶民を描く歴史人口学 文化勲章・速水融さんに聞く2009年12月17日鈴木好之撮影 歴史人口学を日に築いた功績で今年度の文化勲章を受けた速水融・慶応大名誉教授が、長年の研究をまとめ『歴史人口学研究』(藤原書店)として出版した。歴史人口学とは、どのような研究手法なのか。その分析を通して見えてきた日の社会、地域、家族の特徴とは……。速水さんに聞いた。 歴史人口学はフランスで始まった。その生まれたばかりの成果に速水さんは留学先で触れた。1963年、ベルギーでのことだ。 教会に残る洗礼や結婚、埋葬などの記録を手がかりにして信徒の生涯や家族の姿を復元していた。「革命的な手法に見えた」という。 庶民の歴史の研究は日にもあったが、一揆や抵抗の歴史が中心だった。歴史人口学は、庶民の日常の暮らしや地域の特色、人口の推移などを描き出そうとしていた。 帰国すると史料を求め全国をめぐった。探したのは江戸時代

  • asahi.com(朝日新聞社):ベスト・オブ・谷根千 [編著]谷根千工房 - ニュースな本 - BOOK

    ベスト・オブ・谷根千 [編著]谷根千工房[掲載]週刊朝日2009年3月6日増大号[評者]永江朗■こんないい雑誌が休刊するなんて この夏で「谷根千」が休刊する。「谷根千」とは地域雑誌「谷中・根津・千駄木」の通称。一九八四年に、仰木ひろみ・森まゆみ・山崎範子の三人がはじめた雑誌である。東京の下町、谷中・根津・千駄木の雑誌だ。タウン誌ではなく地域雑誌。店やイベントの紹介よりも、街に住む人の話、街の歴史と現在の紹介が中心だ。 メジャーな流通には乗らず、地域内の書店および協力店、そして地域外の協力店でしか買えない。それにもかかわらず知名度が高いのは、内容のおもしろさと志の高さによる。この小さな雑誌によって、谷中・根津・千駄木は観光スポットになったし、下町散歩ブームもこの雑誌がきっかけだ。作家・森まゆみの活躍も、根拠地として「谷根千」があってこそ。 「谷根千」四半世紀の傑作選、『ベスト・オブ・谷根千』