グレッグ・イーガンの『ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)』を購入。けど、第1章から難解な用語がもうこれでもかと頻出なので僕にはちょっとハードすぎる。というわけで難儀しながら読書中。理解したかぎりで言うと、第1章では人間の個体発生から言語の獲得にいたるまでのプロセスが、仮想環境内で人工的にシミュレートされたかたちで描写されている。だから、最初「精神種子は」だった主語が、いつの間にか「孤児は」(もともと生身の身体を持った人間の精神を仮想環境へ移送する場合と異なり、仮想環境内で誕生した人間は「孤児」と呼ばれる)に変わり、ついには自ら「ヤチマ」という名を名乗る。ラカン流に言うならおおよそ鏡像段階にあたるステージが描かれたりするんだけど、リニアな音声とゲシュタルト信号を入力ナビゲーターによって一致させるのに苦闘したりして、自我形成されるまでの激しく混沌とした様子はまさしく“寸断された身体”の電子版