実家に帰って書棚の中から「ケインズとハイエク」をたまたま手にとって読み直す。本書の中で気になったフレーズが出てきたので該当箇所を引用してみます。 学問的思考にたずさわる人間には二つの精神の型がある、とハイエクは述べている(「精神の二つの型」)。一つは「記憶型」とでも呼ぶことのできるタイプで、普通はこちらが幅を利かせている。この型の人は多くの書物を読み漁り、細々した事実や用語を頭の倉庫にいっぱい詰め込んでいる。臨機応変に在庫品の中から必要な知識を取り出し、学の既成の地図に沿ってうまくそれらを配置する。流行に敏感で、学の全領域に通じていなければ気がすまない。この型の精神にとっては在庫の新鮮さとその総量が勝負の決め手となるのである。 「記憶型」の精神に対置されるのが「混乱せる頭脳」である。前者が書いたりしゃべったりしている言葉を見聞きしても、その言葉はどこか上滑りしているという感じを持つ。彼らは
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