オバマついでに、経済学における差別の取り扱いについて一言触れておこう。経済学の中では、次のような2種類の差別を考える。 (1)選好による差別(taste-based discrimination) (2)統計的差別(statistical discrimination) (1)はベッカー(1971)に始まる、嗜好による差別に関する理論。白人と黒人は一緒に働くのを嫌がるとか、受付のサービスは同じ人種の方がおちつくとか、そういう話。もちろんこれは人種だけの問題だけではなくて、年齢やジェンダーに関する差別にも当てはまる。自分と違うタイプでそりが合わないだとかね。*1 この手の議論でよく言われるのは、差別的嗜好のある経営者は企業の利潤を最大化しないから、差別的嗜好のない経営者に負けて、市場から淘汰されていくというもの。この議論が現実的にどれだけ説明力があるのかは、実証的にまだけりのついていない問題