チェ・キタラの「隅っこまで照らすな!」 辺境の地で細々と活動するテレビ番組の制作者が、世界の中心に「異議あり!」を叫ぶブログ 2009年。栗城さんのエベレスト初挑戦は、標高7850メートルでの敗退だった。このルートの最大の難関はもっと上のグレート・クーロワールという氷の壁だ。その入り口にも辿り着けなかった。 挑戦3日目。この日は、標高7700メートルのキャンプ2を出発し、グレート・クーロワールの下を目指して、ほぼ真横に移動するルートだった。 栗城さんは、この日、わずか3分しかカメラを回していない。そんな余裕などなかったのだ。標高7000mの「ノースコル」と呼ばれるキャンプ地に、栗城隊の山岳カメラマンがいた。栗城さんの苦闘をレンズ越しに見つめていた。 そしてABC(アドバンス・ベース・キャンプ)に陣取るのは、北海道在住の山岳ガイド、MOさんだ。私は札幌近郊の雪山で、栗城さんとMOさんが一緒に