前回の記事で触れたが、『藤子・F・不二雄大全集』では出版側の自主規制によるセリフの改変、いわゆる「言葉狩り」がいくつか見受けられる。 これが気になっているのは私だけでは無いようで、ブログや各所の掲示板ではこの件について指摘する書き込みをよく見かける。 そんな中でちょっと勘違いしている人が多いのかなと思うのは、手塚作品との比較だ。 今年出版された復刻版の『新寳島』などと比べて、手塚作品はオリジナルのまま出版されているのに、F全集は自主規制があって残念だと言う意見を見かけるが、復刻版『新寳島』は比較対象としては不適当だと思う。 たしかに『新寳島』は極力原本そのままに復刻されており、「人喰人種」などの章題も元のままだが、数多く出版されている手塚作品の単行本の中でこのような例はごくわずかで、現在流通している手塚単行本のほとんどは、生前の著者の手によるものも含めて、「差別用語」の部分は改められている