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ノーベル賞
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言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書) [新書] 『言語学の教室』というタイトルだが、言語学一般の本ではない。認知言語学についての入門書である。西村が認知言語学者、野矢は哲学者で、このふたりの対談形式で話が進んでいく。ものすごくおもしろくて、メシを食いながら一気に読んでしまった。 感想を書いておきたいポイントはたくさんある。もう、ありすぎて困るくらいだ。ぜんぶ書いてたら1ヶ月くらいかかりそうである。無理! 趣味でやってるブログでそんなことすんの無理! ほかに書きたいネタがたくさんあるのにさ! 我ながらちょっとおかしいんじゃないの? と思うのだが、ブログに書き残しておきたいネタは山ほどあるのだ。実際に書けたものはそのうち2割ぐらいじゃないかなぁ。それだけしか書けないのは、単純に物理的な問題である。1日は24時間しかないのだよ諸君。しかもブログなんて完全な趣味なのだから、どんどん後
『ドカベン』については、長らく心に引っかかり続けていた問題がある。そう、いわゆる「ルールブックの盲点の1点」である。 これは単行本35巻(文庫版では23巻)に所収されたエピソードで、先に述べたアピールプレイにまつわる不可解な得点を描いたシーンである。水島の代表作『ドカベン』において、読者のおそらく95%くらい(あるいはもっと)が首をかしげ、プロ野球関係者でさえ「これはありえん!」とまで言ったらしい。 結論から言えば、大方の疑問に反して、正しいのは水島であった。そして、微妙なルールにまつわるこんなシーンを少年野球マンガで描ききった水島の株は大きく上がった。 プロ野球選手がうなるほどの考証が『ドカベン』にはあるのだ。これはマンガとしてのおもしろさとはまた違う側面かもしれないが、しかし野球マンガ、もっと大きく言ってスポーツマンガ全体の裾野を広げえた、水島マンガの質のあらわれであると思う。 つまり
マンガ家の谷口ジローに関する記事が、11/1付の毎日新聞朝刊に載っていた。 時代を駆ける:谷口ジロー/1 欧州へ日本の日常漫画 ◇JIRO TANIGUCHI 普通の日本人の日常を描く、一見目立たない日本人漫画家が、その精密な絵とストーリーの独創性から欧州で人気を集めている。谷口ジローさん。64歳。古里鳥取を舞台に家族の葛藤と絆を描いた代表作「遥(はる)かな町へ」は最近10年間で仏、独、西のコンクールで最優秀賞を受賞した。「母国以上」(仏紙)と評される人気の秘密は何なのか。 自分ではよく分かりません。例えば「遥かな町へ」は東京で働く48歳の主人公が、帰省中の鳥取で14歳当時の自分にタイムスリップし、青春を再体験する物語です。テーマは、あの時こうしておけばよかったという後悔、やり直したいという願望。独創性というより、人間の普遍的な要素が共感を得る場合が多いのかもしれません。昨年、この作品はベ
AKIRA(6) (KCデラックス 339) クチコミを見る 「天才・大友」。まぎれもなく天才である。「どこがどう天才なんだ?」と問われれば、「それは凡人のオレにはわからん。しかし、大友が天才じゃないとすれば、いったい誰が天才なんだ?」と返そう。 絵描きとしての大友はもちろんとんでもなくすごい。絵心のない私が言っても説得力はないだろうが、大友があみだした技法の数々は②や③でそれなりに述べたとおりである。「大友以前・以後」という時代区分があるほど、もしかするとマンガ史上最強の絵描きだった。 そして、絵描きとしてだけではなく、マンガ家としての大友の美点は、たとえばモンゴロイド顔を導入しえた視線だと思う。小さな目、低い鼻、大きく離れた目と眉。それまでのマンガにはなかったこの造形は、大友のオリジナルな視線が具現化したものだった。 もうひとつ美点を挙げれば、状況や舞台設定のうまさである。②で書いた『
AKIRA(1) (KCデラックス 11) 前回は『童夢』について長々と綴ってしまったが、大友克洋の代表作は何かといえば、まずもって『AKIRA』が挙がるだろう。個人的には大友のベストに『童夢』を挙げたいが、それは少々うがった見方である感じが否めない。やはり大友といえば第一に『AKIRA』である。私はけっこう世論の声にしたがうタイプなのだ。 というか、私だって大友といえば『AKIRA』だろうとやっぱり思っている。『童夢』がいかに傑作であろうとも、『AKIRA』ぬきの大友はありえない。『AKIRA』を描いていなかったらカルトなマンガ家で終わっていただろう。逆に、『童夢』を描かずとも『AKIRA』さえ描いていれば、大友の名前は現在と同じく天下にとどろいているはずだ。ただしその場合、私はここでこんな長文を綴ることはなかっただろうと思う。そういう意味では大友が悪い。『童夢』なんか描かなきゃよかった
童夢 (アクションコミックス) さて、『童夢』である。 『童夢』が与えた衝撃は、私くらいの年代のマンガ好きなら誰しも憶えていると思う。 おもしろいマンガや熱くなったマンガはたくさんある。が、『童夢』という作品が読者に与えた印象は、そういう枠組みにはおさまらなかった。 ひとことで言えば、やはり「衝撃」以外の何者でもなかったと思う。何かとんでもなくすごいマンガ表現があらわれた――全一巻という中編に触れた読者は、ほとんど例外なくそんな衝撃にとらわれたはずだ。のちに「大友以前/以後」と言われるほど、大友はマンガ表現の枠を広げ、ハードルを上げたとされる。これは事実上『童夢』から始まっている。 私の中でも『童夢』はスペシャルである。大友のベストは? と問われれば、『AKIRA』よりもむしろ『童夢』を挙げたいくらいだ。というか、大友ネタで例によって長文のムダ話を綴っているのだが、その動機は「『童夢』につ
ハイウェイスター (アクション・コミックス―大友克洋傑作集) 大友克洋のマンガ家時代。 「マンガ家時代」と言わざるをえないのが残念だが、そんな時代の大友の単行本を羅列してみよう。 ①『ショート・ピース』奇想天外社1979 ②『ハイウェイスター』双葉社1979 ③『さよならにっぽん』双葉社1981 ④『GOOD WEATHER』奇譚社1981 ⑤『ヘンゼルとグレーテル』ソニー出版1981 ⑥『気分はもう戦争』双葉社1982(矢作俊彦原案) ⑦『BOOGIE WOOGIE WALTZ』奇譚社1982 ⑧『童夢』双葉社1983 ⑨『AKIRA』講談社1983-1993,全6巻 ⑩『彼女の想いで…』講談社1990 ⑪『SOS大東京探検隊』講談社1996 このほか復刻版や画集もあるが、それは省略。 長編は⑨の『AKIRA』のみ。⑥『気分はもう戦争』と⑧『童夢』は1巻完結もの。これはマンガとしては中編
ショート・ピース (アクション・コミックス―大友克洋傑作集) クチコミを見る ときどき憑かれたように長文を綴ってしまうことがある。誰もマジメには読まないブログという場でそんなことすんのもどーよ? とは思うのだが、個人ブログだからこそ好き勝手に書けるわけで、何をどう書いてもいいのがブログなのだから、べつにいいんじゃないかなぁとも思っている。 まあ、基本的に自己満足で書いているので、べつにブログにアップする必要もないのだ。が、多少なりとも人目に触れるところに残しておきたいという気分が恥ずかしながらちょっぴりあるのと、もうひとつ、むしろこちらの理由のほうが大きいのだが、人目に触れてもいいという気分で書くと、思考がまとまりやすいのである。 たとえば、自分の中では前提になっていることが、世間でも前提になっているとはかぎらない。だから、人目を気にして書くと、自分の中での前提についても説明しようとする。
②の最後に少し触れたが、『童夢』の準拠枠のひとつは『幻魔大戦』(平井和正原作/石ノ森章太郎作画)である。関連する大友の発言を引く。『童夢』に直接つながる短編『Fire-Ball』執筆直後のものである。 「まず、ミュータント・サブなんかをみてて、なんでこう、さわんないものを動かせるのか。だからそのまんま、あれするんじゃつまんないし、たとえば、ああいうことやりだすと、『幻魔大戦』なんかの、テレパシーできる奴がいて、物うごかすやつがいて、移動するやつがいるっていう、そういうことしちゃうとあの『巨人の星』の巻絵物みたくなっちゃうから、もう、シンプルに、ただ熱くなる、だけという話を」(『ぱふ』1979.7, p.25) 「そうですね、ちょっと、近頃のオレの傾向としては、動かしたいなということを思ってますけどね」(同, p.27) 幻魔大戦 第1巻 (サンデー・コミックス) 話し言葉をそのまま字にして
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