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都知事選
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7月26 太陽光発電入札で記念すべきポイントを通過 カテゴリ:エネルギー政治 ドイツの太陽光発電のAW(FIP制度のプレミアム算定のための指標価格)の2017年6月の入札結果が出てきました。 2017年からは屋根乗せも含めた750kWを超えるすべての太陽光発電(ただし10MW以上は適用外)の入札になってから2回目の入札です。 200MWの入札容量に対して、応札したのは646MWと入札が始まった初回を除く、過去最高の混雑ぶりです。 落札した32件のプロジェクトの平均落札価格は、なんと 5.66セント/kWh(約7円)! とこれまでで最も低い金額となりました。 明らかに一般的な火力、原子力、そして風力発電よりも中型、大型の太陽光発電(巨大規模を除く)が安価になったという記念すべきポイントです。 ちなみに2017年5月に行われた第一回目の陸上風力の入札では平均落札価格が5.71セント/kWhと太
7月22 「電力需給の見える化」によってどんな議論が始められるのか? カテゴリ:エネルギー政治 皆さん、一昨日に公開しました電力需給の見える化について、たくさんの方がご覧になられているようで、ありがとうございます。 電力需給の見える化サイト: https://wellnesthome.jp/energy/ 意図、背景説明のブログ: http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/52006449.html すでに数千人の方が、全国それぞれの電力会社で、春夏秋冬で、どんな電力供給の姿になっているのか、確認されているようで、嬉しく思います。こうした方々が、数万人、数十万人になってゆき、多様な議論ができてくると、日本の将来の電源MIXに関する議論がより高い次元で進むのではないかと思っています。 さて、こうしたサイトをオープンして、見える化がはじま
3月2 脱原発で電力大手にドイツ政府が訴えられて…(その1) カテゴリ:政治エネルギー なんだか最近、日本において、脱原発の話をすると、そんなことを政治的に決めると、 『ドイツのように電力会社に政府(国)は訴えられて、莫大な賠償金を支払わされる』 という感じで「ドイツ」を事例に持ちだして、例えば民進党の2030年脱原発にまつわる議論だとか、小泉元首相や管元首相が脱原発を訴えたりしていると、批判をする輩が多くなっているそうです… あー、えー、 そんなバナナ。 2016年12月6日に基本法裁判所(≒憲法裁判所≒別ものだが最高裁に近いイメージ)が出した判決で、 『電力会社はほぼ損害賠償請求を認められなくなってしまった』 わけなので、なんでそんなデマのような言説が日本に流れているのか不思議で、ググってみると… http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10377210
7月16 エネルギー白書2015を眺めて(その3) カテゴリ:エネルギー政治 そうそう、もう一つだけ追加で指摘しておきたいことがあります。 国際エネルギー動向(第ニ部二章) 本文の196、197ページにおいては、世界各国の発電状況が述べられており、発電源の項目では、フランスの原子力設備割合52%、発電量割合74%に(あたかもポジティブな事例として?)言及する気配りは忘れていません。 これはご愛嬌としても、197ページに提示された図は、196ページの説明文とともに、なんともバランスの悪いものとなっています。 「なお、欧州や北米では国境を越えて送電線網が整備されており、電力の輸出入が活発に行われました(第223-1-7)」 これは、送電線の利用状況(フィジカル・エネルギー・フロー)を示した図であり、国の電力の輸出入を取り扱ったものではありません! 通常は、この電力輸送が国境を超えて行われる場合
7月1 ギリシャ問題 カテゴリ:政治 環境とは関係がありませんが、ちょっと考えたことがあるので、ブログに記します。 専門ではないので、多少の間違いがあるかもしれませんが、今のところ、ギリシャは以下の様な負債を追っていると報道されています。 ESFSから1310億ユーロ ECBのTargetⅡから420億ユーロ ECBのSMPから200億ユーロ IWFから180億ユーロ その他 1020億ユーロ 合計 3130億ユーロ(≒40兆円) http://www.welt.de/wirtschaft/article143351364/Das-ist-nur-noch-absurd-Der-Mann-ueberfordert-mich.html?wtrid=socialmedia.socialflow....socialflow_twitter 最悪、ギリシャが破綻した場合、ドイツ国民が税金で負担しな
6月20 ドイツの石炭消費量は増えているわけではない(その1) カテゴリ:エネルギー政治 はい、どうも。村上です。 最近、日本では「(エネルギー政策なら)ドイツを見習え!」的なものに、辟易している方が多いためか、有象無象の方々が、ろくに正確な統計情報や学術的な研究成果などを十分に吟味することなく、単なる短期間の視察・ヒアリングツアーで、偏ったステークホルダーへのヒアリングなどからや、スポーツ新聞のタイトル的な感覚のドイツ現地の記事などを参照して、ドイツのエネルギー政策や状況について論じるようになっています。 もちろん、主義主張は皆さん、自由なんで勝手にしてもらえば構わないのですが、「村上さん、◯◯さんがこう言っていますが、本当なんでしょうか?」というお問い合わせのメールなどいただくことも多く、また日本の各地で講演していても、「◯◯は本当ですか?」という質問をもらうことも多く、なんだかなあ・
6月15 グリーンパラドックスって本当? という質問に対して(その1) カテゴリ:エネルギー ことの発端は5月25日(日)、NHKスペシャルで「エネルギーの奔流」という番組の後半が流されてからです。 http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0525/ ドイツの再生可能エネルギー推進、エネルギーヴェンデ(エネルギーシフト)の政策や現状について、以下のような質問、というより不安を持たれた方々からメールを受け取ることになりました。 1.上記の番組で流された「グリーンパラドックス」というのは本当? 2.ドイツが脱原発し、再エネがいくら推進されても、電力が必要なときには、チェコやフランスから原発電力を買っているから意味がない、というのは本当? 3.ドイツのFITはやっぱり失敗だった、というのは本当? とりわけ、地域で脱原発や再生可能エネルギーの推進にかかわる
5月3 欧州の木質バイオマス発電は成功しているのか?(その1) カテゴリ:エネルギー政治 皆さま、こんにちは、久しぶりのブログ更新です。 さて、今回は、木質バイオマス発電について少し書いてみたいと思います。 日本では2012年の7月から再生可能エネルギー電力の固定買取制度(FIT)がはじまりました。これまでのところ(短期間で計画、施工ができるため)太陽光発電ばかりがクローズアップされていますが、いよいよ全国各地で、太陽光発電以外の発電源の申請が準備されているようです。 ただし、風力発電や地熱、小水力発電については、もう少し時間がかかるようですが、『木質バイオマス発電』については、昨年の下半期からバタバタと各地で企画され、とりわけ政治的に、いろいろと動いているところがあるという声を耳にしたり、ニュースをみかけたりするようになりました。 2013年の買取価格の改正時までに、申請・認可された木質
1月23 ドイツの省エネ政策の成果 カテゴリ:政治エネルギー はい、ブログ記事は今年はじめてになりますね。ツイッターでは新年開けてからもフラフラといろんなことをつぶやき、情報発信していますが、ブログのこの記入画面にはなかなか足を伸ばせない今日コノ頃です。 とはいえ、今回は皆さんにお見せしたいグラフがありますので、まずは以下を御覧ください: これはなんだと思いますか? ドイツ国交省は、国内のあらゆる建築・住宅にかかわる統計情報を集積し、取りまとめて、年に一度年鑑を公表しています。 その年鑑には、 1.ドイツに存在する4047万戸の住宅ストックの合計延べ床面積の推移(毎年15〜20万戸の新築が追加されている)と 2.その住宅で消費される暖房用の最終エネルギー消費量 が、統計されており、同時に、建物ストックに対する 3.省エネ改修を推進するための予算額(主には、低利子融資OR無利子融資の財源)
12月24 2012年ドイツ太陽光発電の総集編、統計情報(その3) カテゴリ:エネルギー さて、さて、それでは気になるFIT法での太陽光発電の買取価格について。 まずは、2012年のFIT法改正とFIT-PV改正については、国会図書館で翻訳してくれてはりますので、お読みください。 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3497220_po_02520007.pdf?contentNo=1 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3491894_po_02510206.pdf?contentNo=1 ようは、毎月買取価格は下がってゆく、四半期ごとの集計でその後の毎月の下落率自体も変化する、自家消費、市場販売の義務など複雑なもろもろがついてきている、と取りまとめることができます。 そうなんです、具体的
12月24 2012年ドイツ太陽光発電の総集編、統計情報(その1) カテゴリ:エネルギー さて、今回は、年も押し迫ってきたことですから、2012年の包括としてドイツの太陽光発電の設置量、およびFITの買取価格について取りまとめることで、ブログも仕事納めといたしましょう。 おさらいとなりますが、2011年末までのドイツでの太陽光発電の設置量は、ドイツ環境省の統計によりますと、24.82GW出力となっています。 2009年までに1年間での設置量を「3.8GW」と日本で20年設置にかかった規模を単年でクリアし、世界市場をリードしてきたドイツも、2010年度の7.378GW、翌11年度も7.485GWの設置と(いずれもPhoton誌集計)、大幅に政府や政治、学術関係者の予測を上回るスピードになり、「スペインの二の舞」、あるいは「太陽光バブル」とも揶揄され、2012年の上半期は、改正したばかりのFI
10月30 Photon誌による再生可能エネ100%シミュレーション(その1) カテゴリ:エネルギー さて、ツイートでは告知していたんですが、Photon誌2012年10月号に掲載された太陽光発電(PV)、風力発電(OnshoreWind=OW)による100%電力の供給についての記事について今回は紹介しましょう。 この記事は、Photon誌が2年の歳月をかけて独自に開発したシミュレーターで、ドイツの全電力供給を太陽光発電、陸上風力発電だけで供給させようとした場合、そのときに必要になる設備の規模と蓄電裝置、そして必要な技術水準と予想される電力価格について占っています。 ドイツ語が読める方は、非常に興味深い記事なので、是非、原文にトライしてみて下さい。 http://www.photon.de/index.htm 本来は記事を丸ごと翻訳してみてもよかったんですが(15ページにもわたる大きな特集
6月28 2012年のFIT、PV電力固定買取制度の決着(その1) カテゴリ:政治エネルギー 2010年にドイツではPVの新規設置量が7.0GWに達しました。1年に1度のFIT改正(固定買取価格の見直し)という比較的のんびりした対応に対して、PV市場は加速度的に価格破壊が行われましたので、FIT法で想定している利回り(内部収益率IRR)6〜7%ではなく、下半期、年末にはIRRが20%に達するような案件が生じ、翌年の新年の買取価格変更前に駆け込み的な設置が爆発的な勢いでなされた結果でした。 ドイツ政府はもともと太陽光発電(PV)の推進は、毎年2.5〜3.5GW出力の新設という穏やかな推進を望んでいましたから、新規設置量の統計をより迅速に行い、設置量に応じて、素早くFITのPV買取価格の変更が行われるようにFIT法の改正が2011年の上半期には行われました。 が、2011年1〜10月までは穏や
4月3 小型の家庭用太陽光発電、ドイツの全量買取制度と日本の余剰買取り(その3) カテゴリ:エネルギー政治 さて、本題の両国の制度についてです。 ドイツの屋根置き型の小型PVは固定価格による全量買取りが基本ですが、2009年の改正から、「自家消費ボーナス」というものを採用するようになり、近年では、屋根設置の大型に至るまでになったり、そして自家消費の割合を多少の義務化を図るようになったり、自家消費をドンドンと促すように制度を改善させています。 この制度を簡単に解説すると、 イ)全量買取制度で発電した電力をそのまま系統に売電すると、発電者は、Xセント/kWhの売電収入を得ることになりますが、 ロ)自家消費した分は、自家消費によって買わなくて済んだ、つまり浮いた分の電力購入の料金分のYセント/kWhに加えて、電力系統事業者からZセント/kWhのボーナスが支払われるという仕組みです。 また、FIT
4月3 小型の家庭用太陽光発電、ドイツの全量買取制度と日本の余剰買取り(その2) カテゴリ:エネルギー政治 ドイツのFIT制度について、とりわけ日本で関心が高い小型の家庭などの屋根設置型のPVを説明しましょう。 表:10kW出力以下の屋根設置型のPVの全量固定買取価格(単位はユーロセント/kWh) (注:2012年以降の数字は、現在下院を通過した新しい法律による4月1日から有効な数字ですが、急激な買取価格低下によってドイツの自国のPV産業が壊滅的な被害を受けるのではないかと議論中の上院の差し戻しで、変更になる可能性があります) もともと1kWhあたり50セント(約55円)近くしていたPV電力は、内部収益率IRRで6%を加味しても、20セント(約22円)を切るようになっています。こちらの一般家庭の平均的な電力料金は、1kWhあたり25セント前後(約27円)ですから、今年の4月1日から正式にい
4月3 小型の家庭用太陽光発電、ドイツの全量買取制度と日本の余剰買取り(その1) カテゴリ:エネルギー政治 ご無沙汰しています。 3月後半に日本に帰国し、各地で講演をしてきました。その際に、ドイツの再生可能エネ電力の固定価格・全量買取制度(FIT)についての悲観論、懐疑論を数多く耳にしました。 また、その中でも、とりわけ太陽光発電(PV)に関する質問も多かったです。 さらに、ツイッターやFacebook、HPなどからの質問で、PVのFITについてもいくつか質問がありました。日本の政策について、危惧していることがありますので、この場で、少し取りまとめをしてみたいと思います。 まず、日独の太陽光発電の設置の進み具合については、過去のブログで作表しているのでそちらをご覧下さい。 http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51698057.h
2月18 ドイツと日本の太陽光発電の設置量 カテゴリ:エネルギー政治 ブログを数ヶ月もの間、放置していました。ツイッター、Facebookと様々なメディアに時間をかけると、ホームページやブログに割く時間がなくなるのは、どうしようもないですね。 さて、今回は、再生可能エネルギーの中でも、もっともメディアに乗りやすい太陽光発電について。 ようやく日本でも2011年度の集計が出てきましたので、とりあえずグラフで、独日の太陽光発電の設置状況について、統計を取りまとめてみましょう。 出典:ドイツの数字の2010年まで、ドイツ連邦環境省。2011年度は、ドイツ連邦系統機関の集計速報値。 日本の数字は、太陽光発電協会による国内出荷量の統計。 ここで、注意しなければならないのは、ドイツの数字は国が統計している設置量の集計ですが、日本の数字は業界団体による国内出荷量の集計という点です。日本は、国として、設置
9月30 再生可能エネルギー100%会議(その4) カテゴリ:エネルギーエコロジー そして、議論はもうひとつの将来的な取り組みである蓄電についてです。 ハ)優先順位では、ここまで並べた対策のうち、費用対効果の関連で一番優先度が低いものの、技術革新と大量普及のための対策が急がれるのが蓄電です。 ただし、蓄電と一言でいっても、種類は豊富にあります。まず最も簡単で安価な蓄電方法は、電力を重力エネルギーとして置き換える揚水発電施設についてです。ただし、高低差が少なく、雨量もそれほどなく、かつ自然環境と人間生活環境に多大な影響を与える大型の揚水発電所を、今後もバンバンと推進してゆくことは現実的ではありません。 揚水発電の可能性があるところで、かつ環境負荷の低いところは今後のドイツでも新設してゆく予定ですが、ポテンシャルを最大限に利用したとしても、期待されるほど大きな効果が出ないことも同時に学術的な調
9月30 再生可能エネルギー100%地域会議(その3) カテゴリ:エコロジーエネルギー それに続く優先順位として考えられているのが、需要側での電力消費量のマネージメントと蓄電です。 ロ)スマートグリッド 100%再生可能エネを目指す系統安定化対策の分科会では、スマートグリッドという言葉は忌み嫌われており、使わないことが専門家たちの口から出てきました。理由は定義が曖昧で、学術的に価値がなくとも行われているプロジェクトが沢山あるからということです。ということで、ドイツ語ではLastmanagement、系統負荷マネージメントという言葉で議論が進みました。 まずスマグリと聞いて、系統における状況をスマートメーターで感知し、各家庭に置かれた電気自動車における蓄電や家庭の電力機器がスマートメーターと連動して、系統の負荷を緩和するような物語を連想する方も多いと思います。もちろん、2050年や2100年
9月30 再生可能エネルギー100%地域会議(その2) カテゴリ:エコロジーエネルギー 優先順位の高いものは2つあります。系統の強化と捨電です。 イ)系統の強化 いよいよここに来て、政治が動き、各種の系統強化に関する法律を策定したり、Dena(ドイツエネルギー機関)が専門家調査を行い高圧系統の強化、新設に関するロードマップを明示したり、連邦系統機関がその促進を指示したりと、系統の強化に関してはてんやわんやの状況です。 http://www.dena.de/ http://www.bundesnetzagentur.de/ ただし、2020/25年までに2000kmとも、3000kmともいわれる系統の新設、強化は進んでおらず、現在着工中の系統は80kmで10倍のスピードが必要であるという厳しい現実も分科会では報告されていました。もちろん各種のシナリオがあり、捨電、蓄電、スマグリの推進状況によ
9月30 再生可能エネルギー100%地域会議(その1) カテゴリ:エコロジーエネルギー 先日、ツイッターでも記したように再生可能エネルギー100%地域というドイツ環境省がdeEnetというNGO組織に委託して行なっているプロジェクトの国家会議に出席してきまました。 ここでいうところの「100%地域」とは、単に自治体や広域地域でのエネルギー消費量を100%再生可能エネルギーでまかなっているところではありません。理由はそれぞれの自治体が置かれている前提条件が多様で、単に計算上のエネ収支を統計しても意味がないからです。例えば、人口数千人の山村にたまたま大手電力事業者の都合で大型水力発電所が設置されていると、それだけで輸出地域になりますし、風力の場合でも、投資家や大手資本が大きめのウィンドファームを設置すれば、それだけに100%地域になりますが、それにはあまり意味はないからです。 http://w
8月12 ドイツと日本のフィードインタリフ カテゴリ:エネルギー政治 職業柄、私自身、言葉を多用していますし、沢山の言葉を読み込んでいます。その中でも、読んだり、聞いたりする受け身の言葉であると、6対4ぐらいの割合でドイツ語をインプットすることのほうが多いと思います。話したり、書いたりするアクティブな言語では、完全に日本語のほうが多いのですが、まあ、今回のブログは、そういうような前提でのお話です。 もちろん常にということではありませんし、何事にも例外はあります。ただし、言葉に触れたときに「カッコイイ」というか、美学的(Aesthetik)なものを感じることがドイツ語では多々あります。日本語の場合は、「ちょっといい話」的な言語という感覚が私にとっては強く、膝を打つような、背筋を電流が流れるようなカッコイイ言葉に出会う機会は残念がら稀でしかありません。もちろん、個人的、主観的な話なのですが。
2月2 ドイツは本当にFITで失敗したか(その1)? カテゴリ:政治エネルギー 日本から聞こえてくる風の噂で、自然エネルギーにかかわる様々な分野(政治、学術、経済、NGOなど)で「ドイツのFITは失敗した」という批評が聞こえてくるというということを聞きました。そして、それが本当なのかどうか報告して欲しいとの要望もありました。 ※FITとは、フィードインタリフの略で、再生可能エネルギー電力を、系統事業者に優先的に、全量、固定価格で買取りすることを定めた法律。日本でも現在、導入のための審議が続けられている。 おそらく、ドイツのFITに関して、様々なことを発言している方の多くは、そもそも一次情報であるFITの法律自体について、あるいは環境省と経済省、および大臣などが発表している公式なプレスリリースについて、直接は目を通されていないのではないかと思います。また、二次情報となると(私のこのブログ記事
6月10 ドイツの脱原発政策について カテゴリ:政治エネルギー 最近、テレビやWEB、新聞、ラジオからなどの問い合わせが多いのですが、その理由はひとえにドイツ政府が脱原発政策を採択したというニュースを受けてのものだと考えられます。 その際に、勉強不足のメディアの方々は、私に対する質問をこう唱えています: 「ドイツ政府は脱原発を決めましたが、それに対する市民の反応はどうですか?」 この質問には誤りが1点、そして間抜けすぎて笑えないポイントが1点あります。 1.ドイツ政府は、2000年に電力事業者との協議の末、契約書を交わし、その後、2002年には原子力法を改正する形で、すでに脱原発を決めています。このときの脱原発期限は2021〜23年。この時間的に開きがあるのは、原子力法では、稼動している原発の残り発電を許可する量を取り決めたので、原発の稼働率によって廃炉される日時が前後するからです。という
5月27 ドイツの急速な脱原発はフランス原発に依存か?(最終回) カテゴリ:エネルギー政治 はい、再度、(その3)で添付したグラフを確認してください。 そうですね、ドイツではすでに風力発電の出力変動がかなりの大きな割合を占め、それを発電施設で逐次調整していることが、2010年、2011年の両年のグラフからも読み取れますよね。春や夏は、まだこの程度でよいのですが、秋から冬にかけては、ドイツは風量が増加するので、調整も大変です。EEXでは、マイナス価格で電力が取引される(つまり系統のパンクを回避するため、風力電力をスポットで購入するとお金がもらえる)ことも発生しています。 さらに、2011年の分について分かりやすいのが、太陽光発電(PV)の威力です。昨年は全電力消費量の2.5%、今年は3〜4%の発電量をPVは担うわけですが、夜間の発電がないため昼間の発電割合に対するPV割合は非常に大きく、夏至
5月27 ドイツの急速な脱原発はフランス原発に依存か?(その4) カテゴリ:政治エネルギー ということで、原発があるなしのドイツの発電状況をじっくりと比較していただけたでしょうか? まずは、このグラフ上で示されている発電量を比較してみると、2011年(原発ほぼなし)が1,109GWhで、2010年(原発あり)が1,060GWhです。原発なしの今年のほうが、発電量が増えていることに注目してください。太陽光、風力を除くと、70GWh程度、発電量が2011年のほうが少なくなります。 通常、5月の平日はドイツ国内では約1,400GWhの電力消費量がありますが、こちらは情報公開の対象になっていないので、リアルタイムの時間別では分かりません。時間が遅れて、しかも月別の量しか私には探せません。ですから、詳しいことは分からないのですが、両年ともおよそ300GWhの電力不足になっているように見うけられます。
5月27 ドイツの急速な脱原発はフランス原発に依存か?(その3) カテゴリ:政治エネルギー ここまで、(その1)では、ドイツの国内の需給とその出力について、(その2)では、ドイツと周辺各国との電力のやり取りについて、基礎情報をお届けしました。 ここまでは、誰であっても、根性がなくとも、簡単に調べられます。 そして、いよいよ、昨日、夜なべした成果を記すのですが、「うざうざ言っているけど、じゃあ、原発が4基しか稼動していないとき、ドイツの発電はどのように機能しているの?」という問いかけにお答えするために、広域電力系統事業者4社とEEXが情報公開している貴重なデータを整理したものをお見せしましょう。 以下は、ドイツで原発が4基しか稼動していなかった平日「2011年5月25日(水)」のデータと、昨年の稼動していたときの5月の同週の水曜日「2010年5月26日」のデータを比較したものです。 ドイツで
5月27 ドイツの急速な脱原発は、フランス原発に依存か? (その1) カテゴリ:政治エネルギー (その1)の上に(その2)が上書きされてしまったようで、ショックです。大ショックです。 ああ、もう一度、書くのか・・・ 2011年5月21日、原発Emslandが定期検査に入ったことで、ドイツの原発17基(総出力20.5GW)のうち、4基(総出力5.4GW、全原発の26%にあたる出力)しか発電できない状況に陥りました。5月26日には、定期検査を終えた原発1基が稼動をはじめたのですが、6日間にわたって、近年のドイツでは経験したこともない急速な原発なしの事態を迎えました。 こうした事態を迎えたときに、日本語のメディアでは、「フランスの原発電力の輸入で賄っている」というメガネを通して報道がなされたようですが、多くの自称電力通、欧州通の方も、同じメガネでこうした事象をみていると感じていましたので、大変手
3月1 ヨーロッパ(EU)の再エネの推進 カテゴリ:エネルギー 再エネや電力事情について、ドイツの状況は日本語でもかなり多く出回るようになりましたが、その他の欧州の状況はそれほどでもないので、ちょっと新しいところを調べてみました。 2017年の発電量中の再エネ割合として、 太陽光発電の割合トップ5: 1.ルクセンブルク=11% 2.マルタ = 9% 2.イタリア = 9% 4.ギリシア = 7% 5.ドイツ = 6% そのあとにはスペイン、キプロスが5%と続きます。日射量からして当たり前のようにも思いますが、ギリシアとか皆さんノーマークじゃなかったですか? 風力発電の割合トップ5: 1.デンマーク =50% 2.リトアニア =35% 3.アイルランド =26% 4.ポルトガル =22% 5.スペイン =18% そのあとには、ドイツが16%、イギリスが1
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