捜査段階における勾留の許否の場合と保釈請求における保釈の許否の場合は、微妙に異なりますが、特に保釈においては裁判官はとても広い裁量権を持っています。 「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」を抽象化すればするほどその裁量権は広くなります。 保釈の判断においては、刑事訴訟法第89条がその本文において 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。 と規定しているように、保釈請求をこれを許可するのが原則である、というのが法の建前です。 で、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があれば保釈を許可してはいけないのかというとそうではありません。 刑事訴訟法は、第89条の後の第90条で 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。 と規定していますから、抽象的な「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があっても裁判官が保釈してもかまわない(