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衆院選
news.yahoo.co.jp/byline/ikegai
本記事は、北米研究図書館協会(ARL, Association of Research Libraries)のウェブサイトに掲載されたRyan Clough "Digitization in an Emergency: Fair Use/Fair Dealing and How Libraries Are Adapting to the Pandemic"の日本語訳です(ライセンス:CC-BY)。北米の研究図書館が、新型コロナウィルスにより閉館を余儀なくされる中で、米国・カナダ著作権法のフェアユース/フェアディーリング規定を用いて、知識へのアクセスをどのように維持し続けようとしているのか、優れたまとめになっています。 コロナウイルスのパンデミックの中で運営されている他の全ての主要機関と同様に、研究図書館は日々の現実の突然かつ急激な変化に直面しています。これらの課題の中で最も重要なのは、紙の
日本で情報銀行の議論が色々と盛り上がる昨今ですが、実は諸外国でも同様の検討が進められてきており。特に英国のODI(Open Data Institute)が4月に英国版の情報(信託)銀行構想である(と言っても大きくは間違っていないと思います)データトラストについての3つのパイロットプロジェクトに基づく包括的なレポートを出していて、特にそれと合わせて出されたロンドン大クイーンメアリーと法律事務所(BPE Solicitors、Pinsent Masons)による法律・ガバナンス側面の検討レポートが大変興味深かったので内容についてのメモです。 基本的に日本の情報銀行と発想はかなり似ていて(とはいえ僕自身日本の情報銀行の現状をそんなに深くは存じ上げているわけでもないのですが)、しかしやはりGDPRの存在など法的環境の相違に起因するものはじめ、さまざま微妙に異なる点も見えてきます。 法律・ガバナン
4月9日付で公表されたGDPR6条1項(b)、つまり「契約の履行等に必要な場合」、フルで言うと「データ主体が契約当事者となっている契約の履行のために取扱いが必要となる場合、又は、契約締結の前に、データ主体の要求に際して手段を講ずるために取扱いが必要となる場合(個人情報保護委員会仮訳)」のデータ処理根拠についてのEDPBガイドライン(案)。これからパブコメで若干修正される部分も出てきますが、オンラインサービスの文脈に焦点を当てた内容で、GDPR6条の中でも少し分かりづらかった部分なのでざっと読んでみたところ、非常に分かりやすく興味深いところが多かったので、個人的注目点を中心に簡単にご紹介します。 Guidelines 2/2019 on the processing of personal data under Article 6(1)(b) GDPR in the context of t
改正著作権法の今国会提出が見送られて、それでは「今年度の文化審議会著作権分科会での検討に基づく海賊版対策」は全て無くなったのかというとそうでもなく、実は一つだけ生き残っているのです。 違法DLやリーチサイト等の論点に隠れて何となく忘れられた存在になりつつありますが、最近情報政策の文脈で活発に議論されるプラットフォーム政策との関わりでも重要な部分であり、忘れられてしまうのは非常に勿体ないと思っていました。報告書でいうと38-44p、「4.インターネット情報検索サービスへの対応について」。つまり海賊版対策のためにグーグル先生を規制するべきか、いわば「著作権版の忘れられる権利」を設けるべきか、というような論点です。本来的に僕、このあたりの問題対応と方法論をお手伝いするためにあそこに参加させて頂いたはずで、どこかで生存確認をさせて頂くのもお役目かと思いましたので、少し報告書からの抜粋をして個人的な
こちらのコラム、だいぶ長くご無沙汰してしまいました。いつもここでは外国の情報政策について扱っているのですが、今日は珍しく日本の情報政策について少し書きたいと思います。 ※190226追記:「2.著作権教育の萎縮」の最後に少し補足を致しました。 いま様々なメディア等で、著作権法の改「正(?)」によるダウンロード違法化の拡大が非常に注目を集めているところですが、僕自身、この議論の元になる報告書を出した文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の委員をさせて頂いています。といっても2018年度から委嘱頂いたばかりの「一年生」なのですが、議論への微々たる貢献以上に、著作権法が実際にこうやって作られているんだ、ということを間近に見て、情報政策研究者として非常に貴重な勉強の機会を頂いています。 普段僕自身、本件に限らず自分が直接審議等に関わっている事項については、ネットやメディア等で発言しないポリシ
もの凄く久しぶりの投稿になるのですが、最近EU情報法政策で個人的に一番楽しみにしていた規則案が公表されていたので簡単にご紹介です。今年1月の欧州委員会"Building a European Data Economy” で予告されていた、「非個人データのEU域内自由流通のための枠組」規則案。 European Commission - PRESS RELEASES - Press release - State of the Union 2017: A framework for the free flow of non-personal data in the EU 内容は日本でも最近話題になりつつあるデータローカライゼーション法の禁止と、そしてこれも最近だんだんと関心を集めつつある(?)データポータビリティに関して、なんと「非個人データのデータポータビリティ」を可能とすること、の二本立
デジタルアーカイブという分野が、情報政策の中でも大変重要になってきていますということは先日も書かせて頂きましたが、その分野の一大イベントである「アーカイブサミット2016」が6月3日に開催されましたので、ご報告と感想を少し書かせて頂きます。このイベント、もともとアーカイブ実務家・研究者の小さなグループとして勉強会や研究会をやっていたものが、だんだんと大きくなって年に1回「サミット」をやろうということになり、2015年1月に1回目が開催、今年は第2回になります。僕も運営お手伝いさせて頂いており、アーカイブに関わる多くの実務家・研究者、企業や政策担当者の方々にもご来場頂き、大変貴重な議論の機会になりました。 アーカイブサミット2016の動画アーカイブ運営サイドの想定を上回る参加申込を頂き、全日参加は受付開始から2日間で満員御礼という状況だったのですが、急遽ニコニコ生放送で中継頂けることになり、
1.EU一般データ保護規則をめぐる経緯と概要2016年4月14日、欧州議会本会議においてEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation、以下GDPR)が正式に可決された。GDPRに関わるこれまでの経緯については各所でも詳しい解説が行われてきたが、欧州委員会により当初案が提示されてから実に丸4年を経ての記念すべき最終結論である。前身であるEUデータ保護指令が、欧州各国の20世紀全体に渡るパーソナルデータの歴史と経験を成文化した規範として、全世界における法政策の中心的な参照軸とされてきたことを考えれば、GDPRの採択は、情報社会におけるグローバルなパーソナルデータ法制を巡る議論と実践が、ついに21世紀の扉を開けたことを意味すると表現しても過言ではないだろう。 同規則については2012年の当初案公表時から我が国を含む世界各国において詳細な紹介や検討が
研究者業界、特に年度末はいろいろ刊行物が集まりますので、少しずつ紹介できたらと思います。『慶應義塾大学DMC紀要』第3号に、昨年11月に出させて頂いた慶應デジタルメディア・コンテンツ統合研究センターでのシンポジウム「多面的アーカイヴから広がる新しいミュージアム世界」での講演録「オープンなデジタルアーカイブに向けた日米欧の法政策」+パネルディスカッションの記録を掲載して頂きました。関係のみなさま本当にありがとうございました。 『慶應義塾大学DMC紀要』第3号を刊行しました|トピックス|慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター 内容は各所でもお話させて頂いている所謂「日本版ヨーロピアナ」論が中心ですが、講演録ということもあって随所「ぶっちゃけ」感が残っており、読み物としても少し楽しいのではないかと思います。これでも校正時に相当程度「丸く」致しました。当日5-60名の会場、講演中
急ぎで短いポストになりますが、今日中にお知らせしておかないと手に入りにくくなる性質の媒体への寄稿ご案内です。本日3/25付けの読売新聞朝刊、解説面の「論点」というコーナーに、「個人データ解析 規律必要」という、パーソナルデータを利用した「プロファイリング」の問題をテーマにした1200文字くらいの文章を寄稿させて頂きました。畏れ多くもスティグリッツ先生と宇沢弘文先生と一緒の面に載っています。 前回の記事ではEU一般データ保護規則における論点の中から、日本で積み残された課題として「データポータビリティの権利」を取り上げましたが、同様にこのプロファイリングも我が国では積み残された課題です。技術的にも法制度的にも大変に複雑ながら、おそらくこの分野で今後もっとも重要になってくる課題のひとつだと考えています。ウェブ版には記事が出ていないようなので、ちょっと一部だけ転載します。全文はぜひ読売新聞の紙面で
ここのところだいぶご無沙汰してしまっておりましたが、だんだんと再開していこうと思います。先般日本の個人情報保護法の改正がひとまず行われて、そしてEU一般データ保護規則案もそろそろ最終結論だということで、またプライバシー・パーソナルデータ関連面白くなってきています。しばらく盛り上がってる忘れられる権利関連はなんだかここでは書きづらい気もするのですがそれはさておき(そのうち書きます)、EU規則では含まれることになりながら、日本の改正法では未着手になっている将来課題も満載なので、そろそろそういうことも考えたい頃合いです。 積み残された課題の中で個人的にもっとも関心が強いのが、EU一般データ保護規則では18条に含まれることになっている、「データポータビリティの権利(The Right to Data Portability)」です。端的には「個人が事業者等に提供した個人情報は、本人が扱いやすい電子
1982年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。東京大学大学院情報学環客員准教授、東京芸術大学特別研究員等を兼任。著書に『情報社会と共同規制』(勁草書房)等。専門分野は日米欧の情報政策、デジタルアーカイブの法政策。
さて今日からさっそく日米欧の情報政策に関わる「最新の話題」に入らせて頂きますが、まずはシンポジウムのご紹介がてら、今日本でとても大きな話題になっている、「書籍の電子化(自炊)」について少し触れさせて頂きます。シンポジウムは下記ご案内の通り今日6月10日19:30からニコ生なのですが、2時間の枠で荘厳な登壇者が多くいらっしゃいますなか詳しいお話は厳しいと思いますので、この難しい問題、誤解を避けるためにも(笑)少し先出しで簡単な解説+「情報政策研究者としての僕自身のポジション」を書かせて頂きます(ちなみにこのURLにある通り、6/1付けで僕はこの「デジタルアーカイブ研究所」の「所長」になっているのですけれど、さすがに僕自身にこれだけの面子を集められる神通力はなく、僕は実質的にいち登壇者です、本当に笑)。 シンポジウム『蔵書電子化(自炊)を考える -健全な市場形成は可能か-』 1、まず第一に、こ
さて前回の記事では、本コラムの主な対象とする「アメリカとEUの情報政策の違い」に関わる基本的な構造について書かせて頂きましたが、ここからは少しその「各論編」に移りたいと思います。初回の記事で「情報政策とは何かというと、ここではプライバシーや著作権、表現の自由、サイバーセキュリティ、あるいはイノベーションといった情報に関わる法律や政策全般」と書きましたので、ここではさしあたりその項目ごとについて簡単に記述します。 ■プライバシーまずそもそも、アメリカには日本でいう「個人情報保護法」のような、民間分野全体を対象とする包括的なプライバシー保護法制(厳密には個人情報保護法=プライバシー保護法とは違うのですが、これは改めて)が存在しておらず、民間の自主規制による解決が重視されています。その代わりに連邦法レベルでは「医療」や「金融」、「子供に関する情報」といったように分野ごとのプライバシー保護法制が存
前回の記事で、このコラムでは「アメリカとEUの情報政策を日本と比較します」と書きましたが、具体的な内容に入る前にすこし、その前提となる「アメリカとEUの情報政策の違い」について簡単にご説明させて頂きたいと思います。インターネットに関わるプライバシーや著作権といった同じ政策問題を扱っているのに、その法律や政策には国によって少し、あるいは相当程度大きな違いというのがあったりします。そうした異なる情報政策同士を「比較」するということは、外国の法制度を単に「知る」こと以上に、どういう社会的背景や経済状況の下では、どういう情報政策が機能するのか(あるいは機能しないのか、そもそも不可能なのか)ということに対して、とても重要な知見を提供してくれます。 まず前提として、アメリカとEUの情報政策を知るためには、その全体的な公的機関の構造を復習しておく必要があります。アメリカというのは国としてはひとつのUni
はじめまして、今日からここで「生貝直人の情報政策論」というコラムを持たせて頂く生貝直人(いけがい・なおと)です。2012年に東京大学の学際情報学府というところで博士(社会情報学)を頂いて、今は国立情報学研究所やいくつかの大学や政府機関で研究者をしています。 タイトルの通り「情報政策」について色々書かせて頂くことになりますが、情報政策とは何かというと、ここではプライバシーや著作権、表現の自由、サイバーセキュリティ、あるいはイノベーションといった情報に関わる法律や政策全般を指しています。特に僕自身は日本の情報政策をヨーロッパ(単にEUと示すことが多いです)・アメリカと比較することを専門にしているので、EUやアメリカの最新の話題を適時お届けしていくことができればと思います。 僕自身の研究の内容としては、拙著『情報社会と共同規制』(勁草書房、2011年)をお目汚し頂くのが一番よいのですが、ちょっと
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