時間遡行軍を率いていた、黒々とした喪服を着た女が膝をつくところを、刀剣男士はじっと見ていた。女が率いていた者たちはもういない。全て刀剣男士たちが斬った。 「おい、大将……前に出るなって」 後藤藤四郎が不安げに審神者の青年に言う。この歴史修正主義者の女は、直接彼の本丸を狙って攻めてきた。新月の夜にも関わらず、女の冴え冴えとした月色の金髪は美しく光り輝いて見えた。青年はそんな女の前に、靴音を響かせて近寄る。 「おんし、何するつもりやか」 青年のはじまりの一振りである陸奥守吉行が、冷たい声で青年に問いかける。その問いかけに青年は答えなかった。 青年は服の内ポケットに手を入れる。ごそ、かちゃり、と音を立てて取り出したのは、真っ黒な鉄の塊───拳銃であった。 周りがざわめく。彼が何をしようとしているのか、察しがつかないほど青年の刀剣男士は馬鹿ではなかった。 女は立ち上がる力も無いのか、膝をついたまま