チェコの首都プラハに所在し、かつてはベーメン王や神聖ローマ皇帝の居城だったプラハ城。 皇帝カール4世(在位1347~78年)の時代、ほぼ現在の姿となった。16世紀前半からハプスブルク家の支配下におかれ、三十年戦争(1618~48年)の発端となった窓外放擲事件の舞台である 現在のドイツの源流となった神聖ローマ帝国。その領域は広大で、歴史はゆうに800年を超える。だが、世界史の授業で名前は出てきたものの、詳しく教わった記憶はない、という人も多いのではないだろうか。そうした捉えにくい「大国」について、『神聖ローマ帝国 「弱体なる大国」の実像』を著した山本文彦さんに話を聞いた。 ――山本さんのご専門は。 山本:14世紀から18世紀の神聖ローマ帝国の国制史です。 国制史というのは、ドイツ史特有な表現だと思います。ドイツ語のVerfassungsgeschichteを「国制史」と訳すのですが、Verf