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2024年3月18日、韓国のソウルで開催された第3回民主主義サミット REUTERS/Evelyn Hockstein <日本では首相が民主主義の偽情報は脅威と発言し、EUは厳しい法規制を次々と打ち出している。中露イランが行っている認知戦に対して、民主主義陣営が一丸となって取り組んでいるように見えるが、その対策全体に効果はあるのか......> 2024年4月19日に公開された論文「Beyond misinformation: developing a public health prevention framework for managing information ecosystems」はコロナ禍でのインフォデミックを反省材料にして、インフォデミック予防するためのアプローチを整理したものである。ここで提示されたアプローチはインフォデミックに限らず、広範な誤・偽情報対策としても有効と考
ドイツの極右政党AfDへの抗議と民主主義の保護を求めるデモ 2月25日ハンブルク REUTERS/Fabian Bimmer <ヨーロッパ各国で農家の抗議活動が広がり、ドイツでは首都機能が麻痺する事態に。気候変動基金資金不足による補助金廃止が引き金となり、生活費上昇や気候変動対策への不満が背景にある。極右勢力がこれに乗じて支持を伸ばし、移民問題や政治不信が深刻化している......> ヨーロッパに広がった農家の抗議活動 日本であまり報道されていないが、ヨーロッパで農家の抗議運動が広がっていた。フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、ポーランド、スペインと野火のごとく燃え広がっていた。ドイツでは首都ベルリンの都市機能が麻痺する事態にまでなり、郊外の高速道路入り口と主要幹線道路は封鎖された。ただし、現地の市民たちには大きな反発はなく、支持している人が多いようだ。おそらく政府への不満を共有して
偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている...... McLittle Stock-shutterstock <日本が偽情報対策先進国とみなすアメリカでは偽情報対策への反動が起きている。偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている。> アメリカの偽情報対策は効果ではなく、政治的効果が優先されている 先日、日本政府はNATOとの協力を強化することを発表し、そのひとつとして偽情報対策もあげていた。しかし、日本が偽情報対策先進国とみなすアメリカでは偽情報対策へのバックラッシュが起きている。偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている。偽情報、デジタル影響工作の根本は国内問題であり、そこから目を背けて海外からの干渉にだけ集中しても効果はできない。効果が出たと思っても次から次へと別の問題が発生する。なぜなら国内問題が解決されない以上、問題はつきないからだ。自国で行っている研究活動を自国の政治家が潰そうとする
マーケットでアクセス権を販売する業者はIAB(イニシャル・アクセス・ブローカー)と呼ばれる...... Artem Oleshko-shutterstock <マルウェアを使わない侵入が主流になりつつある......> ランサムウェアを始めとするサイバー攻撃は脅威であり続けているが、システムに侵入する方法に変化があらわれている。 コロナによってリモートワークが普及したこともあって、従来のメールを侵入口とする方法からリモートアクセスに使われるRDPやVPNから侵入する方法が増加したのだ。これは世界的に見られる現象で、CrowdStrikeのレポートによれば全体の71%がマルウェアを利用しない侵入に変わっている。日本でもRDP(19%)とVPN(62%)が侵入の多数を占めるようになっており、毎年発表される情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威」でもテレワークを狙った攻撃があげ
現在、格差の下位にいる人々がまとまって影響力を行使することは難しい...... Ink Drop-shutterstock <情報戦への対処が安全保障上の要請である以上、対抗策としての格差への対処もまた安全保障上の課題だ。民主主義国である以上、格差は安全保障上の弱点につながる......> 世論操作のターゲットは政治、経済、文化面で不可視にされた人々 情報戦、フェイクニュース、偽情報、ナラティブ戦、認知戦、デジタル影響工作といったネットを介した世論操作は相手国の国内にある問題を狙うことが多い。その問題は相手国ですでに国内の問題として存在し、分断と混乱を生んでいる。そのためどこまでが他国からの世論操作によるものなのか、自国の国内問題なのかという判別は難しい。 すでに国内問題として深刻になっていた以上、「平和で安全な社会にロシアが偽情報やナラティブを撒き散らして混乱が起きた」といったとらえ方は
防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことが書かれている......(写真はイメージ) Bill Chizek-iStock <新しい防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことがはっきりと書かれている。防衛省が世論操作を行うことの是非は、ここでは行わない。気になるのは効果的に実施、運用できる体制の有無である......> 新しい防衛3文書が公開されたことで国内外に波紋を呼んでいる。話題の中心は日本が敵基地攻撃、反撃能力、能動的サイバー防御を持つことについてが多いようだが、今回はそこではなく認知戦、デジタル影響工作について考えてみたい。 防衛3文書の公開に先だって防衛省がSNSとAIを利用して国民に対して世論操作を仕掛けるという記事が共同通信から配信され、話題となっていた。防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことがはっきりと書かれており、このふたつの動きは連動しているものと考えてよいだろう。 委託先の
ドイツでのクーデターを企てた組織で、「ハインリヒ13世」を名乗る主犯格の1人 Tilman Blasshofer/Reuters <ゆるいネットワークでつながった陰謀論者たちが武装化して過激になってきている。過去の過激派との違いは深刻であり、従来の方法論では食い止めることのは難しい......> ドイツのクーデター未遂事件は世界に衝撃を与えた。事件に関して、さまざまな記事や分析が公開されているが、この事件の背景について触れているものは少ないようなので紹介してみたい。この事件は大きな流れの一部であり、長い戦いになることが予想される。 事件のあらまし 2022年12月7日、ドイツでクーデターを計画したとして25人が逮捕された。捜査はドイツを中心にイタリア、オーストリアでも行われ、3,000人以上の特殊部隊、警官が動員され、130(一部報道では150)の施設が捜索された。リーダーはハインリッヒ1
中国はデータを戦略資源と位置づけ、さまざまな手段を用いて収集してきていた...... REUTERS/Florence Lo <中国政府はさまざまな方法で世界各国からデータを入手しているが、大きく3つの手法を用いている......> 中国は世界各国から技術などの貴重な情報をさまざまな方法で入手している。なぜかあまり話題にならないのが、データ移転=データ・トラフィッキングである。ZOOMやTikTokの内容が中国当局に漏れていたことは有名だ(NW過去記事)。 日本ではLINEのデータが中国当局に閲覧可能であることが暴露された。そもそも中国当局は2017年の国家情報法によって中国当局は必要に応じて個人や企業などの保有するデータを入手することが可能になっている。中国国内にデータがあることが漏洩する可能性を意味している。ZOOMやTikTok、LINEはあくまで氷山の一角にすぎないのだ。それにもか
サンフランシスコのGoogleオフィスの外で行われた抗議集会...... REUTERS/Paresh Dave <「グーグルは正義よりも人種差別を選んだ」......暴露されたイスラエル政府とのプロジェクト・ニンバス、中国とのプロジェクト・ドラゴンフライ> なぜか日本ではグーグルに関するネガティブな情報があまり報道されない傾向がある(わずかに報道されることもあるが)。2022年7月24日、The Intercept_誌はグーグルのプロジェクト・ニンバス(Nimbus)の隠された事実を暴露した。プロジェクト・ニンバスとは、イスラエル政府からグーグルとアマゾンが受注した12億ドル(約1,700億円)のクラウドコンピューティングの名称である。 以前からイスラエルはパレスチナ人に対する監視システムを構築、運用していたが、それがプロジェクト・ニンバスによってさらに高度になるのではないかという懸念が
<カリフォルニア大学のグループが行った調査で、半数以上が数年以内にアメリカで内戦が起きると回答した......> 日本ではほとんど報道されることはないが、アメリカでは多くの国民が内戦を現実起こり得る脅威として認識している。カリフォルニア大学のグループが行ったアメリカ全土を対象にした調査では、半数以上が数年以内にアメリカで内戦が起きると回答したほどである。 アメリカが内戦の危機に直面していることを示した書籍『How Civil Wars Start』はベストセラーになっている。著者のBarbara Walterは30年間内戦を研究し、CIAの諮問機関Political Instability Taskforceに所属していたこともある。この分野の専門家の指摘とあって、さまざまなメディアで大きく取り上げられ、注目されている。 世界各地の武力衝突をモニターしているArmed Conflict L
はっきりとロシアを非難している国、人口は多くない...... REUTERS/Anton Vaganov <ロシアは情報戦で負けた? ロシアが発信するメッセージの浸透力は国際世論を形成するメディア並に拡大している> 先日、ウクライナで繰り広げられている情報戦を中心にまとめた『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)を上梓した。その中で、ロシアが行っている情報戦、デジタル影響工作について分析を行った。最近の新しい情報を反映して、その部分をご紹介したい。 実は多数派ではなかったウクライナ支持 ウクライナ侵攻に当たってロシアがさまざまな偽情報を流していたことをご存じの方も多いだろう。それらはすぐに検証され、ウソを暴かれ、メディアなどで指摘された。世界に広がった反ロシアの声は今でも衰えていない。2022年3月初旬までは、「ロシアは情報戦で負けた」、「デジタル影響工作は成果をあげなかった」との認識に基
既存の暗号通貨にはマイナスのインパクトになる可能性が高い...... Pineapple Studio-iStock <デジタルドルとデジタル人民元の覇権争いになるのは間違いなく、これまでにはない戦いとなるだろう......> 世界90カ国、GDP90%以上が中央銀行デジタル通貨プロジェクトを推進 2022年3月9日、アメリカ大統領バイデンは、暗号通貨(仮想通貨)に関する大統領令にサインした。これまでアメリカは暗号通貨に慎重な立場を取っていたが、一転して早期に具体的な検討に入ることとなった。政府が発行する暗号通貨は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と呼ばれ、国の通貨となる。 CBDCでは、すでに実験段階に入っている中国のデジタル人民元が有名だが、他にナイジェリアなどの9カ国が導入を果たしている。2021年12月の段階で実験段階の国は15カ国におよび、開発中の国は16カ国、40カ国が具体的な
<北京オリンピックで関係者および観客に対してインストールが義務づけられているアプリ「MY2022」に個人情報漏洩のリスクと技術的な脆弱性が見つかった> 人権問題やコロナでゆれる北京オリンピックで、新しい問題が発見された。北京オリンピックで関係者および観客に対してインストールが義務づけられているアプリ「MY2022」に個人情報漏洩のリスクと技術的な脆弱性があった。サイバー空間での人権についての調査研究を行っているカナダトロントのシチズンラボがレポートを公開した。すでに中国当局にも連絡済みだが返事はなかったという。 観客、報道関係者、選手などが必ずインストールしなければならない 問題のアプリ「MY2022 Olympics app」は、北京オリンピック組織委員会が開発したもので、アプリストアの情報では北京金融控股集団有限公司(Beijing Financial Holdings Group)と
アメリカはガラスの家に住んでいることに、ようやく気がついて方向転換しようとしている...... Smederevac-iStock <なぜ、アメリカは今そこにある危機に対して有効な手を打てないのだろう? そこには30年続いたアメリカのサイバー戦略の失敗があった> 今そこにある危機に対処できないアメリカ 中国がハッキングによって知財を剽窃していることや、ロシアがネット世論操作を行って選挙に干渉していることなどがアメリカにはわかっていたにもかかわらず、有効に対処できなかった。同様にISISなどネットを使いこなすテロリストに対する対処も後手に回っている。なぜ、アメリカは今そこにある危機に対して有効な手を打てないのだろう? そこには30年続いたアメリカのサイバー戦略の失敗があった。 Foreign Affairs2022年1月/2月号でアメリカのサイバー戦略の失敗についての特集「Digital D
アマゾンのジェフ・ベゾスは宇宙にコロニーを作って地球を守ろうという...... Blue Origin <ビッグテックは新しい世界を拓こうとしているが、それは決して人類の可能性を追求するためではない......> ジオン・ダイクンは正確には、「ジオン・ズム・ダイクン」という機動戦士ガンダムシリーズの登場人物だ。登場回数は少ないものの、作品の背景となるジオニズムと呼ばれる思想を提唱した重要人物である。宇宙移民の独立を訴え、宇宙時代に合った新しい人類=ニュータイプの誕生を予言した。くわしい説明は省くが、宇宙時代における新しい思想と国家のあり方を提示した人物と言ってよいだろう。 機動戦士ガンダムシリーズは、宇宙移民と地球連邦との対立という比較的古典的な構図で成り立っているが、現実の世界では国家とならぶ地政学上のアクターとなったビッグテックが事業拡大の一環として宇宙に触手を伸ばし始めている。宇宙へ
AIが偏見を持つことは知られるようになってきたが、統計や計算社会学についても偏った結果が出る危険がある Artem Peretiatko-iStock <研究サプライチェーンが産み出す偏った「科学的事実」> 今回は大量のデータを用いた統計や計算社会学が偏りを生む危険性についてご紹介したい。大きく2つの理由があげられる。ひとつはデータと解釈の問題、もうひとつは研究サプライチェーンの問題である。研究サプライチェーンとは、研究を行うために必要なデータ、電力、設備、資金、物理的原材料などのサプライチェーンのことである。 研究はそれだけで独立して存在しているのではなく、それを支えるデータや設備や資金が必要だ。マイクロソフトリサーチの上級首席研究員であり、AIナウの創設者であるケイト・クロフォードは、著書『Atlas of AI Power, Politics, and the Planetary C
<タリバンは針の穴を通すようにSNSのルールをうまくかいくぐって利用し、それが洗練され、高度であることから、少なくともPR企業が支援しているのだろう...... > 2021年夏、タリバンの攻勢が強まるにつれ、ツイッターでのプロパガンダ活動も活発になっていった。デジタルフォレンジック・リサーチラボのレポートはタリバンのスポークスマンであるZabiullah Mujahid(@Zabehulah_M33)のツイートのエンゲージメントが8月15日のカブール制圧でピークに達したとしている。 40万人以上のフォロワーを持つこのアカウントに対するエンゲージメントは、いいね!やリツイートだけではなかった。ツイートの74%は他のツイッターアカウントに「copypasta」(コピペ)されていた。「copypasta」のほとんどは1~2分以内に行われており、自動的にツイートされたものである可能性が高い。 タ
利用者が無料ネットサービスの商品ならば対価としていくらもらえる? REUTERS/Regis Duvignau/ <これまでの労働が「現在の自由」を渡すことだとしたら、ネットサービス利用という労働は「未来の自由」あるいは「選択の自由」を渡すことだ> ネットビジネスの変化に追いついていない私たちの常識 かつてグーグルは「検索機能」を商品として提供していた。日本のヤフーやビッグローブもその顧客でグーグルに金を払って検索機能を自社のサイトで利用していた。私たちは無料で高機能のサービスを受けられることをラッキーと感じていた。New York Timesによると、当時のグーグルは検索エンジンとしてトップの座についたものの広告収入はまだ小さく、ビジネスモデルの変革が求められていた。 その後、グーグルは広告収入中心のモデルへの変革に成功し、現在はアメリカのデジタル広告市場でトップシェア29%を占めるまで
ファクトチェック機関の収入源は限られており、フェイスブックやグーグルはそこに甘い餌を撒いているmillionsjoker-iStock <ファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた...... > 2021年8月13日にBuzzFeedNewsがファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。New York Timesもこの事件を取り上げ、剽窃が60件だったことを伝えた。剽窃を主導していたのは創業者でCEOのDavid Mikkelsonだった。Snopesはファクトチェックの草分けであり、もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた。問題となった記事はファクトチェックではなく、同サイ
Facebook内の偽情報が問題になってから久しい...... REUTERS/Gabrielle Crockett <フェイクニュースを戦闘行為以外の戦争方法のひとつ=影響工作(Influence Operations)として位置づけて考える必要がある> フェイクニュースから影響工作へ フェイクニュースという言葉は2016年のアメリカ大統領選挙で一気に有名になり、それ以来メディアなどでも多く取りあげられるようになった。多くのメディアはフェイクニュースそのものに注目したが、2016年のアメリカ大統領選挙への干渉がそうであったようにフェイク以上に安全保障上の問題であった。 その全貌を把握し、対処するためにはフェイクニュースを戦闘行為以外の戦争方法のひとつ=影響工作(Influence Operations)として位置づけて考える必要がある。フェイクニュース(disinformationやmi
米中で行われたコロナ起源説合戦は多くの人々に影響を与えた...... REUTERS/Henry Nicholls <コロナの起源に関して公開された情報、特に米中のコロナ起源説合戦を整理する。この中で日本のメディアが重要な役割を果たしていた...... > 今回はコロナの起源に関して公開された情報を整理してご紹介したい。2020年に関しては主として、デジタルフォレンジックサーチラボ(DFRLab)とAssociated Pressの共同調査「WEAPONIZED」を中心に整理し、その後については各種資料から確認した。詳細は年表に付したリストを参照いただきたい。見にくい方は拙ブログに一覧を掲載したのでそちらをご参照いただきたい。 コロナの起源について各種資料を収集、確認した。多くの専門家の意見の共通した意見が、「確定的なことを言えるだけの情報はなく、今後も見つかるかどうかはわからない。今の段
<アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組み「ファイブアイズ」に日本が参加すると取り沙汰されているが、参加することの意味を考える> 日本のファイブアイズ参加の厳しい現実 数年前から日本がファイブアイズに参加するという話題が日本国内あるいは海外で出ている。ご存じの方も多いと思うが、ファイブアイズはアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組みである。 日本では河野太郎が繰り返しファイブアイズへの参加意欲を示している(時事通信、2020年10月23日)。最近ではThe Diplomat誌 に「Integrating Japan Into an Expanded 'Five Eyes' Alliance」(2021年4月22日)と題する記事が掲載された。 しかし、独自の対外諜報機関がない、法的な縛
現在、インターネット上にはSNSに留まらない数々のプラットフォームができている。動画配信のNetflix、デリバリーのウーバー、観光のAirbnbなどが有名だが、それ以外にも農業、金融、ケアワーク、顔認証、予測捜査あるいは交通システム(MaaSやVSOCなど)など多岐にわたる。インターネットが社会のインフラとなったようにプラットフォームもインフラとなりつつあり、それは少数のプラットフォーム企業に寡占されつつある。
<最新の民主主義指標から見ると、現在、もっとも多い統治形態は、選挙独裁主義で、62ヵ国、世界人口の43%となっている...... > 本稿は埼玉大学国際シンポジウム「パンデミック時代における科学技術と想像力」(2021年3月27日、28日)の基調報告として発表する内容のうち、現状整理の部分をふくらませた。シンポジウムではこれからの課題と可能性に主に触れる予定である。無償のウェビナーで申し込みは3月25日まで延期となったので関心ある方のご参加を歓迎する。 最新の民主主義指標から見える民主主義から権威主義への移行 民主主義の危機あるいは衰退が叫ばれて久しい。最近、公開された民主主義の指標として知られるイギリス、エコノミスト誌Intelligence Unitの「民主主義指数」とデンマークのV-Demの最新版ではいずれも民主主義の後退が確認された。特に民主主義指数では2006年に最初の指標を公開
コロナに対処している組織や報道機関の発信する情報よりも、一般人と医療クラスタが流す情報の方が圧倒的に多くリツイートされ、拡散していた <3月初旬1週間に「ワクチン」という言葉を含むツイート80万件を集計・分析した。そこから見える日本のツイッター世界の傾向とは...... > 2月28日から3月6日までの1週間にわたって「ワクチン」という言葉を含むツイート841,180件について集計、整理した結果をご紹介したい。 これまで5大政党や福島県沖地震での外国人関連に関するツイート統計をご紹介してきた。5大政党に関するツイートでは79.28%、福島沖地震外国人関連では93.58%と、いずれもリツイートが大きな割合を占めていた。今回のワクチンのリツイート率は76.69%と他の2つよりは低いものの高い水準である。 全体の0.12%のツイートが全体の50%まで拡散されていた 特筆すべきはたった1,032件
翌朝から再び増加し、地震直後以上のツイート数になったが、その多くは差別やヘイトに対する批判だった。(一田和樹作成) <2月13日23時の福島県沖で最大震度6強の地震で、毎日新聞は、デマや差別発言が「桁違いの拡散」をしたと報じたが、ほんとうにそうだったのだろうか。ツイッターのデータを取得する方法で調べてみた......> 2021年2月13日23時09分に福島県沖で最大震度6強の地震が発生した後の、地震と外国人(韓国人、中国人)に関するツイートの統計を取ってみた。毎日新聞は、デマや差別発言が「桁違いの拡散」をしたと報じたが、ほんとうにそうだったのだろうか? もっとも多かったのは、ヘイトではなく外国人のための安全情報だった 以前、ご紹介したツイッターのデータを取得する方法を用いて、検索条件に該当するツイートを取得し、集計した結果、下記のことがわかった。地震後と書いている場合は、特に断りのない限
<Zoomやクラブハウスと中国政府との関わりが問題になっている。仮にクラブハウスから利用者の電話番号を入手できたとすれば、利用者の位置情報、通話の盗聴がハッキングなしで可能となる...... > 日本ではあまり注目されなかったZoom問題 2020年12月にオンライン会議サービスで有名なZoom社の元幹部が逮捕された。中国当局の指示を受けてZoomの会議の内容を検閲し、会議を中断したり、利用者のIDを利用停止にしたというものだ。日本でも報道されたが、あまり注目されなかったようだ。 実は逮捕の半年以上前に、すでにZoomの危険性は指摘されていた。2020年4月カナダ、トロント大学のCitizenLabは、レポートを公開し、Zoomの会議の内容が中国当局に漏れている可能性を指摘していた。このレポートはアメリカでも深刻に受け止められ、TIME、ロイター、The Intercept_など各誌で取り
<ツイッターのデータから、5大政党に関するツイートを分析したところ、リツイートが80%、たった1.7%のツイートがツイート全体の約40%に拡散し、リツイートの多い発言は各政党への批判であることがわかった......> 5大政党に関するツイートのおよそ80%がリツイート 今回、5大政党(自民党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、共産党)に関するツイートを収集して集計、分析した結果、全ツイートの79.28%がリツイートだったことがわかった。 ツイッター上での日本の政治シーンにおける分析の先行研究としてはドイツのファビアン・シェーファー教授によるものがあり、拙著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』でもくわしく取り上げた。その時の政治に関するツイートのリツイート率は56.7%だった。それに比べると今回のリツイート率はかなり高い。時とともに増加したのか、あるいは一時的なものかまではわからない。
2018年に殺害されたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏も、サイバー諜報企業のマルウエアで監視されていた...... REUTERS/Osman Orsal <サイバー諜報企業のツールは言論を封殺するための利便性の高いツールとなっている。人権活動家、市民団体、ジャーナリストなどはサイバー諜報企業のターゲットになりやすい...... > 世界各国で利用の進むサイバー諜報企業は暗殺の手引きまで行う 前回の記事では世界49カ国がネット世論操作を民間企業に委託していたことをご紹介した。今回は民間のサイバー諜報活動を取り上げたい。 人権活動家、市民団体、ジャーナリストなどはサイバー諜報企業のターゲットになりやすい。メキシコやサウジアラビアのように暗殺の補助にサイバー諜報を使うこともある。サイバー諜報企業は言論を封殺するための利便性の高いツールとなっている。新しい企業が続々と誕生し、市場も拡大の
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