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人工知能(AI)モデルが、人間の感情理解力を測るテストで人間並み、時に上回る成績を収めたことが分かった。ただ、訓練データにそうしたタスクが含まれていた可能性も否定できず、大規模言語モデルが「人のように」考えているわけではない。 by Rhiannon Williams2024.05.22 275 14 人間は複雑な存在だ。私たちのコミュニケーションの方法は多層的であり、心理学者たちは対話から意味や理解を推測する能力を測るためのテストを数多く考案してきた。 人工知能(AI)モデルは、こうしたテストでますます優れた結果を出している。ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア(Nature Human Behavior)に5月20日に掲載された新たな研究によると、一部の大規模言語モデル(LLM)は人の心理状態を追跡する能力(いわゆる「心の理論」と呼ばれる)を測るために設計されたタスクを与えられた場合、人
What’s next in chips 空前のAIブームで 激動の半導体チップ業界、 今後を占う4つのトレンド 人工知能(AI)ブームによって、AIモデルの訓練に用いるチップのニーズが急増。各国政府や巨大テック企業、スタートアップ企業などがそれぞれの戦略で、それに応えようと凌ぎを削っている。今後1年のトレンドを解説する。 by James O'Donnell2024.05.17 2 15 人工知能(AI)のブームのおかげで、半導体チップの世界は大きな潮流の変化に直面している。AIモデルをより高速に学習させ、スマホや人工衛星などのデバイスからデータを取得し、個人データを開示せずにこれらのモデルを使用できるようにするチップへの需要が高まっている。各国政府、巨大テック企業、スタートアップ企業は一様に、成長する半導体の市場で自らのシェアを確保しようと競い合っている。 将来のチップがどのようなもの
電気自動車(EV)用の充電ネットワーク設置を主導してきたテスラは先日、充電部門のメンバー全員を解雇した。充電器の増設はEV普及に不可欠であり、気候変動対策に必要なインフラの構築を特定の企業に依存する危険性を浮き彫りにしている。 by Casey Crownhart2024.05.16 13 9 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 世界最大の電気自動車(EV)メーカーであるテスラ(Tesla)が先日、充電部門のメンバー全員を解雇した。 このタイミングでの同社の動きは、まったく不可解だ。一刻も早くEV用充電器を増設する必要があり、テスラは充電器の設置を積極的に進めてきた。充電ネットワークを他の自動車メーカーにも開放し、自社が開発したテクノロジーを米国における事実上の標準として確立している最中での解雇である。現在、この影響を受けて、新たなスーパーチャージャー(同社が展開する
愛する人が亡くなった後の悲しみを乗り越えるために、人工知能(AI)でアバターを生成するサービスが中国で拡大している。 by Zeyi Yang2024.05.17 3 8 ソン・カイは週に一度、母親とビデオ通話をしている。仕事について、中年男性として直面しているプレッシャーについて、そして妻とも話さないような胸の内の思いを、母親に打ち明ける。母親は時折「気をつけて過ごしてね。あなたは私のたった1人の子どもなんだから」といった言葉をかける。だが、ほとんどの場合、彼女は聞いているだけだ。 ソンの母親は5年前に亡くなっている。実は、ソンが話している相手は人間ではなく、彼が作った母親のデジタル・レプリカ、つまり、基本的な会話ができる動画なのだ。2人は数年前から会話を交わしている。 2019年に母親が急病で亡くなった後、ソンは2人のつながりをそのまま残す方法を探そうと考えた。そこで彼は、2017年に
グーグルはAIエージェント「Astra(アストラ)」を発表した。今年後半にリリースされる予定で、AIアシスタントはユーザーの日常生活をサポートするエージェントに進歩する。 by Melissa Heikkilä2024.05.15 1 9 グーグルは今年後半、「Astra(アストラ)」と呼ばれる新システムを投入する予定だ。これまでに発表された人工知能(AI)アシスタントのうち、もっとも強力かつ先進的なものになると同社は約束する。 ChatGPT(チャットGPT)のような現世代のAIアシスタントは、情報を取得して回答を提供することはできるが、ただそれだけだ。だが、グーグルは今年、AIアシスタントをさらに高度な「エージェント」としてリブランディングする。推論、計画、記憶のスキルを示したり、タスク実行のために複数のステップを実行できるという。 グーグル・ディープマインドの研究担当副社長であるオリ
人工知能(AI)がさまざまなケースで、人間が訓練したわけでもないのに、「欺瞞」を実行することをまとめた研究が発表された。しかしAIは決して、人間を欺こうとしているわけではない。人間が設定した目標を、より上手く達成しようとしているだけなのだ。 by Rhiannon Williams2024.05.14 4 21 人工知能(AI)システムが明示的に訓練されない方法で人間を「欺く」事例が相次いでいる。自分の行動に関する虚偽の説明をしたり、戦略的な目的を達成するために人間のユーザーから真実を隠して誤った方向に導いたりするのだ。 パターンズ(Patterns)誌に2024年5月10日付けで掲載された、過去研究をまとめたレビュー論文は、これらの事例から「AIの制御は非常に困難であり、AIシステムは予測不能な行動をとる」ことを浮き彫りにしている。 人間を欺くということは、AIモデルに意思があることを示
ハーバード大とグーグルのチームが、人間の脳細胞間のつながりを高解像度で表した3Dマップを作成した。脳の小さなサンプルを5000の断片にスライスして電子顕微鏡でスキャンし、機械学習を使ってつなぎ合わせた。 by Cassandra Willyard2024.05.13 2 14 ハーバード大学とグーグルの科学者が率いるチームが、人間の脳の1立方ミリメートルのナノスケール解像度の3Dマップを作成した。脳全体はその100万倍であるため、このマップは脳のほんの一部をカバーしたに過ぎないが、約5万7000個の細胞、約230ミリの血管、約1億5000万個のシナプスが含まれている。これは、これまでに作成された人間の脳の画像の中で最も解像度が高い。 これほどの詳細なマップを作成するために、チームは組織サンプルを5000枚のスライスに切り分け、高速電子顕微鏡でスキャンせねばならなかった。その後、機械学習モデ
蓄電池が電力セクターで急成長し、新規設置容量は前年の2倍に達した。米国ではすでに送電網において存在感を発揮し始めている。 by Casey Crownhart2024.05.10 11 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 最近もまた電池(バッテリー)のことが気になっている。考えるべき新しい理由が2つできたからだ。 まず、国際エネルギー機関(IEA)が、未来のエネルギーシステムにおける電池の重要性に関して、新しい特別報告書を発表した。この報告書は、電池のことを「マスターキー」と呼んでいる。つまり、電池は二酸化炭素排出量の削減に役立つ他のテクノロジーの可能性を解き放つことができると考えられているのだ。2つ目は、送電網において再生可能エネルギーがさらに大きな役割を果たせるようにすることで、電池がその「マスターキー」の地位をすでに獲得しつつあるかもしれないことを示す初期の兆候
スマホなどで中国語の入力に使うキーボード・アプリ(IME)のほとんどに入力内容を傍受される脆弱性が存在することが分かった。ファーウェイをのぞくほぼすべての端末にプリインストールされているアプリで見つかったという。 by Zeyi Yang2024.05.11 37 5 世界中の中国語話者が使っているキーボード・アプリ(IME)のほぼすべてに、ユーザーの入力内容を盗み取れるセキュリティの抜け穴が存在することが明らかになった。 この脆弱性は、キーボード・アプリがクラウドに送信するキーストローク・データの傍受ができてしまうというものだ。何年も前から存在し、サイバー犯罪者や国家の監視グループに悪用された可能性があるとトロント大学のテクノロジー・セキュリティ研究機関、シチズン・ラボ(Citizen Lab)の研究チームは指摘している。 漢字入力を楽にできるこうしたアプリは、中国語話者が使用するデバイ
How ASML took over the chipmaking chessboard ASMLはいかにして 半導体製造の「チェス盤」を 支配したのか 半導体製造装置において圧倒的な地位を築いたASML。倒産の危機に見舞われながらも、なぜ成功できたのか。CTO退任直前のマルティン・ファン・デン・ブリンクに話を聞いた。 by James O'Donnell2024.05.09 2 13 カリフォルニア州サンノゼのいつもと変わらない月曜日の朝。サンノゼコンベンションセンターでは「SPIE先進リソグラフィー・パターニング会議(SPIE Advanced Lithography and Patterning Conference)」の出席者が列を作ってメインホールへと入場していた。会場は満席となり、後方や左右の壁沿いにも人が並び始めた。半導体業界で働く人々が世界中から集結した。冷える2月の朝に、
マッコウクジラは「コーダ」と呼ばれる短いクリック音のシステムを用いて仲間内でコミュニケーションをとることが知られている。MITの研究チームは、統計モデルを用いた分析で、コーダによるやり取りが文脈に応じて構造化されていることを明らかにした。 by Rhiannon Williams2024.05.09 293 15 マッコウクジラは魅力的な生き物だ。あらゆる種の中で最大の脳を持ち、その大きさは人間の6倍もある。その大きな脳は、知的で理性的な行動をサポートするために進化したのではないかと科学者たちは考えている。 マッコウクジラは社会性が高く、集団で意思決定をする能力を持ち、複雑な採餌行動をとる。 しかし、マッコウクジラが「コーダ」と呼ばれる短いクリック音のシステムを用いてコミュニケーションをとるとき、お互いに何を伝えようとしているのかなど、マッコウクジラについてはわかっていないことも多い。そん
Sam Altman says helpful agents are poised to become AI’s killer function サム・アルトマンが語った スマホ超えAIツールの姿 「人生を完全に把握」 MITテクノロジーレビューの取材に応じたオープンAIのサム・アルトマンCEOは、あらゆる面で個人を支援するAIのビジョンを語った。アルトマンCEOが「超優秀な同僚」と表現するAIは、スマホ以上に日常生活に深く組み込まれるようになるという。 by James O'Donnell2024.05.08 28 11 オープンAI(OpenAI)のサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)への短いインタビューの中で、彼の世界観がより鮮明に映し出された瞬間があった。一つ目は、アルトマンCEOが私のアイフォーンSE(一般にあまり好まれていないホームボタン付きのもの)を指差して、「それは最高
研究者らはこれまで、がんワクチンについて長年研究してきたが、はかばかしい成果は得られなかった。だが、コロナ禍におけるmRNAワクチンの急速な進歩により、ようやく転換期に差し掛かろうとしている可能性がある。 by Cassandra Willyard2024.05.06 2 11 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 モデルナ(Moderna)とメルク(Merck)は先日、有望な新しいがん治療の大規模臨床試験を英国で開始した。個人の腫瘍に見つかる固有の突然変異一式を標的とする、個別化ワクチンの試験である。この試験で登録しているのはメラノーマ(悪性黒色腫)患者である。しかし両社は、肺がんを対象とした第III相試験にも着手している。そして4月初め、バイオンテック(BioNTech)とジェネンテック(Genentech)は、共同開発した個別化ワクチンが生存率の低さで有名なすい臓
ティックトックに売却か禁止かを迫る法案が米国議会で可決された。このニュースは、グローバル展開を望む他の中国企業に冷酷で厳しい真実を突き付けている。 by Zeyi Yang2024.05.03 3 3 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 今回は少し内省にふけることを許してほしい。先日、ティックトック(TikTok)に売却か禁止かを迫る法案が米国議会で可決され、正式に法制化された。4年前、私が中国のテクノロジー界に関する情報を伝え始めたばかりの頃に書いた最初の記事の1つは、これと非常によく似たニュースに関するものだった。ドナルド・トランプ大統領(当時)がティックトックを禁止すると発表したことだ。 その2020年の大統領令は結局、無駄になった。裁判所で阻止され、大統領が代わった後は脇へ押しやられ、最終的にはバイデン政権によって撤回されてしまった。しかし、米国政府が何らかの
「チャットGPT」で生成AIが一気にブレークしたように、家庭用ロボットも実用化の時期が近づいているかもしれない。そう考えられる理由を3つ、説明しよう。 by Melissa Heikkilä2024.04.23 2 10 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 ロボット工学が始まって以来、この分野の究極の目標は、家事をこなすロボットを作ることだった。しかし、長い間、それは夢でしかなかった。ロボット工学の研究者たちは、研究室でパルクールのような目を見張るようなことをロボットにさせることはできた。だが、そのためには通常、厳重に管理された環境で綿密な計画を立てる必要がある。そのため、子どもやペットのいる家庭や、間取りが千差万別で、あらゆるものが散らかっている家では、ロボットが確実に動作するのは難しい。 ロボット工学者の間で、「モラベックのパラドックス」と呼ばれる有名な観察事象が
理化学研究所、東京大学、金沢大学の研究グループは、日本人3256人分の全ゲノムシーケンスデータを解析し、日本人の遺伝的起源と特徴の一部を解明した。研究では、全国7地域(北海道、東北、関東、中部、関西、九州、沖縄)の医療機関で収集した3256人の全ゲノムシーケンスによって得たデータを使用した。 研究チームは、主成分分析を用いて、日本人集団の遺伝的構造を調べた結果、沖縄と本土という明確な二重構造を再現できたことを確認した。また、ASMIXTURE分析により、日本人の祖先が東北、関西、沖縄の三つの地域からの混合で最もよく説明できることが明らかになった。特に、縄文人の遺伝的影響が沖縄で最も高く、関西では漢民族との遺伝的親和性が高いことが判明した。 さらに、アルコール代謝に関連する遺伝子領域が沖縄で弱く表れる一方で、本土ではより強く表れることや、冠状動脈疾患や安定狭心症、アトピー性皮膚炎との遺伝的関
米国の経済制裁を受けて半導体チップの国産化を目指す中国は、日本企業である「味の素」が市場を独占する半導体部品への依存を減らすために新材料の開発を進めている。だが、長年続いてきた同社の牙城を崩すことは、容易ではないだろう。 by Zeyi Yang2024.04.19 31 4 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 うま味調味料とコンピューター・チップに関係があることをご存知だろうか? 現在、ほとんどのノートPCやデータセンターで使われているチップの内部には、「ABF」と呼ばれる小さな部品が使われている。ABFは、電気を通す配線の周囲の薄い絶縁材の層である。そして、世界で使用されているこの絶縁材の90%以上は、日本企業である「味の素」が生産している。1909年に粉末調味料「MSG(味の素)」を商品化したことで有名な企業である。 本誌のジェームス・オドネル記者が先日の記事で
人工知能(AI)に関する理解は、まだ初期段階だ。AI搭載製品を販売する企業の宣伝に惑わされることなく、有用性は限られていることを肝に銘じる必要がある。 by Melissa Heikkilä2024.04.02 8 6 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 私は日々の仕事で、実験的に人工知能(AI)アシスタントを利用してきた。AIが有用であるための最大の障害は、しばしば物事をあからさまに間違えることだ。あるケースで私は、身体障害についてインタビューしながらAI文字起こしプラットフォームを使ったが、AIがまとめた要約は、その時の会話を自閉症に関するものと決めつけていた。これはAIの「幻覚(ハルシネーション)」問題の一例である。大規模言語モデルが単純に物事をでっち上げるのだ。 最近、もっとはるかに大きな規模でAIが不具合を起こす事例がいくつかあった。最新の不具合事例では、グ
プラグイン・ハイブリッド車は、電気自動車(EV)への移行用として販売されることが多い。しかし、欧州の新しいデータは、プラグイン・ハイブリッド車の排出量を過小評価していることを示している。 by Casey Crownhart2024.04.01 3 8 プラグイン・ハイブリッド車は、ガソリン車の利便性とバッテリー電気自動車の気候上の利点を兼ね備えた、理想的な自動車とされている。しかし、新たなデータによると、公式に発表されている数値の中には、プラグイン・ハイブリッド車の排出量を著しく過小評価しているものがあることが分かった。 欧州委員会(EC)の新たな実走行データによると、プラグイン・ハイブリッド車の二酸化炭素排出量は、公式発表の推定値のおよそ3.5倍になっている。この違いはドライバーの習慣に大きく関係している。人々はプラグイン・ハイブリッド車を充電したり、電気モードで運転したりすることが予
Large language models can do jaw-dropping things. But nobody knows exactly why. コンピューター科学者は 大規模言語モデルをなぜ 「科学」するのか? 大規模言語モデルが破竹の勢いで成功を収めているにもかかわらず、こうしたモデルがうまく機能する仕組みや理由は、いまだによくわかっていない。コンピューター科学者たちは、その謎を解明することで次世代のAI技術の開発とリスク管理に生かしたい考えだ。 by Will Douglas Heaven2024.03.29 1 18 2年前、オープンAI(OpenAI)の研究者ユーリ・ブルダとハリー・エドワーズは、言語モデルに基礎的な算数をさせるには何が必要かを調べていた。2人は、2つの数を足し合わせる例題をいくつ見せれば、モデルは与えられた2つの数を足し合わせられるようになるのかを
オープンAI(OpenAI)は、同社が2月中旬に公開した新たな動画生成モデル「Sora(ソラ)」を用いて映像クリエイターが制作した映像をいくつか公開した。3人のクリエイターに、映像制作の狙いや制作手法について聞いた。 by Will Douglas Heaven2024.03.29 1 5 先月登場したオープンAI(OpenAI)の動画生成モデル「Sora(ソラ)」。まだ一般公開はされていないが、オープンAIは一部の映像クリエイターに試用を認めている。オープンAIが今週公開したその結果は、驚くべきものだった。これらの短い映像作品は、ほんの6週間前にオープンAIが、新たな生成モデルの情報を小出しにするのに用いた選りすぐりのサンプル映像と比べても、大きな飛躍を示すものだ。 ここでは、3人の映像作家がどのような方法でこれらの映像を作ったのか紹介しよう。 『エアヘッド』(制作:シャイ・キッズ) シ
途上国の大半を占める「組積造」の建物の耐震化を、塗料を塗るだけで実現する。そんな画期的な塗料を共同開発したのが、山本憲二郎だ。東京大学で研究に取り組む傍ら、スタートアップで商用化を進めている。 by Keiichi Motohashi2024.03.27 5 9 2023年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震では、5万人を超す人々が亡くなった。1年が経った2024年2月現在もまだ復興の途上であり、多くの人々が困難な暮らしを強いられている。被害が拡大した大きな理由の1つは、煉瓦や石などを単純に積み上げて建てる組積造構造の建物の崩壊にある。 トルコ・シリア大地震に限らず、世界各地で発生する地震による死者の多くは、住宅などの建物の崩壊によるものだ。日本では2024年1月1日の能登半島地震の記憶が生々しいが、世界的に見ると木造住宅の延焼や津波による死者よりも、組積造の崩壊による死者の方がはるかに
AIの開発・運用に関する包括的な規則を定めた欧州「AI法」が3月13日に欧州議会で可決され、5月に施行される予定だ。このAI法によって、これまでと何が変わって、何が変わらないのか、ポイントをまとめてお伝えする。 by Melissa Heikkilä2024.03.25 24 14 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 ついに正式に決定した。3年という歳月の末に、欧州連合(EU)の包括的な新「人工知能(AI)法」が3月13日、欧州議会で可決されたことで、最後の官僚的試練を乗り越えたのだ(AI法については、昨年 私が公開したこの記事で5つの重要ポイントを解説している。併せてお読みいただきたい)。 このニュースは、個人的にはひとつの時代の終わりのようにも感じる。2021年に、AI法の初期草案のスクープを入手した最初の記者が私だった。以来、それに続くロビー活動の混乱の行方を見
記者がいない、エンジニア中心のJX通信社を創業した米重克洋は、生成AIにより大量生産されるデマやフェイクニュースに対し、テクノロジーの力によって報道の「構造」を変えることで立ち向かおうとしている。 by Yasuhiro Hatabe2024.03.19 4 4 氾濫するデマやフェイクニュースが、民主主義の根幹である選挙に影響を及ぼしたり、災害時に必要な情報が届くのを妨げ救援を遅れさせたりする。人々の命や健康を危険にさらすこともある情報空間の汚染は、いまや世界的な大問題だ。 JX通信社の代表取締役である米重克洋は、SNSなどから得たデータを人工知能(AI)を使って解析し、災害や事件、事故などのリスク情報を迅速に検知して報道機関などへ配信するサービス「FASTALERT(ファストアラート)」の取り組みを評価され、2021年の「Innovators Under 35 Japan (35歳未満の
昨年11月、日本で承認された自己増殖型mRNA(saRNA)ワクチンが注目されている。従来のmRNAワクチンとどう違うのか。 by Cassandra Willyard2024.03.07 7 7 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 今回の話題は、mRNAワクチンだ。 「聞き飽きた」という不満の声が一斉に聞こえてきそうだが、ちょっと待ってほしい。mRNAワクチンについては、確かにこれまで散々耳にしてきたと思う。しかし、日本で少し前に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する新しいワクチンが承認された。これが、かなり興奮するニュースなのだ。皆さんがよくご存知のあのmRNAワクチンと同じように、この新しいワクチンも新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質を作る指示を体内に届ける。しかし、体内でmRNAをさらに多く作る方法も伝えるという点が斬新だ。要するに、指示を
テキスト-画像生成AIは物語性のある複数の画像を生成するのが苦手だ。複数の画像で、設定に一貫性を持たせるのが難しいからだ。だが最近、物語を一度入力すると、それに合った一連の画像を生成するサービスが登場した。 by Will Douglas Heaven2024.03.07 177 10 13年前、ジャーナリズムの授業の宿題で、私は高級キャットフードを食べる男に関する馬鹿げた短い物語を書いた。今朝、私は「ロア・マシーン(Lore Machine)」という生成(ジェネレーティブ)AIプラットフォームが、自分の書いたおかしな話に命を吹き込むのを座って眺めていた。 自作の物語をテキストボックスに入れると、次のようなメッセージが出た。「シーン、ロケーション、キャラクターと、雰囲気を特定しています。このプロセスには最長2分かかる場合があります」。ロア・マシーンは、テキストを分析し、キャラクター描写と言
ゼロエミッション車の主流はバッテリーを使う電気自動車(EV)であり、水素を使う燃料電池車は大きく後れを取っている。かつて同列に語られたこともあった両者になぜ差が付いてしまったのか。 by Casey Crownhart2024.03.05 3 13 地球温暖化ガスや環境汚染物質を全く排出しない自動車を想像してほしい。現在路上を走っている電気自動車(EV)とは異なり、充電に1時間以上かかることもなく、すぐに発車できる車だ。 あまりにも良いことずくめで本当だとは思えないが、これこそが水素燃料電池で動く車の現実だ。そして、ほとんど誰も欲しがらないのも、また現実だ。 誤解のないよう言っておくが、水素燃料電池車(FCV)は世界中で販売されている。しかしながら、燃料価格の高騰や車両販売数の低迷、水素ステーションの閉鎖など、水素車は行き詰まりを見せているようだ。 水素燃料電池は、水素と酸素の化学反応によ
2023年には販売額が減速することになったが、ヒートポンプは化石燃料を使用する暖房器具に差をつけつつある。 by Casey Crownhart2024.03.04 2 5 ヒートポンプは依然として注目のテクノロジーだが、世界最大級の市場の1つである米国での2023年の販売額は減少した。だが、空調システム全体でヒートポンプの占める割合は2年連続でガス暖房器具を上回っており、昨年同様に販売高が減少したガス暖房器具と比較しても市場全体でのシェアは増えている。 ヒートポンプは電気を使って空間を暖めたり冷やしたりするシステムで、温室効果ガスの排出量を削減するための主要なツールとなる可能性がある(世界の温室効果ガス排出量の約10%は、建物の暖房から発生している)。世界中の多くの住宅やその他の建物では、ガス暖房器具などのようなシステムで化石燃料を使用している。しかし、一般的にはヒートポンプの方が効率が
電気自動車の急増などでバッテリーに対するニーズが高まっている。リチウム硫黄バッテリーは、コストとエネルギー密度の両方で、リチウムイオンバッテリーを凌駕する可能性がある。 by Casey Crownhart2024.02.20 6 電気自動車(EV)の航続距離を延ばせる安価なバッテリーを製造する鍵は、安価で豊富に存在する材料である硫黄にあるかもしれない。 気候変動問題に対処するには、ますます増えるEVを駆動し、そして再生可能な電力を送電網に蓄えるために、大量のバッテリーが必要になる。現在は、リチウムイオンバッテリーがどちらの分野でも主流の選択肢となっている。 しかし、バッテリーの需要が高まるにつれ、必要な材料を採掘することがより困難になっている。そしてその解決策は、コバルトやニッケルといった、リチウムイオンバッテリーに必要な金属の中でも特に限定的で物議を醸しているものを避けた、代替の材料を
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