[東京 23日] - 米中貿易戦争については、エスカレートすれば世界貿易が縮小し、世界的な景気後退につながるという悲観的なシナリオから、妥協と収束に向かうという楽観的なシナリオまで見解は分かれている。 7月23日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、米国の対外資産・負債構造は、内外の資本移動規制を撤廃すれば莫大な資本流出が起こることが避けられない中国には不可能なものだと指摘。写真左は中国人民元紙幣、右の4枚は米ドル紙幣。北京で2016年1月撮影(2018年 ロイター/Jason Lee) しかし、関税引き上げ戦争の本質は、資産バブルを巡るゲームと同様に、先にやめた者が負ける一方、誰もが最後までブレーキを踏まずに走り続ければ破滅するというチキンレースであり、どこで止まるかは原理的に予測困難だ。 <米中貿易戦争に2つの異質な要素> この米中貿易戦争には2つの全く異質な要素が混在している。1つは米