上野千鶴子編『構築主義とは何か』(勁草書房)上野千鶴子「構築主義とは何か―あとがきに代えて」286頁 荻野(引用者注:荻野とは荻野美穂)はジェンダー史学の古典となったジョーン・スコットの『ジェンダーと歴史学』の邦訳者だが、スコットはポスト構造主義のジェンダー論の理論家として、のちに世界中に流通するようになった有名な「ジェンダー」の定義、「身体的差異に意味を付与する知」という定式化を与えた。この定義はさらにクリスチーヌ・デルフィによって洗練され、「ジェンダーとは二つの項ではなく一つの差異である」ことが明示された。リンダ・ニコルソンやジュディス・バトラーは、さらに踏み込んで、「ジェンダーがセックスに先行する」、「セックスはつねに・すでにジェンダーだったのだ」と定式化した。 同書の290頁 ポスト構造主義のジェンダー論の到達点「ジェンダーがセックスに先行する」という命題は、ジェンダー・カテゴリー