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パリ五輪
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サイトが移転しました。 これまでの掲載分と182話以降は こちらから ご覧ください。 拡大縮小しやすく、スマートフォンやタブレットからでも読みやすくなりました。 引き続きご愛読ください。
「東北の、東北による、東北のための医学部を」。東日本大震災の被災地に医学部を新設しようと、政治が新たなアクションを起こしている。河北新報社が「東北再生への提言」に盛り込んだ「地域の医療を担う人材育成」とも軌を一にする動きだ。その狙いと政治が果たすべき役割を聞いた。併せて、震災後の東北を取り巻く医療事情を探る。 ◎政治の責任で実現 包括モデル構築を支援/平沢勝栄衆院議員に聞く 自民党所属の国会議員有志でつくる「東北地方に医学部の新設を目指す議員連盟」(会長・大島理森前副総裁)は2月末、復興のシンボルとなる医学部の新設を決議した。議連副会長として政府与党内の調整に奔走する平沢勝栄衆院議員に、今後の見通しを聞いた。 -決議に反響はありましたか。 <各地から賛同> 「ぜひ実現してくれ」という地域住民や自治体の声が、東北はもとより全国から寄せられている。中でも現場で働く多くの医師が、医学部新設を強く
地方新聞社7社のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)についての論文を読む機会がありました。「『地域ジャーナリズム』という事業-SNSに取り組んだ地方紙7社への調査から」です。東京大学大学院学際情報学府の畑中哲雄さんと同大学大学院情報学環教授の林香里さんが執筆しています。国立民族学博物館の調査報告「情報化時代のローカルコミュニティ-ICTを活用した地域ネットワークの構築-」(杉本星子編)に収められています。畑仲さんらの問題意識は、地方新聞社が何のためにSNSを導入し、「地域ジャーナリズム」との関連で何を目標としているか-にあります。新聞社がITあるいはICTを活用する動きは、インターネット以前のパソコン通信時代からあるわけですが、畑仲さんらが提起するポイントでは、目立った成果はありません。オンラインやインターネットが持つ本質的な意味をジャーナリズムのありようと関連付ける努力が決定
「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」(双葉新書)は、日本での取材経験12年の米国人ジャーナリスト、マーティン・ファクラーさん=ニューヨーク・タイムズ東京支局長=が本音で語る、日本の新聞への問題提起だ。ファクラーさんの日本の新聞を思う気持ちといらだちは、東日本大震災の取材を通してますます強固に、かつ厳しくなったように見える。本書に示されている論点の数々は、日本の地方新聞社で育ち、東日本大震災をネット分野の責任者として迎えた立場では、読み通すのが困難なほどに苦くて重い。同時に地域に由来するメディアの可能性を新聞のありようとして位置付ける視点には心を動かされる。この種の提案が外からの視線で語られてしまうことに内心忸怩たるものを感じるのも確かだが、まずは自らの現場でできることを探すことが重要だ。 ファクラーさんは米アイオワ州出身。ブルームバーグ東京支局、AP通信社ニューヨーク本社、北京支局などを
<捕鯨に22億円> かつて沿岸捕鯨の基地として栄えた石巻市鮎川港から南へ1万数千キロ。南極海で操業する調査捕鯨船を反捕鯨団体の妨害から守る費用として国は昨年度、22億8400万円の予算を付けた。 予算の出どころは復興特別会計だ。水産庁は「妨害に屈しない姿が、被災漁民を励ます」(国際課)と意義を強調するが、実際には、費用の大半が船団の燃料代で消える。 水産庁の説明を同庁OBの小松正之政策大学院大教授(海洋政策論)は「調査捕鯨船の燃料代と被災地の復興は無関係。次元が低すぎて論評にも値しない」と切り捨てる。 「復興を食い物にするような姑息(こそく)な予算獲得では、調査捕鯨の正当性にまで疑いの目が向けられる」と眉をひそめた。 国は、復興に要する費用を「10年間で23兆円」と試算し、うち19兆円を前半の5年間に投入する。インフラ復旧、復興交付金のほか、各省庁が担う国直轄事業も多い。 財源は増税で賄わ
<構想委を設置> 東日本大震災によって沿岸部の医療機関は壊滅的な被害を受けた。地域医療の最前線を担う自治体病院の多くが機能不全に陥り、勤務医の離職が相次いだ病院もある。 河北新報社の提言「地域の医療を担う人材育成」は、仙台に臨床重視の医学部を新設し、慢性的に不足している病院勤務医の養成を図り、医師の地域偏在や診療科偏在の解消を訴えている。 「震災で医師の供給がさらに大変になった。地域医療重視の新たな医学部を誕生させることは、東北の復興と再生にとって不可欠だ」。目黒氏の信念は「3.11」を経てより強固になった。 6月には連携先の東北福祉大(青葉区、萩野浩基学長)などと合同で「宮城に新設を目指す医学部の基本構想検討委員会」(委員長、久道茂・元東北大医学部長)を設置。「臨床重視」「地域貢献重視」を2本柱とする基本方針や教育目標を定めた。 東北福祉大の健康科学部では、看護師や作業療法士らを養成。既
<体力が続くか> 被災地からの移住を促す現行の枠組みでは、防災集団移転促進事業と並ぶ大きな柱の一つに土地区画整理事業がある。 「事業の完了まで体力が続く仲間がどれだけいるか」。陸前高田市商工会長で、高田地区の建設業阿部勝也さん(70)が、市が進める区画整理の行方に気をもむ。 高田地区は、並行する国道45号とJR大船渡線の沿線に商店や住宅、公共施設などが集中していた。シンボルの景勝地・高田松原を根こそぎ奪い去った高さ13~17メートルの巨大津波で、阿部さんも会社事務所と自宅を同時に失った。 市は昨年12月策定の復興計画で、規模が小さい集落の高台移住には防災集団移転促進事業、人口が多い市中心部の再開発には土地区画整理事業を適用するシナリオを提示。 今月初め、高田地区と川向かいの今泉地区(計621ヘクタール)で区画整理を進める都市計画決定をした。 <阪神では16年> 土地区画整理事業は、地権者の
東北に新しい医学部が誕生する。文部科学省は、2015年春の開学を目指して大学の選定に着手する方針を表明。1979年の琉球大を最後に「これ以上、医学部はつくらない」としてきた封印が解かれる。東日本大震災の被災地で奮闘する現役医師へのインタビューと、東北6県の市町村長アンケートを通じて新医学部の輪郭を描く。 ◎「数」こそ「質」保証 多様な分野で活躍期待/南相馬市立総合病院医師・小鷹昌明さんに聞く 医学部の新設には、日本医師会などがさまざまな懸念を投げ掛けている。現場の医師はどう考えているのか。医大准教授の職をなげうち、南相馬市立総合病院で患者と向き合う医師小鷹昌明さんに聞いた。 【関連記事】 特集/医師不足解消へ一歩/仙台に大学医学部新設 東北に新しい医学部が誕生する。文部科学省は、2015年春の開学を目指して大学の... (2013/12/05) 【関連記事】 特集/学び伝える観光拠点/三陸
「withhold」。医療現場で使われるこの言葉は、終末期を迎えた患者への治療や栄養・水分の補給、つまり延命措置を「差し控える」という意味を持つ。 <半歩譲った治療> 日本カトリック医師会の石島武一さん(78)=東京都=は「2005年に最初で最後の『withhold』を経験した」と、私たちに明かした。医師会は、キリスト教カトリック系の病院などに勤務する医師らでつくる全国組織で、会員は約800人いる。 石島さんが担当した患者は、意識不明となった98歳の男性。点滴を受け付けなくなり、「鼻から管で薬を入れるか、胃ろうを設ける必要がある」と家族に告げると、「要りません」と断られた。石島さんは家族の意向に従い、翌日、男性は亡くなった。 「医師は『差し控えをしている』と表だっては誰も言わないが、実際はよくある。点滴の量を減らしたり、肺炎になっても抗生剤を投与しなかったり...」。石島さんは「半歩譲
<残存3隻だけ> 宮城県南三陸町の志津川漁港に、鉄骨むき出しの魚市場が残る。復旧さえままならない「浜のいま」を映し出している。傍らに立つ緑色の仮設テントが、昨年11月に誕生した「南三陸漁業生産組合」の事務所だ。 年が明けて間もない今月9日、組合員12人全員が顔をそろえ、養殖ホタテやワカメの共同作業の準備が始まった。 同町の養殖業は家族経営が主流で、収穫など繁忙期を除いて共同で作業することはほとんどない。「震災前に共同作業をしたことは?」。組合員にこう尋ねてみた。 「ありえねっちゃ」と即座に否定された。 河北新報社の提言「世界に誇る三陸の水産業振興」では、多様な協業化を本格導入するよう提唱している。南三陸漁業生産組合の取り組みは、緒に就いたばかりの協業化事例の一つだ。 生産組合はマイナスからの出発だった。1人を除いて皆、自宅を流された。合わせて約40隻あった漁船は3隻しか残らなかった。養殖施
陸(おか)に上がって10カ月が過ぎた。「もう漁師の手じゃないな」。宮城県女川町の離島・出島の阿部作雄さん(73)の手は白く軟らかかった。 東日本大震災の大津波で出島寺間にある自宅は壊れ、島の仮設住宅に夫婦で暮らす。ホタテやホヤの養殖いかだは全て流された。漁具の購入などに1千万円以上かかる。 阿部さんは高齢を理由に「陸上がり」を決めた。寺間の漁師58人のうち再開できたのは十数人。「みんな迷っている」(阿部さん)という。 <養殖の灯消滅> 「此処(ここ)より下に家を建てるな」。津波への警告を刻んだ石碑が立つ宮古市重茂姉吉。木村民茂さん(65)も養殖業の再開を断念した。姉吉漁港は壊滅的で、復旧の見通しが立たない。 「漁船も漁具も加工場も流された。釣り船へ商売替えも考えたが、肝心の港がなくなっては...」 姉吉の養殖漁師は5人。漁場の管理など共同作業を分担し、浜を守れる最低限の人数だった。3人が廃
ソーシャルメディアの文章表現についてあれこれ考えているうちに面白い本に出合いました。雑誌ライター、堀井憲一郎さんの「いますぐ書け、の文章法」(ちくま新書)です。不特定の読者ではなく、伝えるべき「人」を明確に意識して書くことをすすめています。堀井さんはオンラインを前提にしているわけではありません。人をつなぐことに強力な力を発揮するソーシャルメディアの文章法としても、有効な点が多々あるように感じました。 ややくどいのですが、章見出しをすべて並べてみます。「プロとアマチュアの決定的な差」「文章は人を変えるために書け」「客観的に書かれた文章は使えない」「直感のみが文章をおもしろくする」「文章は言い切らないといけない」「文章で自己表現はできない」「事前に考えたことしか書かれていない文章は失敗である」「文章を書くのは頭ではなく肉体の作業だ」「踊りながら書け」 堀井さんは「誰に向かって、どういうことを書
―『無人地帯』は、単なる震災やフクシマの問題を越えた、人間とは何か、世界のあり方とは何かというところまで見通した映画でした。まず、最初に福島に行こうと思い立ったのは、どのあたりでしたか? 藤原:2009年くらいから大阪で撮っていた映画があって、2年、3年やっているのに、どうにもうまくいかない。どうしようかと悩んでいるときに震災が起きたんです。2009年というのは夏に民主党への政権交代があり、その後、新しい日本になるかと思ったら、むしろ政権が変わったことも含めてそのことを恐れるような風潮になっていった。そのことに強い違和感を感じていたんです。それが、震災が起こって、それってこういうことだったのかと見えてきたことがあった。とはいえ、お金もないし、それだけで福島に行く気にはならなかった。被災地に撮影に行くにはいろいろと考えなければならないことがある。特に物資が止まっていた時期なので、我々が行くこ
140文字に思いをこめるツイッターを活用して地域おこしをすすめる取り組みが全国各地で進んでいます。そのトップランナーでもある「Yokotter(ヨコッター)」代表の細谷拓真さん(32)=横手市出身、仙台市在住=に仙台市内で話をうかがいました。非常に興味深い内容なので、一気に紹介します。長文です。お時間のある方、ご覧ください。 (1)細谷さんのプロフィール 仙台在住の大学院生。全国のネットワークを生かしながら地域おこしにかかわっていくという。2009年12月にツイッターを活用して、郷土のまちおこしに取り組む「Yokotter」を立ち上げた。今年夏にはNPO法人格を取得する。最近、全国でツイッターを使ったまちおこしに取り組む人々をつなぐための「マチッター(machitter)」も立ち上げた。 来年、横手に戻る準備をしている。子どものころサッカーを教えてくれた恩師とツイッター上で再会したことがき
<100万円アップ> 議員の報酬は100万円アップの年860万円が望ましい―。昨年10月、会津若松市議会の検討委員会はこんな中間報告を発表した。議員報酬は引き下げが当たり前となった世の中の流れに、明らかに逆行する。 「削減ありきではなく議員の仕事を一から見つめ直した結果だ」。委員長の土屋隆さん(55)は、全議員が参加する政策討論会で説明した。だが市民に受け入れられるかと、いぶかしげな議員が少なくなかった。 議論の発端は2008年夏の市民との意見交換会。報酬や定数に多くの声が上がり、議会全体で検討することにした。大学教授を招いて勉強会を開き、昨年1月から12回の議員間討議を重ねた。市民の声を起点に政策を練り上げる「政策形成サイクル」の手法だ。 議員報酬は一般に、人口規模が同じ自治体との横並びで決められることが多い。きちんとした根拠は示されない。 [ 全文を読む ]
弁護士が高校へ出向き、生徒に労働者の権利について解説するユニークな出前授業を、仙台弁護士会が始めようとしている。景気悪化に伴う違法解雇の増加など、若者の雇用環境が不安定化する中、最低限の知識を身に付けて、身近な労働問題解決に役立ててもらうのが狙いだ。 <学ぶ機会少なく> 「20代で管理社員に登用し、残業代を出さずに人件費を削るなど、企業の悪質さが目立ってきた。一方で、若者の多くはアルバイトにも有給休暇が認められるなどの法知識がなく、有給の取り方を知らない人もいる」 仙台弁護士会の鶴見聡志弁護士(40)は、厳しさを増す若者の労働環境を説明する。派遣やアルバイトなど、権利の限定された非正規雇用の労働者は増える一方。労働組合加入率の低下などで、社会に出てから労働法について学ぶ機会も少なくなっているという。 弁護士会は1月、宮城県内の高校109校を対象に、「働く者の権利に関する教育について
「秋まで仕事ないから、自分で探して移ってよ」。奥州市出身のフリーター、タカさん(26)=仮名=は、2007年7月末、バイト先の店長から突然解雇を言い渡された。期限はわずか10日後。「もう少し働かせてほしい」と粘ったが、全く相手にされなかった。 <上司たちの横暴> 職場は東京都内にある出身大学の生協。07年2月にアルバイトを始め、1カ月後には店長ら上司の横暴が目に付くようになったという。 卒業・入学の繁忙期が過ぎた5月、店長から土日休みの確約を得たにもかかわらず、3カ月も土曜出番が続いた。たまらず指摘すると店長は前言をすっかり忘れ、「そんなこと言われても困る」と逆に苦情を言われた。 タイムカードを押して勤務を終えた後、大型家電店へ出向いて注文品の見積もり業務をさせられたこともあった。「店は帰り道にある」と交通費はなし。1時間半ほど余計に拘束されたが、残業代も出なかった。 不満があっ
過去に例のない事件、動機が理解できない凶悪犯罪が相次ぐ現代は、体感不安が拡大している。安心・安全という言葉が強調され、世の中を覆う不安はどうも尽きない。そんな「不安社会」の実像を見つめ、東北大大学院文学研究科の吉原直樹教授(社会学)の関連する研究成果も織り交ぜながら、人々の営みを豊かにする安心・安全の在りようを考えたい。(「不安社会」取材班)=水曜日更新= 雇用不安が深刻さを増す中、河北新報社は「労働法を使おう!―若者が違法状態をあきらめない教育を」と題するセミナーを7月4日、仙台青葉区の本社で開く。共催する東京のNPO法人「POSSE(ポッセ)」代表理事の今野晴貴さん(26)=仙台市出身=に、労働法を使いこなせる教育の必要性を聞いた。 <企業の言うがまま> ―POSSEは雇用不安問題の打開策を提言しようと、ハローワーク前での聞き取り調査などを行っています。 「若者の使い捨てが増えて
波間に浮かんだラジオブイに、近海マグロはえ縄船「海青丸」がゆっくりと近づく。「四つ鉤(かぎ)」と呼ばれる道具でブイをたぐり寄せ、幹縄を引き上げる。 昨年11月24日午前零時20分。ギィーッ。幹縄を巻き取る油圧リールが金切り声を上げる。この航海で初めての揚げ縄が始まった。 リールの操作、幹縄に一定間隔で取り付けられた枝縄の回収、掛かった獲物の引き上げと魚艙(そう)への運搬。漁労長を除く乗組員が二つの班に分かれ、交代で食事を取りながら徹夜で作業を続ける。 [ 続きを読む ]
世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男の物語 映画館「グリーンハウス」。フランス風郷土料理「レストラン欅」。フランス料理店「ル・ポットフー」。 これらは一人の男が日本海に面した湊町・山形県酒田市を舞台に追い求めた夢の軌跡。世の中の大勢の人から喜んでもらえる仕事をしたい。そんな幼い頃から抱いていた夢を形にするためには決して妥協することをしなかった男。やがて彼は夢と現実のはざまで運命に翻弄され無残に押し潰されてゆく・・・。一度ならず二度までも夢を形にして、人々の賞賛を受けた男の名は佐藤 久一(さとう きゅういち・1930~1997)。没後10年を経て、この伝説の男が遺した業績に光を当てる伝記「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」(岡田 芳郎著)がこのほど講談社より出版されました。 【PHOTO】良い魚が手に入ると、きまっ
<次々仕切り設置> 公園や商店街など都市の公共空間から、寝そべることのできるベンチが次々と姿を消している。ホームレスを排除するためだ。 仙台市青葉区の青葉通地下道は、噴水を囲む広場の大型ベンチに仕切りがある。昨年5月、関東から仙台にたどり着いた元ホームレスのトシオさん(59)=仮名=は、ゆっくり横になりたいという願いがかなわなかった。 「ひもじく、みじめだった。でも、人に迷惑が掛かるから仕方ないかな」と、気持ちはさらに沈んだ。前月まで、家があり仕事もあった。「話したくない事情」で普通の生活を失った。そうなると世間は冷たい。ベンチまでもが、寝させてくれない。 青葉通地下道のベンチに、最初に仕切りが付けられたのは1999年。ホームレスが95年ごろから寝場所に使い始め、段ボールや毛布を積み重ねて置くようになった。管理する東北地方建設局(当時)などに苦情が殺到した。 「夜通るとき、怖く
「安心・安全」という誰もが反対しないスローガン。だが、不審な人間の排除を目指し、平和で清潔、快適な生活空間を追求するあまり、おおらかさが失われ、どこか息苦しい世の中になってはいないか。安全の名の下で、切り捨てられているものを考えてみる。 (「不安社会」取材班) <柵付き砂場普及> 柵で囲まれた砂場が、首都圏で「標準仕様」になりつつある。野良猫などの侵入を防ぐのが狙いだという。 いち早く約20年前に設置を始めたのは、東京・江東区。「犬や猫のふん尿が砂に混ざって汚い」との苦情が増え、検査でも汚染が確認されたことがきっかけだった。 檻(おり)の中に子どもを閉じこめるようで、異様にも見える。だが、母親たちからは「安心して子どもを遊ばせられる」と絶大な支持を集める。 区内の各地から、今も設置要請が相次いでいる。現在、砂場がある公園176カ所のうち、半数以上の92カ所に柵が付く。区では「自然
美味しいものって、私たちを幸せな気持ちにしてくれますよね。 ふだん私たちが何気なく口にしているもの。 それはどんな人が、いかなる風土のもとで、どんな思いで作っているのか。 そんなことを考えてみたことってありますか。 自分の体に取り込むものだからこそ、もっと知りたい。 大量生産品が持ち得ないモノたちが秘めた飛びっきりなストーリー。 どうやら東北に暮らす私の足元と、ハンドメイドな職人王国のイタリアには そんな物語がたくさんあるようです。 ご一緒に「あるもん探しの旅」にちょっと出てみませんか 読んで美味しい知ってうれしいお話を、どうぞ召し上がれ。Buon appetito! ● 諸行無常 ☞ 全ての事象は泡沫(うたかた)であり、永久不滅のものは存在しない 仏教の開祖ブッダ(釈迦 BC463頃?~BC383頃?)は、35歳にしてインド北東部ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開いたとされます。いい年をし
電話が鳴っている気がして、目が覚めた。午前零時を回っていた。慌てて病院へ連絡する。「今、電話くれた?」「かけてませんよ」。安堵(あんど)といらだちが交錯した。「寝ている間も気が休まらないなんて」 福島県立南会津病院(南会津町)の安部宏さん(35)。ただ1人の常勤の産婦人科医だ。南相馬市(旧小高町)出身。着任して3度目の冬を迎えた。 カバーする南会津郡の面積は約2300平方キロ。神奈川県全域に匹敵する。お産を扱うのは安部さん1人だ。 有数の豪雪地帯。大きな病院がある会津若松市まで、車で2時間かかる地区もある。「誰かがここにいなければ」。そんな熱意が、24時間拘束の生活を支える。 日本産科婦人科学会の調査によると、全国の大学医学部・医大が2005年度に産婦人科医を派遣した病院のうち、東北では23%が常勤医が1人だけ。出産受け入れに制限を設ける病院も少なくない。 婦人科を含め、
過去に例のない事件、動機が理解できない凶悪犯罪が相次ぐ現代は、体感不安が拡大している。安心・安全という言葉が強調され、世の中を覆う不安はどうも尽きない。そんな「不安社会」の実像を見つめ、東北大大学院文学研究科の吉原直樹教授(社会学)の関連する研究成果も織り交ぜながら、人々の営みを豊かにする安心・安全の在りようを考えたい。(「不安社会」取材班)=水曜日更新= ―不安社会を乗り越えていくのに、求められているものは何か。 池川 子どもたちは十分な時間の中で遊び込む経験が少なくなっている。そのため遊びのルールを自分たちでつくったり変えたりする経験が乏しい。けんかしても簡単には壊れないような仲間意識も育っていない。だから、大人が決めた規則やルールは絶対的なものと思いがち。おかしいと思ったことを「なぜ」と言い返せないし、友達にも「嫌だ」とか「こうしたい」と言えない。 子どもの気持ちや考えを大事にし
出産にかかわる母子の安全を測る重要な指標に、周産期死亡率と妊産婦死亡率がある。高度な医療技術などに支えられ、日本は格段に低い。一方、「不幸な結果」がもたらす医療訴訟。産婦人科医の高い訴訟リスクは医師不足の一因にもなっている。安全をめぐる数字の実態を見た。 周産期死亡率は妊娠中期以降の死産数と、生後1週間未満の新生児死亡数を合わせ、出産1000件当たりで算出する。日本は世界保健機関(WHO)の分類に合わせ、22週以降の死産数で計算している。 厚生労働省の人口動態統計によると、2005年は4.8人。1985年は15.4人で、20年間で3分の1以下になった。 WHOは分類とは別に国際比較可能な死亡率として、死産数は妊娠後期(28週)以降に置き換え、出生1000件当たりで計算した数値を公表している。 それによると、日本は70年に21.7人と主要国の中でも中位だったが、05年は3.3人と大幅に
「お産SOS」は産科医療について語り合う掲示板です。「安心して産みたい」。妊婦さんの誰もが抱く願いです。ところが、医師が足りずに出産をやめる病院が相次いでいます。診察だけという産婦人科医院も増えています。安心して出産できる場は、徐々に狭まっています。多様な意見の中から、より良いお産の環境を探っていきます。[掲示板はこちら] 仙台市立病院(若林区)の産婦人科に9月上旬、出血した30代の妊婦が駆け込んできた。 「何カ所か回ったけれど、診てもらえなかった」。健診を一度も受けたことがない「飛び込み」だった。通常の診療はストップ。スタッフは対応に追われた。 切迫早産の疑いがあった。胎児は2000グラムあるかどうかだが、週数がはっきりしない。出産しても未熟児の可能性が高かった。 女性はすぐに新生児用の設備が整う別の病院に搬送され、出産した。胎盤早期剥離(はくり)の兆候があり、母子ともに危険
河北新報社の関連会社の一つに「三陸河北新報社」があります。石巻市に本社があり、「石巻かほく」という日刊紙を約4万部発行しています。河北新報の購読者であれば月額200円で、石巻圏のより詳細なニュース、情報をお読みいただけます。その地域密着型、震災被災地ど真ん中の地域新聞社が、新しいウェブサイトをスタートさせました。「メディア 猫の目」といいます。 http://ishinomaki.kahoku.co.jp/からご覧ください。 新サイトの構築を担当しました。河北本社のデジタル分野の仕事に加えて、より地域に密着したメディアのデジタル戦略の形を模索しています。「メディア 猫の目」は、長年の目標を一つの形にしたものです。河北新報社のような、地域に由来する新聞社でデジタル部門を担当する人なら一度は経験した方がいいフィールドです。米国のメディア業界では、この分野を「ハイパーローカル」と呼び、多様な実験
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