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衆院選
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2012年05月27日22:20 カテゴリ研究マネジメント・トピックス アジャイル、スクラム、研究開発 ソフトウェア開発の分野に「アジャイル」という手法があります。複雑性の高いソフト開発において、使い物になる製品をいかにうまく生み出すか、という視点から編み出された手法とのことですが、複雑性、不確実性を克服しようとする考え方は、研究開発の進め方とも大いに関わる内容を含んでいるのではないかと思われます。そこで、今回は研究開発マネジメントの視点から、「アジャイル」を考えてみたいと思います。 「アジャイル(agile)」とは、辞書には「機敏な」というような意味が出ていますが、ソフト開発においては適応的開発手法として、計画重視の開発手法の対極に位置づけられ[文献1]、その考え方は以下の「アジャイルソフトウェア開発宣言」にまとめられています。すなわち、「プロセスやツールよりも個人との対話を、包括的なド
2014年02月02日23:04 カテゴリ科学の話題読書録 ベキ乗則の可能性(バラバシ著「バースト」より) イノベーションはランダムに起こるものでしょうか。科学技術発展の歴史をたどると、科学技術は毎年決まったペースで少しずつ発展していくというよりも、ある時期集中的に大きな進歩が見られ、それ以外の時期は比較的ゆっくりとしたペースで進歩していくように思われます。ランダムに見えるような現象に何らかのパターンがあるのかどうかは、イノベーションに限らず興味のあるところです。 複雑系、ネットワークの研究者であるバラバシによる「バースト」[文献1]では、「長い休止期間のあとに、短い集中的な活動期間が続く[p.155]」というバースト現象が考察され、「ベキ乗則(ベキ分布)」がそのひとつの原因になることが述べられています。ベキ乗則自体は最近発見された原理というわけではありませんが、それが思いのほか様々な現象
2010年09月26日21:59 カテゴリ研究マネジメント・トピックス ナットアイランド症候群:自律的な組織を失敗に導く組織病 ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー2010年2月号に、「ナットアイランド症候群」の紹介記事[文献1]が掲載されています。このブログのノート10では、研究組織運営において自律性を重視することが望ましいとする考え方をご紹介しましたが、この記事では自律的なチームがうまく機能しなくなる事例が述べられており、研究開発マネジメントを考える上でも示唆に富むと思われますので、その内容をまとめておきたいと思います。なお、この記事は抄録ですので、ご興味のある方は元の邦訳[文献2]、原論文[文献3]もご参照ください。 ナットアイランド症候群とは ナットアイランドというのはアメリカ、マサチューセッツ州ボストン郊外の地名で、そこにあった下水処理場がこの事例の舞台です。1960年代後半に
2010年09月05日22:28 カテゴリ研究マネジメント・トピックス コア・リジディティ コア・コンピタンス、コア・ケイパビリティという考え方は、企業の競争優位の源泉として、技術開発の場面においてもよく話題になります[注]。どんな研究テーマに取り組むべきか、技術開発の方向はどうあるべきかなどを考える時に当然おさえておくべきことには違いないと思うのですが、下手をすると研究開発活動に過度の制約を加える因子ともなるように思います。そこで、今回は、コア・コンピタンスに伴う負の側面と考えられる「コア・リジディティ(硬直性)」についてまとめておきたいと思います。 「コア・リジディティ」とはLeonard-Bartonにより提案された言葉とのことですが、著書[文献1、p.46-86]ではその概念の重要性について、「コア・ケイパビリティをマネジメントするうえで問題になるのは、それが逆説的にコア・リジディ
2024年01月21日23:30 カテゴリ研究マネジメント・トピックス読書録 「起業の失敗大全」(アイゼンマン著)より 起業の事例を知ることは、ベンチャーやスタートアップの立ち上げだけでなく、既存企業における研究開発や新規事業の立ち上げの際にも非常に役立つでしょう。もちろん、事例やそこから導かれた起業の方法論が研究開発にそのまま役立つとは限りませんが、起業の成功や失敗をもたらす要因や、起こり得る事象の例、パターンを知っておけば、実践の場でその知識を活用することもできるように思います。 ただし、起業の成功や失敗の分析が信頼性の高いものでなければあまり参考にはならないでしょう。例えば、起業の成功は優秀な天才起業家の活躍によってもたらされたという視点からその起業家の考え方や行動を分析した考察は(起業家の才能によって成功した事例もあるとは思いますが)、一般の研究者やマネジャーの参考にはなりにくいと
2012年01月15日22:14 カテゴリマネジメントについての考察など 魔の川、死の谷、ダーウィンの海を越える 研究開発の前に立ちはだかるといわれる次の3種類の壁についての私の理解を以前にご紹介しました。 魔の川:アイデア・基礎研究から実用化を目指した研究までの間の壁 死の谷:実用化研究から製品化までの間の壁 ダーウィンの海:製品が市場による淘汰を受けて生き残る際の壁 すべての研究開発がこの3つの壁を越えていく必要がある、というわけではありません。しかし、研究開発を実用化する上での困難なポイントをうまく説明する考え方として私は気にいっています。この背景には、研究の実用化が「基礎研究」→「応用(開発)研究」→「設計・製造」→「販売」といういわゆるリニアモデルに従って進む、という考え方がありますが、リニアモデルのような単純なモデルに従って研究が進む場合はほとんどないことが現在では広く認識され
2010年12月19日16:30 カテゴリ研究マネジメント・トピックス エスノグラフィーとイノベーション i.schoolについて取り上げた時に、「エスノグラフィー」という言葉が登場しました。最近の「日経ビジネス」誌2010.12.6号にエスノグラフィーの記事がありましたので、エスノグラフィーについてまとめてみたいと思います。 日経ビジネス誌記事[文献1]の簡単な紹介 エスノグラフィーとは、文化人類学や社会学の調査手法で、集団の内部に入り込み長期間の観察やインタビューを行なうことで、豊富な定性情報を取得するフィールドワーク手法、ということですが、この手法を企業におけるマーケティングや既存業務の見直しに活用する事例が増えるにつれ、注目が高まっているようです。この手法が得意とするところは、消費者や働く人が自分自身でも気付いていないような潜在的な意識や思考の理由などを探しだす点ですが、時間とコス
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