総合大学で工学部はもっとも学生数が多い。にもかかわらず大学に入学する高校生は、工学に対してどれだけの知識を持っているのだろうか。高校の先生方は工学をどのくらい理解しているのだろうか。高校の普通科には、工学の時間はない。そもそも工学とは何なのだろうか。 受験業界や高校の進路指導では、工学は理系扱いされている。受験科目として数学や物理学などがあるからだ。大学でも理系とするところが多い。でも本当に工学は理系なのだろうかと最近思う。理系的な発想だけで、真に優れた技術を生み出せるのであろうか。 産業革命以降のこれまでの工学は応用理学であった。発展途上期はそれでいい。成熟期を迎えた工学は方法論ではなくて、そもそも何を目的としているかによって定義すべきだろう。その立場からは、工学は明らかに「文化創造学」だ。技術はもともと人が創意工夫して生み出した文化である。 20世紀までは物質的な豊かさの提供が文化であ