評価が高かった「D2C戦略」のその後 スポーツシューズの世界で群を抜くブランド人気を誇っていたナイキが、大きく失速している。10月に発表された2025年5月期第1四半期(6~8月期)の決算では売上高が前年同期比10%減、純利益は28%減となり、ジョン・ドナホーCEOは退任。通期の業績見通しも撤回される事態となった。 ナイキは2017年以降、小売店への卸を大幅に減らし、「D2C(Direct to Consumer)」へと舵を切っていた。D2Cとは卸売や小売事業者を通さず、メーカーから消費者へダイレクトに販売する手法のこと。ナイキも、人気商品の多くを自社ECサイトと直営店のみで販売する戦略に転換。コロナ禍で対面活動が制約を受けるタイミングと重なったこともあって、一時はメディアなどでも高い評価を受けていた。 ところが、ナイキの商品のみが並ぶECや直営店では、他メーカー商品との比較検討ができない