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メルシャンはこのほど、同社商品開発研究所が、カシス果汁に含まれる多糖類に強い抗腫瘍作用があることを動物実験で確認したと発表した。研究成果は日本農芸化学会大会で3月26日に報告する。 研究グループは、カシスに含まれる多糖類(CAPS:カシスポリサッカライド)を1週間毎日経口投与した後、腫瘍細胞(エールリッヒ腹水がん)を移植し、さらに2週間CAPSを毎日、経口投与した。その後、腫瘍を摘出し、重量を測定した。 その結果、CAPS投与群は対照群に対し、腫瘍増殖を51%抑制した。カシス果汁では45%だった。この結果は、抗がん剤のピシバニール(64%抑制)やアドリアマイシン(62%抑制)を投与した群と遜色がなく、対照群に対し、いずれも有意に強く抑制されたという。 本件についてのメルシャンのプレスリリースはこちらで閲覧できる。(中沢真也)
胃がん手術を受けた患者の予後を追跡したところ、ピロリ菌陽性者の方が陰性者よりも大幅に生存期間が長い――常識的な予想を裏切るような研究成果がこのほど報告された。独Ludwig Maximilians University of MunichのGeorgios Meimarakis氏らが、治癒切除を受けた胃腺がん患者をピロリ菌陽性者と陰性者に分けて53カ月追跡したところ、無再発生存期間は、陽性者56.7カ月、陰性者19.2カ月、全生存期間は陽性者61.9カ月、陰性者19.2カ月と、大差がついた。詳細は、Lancet Oncology誌2006年3月号に報告された。 1994年、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が、ピロリ菌を発がん性クラスI(ヒトに対して発がん性がある)に分類した。が、ピロリ菌陰性でも胃がんになる患者は存在する。切除後の生存に対するピロリ菌の影響も明らかではな
2006.03.10 【解説】うつ病女性の妊娠時には細心の注意が必要、リスク/効能評価後に治療方針を決定すべき JAMA誌、NEJM誌などに相次いで報告された3本の論文は、うつ病の女性が妊娠した場合には、管理に細心の注意が必要であることを示している。抗うつ剤の使用を中止した場合の再発リスクは、使用を継続していた場合の5倍と高いが、妊娠の後半に抗うつ剤、特に選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)を使用すると、産児の新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)リスクは6.1倍になる。また、SSRIの胎内暴露があった新生児では、30%が新生児禁断(離脱)症候群(NAS)を示すことも明らかになった。 これらに加えて、2005年12月、米食品医薬品局(FDA)は、SSRIのパロキセチンを妊娠初期に使用した場合、他の抗うつ薬に比べ、先天性奇形リスクが約2倍になる可能性を公表している(関連トピックス 参照)。ま
野菜や果物のゆるぎない健康効果が、大規模な研究調査で改めて確認され、このほど医学誌「ランセット(Lancet)」に報告された。英国の研究者たちは、野菜や果物の摂取量と脳卒中の発症率といったデータがそろっている論文を選び出し、摂取量によって3グループに分けて脳卒中になる危険性を比較した。選ばれた論文は8本、対象となった人の数は合計で25万人を超えた。 その結果、野菜や果物の摂取量が1日3単位未満の人と比べると、5単位以上の人では脳卒中になる危険性は26%も低く、3〜5単位では11%低いことがわかった。これは野菜や果物に多く含まれるカリウムに、脳卒中の主な原因となる、高血圧を防ぐ働きがあるためだろうと研究グループは分析している。 ここでいう「1単位」はおよそ0.5カップ、重さにして野菜なら80gくらいになる。ホウレン草のおひたし1皿、野菜サラダ1皿、ミカン1個、リンゴ2分の1などが「1単位」に
2006.02.27 日本人が抱く精神疾患のイメージ 「家族の一員になってもいい」は、うつ病で16%、統合失調症で9%に過ぎず 日本の一般市民は、精神疾患あるいは精神疾患の患者に対して、どのようなイメージを抱いているのか−−。住民に対する面接調査によると、統合失調症やうつ病を正しく認識できたのは30%弱と決して高くはなく、また、うつ病に対しては30%が、統合失調症に対しては54%が「社会の中で差別される」と考えていることも分かった。一方で「彼らが結婚して家族の一員になってもいい」と考える人は、うつ病の場合16%、統合失調症の場合9%に留まり、偏見や差別が深刻である実態も明らかになった。長崎国際大学の中根允文氏(写真)が2月23日、日本社会精神医学会の教育講演で発表した。 中根氏らは2003年から、日豪共同の「精神疾患の知識と理解に関する研究」に取り組んでいる。両国で共通の調査票を作成し、そ
東京医科歯科大学は4月にも性犯罪者専門外来を開設する。保護観察期間満了者を対象とし、さらに自発的参加希望者も受け入れるのが特徴の一つ。外来の開設場所については、現在交渉中だという。同大難治疾患研究所の東本愛香氏らが2月23日に開催された日本社会精神医学会で発表した。 2004年に発生した奈良小学女児誘拐殺人事件を機に、法務省は監獄法を改正し、性犯罪者処遇プログラムを策定するなど対策に乗り出している。性犯罪の再犯防止が目的だが、処遇期間に限界があるため、保護観察期間や仮出所期間を過ぎた性犯罪者の治療継続という面では、課題が残ると指摘されていた。 このため難治疾患研究所では、性犯罪者の治療を継続して行う受け皿が必要と考え、性犯罪者専門外来を開設することにした。同時に、自発的参加希望者も受け入れるが、こちらは犯罪を未然に防ぐための治療プログラムという意味合いとなる。 具体的な治療は、認知行動療法
世界保健機関(WHO)は9月29日、インドネシアで4人目のH5N1亜型トリインフルエンザウイルス感染が、検査で確認されたと発表した。感染が確認されたのはジャカルタ出身の27歳の女性で、9月17日に発症して19日に入院、26日に死亡した。調査の結果、この女性は自宅で病死した鶏に直接接触したことが判明している。 インドネシア保健省の発表によると、同国では、H5N1感染の疑い例などとされる患者数は9月27日までに57人にのぼっている。WHOによると、多くはH5N1感染の症状を呈していないが、最終的な診断が下るのを待っている。確定例を見逃さないための措置だという。H5N1感染の可能性が高い患者については、WHOのリファレンス研究施設に検体を送付している。 国連食糧農業機関(FAO)によると、インドネシアの多くの地域で、家きん類のH5N1ウイルス感染が蔓延している。同国では雨季を迎える11月から4月
加熱したコエンザイムQ10(以下CoQ10)ブームに対して、最近は批判的な記事を目にするようになった(1、2、3)。これらの記事の中で、CoQ10のアンチエイジング効果などの科学的検証が不十分であるとの私のコメントも紹介されている。もちろん効果がないと言っているわけではない。十分な科学的根拠がない現状では、経口摂取したCoQ10に効果があるともないとも、あるいは害があるともないともいえない。だから、その利用に対して慎重であるべきだといっているのである。 CoQ10を利用する理由としてしばしば引き合いに出されるのが、細胞中のCoQ10が加齢とともに減少したという研究論文である。CoQ10は細胞内のエネルギー産生に重要な役割を果たしているので、それが減少すれば細胞内代謝に悪影響が及ぶ。加齢とともにCoQ10が減少するのであれば、それを摂取して増やすべきだ、というのが、CoQ10の宣伝文句である
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