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既存RAGの課題、ハルシネーションやコンテキスト理解不足など 企業における生成AI活用では、情報の正確性が特に重視される。そのため、生成AIを利用する場合、検索拡張生成(RAG)の導入が一般的となっている。RAGとは、生成AIに外部データベースを接続することで、より正確な回答を生成する手法。RAGは特に文書要約やシンプルなクエリへの回答で優れたパフォーマンスを発揮するといわれている。 しかし、既存のRAGシステムには、いくつかの課題が存在する。課題は大きく4つに分類される。 第1の課題は、RAGだけでは情報の正確性が担保できないことだ。たとえば、営業担当者が商談の売上を問い合わせた場合、チャットログやメール、CRMなど、複数のデータソースが参照対象に含まれる。この場合、CRMが最も信頼できる情報源となるはずだが、RAGシステムは、自律的にそのことを判断できないため、古いメールから誤った情報
グーグルNotebookLM、AIコミュニティで大きな注目、ビジネス版も年内リリースへ さまざまなマルチモーダルAIが登場する中、グーグルのAIツール「NotebookLM」がAIコミュニティで大きな話題となっている。NotebookLMは、PDFやグーグルドキュメント、スライド、ウェブサイトなど、多様な形式のコンテンツをアップロードし、Gemini 1.5を基盤とするチャットボットと対話できるクラウドベースのAIワークスペース。ユーザー数は既に数百万人規模に達し、8万以上の組織が導入したとされる。この急速な普及を受け、グーグルは年内にも企業向けの有償版「NotebookLM Business」をリリースする計画だ。 NotebookLMが注目される理由の1つは、最近導入された「Audio Overviews(音声の概要)」機能。この機能を使えば、アップロードした情報ソースをもとに、人工音
企業のDX推進が叫ばれる今。AIをはじめとしたデジタル技術を、さまざまな職種・ポジションで活用しながら個々人のビジネススキルを高めていくことが企業には強く求められている。特にデジタルコンテンツが急増し、コンテンツを創るハードルが格段に下がっている中で、一人一人が「伝える力」を強化しクリエイター的存在になることが、結果的に企業の長期的な成長につながる状況にもなりつつある。 こうした1億総クリエイター時代に、クリエイティブスキルを高めるコンテンツ制作ツールとして、アドビ社が発表したのが「Adobe Express」だ。Adobe Expressは、デザイナーでなくとも誰でも簡単に、バナーやチラシ、動画を作成できるツールである。同サービスを駆使することで、デザイン経験がない人でも、気軽にクオリティの高いコンテンツを制作できるようになり、ビジネス現場に大きな変革が訪れる可能性もある。 では、Ado
ガートナー、Capgeminiも注目、エージェントAIに関する最新予測 AI分野における焦点は、単一の「大規模言語モデル(LLM)」から、複数のモデルによる「エージェントAI(Agentic AI)」にシフトしつつある。ガートナーの最新予測によると、2024年時点で1%未満に過ぎないエージェントAIの企業向けソフトウェアアプリケーションへの組み込み率は、2028年までに33%に達する見込みだ。これにより、日々の業務における意思決定の15%が自律的に遂行される可能性があるという。 エージェントAIとは、人間の監視を最小限に抑えながら、自律的に動作し、自己改善を図り、複雑な環境下での意思決定を効果的に行えるAIシステムを指す。セールスフォースによれば、AIの発展は3つの波に分類できる。第1波は予測AI、第2波は生成AI、そして現在、第3波としてエージェントAIの時代が到来しているという。 Ca
AIと生産性、企業におけるソフトウェア開発、最新調査概要 生成AIが労働生産性に与える影響について、具体的なデータが明らかになった。マイクロソフト、アクセンチュア、そして匿名の大手電機メーカーにおいて実施された大規模な無作為化比較実験の結果、AIを活用した開発者支援ツール「GitHub Copilot」の導入により、ソフトウェア開発者の生産性が26.08%向上したことが判明した。 調査は、プリンストン大学、MIT、マイクロソフト、ペンシルベニア大学ウォートン校の研究者らによって実施された。対象となったのは、4867人(3社合計)のソフトウェア開発者だ。GitHub Copilotは、GitHubとOpenAIとの協業で開発されたAIベースのコーディングアシスタントで、インテリジェントなコード補完を提案する機能を持つ。開発者が書いているコードやコメントの文脈を分析し、関連するコードスニペット
グーグルが注目するプロンプトエンジニアリング技術 同じ大規模言語モデル(LLM)でも、プロンプトの精度によってアウトプットの内容や精度は大きく変わる。プロンプトエンジニアリングの重要性が注目されている所以だ。プロンプトエンジニアリングの最新技術として関心を集めているのが、10億ドル規模の評価額を持つAIスタートアップCharacter.aiが開発し、その後グーグルに買収された「Prompt Poet」だ。 Prompt Poetは、LLMの応答を最適化するための高度なプロンプト作成を、ユーザーフレンドリーな低コードテンプレートシステムで簡素化するツール。Character.aiは、LLMに性格を吹き込み、任意のキャラクターを演じさせるプラットフォームを開発してきた。これに伴い、同社は日々数十億のプロンプトを構築する必要があった。効率的に高精度のプロンプトを大量に作成するために生まれたのが、
出版科学研究所によると、日本の書店数は2003年に「20,880店」だったのが、23年には「10,918店」と、20年間でおよそ半減している。この減少の背景には、本を読む機会そのものの減少に加え、Amazonなどのオンライン書店や電子書籍の普及があると考えられる。さらに、日本特有の出版流通システムにより、本屋は「薄利多売」のビジネスモデルとなる傾向にあり、時代の変化に伴い経営が厳しくなっている。 そこで、2024年3月5日、経済産業省は省横断プロジェクトとして、全国で減少する本屋を支援するため、大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を発足させた。フランスや韓国などの先進国の取り組みを参考にし、本屋を単なる小売業ではなく「文化創造基盤」として振興をしていく方針を固めた。 さらに現在、店主の個性が反映された独自の品揃えや、個性的な空間づくりで顧客を惹きつける「独立系書店」が増加している。これ
8月、ドイツの車メーカー「BMW」が、ヒューマノイド「Figure 02」を使って、自動車製造現場での実証実験を成功させたと発表した。公開された動画には人間のシルエットをしたロボットが製造ラインで滑らかに指を動かし、器用に金属部品をはめている姿が映っていた。このロボットは複雑な部品をミリ単位の精度で、自律的に配置することができるという。 世界的にヒト型ロボット、いわゆるヒューマノイドロボットの開発が加速している。アメリカの有名企業も投資を行っており、今後市場がさらに拡大すると見込まれているのだ。その中で、ヒューマノイドロボットが労働者の代わりになることが期待されている。 日本では人手不足による倒産が過去最多を記録した。ヒューマノイドロボットが社会、経済の救世主となるのかもしれない。 「Figure 02」がBMWの工場で実証実験を行った(BMWホームページより) 会話や画像から作業を読み取
動画生成AI分野で、新興スタートアップが次々と登場し、既存の企業に対する競争圧力が高まっている。中でも高い関心が集まっているのが、大手半導体メーカーのNVIDIA、グーグル、メタの元社員によって設立されたスタートアップ「Hedra」と、元マイクロソフトエンジニアのガウラブ・ミスラ氏が創業したスタートアップ「Captions」だ。 この分野は、OpenAIのSora、Pika、Runway、Lumaなど複数のプレイヤーがひしめき合う激戦状態だが、HedraやCaptionsの参入で競争はさらに激化することが見込まれている。 現在、特に注目度の高いこの2社に焦点を当てて、それぞれがどのような強み・特徴を持っているのかを探ってみたい。 自然なリップシンクができるAIアバターで人気「Hedra」 AIアバターを簡単に作成できるHedra hedra公式サイトより シードラウンドでは1,000万ドル
最新ベンチマーク、「Hallucination Index」 1年ほど前まで、大規模言語モデル(LLM)は、いわゆるクローズドソースモデル、特にGPT-4が圧倒的な性能を誇っており、さまざまなベンチマーク/リーダーボードにおいて、トップを独占する状態が続いていた。 しかし現在、その状況は大きく変わりつつある。競合クローズドソースモデルの追い上げに加え、オープンソースモデルの躍進により、多極化が進んでいるのだ。開発者やユーザーにとってGPT-4以外の選択肢が大幅に増えたことを意味しており、AIアプリケーションの最適化や低コスト化が一層進む可能性が高まっている。 この状況を如実に示すベンチマークの1つがAIスタートアップGalileoの「Hallucination Index」の最新版だ。Galileoは22の主要な大規模言語モデルを対象に、不正確な情報を生成する傾向(ハルシネーション)を評価
GPT-4レベルのモデルをカスタマイズ可能に、メタのLlama3.1 405Bモデルがもたらす変革 生成AI市場において、これまでOpenAIのGPT-4、AnthropicのClaude、グーグルのGeminiなど、いわゆるクローズドソースモデルが圧倒的な精度を誇っており、オープンソースモデルは精度面で後塵を拝する状況が続いていた。 メタが2024年7月23日に発表したLlama3.1により、この状況が大きく変わろうとしている。Llama3.1は、3つのサイズ(パラメータ数)からなるモデルファミリー。最小かつ最速が80億パラメータのLlama3.1 8Bモデル、中型が700億パラメータのLlama3.1 70B、最大となるのが4,050億パラメータのLlama3.1 405Bモデルだ。トレーニングには、1万6,000台のNVIDIA・H100が使用されたという。 この中で特に注目されるの
スペイン発の55歳以上の利用者を対象にしたSNS「Vermut(ベルムット)」をご存知だろうか。4年前に誕生し、社会交流できる場所をオンライン・オフライン(リアル)ともに探すことができるアプリだ。 アプリが生まれた背景にはスペインの高齢化社会がある。 今年初めに発表されたデータによると、2023年1月時点でスペインにいる65歳以上の人口は968万人に達し、総人口の約5分の1を占めたという。50年後までにさらに約700万人増えるという予想もある。一方で出生率が低くなっているため、日本と同様、少子高齢化の道を着実に歩んでいるのだ。 高齢者が増えたことでさまざまな課題があるが、Vermutが注目したのは「高齢者の孤独」。 かつては2世代、3世代が同じ家に暮らし、老後には介護サポートをする家族の姿が見られた。ところが、現在は家族構造が変化し、一人暮らしや高齢夫婦だけで暮らす世帯が増加している。 そ
製造業界における労働力不足と生産性向上の課題に対して、ロボットによる機械化だけでなくAIを組み合わせるアプローチが徐々に増加中だ。GrayMatterという米国のスタートアップが開発した「物理ベースAI」を搭載したロボットはその1つ。人間の仕事を奪うと恐れられてきたAIは今、どこまで進化してきているだろうか。 注目のテクノロジー、物理ベースAI搭載ロボット AIを搭載したロボット開発の、米国のスタートアップGrayMatterが4,500万ドル(約71億円)のシリーズBラウンドの資金調達に成功し、これによって総資本は7,000万ドルになった。同社は「物理ベースAI」を搭載したロボットを開発しており、この資金を基に開発を加速させる計画だ。 ロボティックオートメーションはすでに市場で活用されている技術で、例えばApple社でも様々な組立ラインで利用している。このロボティックオートメーションに「
撮影しなくても動画を生成 一つまた新しい動画編集ソフトが誕生した。その名も「Augie Studio」。以前は「Aug X Labs」という名前で知られ、2年間のベータテストを経て、6月17日に正式リリースとなった。「映像制作の新時代をリードする」というキャッチコピーを掲げ、誰でも簡単にプロの動画クリエイターが作ったような映像を作れるとして注目を集めている。 ターゲットはSNS広告担当者や企業のマーケターなどの動画コンテンツを任された担当者たち。アメリカの動画マーケティング会社「Wyzowl」の報告書によれば、マーケティング担当者の87%が、動画が売上に直接的にプラスの影響があったと回答していて、2016年以降で過去最高になったそうだ。 そのためほとんどの企業が動画をマーケティングや広告・営業ツールの一つとして捉えている。そして、いわゆる“バズる動画”をより簡単に作れる方法を模索しているの
自動化の波は法務の世界にも押し寄せている。 情報サービス大手のトムソン・ロイターがこのほど法務特化型生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を発表した。法務、メディア、税務、会計、輸出入管理、FTA、コンプライアンス管理業務に強い同社が、最新情報と革新的なテクノロジーをリンクさせたプラットフォームに注目が集まっている。 CoCounselの生みの親Casetext トムソン・ロイターは昨年8月、カナダの法務AIスタートアップCasetextを買収し、傘下におさめている。 昨年10周年を迎えたCasetextは、2013年にロースクール出身の創設者が実際の訴訟に関わる業務に携わる中で、情報へのアクセスの悪さに疑問を抱いたのが始まりとされている。 「家から1マイル以内の特定の料理が食べられるタイレストランは数分で検索できるのに、クライアントのためにたった一つの判例を探すのに毎晩朝4時まで
OpenAIがエンタープライズ機能を拡張、その詳細 企業における生成AIの活用をさらに進めるには、AIモデルの精度向上に加え、セキュリティ、プライバシー、コスト管理などの要素も必須だ。当初から法人をターゲットとしてきたAnthropicやCohereが存在感を示す中、OpenAIも企業向けの取り組みを加速し、シェア拡大を狙う。 OpenAIは2024年4月、GPT-4 Turboなどの大規模言語モデル(LLM)を活用したエンタープライズ向け機能の拡張を発表した。具体的には、セキュリティや管理機能の強化、コスト管理の効率化などを実現する新しい機能となる。API経由で同社のLLMを利用する企業をさらに増やす計画だ。 セキュリティ面では、マイクロソフトのAzureクラウドサービスとOpenAI間の直接通信を可能にする「Private Link」を導入。これにより、APIを介して送信される顧客デー
マイクロソフトとG42が4月16日に調印。左からG42取締役に就任したマイクロソフトのブラッド・スミス副会長兼社長、G42のタフヌーン・ビン・ザイド会長、G42のペン・シャオCEO(出典:G42公式サイトhttps://www.g42.ai/resources/news) 米マイクロソフトは4月、UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビを拠点とするAI企業、G42(Group 42 Holding)に15億ドル(約2,300億円)を投資すると発表した。両社はすでに協業関係にあったが、今回の多額の投資を機に、マイクロソフトがG42の少数株主となり、取締役を送り込む。G42の側は今後、マイクロソフトのAzureクラウドサービス上で、AIアプリケーションとサービスを実行することになる。 これは一見、投資と業務提携の深化という、よくあるビジネス事案だが、実際には米国、UAE両政府がこの案件に強く関
アップルも注目する小型LLM ChatGPT、特にGPT-4が登場して以来、大規模言語モデル(LLM)の性能向上において、パラメータ数を増やすアプローチが主流となってきた。しかし最近では、パフォーマンスを維持しつつ、パラメータ数を減らす、小型モデルの開発が活発化している。この大規模言語モデルの小型化において、水面下で動いているのがアップルだ。 アップルは2023年12月、「LLM in a flash」という論文を発表。この研究では、iPhoneやMacBookといったメモリ制約のあるデバイスでLLMを動作させる手法が提案されている。具体的には、モデルの一部をDRAMに、残りをフラッシュメモリに分散して格納し、必要に応じてDRAMとフラッシュメモリ間でモデルの重みを動的に入れ替えるというアプローチ。これにより、メモリ使用量を大幅に減らしつつ、推論の遅延を最小限に抑えることができるという。特
AmazonがこのほどAIスタートアップのAnthropicへ27億5,00万ドル追加出資し、同社への投資を完了したと発表。合計40億ドル(約6,063億円)の投資は、Amazon史上最大の社外投資と報じられた。Microsoftが抱えるOpenAIのライバルであるAnthropicへの投資でAmazonが目指すBedrockの強化に注目が集まっている。 AIをめぐるテック企業の競争激化 改めて言うまでもなく、Amazonの巨額投資は近年ますます激化している生成AI競争を勝ち抜く狙いがある。世界のAIレースは現在、OpenAIとパートナーシップを提携したMicrosoftが業界の圧倒的勝者だと見られている。 MicrosoftはOpenAIに対して2019年に10億ドル、2021年に2回目の出資(額は不明)をし、2023年1月にはさらに100億ドルの投資をしたと報じられている。その後、10
NVIDIAに対抗するAIスタートアップGroqとは? NVIDIAが驚異的な決算を記録する中、シリコンバレーで密かに注目を集めているスタートアップがある。大規模言語モデル(LLM)の推論に特化したAIチップ「言語処理ユニット(LPU)」を開発するGroqだ。 VentureBeat(2024年2月23日)の報道によると、Groqは「年末までに、(同社のAIチップが)LLMスタートアップの主要インフラとして広く使用されることになるだろう」と予測されており、NVIDIAが圧倒的なシェアを占める市場で一石を投じる構えを見せている。 Groqの創業者でCEOを務めるジョナサン・ロス氏は、CNNのインタビューで同社のオーディオチャットインターフェースを披露し、「スピード記録を打ち破る」と自信を見せた。実際、Groqのチャットアプリのデモ版では、ユーザーが選択した「Llama」や「Mistral」モ
Open AIやGoogleなどといった競合に対抗するべく、Stable Diffusion 3(SD3)を発表したStability AI。最新かつ最強の画像生成AIモデルとされているSD3は、「Diffusion Transformers」に基づいた新しいアーキテクチャを採用し、さまざまなハードウェアで動作する。このDiffusion Transformersとはどのようなアプローチなのだろうか。 2022年には存在していたDiffusion Transformers 今話題となっているDiffusion Transformersそのものは、2022年夏にAIリサーチ研究のシーンに登場したAIモデルアーキテクチャ。ニューヨーク大学のコンピュータサイエンス教授のXie氏が、当時MetaのAIリサーチラボでインターンをしていたPeebles氏(Xie氏がメンター)と共に、機械学習上の2つの
ディープマインドの共同創業者であるムスタファ・スレイマン氏とリンクトインの共同創業者であるリード・ホフマン氏が設立したInflection AIが、新たな基盤モデル「Inflection-2.5」を発表した。 このモデルは、同社のチャットボット「Pi」に搭載され、OpenAIのGPT-4に匹敵する性能を発揮するとして注目を集めている。特にSTEM分野において大幅な性能向上を実現し、GPT-4の94%の性能をわずか40%の計算量で達成。また、GPT-4と同様にリアルタイムのウェブ検索機能を組み込むことで、最新の出来事に関する情報提供が可能となっている。 昨年13億ドルの資金調達に成功し、ビル・ゲイツ氏も注目するInflection AIは、パーソナルで口語的な「共感力のある、有用で安全なAI」の構築を目指す。以下では、Inflection-2.5の性能と特徴をみていきたい。 Inflecti
活発化する各国における生成AI開発 ChatGPTのベースとなっているGPT‐3.5やGPT-4などの大規模言語モデルのほとんどは、英語中心のデータによってトレーニングされており、英語以外の言語を苦手とする場合が多い。 GPT‐3.5やGPT-4は比較的英語以外の言語に強い方だが、他のモデルに至っては、日本語などの非英語によるプロンプト(指示)を理解しないケースも多く、英語とそれ以外の言語におけるギャップを取り除くのが今後の大きな課題となっている。 たとえば、オープンソースの中で最も強力なモデルといわれるメタのLlama2のトレーニングデータの言語別内訳を見ると、英語が89.7%で最多、これに「その他」が8.38%と続き、他の言語データはすべて1%に満たない状況だ。他言語のうち最も比率が高いドイツ語でも0.17%にとどまり、日本語は0.1%のみ。日本語に対応させるには、Llama2に追加の
企業におけるAI普及を拒む課題 AI技術が企業運営に不可欠なものとなっている。しかし、企業がAIアプリケーションを開発するには多くの課題があり、実際にプロダクションまで至るケースは少ないといわれている。 ガートナーの調査によると、企業におけるAIプロジェクトのうち、パイロットからプロダクションに至るのは54%にとどまることが判明。半分近いプロジェクトが失敗に終わっていることが示された。 また少し前のデータではあるが、企業におけるデータサイエンスプロジェクトのうち、プロダクションに至るのは13%だったともいわれている。10のプロジェクトのうち、成功するのは1つのみということになる。要因はいくつかあるようだが、特に重大なものとして最近注目されているのが、AIプロジェクト開発におけるパイプラインの脆弱性だ。 企業が自社データを活用したAIプロジェクトを推進する際、ほとんどの場合において、AIプロ
ペライチは、無料から使えるノーコードアプリ作成ツールをリリースした。 ペライチ、ノーコードアプリ作成ツールをリリース 今回リリースされたアプリ作成ツールは、プログラミングの知識やスキルがない人でも直感的な操作によってアプリを作成できるノーコード型だという。 料金も作成したアプリがダウンロードされた際に初めて発生するため、導入コストをかけずにオリジナルアプリの作成が可能。なお、ダウンロードにより発生する料金は累進加算方式が適用されているとのことだ。 同ツールを活用することで、ユーザーは低コスト、短期間で簡単にオリジナルのスマホアプリを作成できるとのことだ。 利用イメージ ■利用料金 ダウンロード数ごとの料金は下記図のとおり。また、Apple App StoreおよびGoogle Play Storeの管理代行費用は無料で、ユーザー独自アカウントを希望する場合は、管理代行費用として月11,00
大規模言語モデルのランドスケープとグーグルGeminiの位置付け 2023年は、コンシューマ領域における生成AIの利用が爆発的に増えた年となった。同年11月時点の情報によると、OpenAIが展開するChatGPTのアクティブユーザー数は1週間あたり1億人に達したとされる。 これに続き2024年はエンタープライズ(法人)領域における利用が増える見込みだ。 ブルームバーグは2024年1月12日OpenAIのブラッド・ライトキャップCOOの話として、同社が2023年8月に法人向けにリリースした「ChatGPT for Enterprise」に関して、現在260社の顧客がおり、15万人のユニークユーザーが利用していると伝えた。OpenAIはブルームバーグの取材で、法人顧客の具体的な社名には言及していないが、自社ブログでCanva、PwC、Zapierなどの多くの有力企業が利用していることを明らかに
大規模言語モデルを活用した生成AIアプリケーションへの期待と懸念 2024年は、大規模言語モデルを活用したユースケース別の生成AIアプリケーションが多数登場する見込みだ。しかし一方で、これらのアプリケーションを導入する、または自社で開発する企業が増えるか否かは、アプリケーションの安全性、正確性、中立性が確保されるかどうかに依拠することになるだろう。 法人文脈ではコンプライアンス/セキュリティ遵守が大前提となるため、社外向け・社内向けに関わらず、生成AIアプリケーションがハルシネーション(幻覚)を起こすことなく、事実を正確に生成すること求められるからだ。生成AIアプリケーションを開発する企業は、こうした導入基準を考慮した形で、アプリケーションを開発・提供しなければならない。 こうした需要を見込み、この1年ほどで、大規模言語モデルを活用した生成AIアプリケーションを開発する企業向けの評価ツール
OpenAI、Anthropicに並ぶ第3の生成AIスタートアップ 生成AI市場において大規模言語モデルを開発している企業は複数存在するが、そのうち3社は、資本やパートナーシップで圧倒的な競争優位を構築したとして注目されている。 ニューヨーク拠点の市場調査プラットフォームSacraの共同創業者、ジャンエリック・アスプンド氏による2023年10月末時点の分析によると、生成AI市場は現在、2010年代に起こったウーバーやLyftなどに端を発するオンデマンド市場トレンドに酷似しているという。このトレンドにおけるハイプ・サイクルの初期段階では、市場の勝者になると期待されたスタートアップに数十億ドルの資金が流れ込んだ。 アスプンド氏は、生成AI市場でもこのときと同様の動きが観察されると指摘。資金の流入先は3社。OpenAI、Anthropic、そしてCohereだ。この時点で、これら3社だけで145
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