慶応義塾大学教授の小林慶一郎著『 日本の経済政策 「失われた30年」をいかに克服するか 』(中公新書/2024年1月刊)は、1990年代以降の日本経済と経済政策の推移を点検し、今後の経済政策のあるべき姿を論じる書。 この間の米国を中心とするマクロ経済学界の動向が日本に与えた影響にも触れ、リフレ政策に厳しい評価を下している。 そもそもリフレ政策に希望が託されたのは、1990年代に事業規模で総額70兆円にも及ぶ財政政策を実施しても経済の低迷が続いたためである。 にもかかわらず、リフレ政策が失敗すると「財政政策が足りなかったからだ」とリフレ派の論者が主張しているのは、自らの存在意義を否定するかのような言説であると強く批判している。