サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
体力トレーニング
business.nikkei.com
「昼夜を問わず研究開発に没頭できる人材はいないか」。台湾積体電路製造(TSMC)の幹部は2024年8月下旬、日本のある国立大学の大学院教授にこう尋ねたという。 具体像を確認しようとする教授に、TSMC幹部ははっきり答えた。「日本人は想定より働かないが、博士号を取得できる学生なら違うはずだ。積極的に受け入れるルートを広く築きたい」 ■本連載のラインアップ予定 ・TSMC、博士獲得へ全国行脚 「昼夜問わず仕事できる人材」(今回) ・キリンHD、博士専用の採用サイト 海外勢との争奪戦で巻き返しへ ・ポケモン・コニカミノルタ、専門外に探求のフィールド開く ・富士通・サイバー、探求心を刺激し専門能力を発揮させる ・三井住友信託銀行、将来性を見抜く「目利き力」に着目 ・北大博士学生、ゴルフ場の集客を分析 育成へ大学も変わる ・筑波大博士、学生と企業がオンラインサロンに集う ・ジョブ型雇用で博士人材の才
この記事の3つのポイント 人員削減で、中核部門の営業利益率引き上げを目指す 政府が突然EV補助金を廃止したため販売台数が激減 稼ぎ頭だった中国市場でのシェア減少が痛手に トヨタに次ぐ世界第2位の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)で中核部門の収益率が低下。経営陣は経費削減策の強化を打ち出した。工場の一部閉鎖や解雇も辞さない。高い人件費、電気自動車(EV)の販売および中国事業の不振が同社を追い詰めた。 「自動車産業を取り巻く環境は大きく変わった。情勢は極めて厳しい」。VWのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)が9月2日に打ち出した方針は、同社の従業員だけでなく、ドイツの政界、経済界にも衝撃を与えた。 同社は「車の販売台数が減少しており、ドイツで生産能力が過剰になっている。2つの工場が余分だ。過剰生産能力を減らすには、これまでのような退職勧奨だけでは足りない。国内工場の一部閉鎖や
「書店復興」のシリーズでは、直木賞作家・今村翔吾さんのアクションを起点に、書店業態で新たな挑戦をしている事例を追っています。2023年4月、会計ソフト会社freee(フリー)が東京・蔵前で開いた「透明書店」は、初期費用から月ごとの売り上げ、利益などすべてを文字通り“透明”に開示するという、大胆な運営が話題を呼びました。オープン1年を経て、その手応えをお聞きします。
(前回から読む→「日本独特の『取次』が経営する本のホテルと喫茶店」) 書店ビジネスは今、厳しい。それは取次にもダイレクトにつながっている負の状況です。その中で日本出版販売(日販)が設立した子会社「ひらく」を、この先どういう方向に持っていけばいいと考えておられるか。後編は、そのあたりから伺えればと思います。 書店ビジネスは「縮小」ではなく「縮絨」しつつある 染谷拓郎さん(以下、染谷):書店周りのビジネスは確かに厳しい状況にありますが、私はそれを「縮小」ではなく「縮絨(しゅくじゅう)」と捉えています。 縮絨? 染谷:たとえばウールのセーターって、洗うとぐっと縮んだりしますよね。 ええ、繊維が圧縮されてフェルトみたいになります。 染谷:それをウール業界では縮絨と呼んでいるということで、その言葉を知った時に、私がイメージで捉えている市場の状況と重なるな、と思ったんです。 「縮小」と「縮絨」では、ど
首相がこう発言した背景には、国連が5月28日発表した調査報告書がある。報告書は、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が23年7月から8月にかけて実施した訪日調査の結果である。報告書で旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)などのエンターテインメント業界と並んで指摘を受けた業界がある。アニメーション業界だ。報告書は、アニメーターの低賃金、過度な長期労働、不公正な請負関係、クリエーターの知的財産権が守られない契約などを指摘し、「搾取されやすい環境がつくり出されている」と結論付けた。 作品排除「常にあるリスク」 日本のアニメ産業は近年、外需をけん引役として成長しており、22年に市場規模は3兆円を超えた。24年6月に日本政府が「新たなクールジャパン戦略」を公表し、アニメをはじめとするコンテンツ産業を基幹産業に位置付けた上で、海外市場規模を33年までに20兆円以上にする目標を掲げている。 今回の
染谷拓郎さん(以下、染谷):株式会社「ひらく」は日販が2022年4月に設立した子会社です。前身は15年に日販の中で立ち上がった新規事業を取り扱うリノベーション推進部です。ちなみに、その時の事業部責任者が、現在の日販グループホールディングス社長の富樫建でした。書店への来客数や売上高の減少は、その頃から大きな課題で、取次の立場から状況を変えていくにはどうしたらいいか、社を挙げてトライアルを重ねていました。 書店業界には「作家」「出版社」「取次」「書店」というステークホルダーがいて、大きなビジネス・エコシステムを構成しています。書店数の減少問題を、書店だけで解決しようとしても、限界がありますよね。 染谷:その通りです。サプライチェーンの一環である取次がアプローチすることによって、状況が変えられるのではないか。ということで、リノベーション推進部では日販グループの書店のリノベーションや、新しい業態開
この記事の3つのポイント EV用電池の需要は増大する一方だ 第1世代EVの寿命が近づき、使用済み電池が大量発生する 素材回収技術の開発が急がれる 電気自動車(EV)用電池の需要は増大する一方だ。電池材料の精製を中国が独占している点が懸念される。第1世代EVの寿命が近づき、大量の使用済み電池が出現すると予想される。素材回収技術の開発が急がれる。2040年には欧州の電池材料の6割がリサイクル素材になり、50年には鉱山採掘は不要になるとの予測がある。 一部の国で電気自動車(EV)販売に陰りが見えるとはいえ、EV用電池の世界需要は2023年に約40%増加。今後もこのペースで増え続けそうだ。そのため、ほとんどのEVで使われるリチウムイオン電池の主要材料であるリチウムの需要は、30年には現在の2倍以上に増え、240万トンを超えると見込まれる。 問題はリチウムの供給源だ。世界のリチウム埋蔵量は、炭酸リチ
「中国の自動車メーカーのエンジニアは毎日14時間くらい働いている。土曜出勤は当然で、日曜出勤も多い」。 車載ソフトを開発する南京普塔科技の謝健艦・最高経営責任者(CEO)は、自動車業界の労働環境についてこう明かす。謝氏はパナソニックホールディングス中国法人を経て、2019年に中国で起業した。車両制御やクラウド接続に関わるソフトを開発し、吉利汽車や第一汽車集団など現地の自動車大手や欧州メガサプライヤーを顧客に抱える。 ソフトウエアで車両を制御するSDVへの移行で、「車の製造コストに占める車載ソフトの割合は、かつての5%から30%まで高まった」と言い、受注が大量に舞い込む。自社でも毎日夜11時まで働くのが当たり前で、品質試験があるときは朝晩の2交代制だ。 米コンサルティング会社のアリックスパートナーズが従業員の1カ月当たりの平均残業時間を比較した。それによると比亜迪(BYD)は20~40時間、
公的年金の重要な改革が来年実施される予定だ。長年の課題の一つに保険料を負担しなくても年金受給ができる専業主婦の扱いがあるが、今回も進展は難しい。 「長年働いてきた身からすると、専業主婦の人たちが保険料を負担せず、年金を受給できるのには割り切れないものがある」。埼玉県に住むA子さん(65歳)は、今年年金を受給し始めて、そう感じるようになったと打ち明ける。 A子さんは短大を卒業後、大手物流系企業で定年まで働き、課長にもなった。30歳で離婚し、ずっと働いて生きてきたが、公的年金は月額16万円余り。「賃貸アパートの家賃を払うと生活はぎりぎり」だと言う。 A子さんが「割り切れない」というのは、会社員などに扶養されている20歳以上60歳未満の専業主婦(夫)は、年金保険料を納付しなくても国民年金(基礎年金)を受給できる第3号被保険者制度のことだ。これにはA子さんのような働く女性などを中心に不公平感が根強
この記事の3つのポイント 中国車載電池最大手のCATLがEVなどのショールーム 背景にEV販売の急減速、国内は1桁成長、海外輸出も制裁の影 EVバブル崩壊とは裏腹に、次世代車「SDV」の開発は活況 中国のEV販売が思わぬ展開を見せている。中国内陸部の四川省成都市の中心部からクルマで30分。オフィスビルが立ち並ぶエリア近くにある商業ビルに足を踏み入れると、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)がズラリと並べられた光景が広がっていた。 中国の大手や新興に加え、ドイツ勢の自動車も多く、日本勢ではホンダのEVが展示されていた。1万3000平方メートルの広大なフロアに並べられた数は、約50の自動車ブランド、100車種近くに上る。 最新車種が一堂に会するショールームがオープンしたのは2024年8月。運営を主導するのは、不動産業者でも自動車業界団体でもない。車載電池を手掛ける中国の寧徳時代新能源科技(
兵庫県議会による不信任決議を受けて失職した斎藤元彦・前兵庫県知事。失職前の9月26日に開いた記者会見では、3年間の県政における自身の実績をアピールし、自身のパワハラ疑惑などを告発された文書について「初動対応も含め問題はなかった」との認識を改めて示した。 ただし専門家からは、斎藤氏による告発者捜しや通報者の懲戒処分、強権的な事情聴取などについて、内部告発者を保護する「公益通報者保護法」への明確な違反であると指摘する声が相次ぐ。 告発者が自ら命を絶つという、最悪の結果を招いた今回の問題。立ち返るべきは斎藤前知事の道義的責任とともに、公益通報制度のあり方だ。公益通報制度に詳しい専門家として兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)に参加した、奥山俊宏・上智大学教授に話を聞いた。 奥山教授は百条委員会で、問題の発端となった前西播磨元県民局長=7月に死亡=による告発文書について、兵庫県が公益通報として扱
この記事の3つのポイント 老朽システムの保守運用を担っていた技術者が消える危機 中堅企業では、たった1人の技術者がシステム保守するケースも 技術者の転職が進めば、基幹システムを運用できない企業も出る 「2025年の崖」とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の足かせにもなっている老朽システムを何とかしないと、2025年あたりで大変なことになりますよとの警告、あるいはあおり文句だが、最近その2025年の崖がもう1つあることに気付いた。ある意味、こちらのほうが元祖2025年の崖よりも深刻なのかもしれないぞ。何せ「日本の失われた30年」の間に積み重ねた企業の悪行のせいで、IT部門に「誰もいなくなる」危機が迫っているのだからな。 勘がいい読者は既に「ああ、あれだな」とピンと来ているはずだ。多くの企業のIT部門で基幹システムなどの保守運用を担ってきた技術者が、2025年あたりには消滅してしまう
SuicaやPASMOといった交通系ICカードが主流だった日本の公共交通機関の決済手段に変化が訪れている。2025年度末までに東京メトロや都営交通を含む大手私鉄16社・公営地下鉄8社の7割の駅でクレジットカードのタッチ決済が利用できるようになるからだ。タッチ決済を推進するのは三井住友カード。世界で主流のタッチ決済を国内で普及させることで、ガラパゴス化した日本の公共交通機関の決済手段に風穴を開けようとしている。 「(公共交通機関でのタッチ決済は)24年度で約180社、25年度には約230社に導入される予定だ。25年度末には日本全国で利用できる環境が一気に整うだろう」 8月末に開催した説明会に登壇した三井住友カードの大西幸彦社長はこのように力を込めた。 三井住友カードは公共交通機関向けのタッチ決済サービス「stera transit」を展開する。公共交通機関がこのサービスを導入すると、駅の改札
この記事の3つのポイント まず「原子力でしかできないこと」を考えてみよう 解の一つは外惑星へ向かう探査機のエネルギー源 宇宙開発に実利があるから米欧は巨大探査機を飛ばす 前回、本連載“マンガ班”のモリナガ・ヨウさんが、「ローラースルーGOGO」を描いていた。 ホンダ(※)がつくったローラースルーGOGOが発売されたのは1975年の春。遊んだことのある人は、もはや50代半ばから後半になってしまった。(※発売当時は本田技研工業) ローラースルーGOGOは、キックスケーターを前2輪、後ろ1輪の3輪にしたような形状をしたユニークな乗り物だ。基本的には子ども向け遊具という位置付けの商品だった。 前2輪はスケートボードの車輪と同じ仕組みで、体を傾けると傾けた方向に車輪が切れ込んで曲がる。後輪には独特の駆動機構が付いている。この駆動機構が大変効果的で、ローラースルーGOGOは自転車と比べてもそこそこの速
大量の電力を消費するAI(人工知能)ブームのうねりが、ついに廃炉作業が進む原発を再稼働させる動きにまで発展した。米電力大手のコンステレーション・エナジーは米国時間9月20日、米東部ペンシルベニア州にあるスリーマイル島原発1号機を再稼働させると発表した。米マイクロソフトがAI向けに運用するデータセンターに対し、20年間にわたって独占的に電力を供給する。 1号機の出力は835メガワット。1メガワットで約300世帯の年間電力を賄えるとされており、単純計算で約25万世帯分の電力を原発から民間企業1社に独占供給するという異例の契約だ。 生成AIによってデータセンターの消費電力量が急増。電力不足のリスクは既に顕在化しており、米国では石炭火力発電所の閉鎖を撤回するといった脱炭素の潮流に逆行する動きも起きている。原発再稼働に石炭火力の延命──。AIによって米国の電力市場が揺れている。 スリーマイル島原発で
読んだ本の内容は忘れてしまいがちですが、関連分野をまとめて一時期に読むと記憶しやすくなります。インプットが定着しやすい効率のいい本の読み方とは、どのようなものでしょうか。外資系コンサルとして活躍し、今は独立研究者として注目を集める山口周氏の知的生産術を公開した『知的戦闘力を高める 独学の技法』(日経ビジネス人文庫)から抜粋・再構成してお届けします。 メトニミー的展開の読書 読書によってインプットされた内容はおおよそ忘れてしまうのですが、定着しやすい「効率のいい読み方」というのはあると思っています。それは「関連分野の固め打ち」です。ある分野の書籍を一時期にまとめて読むと1冊1冊の本の内容が相互に連関し始め、より強固に頭の中に定着するようになります。 このとき、本と本との間にはメタファー(隠喩)の関係と、メトニミー(換喩)の関係の2種類があることを意識すると知識の構造化を進めやすいでしょう。日
仕事量の多さに疲弊している現代の中間管理職。その原因の一つに挙げられるのが、部下に仕事を任せられないことだ。部下に仕事をさせるのがマネジャーの役割だと考えると、上司が仕事を抱え込んでいる状態は本末転倒だ。部下を管理・育成し、チームとして成果を上げる。そんな、マネジャー本来の仕事をするには、「プレーヤーとしての仕事を捨てる」ことが必要だ。目覚ましい成果を上げるハイパフォーマーの行動分析から、再現性の高いメソッドを導き出す行動科学マネジメントの第一人者、石田淳氏が「仕事の捨て方」を解説する。 最近、研修で訪れた企業で、マネジャーの方からこんな相談を受けました。 長年、企業で研修やコンサルティングを実施してきましたが、ここ数年、こうした悩みを聞く機会がグンと増えました。昇進によって部下の管理・育成といったマネジメント業務を担うようになった一方で、プレーヤーとしての仕事がなかなか手放せず、大幅に増
5カ月間なんと充電無料――。 中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)がタイで展開中の異例のキャンペーンが話題を呼んでいる。同社のタイ販売代理店が打ち出したのは、8月1日から2025年1月3日までの無料充電サービス。その背景には中国EV各社がタイで繰り広げている激しい値下げ合戦がある。 EV工場誘致を目指して、タイ政府が22年に振興策の「EV3.0」をスタートさせると、機敏に反応したのは中国系メーカーだった。このEV振興策は、将来のタイでの現地生産を約束すれば、生産に先立つ輸入車販売でも補助金の支給や輸入関税の引き下げといった支援が受けられる点が特徴。中国国内で抱える大量の在庫のはけ口を探していた中国EV各社にとっては渡りに船だった。 中国EVの進出は23年に本格化し、日本車のシェアが9割近かったタイ市場で、いきなり1割のシェアを獲得してみせた。24年現在は前年の2倍以上となる10社
この記事の3つのポイント ギャンブルで人を依存症にする手法がスマホに定着 「ゲーミフィケーション」はリピーターを増やす ユーザーにとっては利益にならないことが多い 人類学者のナターシャ・ダウ・シュール氏が著書『デザインされたギャンブル依存症』(青土社)の中で描いている光景ほど憂鬱なものはない。彼女は、ラスベガスのスロットマシンプレーヤーがギャンブルに熱中するあまり、スロットで心停止を起こして倒れても、他のプレーヤーはそれに気づかず、救急隊員が駆けつけるスペースも作らないことを描写している。 シュールが説明するように、このようなスロットマシンのスーパーユーザーは、お金を勝ち取りたいと思ってプレーしているわけでもなく、マシンが心を癒やしてくれるからプレーしているのだ。彼らは "ジャンクフロー状態 "とでも呼ぶべき状態に入ったのだ。これは、心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏が「フロー」と呼んだ
この記事の3つのポイント 自民も立民も消費税減税派の総裁・代表候補は少ない トマ・ピケティが教えてくれる逆進性の課税の怖さ 「はだしのゲン」のある登場人物が今こそ必要だ ああ、がっくりだ。 ……尊敬すべき日経ビジネス電子版の名コラムニスト、故・小田嶋隆流に書きだしてみる。ちなみにどういうわけか、私には「隆」という名前の幼なじみが3人もいるのだが――まあそんなことはどうでもよろしい。 ああ、がっくりだ。 自由民主党の総裁選挙と、立憲民主党の代表選挙のことである。党員が選ぶ選挙であって、どちらの党員でもない私には選挙権はないのだが、それでも今後の日本の帰趨(きすう)を占う選挙なので注目しないわけにはいかない。 自由民主党総裁選は9月11日現在、それぞれ以下の人々が、立候補の意志を示している。告示が9月12日。9月27日に投開票というスケジュール。現状で数は多いが、推薦人が集まらずに立候補を断念
この記事の3つのポイント 「最強登山家」平出和也さんと中島健郎さんがK2で滑落 登山家の野口健さんはスポンサーの重圧を指摘 自分を客観的に見ることの重要性 「最強登山家」との呼び声も高かった山岳カメラマンでクライマーの平出(ひらいで)和也さんと中島健郎さんが7月末、パキスタンにある世界第2の高峰K2(標高8611メートル)西壁で滑落。2人が所属する石井スポーツは、平出さんと中島さんが亡くなったとの認識を示した。平出さんは「登山界のアカデミー賞」と呼ばれるピオレドール(金のピッケル)賞を3度受賞した、日本人唯一の存在だ。中島さんも2度受賞するなど、高い登山技術を持つことで知られていた。無尽蔵ともいわれた体力を持つ平出さんと、登はん技術にたける中島さんは名コンビで、これまで数々の未踏ルートを切り開いてきた。K2で何が起きたのか。何を教訓にできるのか。平出さんと親交の深かった、登山家の野口健さん
「まさに伊藤忠らしい文章だなと思う」。9月上旬、X(旧ツイッター)にとある書類が流出し、商社業界からはこのような声が上がった。 書類の表題は「年収水準見直しについて」。文章の最後には伊藤忠商事の会長最高経営責任者(CEO)である「岡藤正広」氏の名前がある。伊藤忠の広報部は「書類は当社のもので間違いない。流出したのは誠に遺憾だ。労働組合との交渉中の案件なので詳細は差し控える」とコメントしている。 「ここ数年の資源価格高騰による財閥系商社の好業績の結果、給与水準は大きく伸長したことで当社との給与差が目立つようになってきました」「来期以降の処遇を大きく改善し財閥系商社に負けない水準の制度に改訂することを目的に決定しました」 書類にはこのように書かれており、岡藤氏の財閥系商社である三菱商事・三井物産に対する対抗心の強さがうかがえる。 実際、3社の給与水準はどうなのか。3社はいずれも業績連動報酬を一
地方都市繁盛店の東京進出は、成否が分かれる。東京でも繁盛店になって店舗数を増やし、一大チェーン店にまで成長したら万々歳だ。一方、最初は話題性で集客できても次第に飽きられ、初期費用を回収できず、人知れず撤退していくケースもある。成功すれば大きな飛躍になるが、撤退すれば、地元店舗へのイメージダウンも少なからず避けられない。まさに東京出店はもろ刃の剣といえよう。 そんな中、札幌・すすきの発の人気ジンギスカン店「成吉思汗(ジンギスカン)だるま」が2024年7月14日に東京・上野御徒町にオープンした。東京初進出のきっかけはなんだったのだろうか。また、現在多くの飲食店が抱える最大の課題であるスタッフ不足をどのように乗り越えたのだろうか。その答えを聞きに、店へ向かった。 場所は下町の雰囲気が漂い、多くの飲食店がひしめく上野御徒町だ。近年は松坂屋のリニューアルに加え、パルコやTOHOシネマズも出店し、現代
九州全域の公共交通機関を対象にした次世代移動サービス「九州MaaS(マース)」が、2024年8月1日に始動した。カバーエリアで全国最大級の広域交通プラットフォームとなる。 MaaSはMobility as a Serviceの略。スマートフォンのアプリでは経路検索の他、約100種類あるデジタルチケットを購入することができる。チケットの中には複数の事業者をまたぎ、別々に切符を購入するよりも安価になっているものもある。 例えば「島原連絡乗車券」は、 西鉄電車(福岡・天神~大牟田)、西鉄バス(大牟田駅西口~三池港)、高速船三池島原ライン(三池港~島原港)のそれぞれの片道切符がセットになったデジタルチケットで、別々に購入するより安価に設定した。 また「熊電電車・ひのくに号乗継乗車券」は、熊本電気鉄道の電車と九州産交バスなどの高速バスの往復をセットにし、熊本市内の各地から熊電でバス停の最寄り駅まで行
この記事の3つのポイント 楽譜作成ソフトの定番「Finale」が開発終了を宣言 完全な互換性をソフト間で維持するのは難しい データを守っていくには社会の意識による後押しが必須 今回は古(いにしえ)の「日経バイト」誌の連載「混沌の館」(ジェリー・パーネル)を気取って――。 業界に衝撃! の開発終了 2024年8月26日、音楽の世界に激震が走った。米MakeMusic(メイクミュージック)が楽譜作成ソフト「Finale(フィナーレ)」の開発を終了すると発表したのである。 ……という話に「それは大変だ!」と反応できる人は、日経ビジネスの読者では少数派だろう。一つ一つ説明していこう。 Finaleは、パソコンで楽譜を作成するソフトだ。「楽譜のワープロ」と考えてもらえれば分かりやすいだろうか。単に楽譜を書いて電子ファイルとして保存し、印刷できるだけではなく、楽譜通りに音楽を演奏することもできる。 楽
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『日経ビジネスオンライン:総合トップ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く