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■本連載のラインアップ(予定) ・Jリーグ、同時創設の英プレミアに7倍差 目覚めるスポーツ130兆円市場 ・Bリーグ大改革、昇降格廃し経営数値でクラブを評価 DeNAなど呼び込む ・Bリーグの稼ぐ力高める「論語と算盤」 制度設計の妙、地方も満員御礼(今回) ・ジャパネットも三井不もスポーツ施設経営 脱・体育館で地域の要に ・Jリーグ新スタジアム建設に難問 地方財政や収益性がハードルに ・Bリーグ島田チェアマン「経営がスポーツを変える」 ・ソニー、「トイストーリー」でアメフト中継 スポーツテックで新市場拓く ・ブレイキン金メダルで注目集まるDリーグ 収益化フェーズへ前進 ・小泉文明鹿島アントラーズ社長「チームも地元も元気にする」 ・パナソニックも熱視線 スポーツはDXのブルーオーシャン
この記事の3つのポイント 1964年の東京五輪との決定的な差は「有職故実」の有無 語るべきことがない国家イベントは金もうけの場所に 大阪・関西万博が二の舞いを演じようとしている 少々タイミングを外した話題になるが、8月12日、パリ・オリンピックが閉幕した。 といっても自分には何の感慨もない。そもそもテレビ中継は一切見なかったし、ニュースも追いかけなかった。人生を賭けて参加した選手の皆さんは、メダルを獲得した方も獲得しなかった方も、等しくご苦労さま。So life goes on…… 「何を冷たいことを」と言われそうだが、私は、2020東京五輪(2020年開催予定だったが、コロナ禍で1年延期して2021年に開催)以降、オリンピックそのものに興味を失っている。 以前、東京江東区に長く住んだ、古老といってもよい方に、1964年の東京オリンピックの印象を聞いたことがある。 「まあ、ここらへんに住ん
この記事の3つのポイント デジタル革命で情報伝達が速まり、トップダウン型が有利に 技術進化で、現場の情報共有も容易になって即時に意思決定も 現場力重視が強みだった日本企業は、相対的に競争力ダウン なぜ日本企業はわずか四半世紀でここまで没落したのか――。つい最近、こんな話を聞いた。「昔のITの能力では、意思決定に必要な情報が経営層に上がるまで1カ月以上かかった。だから、現場力があり臨機応変に対応できる日本企業は相対的に強かった。でも今はリアルタイムで情報が経営陣に上がり、経営者が素早く決断を下せるようになったから、トップダウン型の企業ががぜん有利になった」。いかがだろうか。まさにその通りだよね。 ある著名CIO(最高情報責任者)がこの話をしていたのだが、聞いていて私は「しまった!」と思い、大いに反省もした。今までこの観点を深く掘り下げずにいたからだ。何せ「テクノロジーの進化により、昔できなか
この記事の3つのポイント 銀行と証券の不適切連携を招いた三菱UFJの組織間力学 JALの現場が抱えた「定時運航への過剰なこだわり」 健康被害の公表が遅れた小林製薬のガバナンス不全 経営環境が激しく変化する「不確実な時代」に、ミスや不正を防ぐのは難しい。しかし新旧の企業事例を探ると、時代も業種も問わない共通点が浮かび上がる。失敗を招く「多数派の圧」「過度な目標」「内向き体質」を乗り越える教訓を探った。
米マイクロソフトの研究機関マイクロソフトリサーチ(MSR)に所属する気鋭の経済学者グレン・ワイル氏がこのほど来日し、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を生かした民主主義の「次」をにらむ考え方「プルラリティー(多元主義)」を披露した。台湾の前デジタル担当相、唐鳳(オードリー・タン)氏と協働し、民主主義制度の再構築を探究している。どんな構想なのか彼の言葉から読み解く。 プルラリティーが構想するのは、デジタル技術、とりわけブロックチェーン技術を活用した、序列がなくリーダーを必要としない分散型自律組織(DAO)による統治だ。つまり「デジタル民主主義」である。プルラル(Plural)という言葉自体は、社会科学をはじめコンピューター科学、宗教学など様々な学術分野の議論でも使われている。ワイル氏が言うのはどの「多元」なのか。 「『プルラリティー』はデジタル技術と、『多元主義(多様性は社会にとって有益であ
ロシアや中国のスパイが日本企業の社外秘を狙っている。だが日本は「スパイ防止法」が存在しない珍しい国。日夜スパイと闘っている公安警察はいわば丸腰の状態だ。警視庁公安部外事課の捜査官としてスパイを追っていていた、セキュリティーコンサルタントの松丸俊彦氏は先ごろ『元公安、テロ&スパイ対策のプロが教える! 最新リスク管理マニュアル』(徳間書店)を上梓した。スパイ防止法という「武器」を持たぬスパイハンター時代の苦労話を聞いた。
8月上旬に暴落した日本株が回復基調にある中、新興市場である東証グロース市場の低迷が続いている。8月23日のグロース市場指数の終値は820.21と2023年末比で8%安。プライム市場指数(同13%高)やスタンダード市場指数(同6%高)と比べて一人負けの様相を呈している。 株価が上昇しない理由の一つに、成長力が乏しく時価総額が低空飛行を続ける企業が多いため、機関投資家が投資しにくいという点がある。なぜグロースを名乗りながら低成長のままなのか。その原因と処方箋を探った。
この記事の3つのポイント パナマ運河は2023年の水不足で通航隻数を減らした 航路変更を余儀なくされ世界の海運は大きく変化した 水量は回復したものの以前の通航隻数には戻っていない パナマ運河は2023年の水不足で通航隻数を減らし、予約制や通航枠の入札制を導入せざるを得なかった。その結果、水量が回復してもLNG船や穀物船などは以前ほど運河を利用しなくなっている。今後も雨量や海運需要の変動が予想されるが、パナマ当局は信頼性を維持すべく問題に取り組んでいる。 110年の歴史を持つパナマ運河は、米国のLNGから中南米の農産物に至るまで様々な商品を世界の各地域に届ける役割を長く果たしてきた。しかし23年の雨不足で閘(こう)門を稼働させるのに必要な水が足りず、同年7月には通航する船舶の数を制限せざるを得なくなった。 その後雨量が増えたため、24年9月には元の通航上限近くまで戻せるとパナマ運河は期待して
ネット配信ドラマの人気は公開後、一気に高まるものではない。むしろじわじわ少しずつ話題になっていく。パリ五輪が始まる頃には目ざとい人々がすでに見終わり、SNSなどで「ヤバい」「眠れない」と声を上げ始めた。ネット記事も指数関数的に増え、8月下旬の今は毎日数社のメディアが取り上げ、個人が書くブログでも熱い反響が飛び交っている。 エンターテインメント市場の調査会社GEM Partners(東京・港)が発表する「定額制動画配信サービス週間リーチptランキング」で「地面師たち」は7月第4週に20位となり、初めてランクインすると、8月第1週には4位に急上昇、第2週では「【推しの子】」に次いで2位につけた。 なぜこれほど話題になっているのか。分かりやすい言い方をすると、地上波テレビでは絶対に描けない場面が続出するからだ。端的なのが、生々しいセックスシーンだ。そしてバイオレンスも強烈だ。拳銃で殺すシーンもあ
かつて深刻な大企業病に陥っていたアシックスが、目覚ましい復活を遂げている。2023年12月期連結決算では売上高が前の期比18%増の5704億円、営業利益は55%増の558億円とそれぞれ過去最高。株価は24年7月に上場来高値となった。約60年前に米ナイキ創業者が憧れたオニツカ(現アシックス)のような、「クールなスポーツブランド」への再興策を探る。
ディスカウントストア「ドン・キホーテ」(通称「ドンキ」)を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の人事に注目が集まっている。新たな非常勤取締役として22歳の若者を候補に挙げたからだ。9年半ぶりに決算会見に登壇した創業者・安田隆夫氏は、その狙いをどう語ったのか。『進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営』を上梓(じょうし)した酒井大輔が若返り人事の狙いを読み解く。 創業者・安田隆夫氏(75)が9年半ぶりに登壇した決算説明会で注目の的になったのが、新たな非常勤取締役候補として姿を見せた一人の若者だ。 「この場でぜひ皆さんにご紹介させていただきたい人物がおります。息子の安田裕作でございます。彼はまだ22歳の若輩者でございますが、今年の年明けから私のカバン持ちとして今はほぼ24時間行動を共にしております。私はこの安田裕作に将来的に当社の大株主である安田創業
気象庁は南海トラフ沿いのマグニチュード(M)8~9クラスの大規模地震は、「今後30年以内の発生確率が70~80%」と予測しています。24年8月8日の記者会見で平田会長は、「普段よりも数倍、地震の発生する確率が高くなった」と説明しました。地震の確率を伝えて、理解してもらう難しさをどのように感じていますか。 南海トラフ地震評価検討会の平田直会長(以下、平田氏):一般の方々は分かりませんが、ビジネス関連の方々は確率をいつも計算してますよね。それと金融商品を買うときには、値動きを緻密に計算しているはずです。 皆さんは短期的な予測と長期的観測とをきちんと考えた上で、ビジネスをやってるわけですよね。プロは株価の変動をきちんと理解しており、それは確率に対する理解です。 金融のリスクは変動幅だと思います。リターンをリスクで割ったものを指標にしてる場合がありますが、地震についても似ていることが言えます。 地
今井先生がお書きになった『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』を拝読しました。面白くて付箋を貼りまくらせていただきましたが、特に、いち会社員として非常に興奮したのは、あらゆる仕事というか、判断には、「感情が必ず絡む」と断言されているところなんです。 今井むつみ先生(以下、今井先生):そうでしたか。 「そもそも、仕事に感情を持ち込むなんて、二流のすること」 などと思う方もいるかもしれません。また、「感情的である」というのは、しばしば「困った性質」として扱われます。 激しい感情のままに、カッとなって相手を怒鳴りつけるなどすればそれは確かに二流でしょう。 けれど、このような激しい感情ではない気持ちや意図も、私たちの思考や行動に大きな影響を与えていることを忘れてはいけません。感情の影響を受けずに判断できる人間は存在しません。誰もが仕事に感情を持ち込んでいるのです。 (中略) 多くの人は
内閣府と気象庁は8月8日、宮崎・日向灘の地震を受け、南海トラフ地震に関する「臨時情報」を初めて発表。マグニチュード(M)8以上の地震の発生可能性が平常時より高まったとして、1週間の「巨大地震注意」を呼びかけた。南海トラフ地震評価検討会の平田直会長(東京大学名誉教授)は記者会見で、「普段よりも数倍、地震の発生する確率が高くなった」と説明した。 15日には特異な変化は見られなかったとして、呼びかけを終了した。「巨大地震注意」呼びかけの背景や地震予測の最新状況について、地震研究の第一人者である平田会長に話を聞いた。平田会長は2013年にも日経ビジネスのインタビュー(参照:大地震は「予知」できるのか)に応じており、その時からの技術進化についても語った。
「中国については、かつては大きなオポチュニティー(機会)であった時期もあった。今はリスクの方が高いと思っている」。8月1日、2024年4~6月期の決算会見で、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は中国・宝山鋼鉄との合弁解消についてこう説明した。今回の合弁解消により日鉄が中国に持つ鋼材の生産能力は7割減る。 日系自動車メーカーが苦戦 日鉄は7月23日、宝鋼と折半出資する宝鋼日鉄自動車鋼板(BNA)から撤退すると発表した。BNAの持ち分を宝鋼に17億5800万元(約370億円)で売却する。 BNAは04年、宝鋼と新日本製鉄(当時)、欧州のアルセロール(現アルセロール・ミタル)が出資して設立された。以来、高性能の自動車用鋼板を日系自動車メーカーに供給する役割を担ってきた。11年にはアルセロール・ミタルの持ち分を新日鉄が買い取り、宝鋼との折半出資になっていた。 だが近年、中国の電気自動車(EV)メーカー
米ロサンゼルス市郊外の「セブンイレブン」。8月上旬の早朝に買い物をしていると、中年の男性客が店員を呼び止める声が聞こえてきた。「日本式の商品があると聞いたのですが……」 男性の目当ては卵サンドイッチだった。米セブン-イレブンは7月にサンドイッチのパンのレシピを日本で人気のミルクブレッドに刷新し、製造工程の切り替えを進めている。この地区では「改良版」がいち早く導入されたとの噂が広がり、「TikTok」などで食レポを見た人たちがセブンイレブンの店舗を探し回る現象が起きていた。 同社の広報担当者は「水を牛乳に変えることで、しっとりとふわふわになり、具材の味も引き立つようになった」と説明する。もっとも、パンの変更は始まりにすぎない。「チキン照り焼きおにぎり、味噌ラーメンなどの新商品を米国の顧客に紹介していく」。日本の親会社と協力し、「日本式」の運営手法やメニューを導入する計画を掲げる。 6月末には
この記事の3つのポイント 携帯電話3位のソフトバンクが上位2社しのぐ経済圏構築 ECやスマホ決済をいち早く強化し、非通信事業で主導権 事業基盤に劣る業界3位が成長するための3法則が浮かぶ 業界3位企業と聞いてソフトバンクを思い浮かべる人は多いだろう。英ボーダフォン日本法人を買収して携帯電話事業に参入した2006年当時、首位NTTドコモと2位のKDDIが契約数で合計8割ほどのシェアを占めていた。3社の順位は現在も変わっておらず、3位というのは一面では正しい。
この記事の3つのポイント 人間がどんなにがんばっても物理の法則は枉げられない 人間の「無理」と物理の「無理」を取り違える人がいる 技術への政治の介入は、もはや業と言ってもいいのかも 前回、「正論とか正義とかいうものは、理念の前に気質であり体質なのだろう」と書いた(「戦ってしまう『正義体質な人』の悲劇と栄光」)。そうしたら、エンジニアの知人から「技術の世界は基本『正義体質』じゃないと動かない(なにしろ相手は物理現象なので)のだが、やはり往々にして『人間様の都合』で妥協を強いられることばかり」という反応をもらった。 そうなのだ。正義とは人間社会のみに通用する概念だが、これが自然を相手にするエンジニアリングとなると、自然現象そのものが人間社会における“正義”に相当することになる。 いや、正義と言うよりも「絶対の掟(おきて)」と言ったほうが理解しやすいかもしれない。 どんなに人間ががんばっても熱力
この記事の3つのポイント 21世紀の産業革命で「人づくり」の内容が変わる 日本では業務を離れた研修Off-JTが軽視されてきた 日本の会社員は会社からスキル開発を丸投げされている 2030年、新しい産業革命がやってくる――雇用の大激変に私たち日本人はどのように備えるべきでしょうか? 夫馬賢治さんの新刊『データでわかる2030年 雇用の未来』から抜粋してお届けします。
この記事の3つのポイント 労働は8時間ではなく、4時間で十分 生産性が上がって得をするのは企業 「タイパ」より「足るを知る生き方」が肝要 私たちはなぜ怠惰になれないのか 日常において、生産性という言葉を耳にすることが多いと思います。一方、怠惰は社会の敵であるかのように非難されがちです。しかし、怠惰とはそんなに悪いことなのでしょうか? 英国の哲学者ラッセルは、『怠惰への讃歌』という著作の中で、怠惰のすすめを説いています。勤労の道徳は奴隷道徳、つまり働き者であることは美徳ではない。文明にとって暇こそがなくてはならないものだというのです。そこで彼は「8時間労働ではなく、4時間労働で十分だ」という提案をします。 そうして生み出された残りの4時間を有意義に使えば、次のような効用が得られるといいます。例えば、公共的なことのために時間を割けたり、人にもっと親切になったり、戦争さえしなくなるはずだ、と。
破竹の進撃が止まらない。ディスカウントストア「ドン・キホーテ」(通称「ドンキ」)を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、34期連続増収増益と波に乗る。『進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営』を上梓(じょうし)した酒井大輔が、その強さの源泉を探る。 たとえ失敗して土壇場に追い詰められても、その経験を糧として勇猛果敢に立ち上がる。目の前の壁に跳ね返され、もがき苦しみながらも、不屈の闘志で最後に這い上がろうとする一念のことを指す。 はらわた力を思う存分鍛えられるよう、ドンキには失敗を容認する企業文化が浸透している。経営理念に掲げるのは「大胆な権限委譲」。仕入れ過ぎて在庫を大量に抱えてしまった、開発した商品が全く売れなかった、赤字を計上してしまった…そんなときも上司からとがめられることはない。ドンキでは誰もが派手にやらかしながら、一人前の商売人に育
TOPPANが提供する「MINTSUKU(みんつく)」は、スポーツ選手や俳優などの著名人の写真をファンが自ら選んでオリジナルのフォトグッズを制作できる「推し活」関連サービスだ。ユーザーはみんつくのサイトやアプリ経由で、フォトブック、カレンダー、ポストカードといったオリジナルの「推し」グッズを制作できる。 フォトブックはソフトカバー版A4サイズ(40ページ)、A5サイズ(36ページ)、ハードカバー版A4サイズ(16ページ)の3種類から選択可能。カレンダーはB6サイズ、ポストカードは5枚セットで、制作した推しグッズは購入後、約3~4週間で手元に届く仕組みだ。
この記事の3つのポイント 企業幹部は「Z世代」が最大の課題と認識 企業における「Z世代使い」アドバイザーが台頭 Z世代は「ハッスル文化」「燃え尽き症候群」を忌避 2年前、米PR会社エデルマンのチーフ・ブランド・オフィサーであるジャッキー・クーパー氏は、マーケティング業界のトップ幹部らのパネリストたちが考える最大の課題を挙げてもらった。その答えに、彼女は驚いた。 「6人全員が『Z世代』と答えたのです」と彼女は振り返る。「これには度肝を抜かれました」。飲料メーカーグループやメディア複合企業、高級品メーカーといった様々な大企業の幹部らが、次世代の消費者と会社の最若年層をどうすればより深く理解できるのか、という共通の問題に直面していたのだ。 この発見をきっかけに、クーパー氏はエデルマンで「Z世代ラボ」を立ち上げた。現在、約14歳から26歳になるこのZ世代層の認識やモチベーションを理解したいビジネス
この記事の3つのポイント 「内部告発すべきなんて言えない」という議論がある 内部告発をした多くの人はその後、後悔している 「徳倫理学」の観点からも内部告発は推奨できない 「ビジネス倫理学」では、企業組織の倫理や企業の不祥事などを題材として哲学者や倫理学者が研究を行っている。ビジネス倫理学が専門の慶応義塾大学商学部准教授の杉本俊介氏は、学生時代に「たとえ正義のためであっても、企業などの組織で内部告発すべきなんて言えない」という主張を読んで驚いたことがあった。しかし、研究者となった今では、その主張に賛成しているという。なぜだろうか。 前回(参照:「謝罪会見で『信頼の回復に努める』と言うべきではない 倫理学者の警鐘」)は、「不祥事を起こした企業は、信頼を回復するために努力してはいけない」という、ぎくりとするような主張について解説してもらいました。最初はのけぞりましたが、その理由がわかると、なるほ
まず、前々回の続きから。発熱から19日経過。まだたんは出るので、引き続き用心して外出は最低限にしている。 確定診断をしなかったので、本当に新型コロナウイルス感染症だったのかは分からないけれども、その可能性を考えた上で行動しなくてはいけないというのはやっかいなものだ。喉のいがらっぽさも、以前なら気にせず外出していたが、今は「他の人に感染させたら大変だ」と行動を抑制しなくてはならない。 と、少々愚痴ったら医師の知人に「それはそうでしょう」と言われた。「年間3万人以上が死亡する感染症って、日本では結核以来ですよ。今は、かなり大変なことが起きているんです」 驚いて調べてみる。日本の結核の死亡者数は、1950年に12万1769人もいた。それが抗生物質による治療が可能になったことで、1955年には4万6735人、1960年には3万1959人、1965年には2万2355人、1970年には1万5899人と
花岡あや子氏(仮名)は、「まさか自分自身が新人研修2日目で洗脳されるとは思いませんでした」と告白する。 花岡氏が新卒者として東京都内の人材派遣会社に就職したのは2021年春だ。入社直後に同期の仲間とともに、外部の専門業者が開催する新人研修を受けさせられた。自宅から都内の研修施設に5日間連続で通う形で行われた。 「脳みそに汚物が詰まってんのか!」「お荷物だ! 帰れ!」「おまえなんかいらない」 これが5日間繰り返された。 初めこそ花岡氏は同期らと陰で「パワハラだよね」とささやき合っていたが、2日目を迎える頃には皆、従順な受講生になっていた。 花岡氏は、「疑問を持つことすらしんどくなり、状況を受け入れた方が楽だった」と自己分析する。「講師たちが罵倒するのは、本気で私たちのこと思ってくれているからだ」と、ありがたさすら感じるようになった。 最終日にはチームの総合順位が発表された。優勝したチームのメ
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