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米国のトランプ大統領が、連邦政府による多様性、公平性、包摂性(DEI)プログラムを終了する大統領令に署名したのは、1月20日のことだ。その後、1月29日にレーガン・ナショナル空港で航空事故が起きた際には、その一因に「DEIの推進」があると発言し、批判を浴びている。 DEIに対する取り組みをやめつつあるのは、政府に限った話ではない。アマゾンやメタ、マクドナルド、ターゲットなどの米大手企業は、DEIを推進するプログラムを2024年から中止してきた。一方で、コストコやアップルなどは、引き続きDEIの推進に取り組むとしている。 DEIが重視されはじめたのはいつ? 2020年にジョージ・フロイド殺害事件が起きたことをきっかけに、企業による「DEIイニシアチブの新たな波が巻き起こった」と英紙「フィナンシャル・タイムズ」は報じる。誰を雇用し、誰を昇進させるかを、従来よりも慎重に考えるようになったのだ。
中国の高齢者の間でHIV感染が拡大し、社会問題になりつつある。なぜここまで感染者が急増しているのか──中国に詳しい作家の譚璐美氏が解説する。 感染経路は無防備な性行為 中国で高齢男性のHIV感染が急増している。 中国の「国家エイズ/性病予防管理センター」によると、2024年6月30日現在、同国のHIV感染者数は約133万人で、死者数は累計で約47万人である。 また、2023年に報告された新規HIV感染者11万人のうち、60歳以上の高齢者が2万2000人以上にのぼり、約20%を占めている。性別では、男性が圧倒的多数を占め、感染経路は異性間によるものが90%を超えた。 米国の政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によれば、中国におけるエイズ流行の特徴は、若者と高齢者の患者数が他の年代に比べて多く、「M」字型であることだ。とりわけ60歳以上の高齢者のHIV感染の割合は年々増加傾向にあり
2024年の米大統領選で、イーロン・マスクがドナルド・トランプに巨額の献金をしたのは周知のとおりだが、いったい総額はいくらだったのか? その最終集計が出た。 米紙「ワシントン・ポスト」によると、その額は2億8800万ドル。つまり、日本円にして450億円を、マスクはトランプに貢いだのだ。 もちろん、見返りもすごかった。トランプは連邦政府の支出削減を目的とする新設の「政府効率化省(DOGE)」のトップに、マスクを任命。同省の役割は曖昧に定義されているため、マスクがテスラやスペースXといった自身の企業に直接関わる政策に影響力を及ぼす可能性が、トランプの大統領就任前から心配されていた。
過去100年間で男性の身長と体重の増加率が、女性の2倍以上であることが英国の新たな研究で明らかになった。 数十ヵ国の記録を分析したところ、人間開発指数(HDI:各国の社会の豊かさや進歩の度合いを測る指標。平均寿命、教育水準、国民所得などの数値を用いて算出される)が0.2ポイント上昇するごとに、男性の身長は平均4cm増加し、体重は6.5kg増加したのに対し、女性の身長は1.7cm、体重は2.7kg増加にとどまったという。 これは生活環境が改善されると身長と体重の両方が増加すること、そして、同じ環境下でも男性の身長と体重のほうが女性の2倍以上の速度で増加してきたことを示唆している。 研究員らは、自国(英国)の身長記録も詳しく調査しており、それによれば、1900〜2022年の間に男性の平均身長は170cmから177cmへと4%増加したのに対し、女性の平均身長は159cmから162cmへの1.9%
日本人でも驚くサイズの狭小住宅を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が何軒も訪れてみた。狭い空間を最大限に生かす「日本人ならではの工夫とアイデアが詰め込まれている」と脱帽している。 まるで現代アートか小さな要塞 迷路のように入り組んだ東京の裏通りに、周囲の住宅とは似ても似つかない奇妙な形状の建物が建っている。垂直に配された板張りの外壁、堂々たる長方形のフォルム、ほぼ窓のない外観は、まるで現代アートか小さな要塞のようだ。その姿にふさわしく「The Keep(砦)」と名付けられたこの建物、実は住居として設計されている。 スライディング式の玄関ドアを開けると、そこには質素でミニマルな空間が広がる。家具はなく、3つの窓と天窓があるのみ。上下階は半透明の格子で仕切られ、IHコンロ、シャワー、エアコンといった現代的な設備が揃う。梯子を上った先には、寝室スペースとして使えるロフトがある。 この風変わりな住宅を
【今回のお悩み】 「仕事が忙しいだけでなく、将来への不安からサイドビジネスをしたり、勉強したりしていてキャパシティを超えそうです。だからといって家族や友人との時間を削ることもできないので、さらにストレスが溜まります」 やることが多すぎでストレスが溜まる。だからといって、何かの時間を削るのが難しいときは、どうしたらいいのでしょうか。忙しい現代人のお悩みを哲学者の岸見一郎先生が解決します。 生きていくためには働かないわけにはいきませんが、友人や家族、またパートナーとの時間を大切にすることも同じくらい重要です。アドラーは、仕事上の対人関係、交友関係、愛の関係(パートナーだけでなく親子関係も含む)を「人生の課題」と呼び、それらを避けることはできないと述べています。また、これらの課題のどれか一つだけにエネルギーや時間を注ぐことは望ましくないともいっています。 たとえば、人生の課題のうち、「愛の課題」
ディープシークCEO、数学オタクから世界的破壊者に 彼を中国のサム・アルトマンと呼ぶ人もいる。クオンツ運用の先駆者ジム・シモンズ氏に例える人もいる。 梁文鋒氏はこの2人の革新者と多くの共通点があり、その影響力はいずれ2人に並ぶかもしれない。 梁氏率いる中国のディープシークが開発した人工知能(AI)モデルは世界を驚かせ、性能と人気の両方で世界のトップ10に躍り出た。同社は米国で入手できるものより低性能のチップでこれを実現し、シリコンバレーのテック企業幹部やワシントンの政治家、世界の投資家に衝撃を与えた。 シモンズ氏と同様、梁氏も投資の虫に取りつかれた数学オタクだ。膨大な市場データをコンピューターで分析することで、隠れたパターンを発見でき、利益への道が開けることに気づいた。
孫氏とアルトマン氏、AIの新パワーカップルに ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、東京近郊に新築した、ローマ皇帝の石像が並び、18ホールのゴルフコースに囲まれた豪邸で過ごしながら、もんもんとしていた。人工知能(AI)革命が目前に迫っていると何年も前に明言しながら、そのチャンスをつかみ損ねていた。 「(自分は)まだ何もしていない」。昨年SBGの投資家向けに行った講演によると、孫氏はこう考えていた。「このまま年老いて死んでいいのか」 結局、孫氏に必要なのは新たなゴールデンボーイだった。そしてカリスマ的なスタートアップ企業創業者に飛びついてきた彼は、サム・アルトマン氏にその素質を見いだした。 スタートアップ企業への過去最大の投資となる見通しの取引で、孫氏はアルトマン氏率いる米オープンAIに最大430億ドル(約6兆7000億円)をつぎ込む準備をしている。 ウォール・ストリート・ジャ
急拡大する「ビジネス」 当初は、家族や知人を通じて少女や若い女性たちが観光客に紹介されていたが、現在では仲介業者がその役割を担っている。 ジャカルタのシャリフ・ヒダヤトゥラー・イスラム宗教国立大学でイスラム家族法を教えるヤヤン・ソピャン教授は、この慣行が普及しているインドネシアの多くの町には、他に経済的な見通しがないと指摘する。パンデミックによって、状況はさらに悪化した。 「現在、この慣行は拡大の一途を辿っています」とソピャン教授は指摘する。「観光が経済的なニーズに応えているのです」 インドネシアで小規模事業を経営するブディ・プリアナは、20代の頃にサウジアラビアで料理人として働いた経験があり、そこでアラビア語を習得した。彼が契約結婚について初めて耳にしたのは、30年前、中東からの観光客を案内していた際に、「一時的な妻」を探してほしいと頼まれたときのことだった。 その後、彼は観光客と契約結
欧米のニュースを観ていると、日本との違いに気づく。 欧米では女性がメインキャスターとしてスタジオを仕切っている番組が珍しくないのに対し、日本にはほとんどない。それよりも、年配の男性アナウンサーの横で若い女性アナウンサーがアシスタント役に徹している構図が目立つ。 女性アナウンサーはバラエティ番組にもよく出演し、ここでも司会の男性タレントを盛り立てる役回りだ。 そして彼女たちは「女子アナ」と呼ばれ、その言外には「こうあるべき」という響きが込められている気がする。なぜこの国には「女子アナ文化」みたいなものがあるのだろう? 1980年代からニュースキャスターとして活躍してきた安藤優子さんに聞いた。 テレビ画面のなかの「主」と「従」の関係 ──そもそもなぜ「女子アナ」という言葉があるのでしょう? まず、私自身はアナウンサーとしてテレビ局に就職したことがなく、ずっとフリーとしてやってきたので、局のアナ
進む「バンド離れ」 近年、世界のヒットチャートを席巻しているのはエド・シーランやテイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュなど、もっぱらソロアーティストだ。K-POPアイドルという例外を除き、バンドやユニットなど複数人のグループがヒットを飛ばすことは、以前よりはるかに少なくなった。 たとえば、オーストラリアで毎年おこなわれている、その年のお気に入りの楽曲を人々が投票する「Hottest 100」では、ここ15年でバンドの楽曲が1位に輝いたのは5回しかない。それ以前の15年間では、13回もバンドが1位になっているにもかかわらずだ。 バンド「マルーン5」のボーカル、アダム・レヴィーンは2023年、アップルミュージックの番組でこう語っている。 「2002年にマルーン5のデビューアルバムが出たときは、まだ他にも(ポップシーンで脚光を浴びている)バンドがいた。いまはもういない気がする……絶滅危惧種の
インドネシアの人気リゾート地コタ・ブンガにある「リトル・ベニス」。契約結婚を求める人々にとって、コタ・ブンガは人気の観光地だ Photo: Cuadtkj / Wikimedia Commons
中国発のAIチャットボット「ディープシーク」が世界で大きな注目を集める一方、フランスでは、政府からの支援を受け開発されたチャットボット「ルーシー」が「とんでも回答」を連発し、サービス開始からたった二日で停止に追い込まれた。 1月25日、「フランス版ChatGPT」と銘打たれたチャットボット「Lucie(ルーシー)」がサービスを停止。リリースからわずか2日後、ネットユーザーから大量の批判と嘲笑を浴びてのことだった。 「フランス発のAIチャットボット『ルーシー』は『非常にシック』だが、残念なことに回答は間違いだらけだった」と、英紙「タイムズ」は総括する。 「愛国心に溢れた野心とともに発表されたルーシーは、『ヨーロッパの価値観』と『文化的多様性』を体現しながら、英語の支配に対抗することで、OpenAIの『ChatGPT』、Googleの『Gemini』のライバルになると紹介された」。しかし、「す
1月9日からネットフリックスで配信がスタートしたドラマ『阿修羅のごとく』(全7話)。向田邦子の脚本による名作を是枝裕和監督がリメイクした本作を、英紙ガーディアンのコラムニストが「ここ数年で最高のネットフリックスドラマ」と絶賛している。 舞台は1979年の東京。宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず演じる四姉妹が、國村隼演じる年老いた父の不倫を知るところから、物語は始まる。 同紙のコラムニスト、レベッカ・ニコルソンは本作の細部の美しさを褒め称え、次のように書く。「日本語話者でない私のような人間にとって、字幕を読んでいるときに見逃したかもしれない繊細な瞬間を捉えるために、もう一度見たいと思うほどだ」
※本記事は『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門』(柴田重信)の抜粋です。 緑茶も「飲む時間」で体への影響が変わる 緑茶の主要なポリフェノールであるカテキンには、血糖値の降下作用があることが知られています。 我々はヒトを対象として、高濃度カテキン緑茶の食後血糖値の抑制効果を朝食時と夕食時で比較しました。そして、インスリンの分泌に対しては朝夕で差異が認められなかった一方で、血糖値の上昇は、夕食時の緑茶摂取によって顕著に抑制されることを報告しました。 同一被験食を朝、夕で摂食した場合の血糖値の上昇は、夕方で顕著であることが知られており、夕食後の高血糖の抑制を目指す場合には、夕方に緑茶を摂取することは理にかなっているでしょう。 次にマウスの研究で、朝もしくは夕方にカテキンを1週間投与し、その後、朝と夕に糖負荷実験を行いました。夕食に糖を与えた場合、夕食でカテキンを摂食していた群は、カテキン
日本でもテレビコマーシャルが放送され認知度が高まってきた中国の電気自動車大手BYD。販売台数がテスラを抜くなど好調さが伝わっている一方で、実は巨額の負債を抱えているのではと指摘する調査が出てきた。かつて中国恒大集団の財務問題を指摘した調査会社が指摘する、BYDの疑惑とは。 BYDの本当の負債額 電気自動車(EV)の販売台数がテスラを上回り、成長著しい中国EV大手のBYD。そのBYDに「巨額の隠れ負債」を抱えていることを香港の調査会社GMTが指摘していると、米メディア「ブルームバーグ」が報じた。GMTはかつて、中国恒大集団の財務問題をいち早く指摘し警鐘を鳴らしたことで知られている。 GMTによると、BYDは(サプライヤーへの支払いを遅らせるなどする)サプライチェーンファイナンスに依存することによって、急増する負債額を覆い隠している。BYDの実質的な負債は2024年6月末時点で3230億元(約
労働市場での成功を決める要因は何だろうか。学歴、職歴、容姿、運……。こうしたリストには挙がりにくい、ある要因が賃金を左右し、男女間の賃金格差にまで影響していることを、英国ケンブリッジ大学の経済学者たちが発見した。その最新の研究結果を研究者自らがひもとき、対策も提示する。 賃金を左右するものは何かと考えるとき、われわれは学歴や職歴、あるいは純然たる運の良さに注目しがちだ。 では、他者から認識されるわれわれの性格特性はどうだろう。それはたんに、人となりの一部なのか。それとも、労働市場での成功を左右する、より大きな役割を果たしているのか──。 私と同僚たちは最近実施した研究でこの疑問を検討し、性格がいかに賃金や仕事の見込みに影響し、さらには根強い男女間の賃金格差を部分的に説明するのに有用であることさえも明らかにした。 この研究ではドイツの社会経済パネル調査(約2万2000世帯を追跡する年次調査)
米国のドナルド・トランプ大統領は、1期目から不法移民を目の敵にしてきた。移民の流入を防ごうと、米国とメキシコの国境に壁を建設するよう命じたことも記憶に新しいだろう。 2期目でも、不法移民対策の一環で「史上最大の強制送還作戦」を実行すると息巻いている。米国各地で早くも、不法移民の摘発が始まっている。 トランプ大統領は1月29日、不法移民3万人を収容できる施設をキューバのグアンタナモ米海軍基地に建設するようにも命じた。 トランプ1期目で不法移民の送還はむしろ減った? だがこうした強硬姿勢とは裏腹に、送還された移民の数は、トランプ大統領1期目の4年間でじつは減っていたと、米ニュースメディア「CNN」の記者が分析している。 トランプは1期目でも不法移民の大規模な強制送還を公約に掲げ、実際に大勢を送還した。記者が取材した米シンクタンク「移民政策研究所」政策アナリストのキャスリーン・ブッシュ=ジョセフ
bZ4Xにみる「カイゼンの限界」 トヨタはガソリン車とハイブリッド車に注力することで、2024年も堅調な業績を残した。しかし、EVの分野では出遅れており、長期的な課題を抱えていると、米メディア「ブルームバーグ」は報じている。 同記事では、トヨタがガソリン車の製造で培った「カイゼン」のプロセスはEVでは活かせないと、元ゼネラル・モーターズ幹部のテリー・ウォイチョウスキーが指摘している。 トヨタのカイゼンは、長年にわたり既存の技術に修正を重ねながら製品改良を試みるアプローチだ。しかし、EVに求められるのは、根本的な仕様変更である。 たとえば、トヨタがグローバル市場に向けて発売したEV「bZ4X」に搭載されるクロスカービームという鉄製の部品は、これまでトヨタのガソリン車にも組み込まれてきた。内燃エンジンの振動が乗車している人に伝わらないようにするため、長年にわたって改良されたカイゼンの賜物でもあ
味や鮮度を保つ加工技術や流通に優れた日本の水産業は、海外の有名シェフからも厚い信頼を得ている。高品質な魚の輸出拠点となっているのが、世界最大級の魚市場である豊洲だ。英誌記者が現地を訪れ、長年日本の水産業、飲食業を支えてきた「ヒト・モノ・カネ」のダイナミックな動きを取材した。 白いヘアバンド姿のヤマザキ・ヤスヒロは、痩せてはいるが屈強で、はつらつと店を切り盛りしている。 その周囲では従業員たちが魚をさばき、パック詰めにする作業をしている。東京ではよくあることだが、この店には隙間がほとんどない。ピチピチと跳ねるエビや、うごめくカニが入った水槽が迷路のように並ぶ。 青いバケツのなかでは魚たちが、まるで自分がまもなく食卓に供されることを予期しているかのようにせわしなく円を描き、山積みの白い箱にはありとあらゆる海産物が詰まっている。 大量に見えるこれらの商品も、普段あつかう量のわずか10分の1でしか
ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、プーチン大統領は1月28日、ロシア側も停戦の交渉担当者を任命する考えがあることを示した。ただし、ゼレンスキー大統領は本来の任期を過ぎたまま政権についているため、交渉する権限がないと指摘している。 「交渉なら誰とでもできる」とプーチンは語る。「だが(ゼレンスキーは大統領として)非合法であるため、署名する権利がない。もし彼が交渉に参加したいのであれば、担当する人物をこちらも派遣しよう。だが問題は、最終的に署名できるかだ」 一方でゼレンスキーは、次のように反論している。 「プーチン大統領は今日、交渉を恐れ、強い指導者を恐れ、戦争を長引かせるためにあらゆる手段を講じていることを、改めて証明した。彼が取るあらゆる手段、あらゆる冷笑的な策略は、この戦争を終わらせないことを目的としている」 ゼレンスキーの本来の任期は? ウクライナメディア「キーウ・インディペンデント」によ
中国ディープシーク、どうやって米国を出し抜いたか 経験は邪魔になると考え、若い中国人技術者を雇用・活用する。さらに、プログラミングを巧妙に簡略化し、米国の規則の抜け穴を利用して先端半導体を入手する。 これは中国のAI(人工知能)新興企業ディープシークが採用した手法だ。それによって開発されたAIプログラムは世界を震撼(しんかん)させた。 これまでは、優れたAIの開発には高価な最先端コンピューターチップが大量に必要であり、中国企業はそうしたチップを入手できないため競争するのは難しいと考えられていた。ディープシークは才覚によってそうした予想を覆し、ウォール街に1兆ドル(約156兆円)の大損害をもたらすとともに、米テック企業に自社の手法の見直しを迫った。
※本記事は『日本のロック名盤ベスト100』(川崎大助)の抜粋です。 「媚びること」をよしとする このシステムは、日本古来から脈々と受け継がれてきた。それが江戸時代に端を発するものであることを、前述の『歌謡曲から「昭和」を読む』の中で、なかにし礼が指摘している。 明治期に花柳界で流行した「さのさ(節)」および、それに影響を受けた流行歌などを論じ、そこに歌謡曲の原型を見た一文に以下の記述はあった。歌謡曲の中にあった「江戸以来の伝統」と、僕がここで言う「システム」とは、なんと似ていることか。 「その江戸時代の色恋とは、既婚の男と花柳界の女との間のものだった。夫婦とは家同士の結びつきだから、恋愛感情など生まれない。それでいて、妻は子を産み、家を守ることを義務づけられる。そこで夫は外で女と恋をする。 しかも相手の女は、どんなに深い仲になっても、『妻という字にゃ 勝てやせぬ』と、いつかは身を引いてくれ
※本記事は『日本のロック名盤ベスト100』(川崎大助)から抜粋した記事の、第5回目です。 浸食されたロック 「アイドル」も同じだ。頑張っている女性を応援、でもなんでもいいが、そんな物言いが憤懣やるかたないおためごかしでしかないのは、「システム」に参加させられた当事者である女性たちには、そもそもなんのイニシアチブも与えられてはいないからだ。 システムそのものをコントロールできる権力は、かならず、「外部」にいる独裁者のごとき者の手の中にある。そしてその「誰か」の指導のもとで、振り付けのもとで、「外には出られぬ」囲いの中で、統制された行動をとる女性の「献身」を鑑賞したり、ときに賛美したりする、というゲームが現出することになる。これが男性原理を駆動エンジンとして使用した、日本特有のひとつのシステムの全容だ。 そして、こうした文化のありかたを許容する女性(や女性像)こそが、日本ではあらゆる場面で優遇
※本記事は『日本のロック名盤ベスト100』(川崎大助)の抜粋です。 アイドルと日本の「欲望」 もうJポップではない、という声を最初に僕が聞いたのはいつのことだったか。さすがに2000年代のあとだったか。そのときの僕は、とある仕事関係の知人を前に、例によって例のごとく、なにかの歌詞の分析をおこなっていた。 「そんなこと、もうどうでもいいじゃないですか」といったことを、彼は僕に言った。Jポップはもう終わっているんだし、そもそもあんなものの歌詞、誰もまともに聴いちゃいないですよ、カラオケで歌いやすけりゃそれでいいんですよ──と。 僕も、このときばかりは驚いた。これほどまでにも早く、Jポップという言葉までもが使い捨てされようとは。渋谷系がバッシングされたときに感じたことと同様、「ああ、GSが終わったときと同じなのだろうな」と、このときも僕は感じた。日本の音楽業界とは、こうしてつねに「焼き畑農業」を
メタのマーク・ザッカーバーグCEOが、米国のいまの企業文化は「女性的すぎる」、職場は「去勢されてしまった」などと発言して物議を醸している。 いわく、「すっかり抑圧されてしまった男性的なエネルギー」を取り戻すべきらしい。 しかし、本当にそうなのか? まず、メタ社には女性よりも男性社員のほうが多い。女性社員が急激に増えたという事実もない。 社会心理学者のアダム・スタナランドは、同社社員の3分の2近くが男性であり、テクノロジー部門に至っては約4分の3が男性だと、米メディア「カンバセーション」に書いている。
中国のAI企業「ディープシーク」のチャットボットが、世界に衝撃を与えている。だが、中国政府の検閲下にあるこのサービスは、同国についての微妙な質問にも答えてくれるのか。英紙「ガーディアン」記者がいろいろ聞いてみた──。 いまや世界中でユーザーを獲得している「ディープシーク」の新たなチャットボットだが、中国や同国政府にまつわる微妙な質問への回答を検閲しているようだ。 中国の全国サイバーセキュリティ標準化技術委員会が発行した技術文書によれば、同国の生成AIは自国の「中核にある社会主義的な価値」を侵害するコンテンツを含んではならないという。 そうしたコンテンツに該当するのは、「国家権力の転覆と社会主義体制の打倒を扇動する」、または「国家の安全保障や利益を危うくし、国家イメージを傷つける」ものなどだ。 そこでわれわれは、これまでグレートファイアウォール(中国のネット検閲システム)によって検閲されてき
2024年末に戒厳令を出した尹錫悦大統領の弾劾裁判を巡り、与野党の対立が激化する韓国では、とくに20~30代の若者世代で男女間の溝が深まっているという。昨今の政治的混乱によって拍車がかかる男女の分断の背景を、共同通信社編集委員・論説委員の佐藤大介が現地からリポートする。 このところ、韓国に関するニュースで「憲政史上初めて」という言葉を目や耳にすることが多い。そのいずれもが、2024年12月3日に「非常戒厳」宣言を出した尹錫悦大統領に関わることだ。 尹は、12月14日に国会で弾劾訴追案が可決されると大統領としての職務は停止されたが、その地位には留まっている。だが、戒厳令を巡って内乱首謀の容疑をかけられており、2024年末にソウル西部地裁が逮捕状を発布したことにより、2025年1月15日に高官犯罪捜査庁(高捜庁)などによって身柄を拘束された。 さらに、高捜庁は19日に尹を逮捕して送検し、26日
※本記事は『日本のロック名盤ベスト100』(川崎大助)の抜粋です。 ③ザ・ブルーハーツ『ザ・ブルーハーツ』 ヴォーカルの甲本ヒロト、ギターの真島昌利、ふたりの卓越したソングライティング巧者の力量が遺憾なく発揮されたことで、まさにロック・シーンに「爆弾が落っこちた」かのような衝撃が走った、彼らにとってのファースト・アルバムがこれだ。代表曲のひとつ「リンダリンダ」を聴くだけで、彼らの功績の巨大さはいつでも理解可能だろう。 甲本と真島の作詞作曲法の最大の特徴は「巧さを感じさせない」ところにある。わかりやすい、くっきりとした日本語とメロディとのマッチングは、童謡や学校唱歌すら連想させられる。ひとつの音符に、原則かならず「言葉の中の一音節だけ」を乗せていく、という方式がとられているからだ。これが朴訥な語り口調として聞こえる秘密だ。 だから聴き手は甲本ヒロトの歌に親密な感情を抱く。そんな「言葉とメロデ
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