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美容整形をするために多くの外国人観光客が訪れる韓国。美容整形ツーリズムの需要が膨らみ、巨額の観光収入が入る一方で、韓国はある「ツケ」を払わなくてはならなくなっているという。 「少しでも若返りたい」 ある寒い朝、ジュリー・ミラーは韓国ソウルの高級街・江南に降り立った。向かったのは16階建ての美容整形クリニックが集まるビルだ。 46歳のミラーは米国ニュージャージーから5日間の日程で韓国を訪れ、ソウルの王宮や北朝鮮との軍事境界線を観光する。そして、同時に、この旅の目的は若返ることだ。 予約していたクリニックに入ると、ミラーはボトックス注射と高密度超音波療法による肌の引き締めを選択した最終的な費用は3000ドル(約45万円)だった。決して安くはないが、米国より少なくとも40%安いと米メディア「ブルームバーグ」は報じている。 韓国の整形市場 ミラーのように、米国や欧州、アジア各国から多くの外国人が韓
多くの日本人が「イタリア人」と聞いて真っ先に思い浮かべる存在──それが、ジローラモ・パンツェッタ(62)だ。 日本に移住した音楽家で、イタリア語教師、さらにテレビ出演もこなすフラビオ・パリージが、この現象に対して抱える複雑な心境を、イタリア紙「イル・ポスト」で打ち明けている。 パリージによれば、このイメージが形成されはじめたのは1990年代のこと。当時、ジローラモはNHKのイタリア語講座に出演し、日本の視聴者にその存在を知られるようになった。 その当時、日本ではイタリアへの関心が爆発的に高まっていたようだ。イタリア語を教える私立の語学学校がいたるところにあり、ナポリから直輸入した薪窯を備えたピッツェリアが次々とオープン。人々はイタリア料理に夢中だった。さらに、セリエAやその選手たちは、日本人のあいだで絶好の話題になっていた。 ジローラモと妻のパンツェッタ貴久子がイタリア料理を紹介 「ジロー
ドラマや映画において、米国の大学生は酒をたくさん飲み、性に奔放な日々を送っているように描かれることが珍しくない。だが、現実の彼らの性生活は驚くほど控えめだ。 2024年、ハーバード大学の学生新聞「ザ・ハーバード・クリムゾン」の調査から、同学の4年生の5人に1人が「性交渉経験がない」ことが明らかになった。 これは珍しいことではない。米国の大学生、あるいはそれくらいの年齢の若者たちがするセックスの回数は、過去20年間でほぼ半減した。 教育を受けるほどセックスしなくなる 本誌「エコノミスト」の調査では、こうした性生活の減少が、特に大学生と大卒以上の学歴を持つ社会人のあいだで顕著であることが示唆された。学歴によって、性生活に違いが生じているのだ。 たとえば、2002年から2023年の期間において、学士号を持つ25〜35歳がセックスをする頻度は、成人全体の平均より11%低かった。修士号・博士号を持っ
──あなたは「愛しき恩寵の機械たち」というエッセイのなかで、AIが社会にどのように貢献できるかについて詳しく書いています。なぜいま、AIの利点について書こうと思ったのですか? ここ数年、世界で繰り返されてきたAIの利点とリスクの二元論に、私ほどうんざりしている人はいないと思います。 AIのよい面だけを強調した主張は、ほぼテクノユートピア的な楽観主義に基づいています。AI開発者は近未来的な都市の写真などともに、「AIの研究開発をせよ」と繰り返しSNSに投稿していますが、彼らの主張は具体性に欠けています。 AIのプラス面を説明する言葉は曖昧で感情的で、極端です。シンギュラリティ(技術的特異点)についても、「人類は自分自身をクラウドにアップロードするようになる」「AIがどんな問題も解決する」といった、雲をつかむような話ばかりが広がっています。 では実際に、AIによって「素晴らしき世界」を作ること
もう一人の「達人」 近藤麻理恵(40)が「ときめき」を感じないモノを手放すことを提唱し、世界的に注目を集める前から、日本にはもう一人、片付けの達人がいた。 その名は、やましたひでこ(70)。やましたは、ネットフリックスで一躍有名になった近藤ほどの知名度はないが、海外では「コンドーイング」と呼ばれる現代流「片付け術」の先駆者として、日本では高く評価されている。 東京で30年の時を隔てて生まれた二人は、家庭にはあまりにもモノが多すぎると説く。そして、不要な物を手放し、ミニマルで整然とした空間を作ることが、心の健康につながると主張する。 やましたは、こうした考えを欧米に広めた近藤を称賛していると語る。一方で近藤の広報担当者は、やましたが長年にわたり片付けトレンドを牽引してきたことを認めつつ、近藤は独自の哲学を確立したと述べる。 やましたは20年以上前から、日本で「断捨離」セミナーを開催してきた。
さよなら、バーキン エルメスのハンドバッグ「バーキン」は長きにわたり、セレブのステータスシンボルだった。ウェイティングリストは数年待ち、ベーシックなモデルの「バーキン25」でも約170万円、高いものでは数千万円するというこの超高級バッグを、人々はこぞって欲しがった。 しかしいま、彼らの心は急速にバーキンから離れつつある。2024年12月、米小売大手のウォルマートがバーキンにそっくりのハンドバッグ、その名も「ワーキン」を売り出したからだ。 米放送局「CNN」によると、「ワーキンの価格はサイズや色によって異なるものの、安いものでは79ドル(約1万2000円)」だという。このバッグはSNSで瞬く間に話題となり、「大方売り切れたようだ」とCNNは報じている。 近年、ラグジュアリーブランドの価格高騰がすさまじい。それに伴い、ワーキンのような偽物が大流行しており、この現象はナイキの「エアジョーダン」な
2024年「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ」の日本館では、毛利悠子が代表作家に選ばれた。例年と違うのは、アーティストを支える「資金サポートチーム」が発足したことだ。米「ニューヨーク・タイムズ」紙が、この日本館史上初となる支援の取り組みに注目。日本は80年代の勢いを取り戻し、再び世界のアートシーンで存在感を発揮することはできるのか? 毛利悠子(44)は、日本政府がアーティストに求めるものは知っている、と思っていた──それは保守的で静謐なものであり、カビの生えた果実に強いこだわりを持つ反動的パンクロッカーでは決してないはずだ。 毛利は、「最初は冗談だった」と切り出す。そして、学校の理科の実験でレモンが電池代わりになるのを見た自身の記憶が、2024年に開催された国際美術展「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ」の日本館の出品作品の提案に繋がった経緯を説明する。 日本館の毛利の展示作品は建物全体を使
セルビアでは、学生たちによる大規模な抗議デモが4ヵ月も続いている Photo by Filip Stevanovic/Anadolu via Getty Images 2024年11月1日、セルビアのノヴィ・サドで、5500万ユーロ(約86億円)をかけて新しく改修されたばかりだった鉄道駅の屋根が崩落した。15人が死亡し、2人が重傷を負った。 これをきっかけに同国最大規模の反政府デモが起こり、4ヵ月が経ったいまも続いている。主導しているのは学生たちだ。それは「何十万人もの人々を魅了し、1968年以来、ヨーロッパ最大の学生主導の運動となった」と、哲学者のスラヴォイ・ジジェクは「プロジェクト・シンジケート」へ寄稿している。 国際メディア「カンバセーション」によれば、崩落事故は「政府の汚職が原因」だと考えられている。駅の改修は一帯一路構想の一環として、中国の国営企業と共同でおこなわれたものだ。国民
数々の有名な高級ブランドを渡り歩いてきた有名デザイナーが、ユニクロのクリエイティブディレクターに就任。ファッション界におけるユニクロの地位に、変化が訪れていると英紙は評価する。 スーパーボウルで見せつけたユニクロの実力 2025年2月に米国スポーツの国民的イベント、スーパーボウルでハーフタイムショーをおこなったケンドリック・ラマー。彼は高級ブランド「セリーヌ」のブーツカットジーンズを着こなしパフォーマンスをした。しかし、彼を取り囲む大勢のバックダンサーが着ていたのは、高級ブランド品ではなく、ユニクロの19.9ポンド(約4000円)のオーバーサーズTシャツや長袖トップスだった。 これは、ファッション界で存在感を高めるユニクロにとって、大きな成功だったと英紙「ガーディアン」は評する。かつては「地味で退屈」と見られ、ロゴのないベージュやグレーのカジュアルウェアが中心だったユニクロだが、いまや完全
動画や画像がデジタル世界に溢れているいま、本を読むことがめっきり減ったと感じている人は少なくないはずだ。読書の習慣がなくなると、われわれの読む力も衰退していくのか。この読む力を脳科学の観点から研究する英国の音声学者マイケル・ロールが、自身の最新の研究結果を簡潔に紹介する。 趣味で読書する人の数は着実に減っているようだ。英国読書協会が2024年に実施した調査によれば、英国の成人の半分が読書を定期的にはしないと回答している(2015年の42%から増えている)。さらに、16〜24歳の若者のほぼ4人に1人が読書家だったことはないと答えている。 だがこうした数字は何を意味しているのか。文字よりも映像が好まれる傾向は、われわれの脳や、種としての進化に影響するのか。優れた読書家の脳はどんな構造になっているのか。 こうした疑問を解明したのが、学術誌『ニューロイメージ』に掲載された私の新たな研究論文だ。
【今回のお悩み】 「心から嫌っている人と関わらざるを得ない状況です。イライラもするし、なにより不愉快です。この感情をどうすればいいのでしょうか」 自分が嫌いな相手と、仕事やプライベート問わず関わらざるをえないことはあるでしょう。そんなとき、心の底から湧いてくる嫌悪の感情に、どう対処したらいいのでしょうか。哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 人を嫌いだと感じることは誰しもあります。しかし、「心から」嫌うということは、それほどよく起こることではありません。「心から」でなくても誰かを嫌ってしまうのは、心理的な距離が近いからです。 この「関係が近い」という意味は、仕事上の付き合いだから遠い、反対に、家族だから近いということではありません。実際、関係が近いために職場の同僚や上司を嫌うことも、パートナーや家族なのに特別の感情が起こらない、という意味で関係が遠いこともあります。 たとえば、好きな人に
ノーベル経済学賞の受賞者であり、世界的に大きな影響力のあるジョセフ・スティグリッツ。ドナルド・トランプ米大統領の政治は「進歩の終わり」をもたらす──「プロジェクト・シンジケート」への寄稿で、彼はそう警告している。 大きな進歩は簡単に起きない 35年前、ヨーロッパで共産主義が崩壊し、世界は時代の激変を経験した。フランシス・フクヤマが、その時代の節目を「歴史の終わり」と評したのはよく知られている。それは、すべての社会がいずれはリベラル・デモクラシーと市場経済に行き着くという予言だった。それがいかに的外れの予言だったのかをあげつらうのも、いまではすっかり陳腐な常套句となった。 ドナルド・トランプと「MAGA(米国を再び偉大な国にする)」運動が復権を果たしたいま、時代はむしろ「進歩の終わり」を迎えていると言うべきかもしれない。 私たちの多くは、進歩を当たり前のものだと思い込みがちである。だから、2
フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールドのマジック・キングダム・パーク Photo: Gary Hershorn / Getty Images ディズニー旅行は高すぎる 米来園客が離反 イボンヌ・キンデルさんは、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートへの旅行を何年も考えていた。昨年11月、ついに家族4人で訪れる機会を得た。 デラウェア州ベアの銀行でコンプライアンスを担当するキンデルさんは、特に最近の値上げ後の料金に衝撃を受けた。2日分のパークチケットが1123ドル(約17万円)。人気アトラクションの待ち時間短縮パスが208ドル。ドナルドダックやデイジーダックなどキャラクターとの食事が219ドル。ミッキーマウスのシャボン玉が吹き出るバブルワンドが2本で60.68ドル。 「どれだけお金を使ったのかを考えるのがとてもストレスだった」とキンデルさんは話す。倉庫の運転手である夫と2
揺れ動く米台関係 第二次政権の発足後、トランプ米大統領は「米国第一主義」を前面に押し出している。他国との関わりにおいて軸になるのは「友好関係」や「共通の価値観」ではなく、「取り引き」だ。 これは、米国との関係に依存していた世界の国々に大きな影響を及ぼす。特に、バイデン政権まで米国から超党派で全面的な支持を受けていた台湾は、中国の習近平国家主席がますます圧力を強めているなか、苦しい状況に置かれるかもしれない。 台湾は、トランプと渡り合い、これからも支援を引き出すことはできるのか。その鍵となる人物がいる。それはトランプが最初に大統領に当選したのと同年に中華民国総統に当選した「同期」、蔡英文前総統である。 「自分はトランプを味方につけることができた」 総統を退任後、初めての大型のインタビューを受けて英紙「タイムズ」に登場した蔡は、「トランプと仕事をするのは良い思い出だった」と振り返り、第一次トラ
結婚しないことに対する偏見は、年々少なくなっている。 その結果、実際に人々は以前ほど結婚しなくなっている、あるいは結婚のタイミングを遅らせるようになった。 これについて米メディア「ブルームバーグ」はこう述べている。 「ある意味、それは人々が批判されることなく、自分の望む人生を送れる、より自由な社会を反映している。しかし、独身者の増加は、経済学者が「負の外部性(ある経済主体の活動が他の経済主体の行動に悪影響を及ぼすことを指す)」と呼ぶものも生み出している」 独身の経済的恩恵を受けやすい人、損する人
トランプ大統領が仮想通貨を推進する姿勢を示してから、ビットコインの上昇が続いている。今後も上昇しそうな気配を感じるものの、高すぎて買えないという投資家の受け皿として、ある戦略を取り入れた企業が注目を集めている。新NISAやルール変更も後押しする、日本人も投資するその企業とは。 ビットコインの代わりに トランプ米大統領が仮想通貨を推進する方針が波及し、日本でもビットコインへの需要が拡大している。一方、ビットコインを買おうと思っても、1ビットコインが10万ドル(約1500万円)以上まで値上がりし、なかなか手が出ないのが実情だ。 しかし、ビットコインが今後も上昇していく予感がしているので投資しておきたい。そういった人たちが増えるなか、ビットコインへ投資する代わりに、「ある」投資先に世界中からお金が集まっている。 そのお金が向かう先は、大量のビットコインを資産として保有し、ビットコイン価格と自社の
ヒラ・アンワル(14)は生まれ育った米国ニューヨークで、ふたつの対照的な世界に生きていた。 家の外では、典型的な米国人のティーンエイジャーであり、友達と笑い合い、TikTokに動画を投稿し、無限の可能性に満ちた未来を夢見ていた。 家の中では、ずいぶん違う現実を生きていた。20年ほど前にパキスタンから米国にやってきた移民である両親は、女性に慎み深さを求める自分たちの文化的・宗教的な価値観を娘のヒラも守ることを期待した。 両親にしてみると、ヒラがオンラインで見せる大胆で表情豊かな存在感は、真っ向からの挑戦だった。 西洋諸国に暮らす南アジアからの移民家庭ではなじみ深いその緊張関係は、命取りの暴力沙汰に終わった。 家族の休暇だと言われてパキスタンに来てから数日経った1月27日の夜、ヒラは父親とおじに銃殺されたと警察は発表した。当局はその死を「名誉殺人」と呼んだ。
米国を中心に日本発のゲームが絶好調だ。そのブームを牽引するのが「セガ」。同社の看板キャラクターを主人公にした映画は、興行収入でディズニープリンセスと張り合うほどに人気となっている。そのセガを率いる内海州史社長が同社復活のカギについて、英紙「ガーディアン」に語った。 セガのレガシー セガと言えば、1980年代末から21世紀の幕開けまで10年以上にわたり、世界で指折りのクールなゲーム会社だと高い評価を得た。『ゴールデンアックス』や『バーチャファイター』などのアーケード用ゲームを大ヒットさせ、反抗精神が感じられる家庭用ゲーム機「メガドライブ」を生み出した。 家族みんなが楽しめる任天堂に挑戦するかのように、強烈なインパクトのテレビCMを繰り出したり、「モータルコンバット」や「ナイトトラップ」といった年齢制限付きゲームを発表したりした。 しかし、セガのゲーム開発チームが革新的で突飛なタイトルを制作す
上海のルイ・ヴィトンの店舗 Photo: CFOTO / Future Publishing / Getty Images 中国の「高級ブランド熱」冷める シェ・ウェイナさん(45)はかつて、1500ドル(約23万円)以上する高級バッグを2ヵ月おきに購入していた。昨年は、バッグの代わりにジムの会員権とピラティスのレッスンに2800ドルほど費やした。 「人は裕福になると、それを誇示するためにモノで自分を満たさなければと感じる」とシェさんは言う。「ただ一定のレベルに達すると、そうした見栄のためのモノはもういらないと感じるようになる」 中国で高級ブランドの輝きが失われつつある。景気低迷、政治的な緊縮ムード、高級ブランドは時代遅れだと感じる消費者の存在が相まって、ここ数年の業界を押し上げてきたブームに終止符が打たれた。 コンサルティング会社ベインの推計によると、中国の高級品市場は昨年、2割ほど縮小
中国発のAI開発企業ディープシークの成功の背景には、STEM人材の育成と産学連携に惜しみなく資金を注ぎ込む習近平政権の教育改革があるという。だが、有力な支援者であるはずの中国政府は国内のAI企業の成長を阻害する要因にもなり得ると米紙「ニューヨーク・タイムズ」は指摘する。 中国が「IT業界のリーダー」の地位を奪う 中国のAI企業ディープシーク(深度求索)が低コストで開発した高性能な大規模言語モデル「R1」は、世界に衝撃を与えると同時に、中国国内を沸かせた。 多くの人が同社の成功は、中国の教育レベルが米国のそれと同等か、すでに凌駕したことの表れだと考えているという。 ディープシークの創業者である梁文峰によれば、同社の開発の中心メンバーは全員、北京大学や清華大学など国内の名門大学の出身だ。これまでの中国IT企業には、海外で教育を受けた人材が多かったことを考えると、これは大きな変化だと言える。
日本テレビで2001年から2004年まで放送された「¥マネーの虎」を覚えている人は多いだろう。「ノーマネーでフィニッシュです」という言葉や、キャラの濃い「虎」たちと志願者らの緊張感漂うやりとりが印象的だったこの番組は、そのフォーマットが世界中に輸出された結果、各国の状況に合わせた現地版が数多く誕生することとなった。 「¥マネーの虎」はなぜこれほど人気になり、どんな影響を及ぼしたのか。英キングス・カレッジ・ロンドンの政治経済学者である筆者が、経済的観点から同番組の意義を解説する。 スタートアップ時代黎明期の一角 英国のテレビ番組「ドラゴンズ・デン」が世界的なヒットとなり、さらに米国の「シャーク・タンク」によってピッチ(起業家らが投資家に対しておこなう、資金調達等を目的としたプレゼンテーションのこと)がメジャーなエンターテイメントになるよりも前のことだ。 「¥マネーの虎」という番組があった。2
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 先週末、テクノロジー業界の大物実業家イーロン・マスクは私のことを「残酷で、意地悪で、不誠実」だと非難した。2年半前、私は彼のことを「政府の援助に依存して成り立っている寄生者(welfare queen)」と呼んだ。この相互の評価について、どちらが正しいのか、判断は読者に委ねよう。 以下の投稿は2022年8月19日に公開されたものである。 歴史上最も成功した投資機関はどこだろうか? シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンスやセコイア・キャピタルは、多くのインターネット企業の成功を支えてきた。近年注目を集めるアンドリーセン・ホロ
59歳になったいまも、ビョークのエネルギーが衰えることはない。2024年の秋にパリのポンピドゥー・センターで没入型のサウンド・インスタレーションの展示をし、11月には5年間に及んだ「コーニュコピア」ツアーを記録した書籍も刊行した。 そんな彼女が、「嫌い」だと断言する最初のアルバム『ビョーク』から「最悪」な結果を迎えたという映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、そしていま注力しているテクノロジーと環境問題についてまで、幅広くフランス紙に語った。 ──あなたがここまでたどりつけたのは、どうしてだと思いますか? 14歳のとき、レイキャビクのとあるレコード店の扉を開けたからですね。その店は、ミュージシャンやアーティスト、作家、パフォーマーのたまり場で、私はそこのコミュニティに入れたのです。そこで私は最年少でしたが、ヒエラルキーはありませんでした。 店の床掃除、コンサートの運営の手伝い、ポスターの印刷
※本記事は『大人のいじめ』(坂倉昇平)の抜粋です。 仕事の「質」を大切にする労働者は「いじめても良い」? 「規律型」の職場いじめが標的とするのは、「生産性」の低い人間だけではない。仕事の「質」にこだわりをもつ労働者もターゲットとなる。 「できるだけ安く・長く」働かせる労務管理においては、労働の「中身」についても、あくまで単純労働に徹し、マニュアル通り、「歯車」として従順に働くことが良しとされる。この働かせ方は、人の命や生活に直接関与する、社会性の強い労働の「質」を軽視するもので、労働者が生み出す製品やサービス、特にケアや公共部門のサービスの「質」の劣化をもたらしている。 特に、ケア労働においては、コスト削減を優先したサービスが求められ、それこそが「理想的」なケアとされるようになってしまった。職員の数や必要な備品などが削られる中で、一人当たりできるだけ大勢の利用者の相手を、できるだけ最低限の
※本記事は『大人のいじめ』(坂倉昇平)の抜粋です。 同僚たちの「敵意」と「自警団化」 経営の論理、市場の論理に服従しない労働者を、会社や管理職が敵視するのは、ある意味当然かもしれない。しかし、経営者でも管理職でもない、単なる同僚が、別の同僚を標的に定めて「確信犯」的に職場いじめを実行している実態には、驚かされる。いじめを率先して行う労働者自身も、自分の健康や生活、家庭の事情などで、いつ排除の対象となるかわからないにもかかわらずだ。 そこでは、もはや上からの指示は必要とされない。経営者や上司の顔色を窺う「忖度的」ないじめもあれば、経営重視の価値観を内面化して、より「自発的」にいじめを行うケースもある。 しかも、その職場いじめは残酷さを増している。経営に服従しない労働者を炙り出し、見つけたら人ではなく、人格を認めなくて良い「敵」として扱い、見せしめにする。ストレスの発散先を求めているどころか、
「資産の守り神」 「私はプライベートバンカーです。フリーランスとして、依頼人の資産を守ることに人生を捧げています。いわば、資産の守護神。お金の執事です」。黒縁メガネの庵野甲一(58)は、切羽詰まった依頼人を鋭く見つめながらアドバイスする。 庵野はテレビ朝日で放送されているドラマ『プライベートバンカー』の登場人物で、俳優の唐沢寿明が演じている架空の主人公だ。ドラマはネットフリックスでも配信されている。 物語の舞台は、億万長者、巧妙なポンジ・スキーム、後継者争い、不倫スキャンダルが渦巻く世界。その中心にいるのが、唐沢寿明演じる庵野だ。彼は、欠かせないフィクサーとして活躍する。 ドラマは冒頭シーンから、「富」について大いに表現されている。ドラマ内で100億円と評価されるプライベートジェットに乗るのは、実在する大富豪の前澤友作だ。彼が出演することで、物語の豪華な世界観が一気に提示される。 プロデュ
フランスに“輸出”される日本の漫画は、少年漫画や少女漫画だけではない。古典文学や伝記、哲学書などを漫画化した「学習漫画」が、続々とフランス語訳され、フランスの書店に並び、そして教育現場で用いられているという。 「漫画」の棚に並ぶ、ヴィクトル・ユゴーやフランツ・カフカの作品……。見間違いではない。書店によく行く人は、日本の漫画としては見慣れないタイトルがあることに気がつくだろう。 マキャヴェッリの『君主論』、カントの『純粋理性批判』、ガンジーやサン=テグジュペリ、クレオパトラなどの伝記。漫画出版社が子供向けに歴史や科学の入門書を刊行しはじめて10年近くが経つ。漫画は若い読者から特別好まれているジャンルだ。今日、彼らを取り込むために漫画ほど適した形式は他にないだろう。 この分野において、特に3社のシリーズが際立っている。まず、ソレイユ社は、プルーストの『失われた時を求めて』やマルクスの『資本論
孤独を埋めるためにお金を払う 香港メディア「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によれば、中国では2020年、20歳から49歳までの未婚者数が1億3400万人に達した。中国民政部の統計によると、同国で受理された婚姻届の数は、過去10年間でほぼ半減している。 オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で中国について研究しているワン・パン准教授は、こうした社会背景から、中国では「孤独な人がますます増えており、彼らは愛や親密さを強く求めている」と言う。その結果、ネットを通して繋がった「見知らぬ人にお金を払って」でも、通話をする文化さえ生まれている。 お金を使ってでも誰かと関わりを持ちたい──この願望を叶えるのは生身の人間だけではない。人々の孤独を癒すことで巨額の利益を上げている分野の一つが、日本発祥の「乙女ゲーム」だ。
※本記事は『大人のいじめ』(坂倉昇平)の抜粋です。 若者を「死なせても良い」労務管理が広がった 外食や小売のチェーン、ITなどの広義のサービス業界において、企業が利益を拡大するには限界がある。限定された職務のため、技術革新や労働者の能力開発で、製造業のように生産性が上がるわけではない。ここでは、労働者を「できるだけ安く・長く」働かせることが、利益につながる。そのために編み出された方法が、以下のような労務管理だ。 まず、正社員として大量に採用された若者は、入社まもないうちから長時間労働や大量の業務を命じられる。ここで、労働者は早期に選別される。「使える」労働者、つまり長時間労働、未払い残業、ハラスメントを伴う業務に精神的・身体的に耐えられ、会社に対して不満を言わずに従順に働く者だけが残され、耐えられない労働者は退職していく。 選別を「生き延びた」労働者は、消耗品のように、その心身の限界まで働
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