この季節、北京では空から柳絮が降って舞う。7年前に訪れたときも毎日降り落ちていた。漢文の授業で習ったとおり、雪が舞っているように見える。本当なら情緒豊かな春の風物詩なのだけれど、中国の都市の空気は排ガスで極端に汚く、その上に黄砂の粉塵が夥しく飛散していて、排気ガスと黄砂で白く染まった空気の中を白い大粒の柳絮が舞っていた。空気中に三つの異物が混ざっている感じだった。中国の都市で外の空気の中に身を置いていると一日で喉がおかしくなる。車の排気ガスの濃度が異常に高い。そして黄砂が鼻や耳の孔に入り、髪の毛に付着して不快な気分になる。顔が汚れる。鼻腔と咽喉が不具合で苦しい。日が経つうちに徐々に慣れてくるが、逆に早く日本に戻りたい気持ちも高まってくる。きれいな空気ときれいな水のある日本が無性に恋しくなる。それでも、7年前はテレビで見る今よりはまだ大気汚染の程度は軽かった。今は本当に真っ白だ。 中国は現在