サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
iPhone 16
hiroyukikojima.hatenablog.com
今回エントリーするのは、山本芳彦『数論入門』岩波書店だ。この本は以前にも、このエントリーで紹介しているが、今回は違う観点から推薦したいと思う。 数論入門 (現代数学への入門) 作者:山本 芳彦 岩波書店 Amazon ゆえあって、最近またこの本を読み始めたのだが、面白くて遂にほぼ全部読んでもうた。そして全体を読破すると、この本がもくろんでいること、この本の特質がひしひしつと伝わってきた。ひとくちに言えば、この本は、「ドラマの優れた総集編を観るようなすばらしい内容」ということなのだ。 ドラマの総集編って、全12話を4話ぐらいでかいつまむ。もちろん、圧縮しているので、カットされたエピソードもあるし、ナレーションで進めちゃう場面もあるし、スルーされるキャラもある。でも、優れた総集編では、本編より本質が浮き彫りになり、面白さが倍増になることも多い。この本は、数論の総集編として、そのメリットがみごと
今回は久々に数学のことをエントリーしよう。 いろいろわけあって、いま、40年ぶりに代数幾何の勉強をしている。このことは、以前にも、今頃になって、なんでか代数幾何が面白いでエントリーしたので読んでほしい。あるいは、かなり昔のエントリーだが、数学って「思想」なんだよな、も少しだけ関係があるので読んでほしい。 今回紹介するのは、永井保成『代数幾何学入門 代数学の基礎を出発点として』森北出版だ。この本を評すなら、「読むだけでわかる代数幾何の本」ということになる。え?あたりまえじゃないかって? いやあ、そうじゃないんだな、代数幾何の本に限っては。他のほとんどの代数幾何学の本は、「読んで教えてもらわないとわからない」とか、「読んで考え込まないとわからない」とか、「読んで調べないとわからない」とか、「読んで知ってることじゃないとわからない(笑)」とか「読んで生まれ変わらないとわからない(涙)」という類い
今回は、前回に予告した通り小野善康『資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く』中公新書の紹介をしよう。一回ではまとめきれないので、何回かに分けて紹介するつもりだ。 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く (中公新書) 作者:小野善康 中央公論新社 Amazon この本は、タイトルの通り、たった一つの基本方程式で、資本主義の二つの状態「成長経済」「成熟経済」における経済メカニズムのあり方の違いをはっきり区別するものである。端的にまとめれば、「成長経済」と「成熟経済」は、正反対の様相を持ち、したがって、経済政策の効果は真逆になる、ということである。日本の政治家(および指南役の経済学者やエコノミスト)はずっと、「成長経済」での景気後退に効く政策から頭が離れず、それを「成熟経済」に対して実施してきたので、日本経済は迷走を続けている、というのが小野さんのメインの主張だ。 小野さんはこれ
今回も、基本的には、ぼくの新著『素数ほどステキな数はない』技術評論社の販促のエントリーなんだけど、「深リーマン予想とラマヌジャン」にまつわる話を紹介しようと思う。「深リーマン予想」は、数学者の黒川信重さんの命名らしいけど、ぼくは庵野秀明監督にあやかって、「シン・リーマン予想」と改名したいと思う。笑 庵野監督は、最近、「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン」「シン・ウルトラマン」と「シン」を連発しているんだけど、ご本人によれば、「シン」の解釈は「新」でも「真」でも「神」でもなんでもいいとのこと。だからもちろん、「深」でも良いはず。そこで「深リーマン予想」も「シン・リーマン予想」と呼ぶ。 素数ほどステキな数はない ~素数定理のからくりからゼータ関数まで~ 知の扉 作者:小島 寛之 技術評論社 Amazon 「シン・リーマン予想」とは、リーマン予想よりも強い予想のこと。つまり、「シン・リーマ
今回は、田崎晴明『熱力学=現代的な視点から』培風館を紹介しようと思う。これは、熱力学の教科書なのだが、非常に異色であり、教科書というよりは「思想書」のような風情だ。なぜなら、本書からは、熱力学だけじゃなく、たくさんのインスパイアを得られるからだ。 熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ) 作者:田崎 晴明 培風館 Amazon ぼくは本書は相当昔から持っていたし、読んでなんとか熱力学を理解したいと思っていたけど、ぱらぱらめくってみては、「ちょっと無理」と感じて書棚に戻す、ということを繰り返していた。 そんな本書を、今回は、第6章まで一気に読めてしまった。なぜ読めるようになったかというと、友人の物理学者・加藤岳生さんの東大での熱力学の講義資料をもらって独習したことがきっかけだった。この東大での講義は、「さすが加藤くん」というみごとなもので、ぼくは加藤さんの講義で、宿願だった熱力学の本質
すっごい長い間、ブログを休んでしまった。新著の執筆・校正をしてたのと、論文を複数並行して作成していたことに起因するんだけど、オンライン講義のせいも大きい(共同研究者がきっとこのブログ読んでいるんで、こんなん書くなら、論文を進めろと怒りそうだし)。 で、久しぶりの今回は、小山信也『「数学をする」ってどういうこと?』技術評論社の紹介をしようと思う。 「数学をする」ってどういうこと? 作者:小山 信也 技術評論社 Amazon その前に、近況を少しだけ。 まずは、じゃーん、映画「シン・エヴァンゲリオン」を観てきました!いやあ、すごい映画だった。アニメでできることのほとんどすべてがやられてるんだろうな、って思った。ただただ映像に圧倒された。 ぼくは、少し前まで、エヴァには全く関心なかった。興味を持ったのは、「シン・ゴジラ」を観てからなのだ。 シン・ゴジラ観てきた。シン・ゴジラ観るべし - hiro
今、都内某所で、地方自治体主催の市民講座に登壇しており、そこで現実問題を経済学で分析するレクチャーをしている。そのレクチャーでは、現代の(広く認められている)経済理論を援用しながらも、そこかしこに宇沢弘文先生の「社会的共通資本の理論」を刷り込むサブリミナルを仕込んであるのだ(笑)。 それで環境問題をテーマとする回に、宇沢先生の地球温暖化へのアプローチを紹介しようと思い立ち、今までちゃんと勉強しなかった宇沢先生の温暖化についての理論と初めて向き合った。読んだのはこの本。 地球温暖化の経済分析 (宇沢弘文著作集―新しい経済学を求めて 11) 作者:宇沢 弘文 発売日: 1995/04/10 メディア: 単行本 この本での宇沢先生の最終的なアプローチは、動学的最適化理論を使う分析である。二酸化炭素の排出量制約のもとでの、消費の通時的最適化を求めている。これをもとに、「最適な炭素税とは各国のGDP
今回は、『現代思想』の最新号「統計学/データサイエンス」で巻頭対談しているので、そのことを宣伝するとともに、少しだけ統計学についてエントリーしようと思う。 現代思想 2020年9月号 特集◎統計学/データサイエンス 作者:小島寛之,三中信宏,赤平昌文,稲葉肇,神林博史,喜多千草,北中淳子 発売日: 2020/08/27 メディア: ムック 対談は、生物統計学者の三中信宏先生と。対談内容は、統計学の理解の仕方から、その思想的背景、利用の限界まで多岐に及んで討議している。 ぼく自身は統計学者ではないし、経済学の中でも実証分析を専門としているわけではないので、統計学とは一定の隔たりがある。とは言っても、経済学の中の「意思決定理論」という分野を研究しており、なかでも「ベイジアン意思決定理論」の論文を書いているので、統計学と近接的ではある。 ぼくは経済学者の立場と数学科出身者の立場の両面から、統計学
年末に家族で映画『ジョーカー』を観に行った。メディアやツイッターで評判を見ていて、気になっていたので、思い切って観に行ってみたのだ。 行ってよかった。いや、行くべき映画だった。 あまりのすごさに打ちのめされた。 昨年観た映画(テレビやレンタルも含む)で、邦画ベストは『天気の子』、洋画ベストはこの『ジョーカー』だった。『ジョーカー』については昨年だけでなく、ここ10年に見た邦画・洋画含め、ベストワンだと思う。 『天気の子』と『ジョーカー』には、共通するプロットがいくつかある。 第一は、貧困層を描いていること、 第二は拳銃が物語上で重要な役割を果たすこと、 第三は世界の崩壊を暗示していること、 この三つだ。 でも、すべての点で、『ジョーカー』のほうがプロットの扱いが勝っていると思う。もちろん、それは決して『天気の子』を腐そうとして言っているわけではない。『天気の子』にとっては、上記の三点はメイ
やっと、書店に新著『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』講談社が並んだ。前回のエントリー、 ミクロ経済学の教科書を書きました! - hiroyukikojima’s blog では、序文をさらしたので、今回はこの教科書に導入した工夫と込めた思いについてエントリーしようと思う。 世界一わかりやすいミクロ経済学入門 (KS専門書) 作者: 小島寛之 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/10/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る まず、項目の工夫だ。 前回にも書いた通り、ぼくは従来のミクロ経済学の教科書の教え方を良いと思っていない。ミクロ経済学の「教義」みたいなものをミクロ経済学の「信者」が語っているにすぎないからだ。信心のある人にはいいけど、そうじゃない人にはちんぷんかんぷんだし、嫌悪感が出ると思う。学習者は心の中に「なんでそれが重要なの?」という困惑を浮か
昨日、『天気の子』を観てきた。渋谷で夕方に観たんだけど、満員だった。客は若い子たちが大部分だという印象だった。 『君の名は。』も大好きだったが、『天気の子』も同じくらい好きな作品だった。とにかく作画がすばらしい。これがアニメか、と思えるくらいの美しさだ。あと、今回の作品は、いろいろなアニメやSF映画へのオマージュというか、トリビュートというか、そういうシーンがたくさんあって楽しかった。RADの曲も相変わらず素晴らしい。ネタばれにならないよう、感想はこのくらいに留めておこう。 さて、今回は高木貞治『初等整数論講義』共立出版を紹介する。これは昭和6年、つまり、1931年初版のふる~い本である。めちゃくちゃ古典なんだけど、いま、なんだかすごく新鮮な気分で読んでいる。 高木貞治と言えば、『解析概論』岩波書店が有名だろう。年配の理系出身者たちは一度はトライしたのではないかと思う。さすがに今はあまり手
今、D.シグマ『楕円曲線と保型形式のおいしいところ』暗黒通信団を少しずつ読んでいる。これは、息子が父の日のプレゼントに買ってきてくれた本なのだ。 というのも、以前、息子がコミケに行くとき、暗黒通信団のブースも見てくる、というので、この本の購入を頼んだのだ。しかし、残念ながら本書は売り切れになっていた。まあ、別にどうしても欲しいわけではなかったので放置していたのだが、最近、ぼくがアマゾンからコブリッツ『楕円曲線と保型形式』丸善出版を取り寄せて眺めているのをみて、息子は急に思い出したらしく、書店でD.シグマ『楕円曲線と保型形式のおいしいところ』暗黒通信団を探して買ってきてくれたのだ。 楕円曲線と保型形式のおいしいところ 作者: D.シグマ 出版社/メーカー: 暗黒通信団 発売日: 2017/08/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る そうして読んでみたら、ぶっとんだ。これこそが
このところ、複素関数論(複素解析)を復習してた。 というのは、素数についての本格的入門書を執筆中だからだ。ぼくは、一昨年(2017年)に『世界は素数でできている』角川新書を刊行した。この本は、素数について、お話だけじゃなく、ある程度きちんと理論の中身を紹介するものだった。 世界は素数でできている (角川新書) 作者: 小島寛之 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/08/10 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 相当にがんばって書いたけど、二つの限界があった。第一は新書だからページ数が限れらていること。第二は、縦書きだから数式をあまり入れられないこと。もちろん、だからこそ多くの人が読める良い本に仕上がった。でも、一方で、数学が好きでもっと詳しく知りたい人の期待には応えられなかった。だから、横書きでページ数のたっぷりとれる本で、素数ファンに素数のすべ
『週間文春』3月14日号に拙著『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』講談社選書メチエの書評が掲載された。 暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論 (講談社選書メチエ) 作者: 小島寛之 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/01/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 評者は波多野聖さんという作家の方。非常にすばらしい書評でとてもうれしかった。なので、皆さんにも是非、読んでいただきたい。「文春オンライン」で読めるので、リンクを貼る。 暗号通貨を創り出す“技術”はいかがわしい? 「ブロックチェーン」の可能性とは? | 文春オンライン これだけで終わってはなんなので、前回、 小学生向けの統計学の絵本が刊行されます! - hiroyukikojima’s blog で紹介した小学生向けの統計本の新著について、もう一押ししておこう。 前回は「小学生向
坂井豊貴さんの新著『暗号通貨vs.国家』SB新書を読んだ。来月(2月5日)発売の本なので、今はまだ、書店にはない。これは、「プルーフ版」というものらしく、要するに試供品みたいなもの。坂井さん(か、編集者さん)が送ってくださった。ありがとう! 暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書) 作者: 坂井豊貴 出版社/メーカー: SBクリエイティブ 発売日: 2019/02/06 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る ぼくは今月、新著『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』講談社選書メチエを刊行した。坂井さんが暗号通貨の本を書いているのはTwitterで知っていたので、非常に怖れていた。「こりゃ、まずいことになった」というのが正直なところだった。なんてったって、坂井さんはいまや売れっ子のライターなんで。 で、プルーフ版を読んだ手ごたえはどうか。 めちゃくちゃ面白い本だ。これは
今回は、小山信也さんの数学書『リーマン教授にインタビューする』青土社を紹介しよう。 リーマン教授にインタビューする ゼータの起源から深リーマン予想まで [ 小山信也 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 1,944円この本は、高度な数学啓蒙書であり、かつ、近現代の数学史の書であり、かつ、数学思想の指南の書でもある。この本の良い点は、次の三点に尽きる。 1. 会話型で書かれた数学書として、出色の出来となっている。 2.ゼータ関数をとりまく数論のみごとな総覧的紹介となっている。 3. 数学の思想的な発展がどのような動機と経緯で成されるかが、よくわかる。 以下、もう少し詳しく説明しよう。 実は、ぼくは、会話型の数学啓蒙書や受験参考書のほとんどを評価していない。会話文は簡単、と多くの数学者・数学教育者が思っているふしがあるが、それは単なる
宇沢弘文先生の社会的共通資本の理論に関するシンポジウムを、土木学会が実施する。タイトルは、「宇沢弘文の社会的共通資本を再考する」だ。 シンポジウム「宇沢弘文の社会的共通資本を再考する」 日時:平成30年5月28日(月) 13:00−17:00 場所:土木学会講堂(新宿区四谷1丁目外濠公園内) 定員:120名 参加費:無料 ぼくも登壇するので、来場可能なかたは、是非いらしていただきたい。 案内のHPは↓。申し込みもこのHPからできる。 シンポジウム|土木計画学研究委員会 以下、趣旨をHPから引用する。 宇沢弘文氏(1928-2014)は、数学者、経済学者として様々な分野で影響を与えてきた。特に、土木分野においては、「自動車の社会的費用」、「地球温暖化の経済学」、そして「社会的共通資本」の著作はその時代の政策研究、論議に大きな影響を与えた。 このシンポジウムでは、「宇沢弘文の研究」の第一人者の
今回は、数論の教科書を紹介しようと思う。入門段階の人、初級の人にはかなり難しいかもしれないが、ある程度、専門の数学をかじったことのある人には最高の教科書になると思う。それは、雪江明彦『整数論』1, 2, 3日本評論社だ。見てわかるように、三巻組の本で、1巻目は「初等整数論からp進数へ」、2巻目は「代数的整数論の基礎」、3巻目は「解析的整数論への誘い」となっている。 整数論(1) 初等整数論からp進数へ [ 雪江明彦 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 3,672円この本は、拙著『世界は素数でできている』角川新書を書くときに、非常に参考にした本である。とりわけ、「素数判定法」に関する部分ですごくお世話になった。 この教科書の利点は、次の4点にまとめることができる。 (1) 群論、環と加群、体とガロア理論、フーリエ級数など、現代の数
先日、望月新一教授によるabc予想解決が、論文として正式に学術誌にアクセプトされたことが、朝日新聞一面で大々的に報道された。数学の結果がこれほど大きな紙面で報じられたのは今回が初めてような気がする。(記憶では、フェルマー予想のときも、ポアンカレ予想のときもこんなでなかったような)。とにかく、今年の数学界最大のイベントであったと思う。ぼく自身も、望月教授がネット上に論文をアップロードして騒ぎになった2012年にエントリーしているので(abc予想が解決された? - hiroyukikojimaの日記)、この予想の解説についてはそちらで読んでほしい。あるいは、黒川信重さんの本の紹介(ABC予想入門 - hiroyukikojimaの日記)のほうでも。 abc予想がおまけとして(系として)得られる宇宙際タイヒミュラー理論(IUT)は、聞くところによると、新しい数学言語を作り上げた、と言えるぐらいに
ぼくのゼミでは、ゼミライブというのを毎年開催していることは以前にエントリーした(例えば、諦めなければ夢はかなう。望んだ形ではないかもしれないけど。 - hiroyukikojimaの日記など)。今年も、今月に7回目を実施した。現役のゼミ生とともに、卒業5年以内のゼミOBが、全世代にわたって、数人ずつは参加してくれた。本当に、教員冥利につきる。 OB/OGたちと久しぶりに会って、近況を聴いて驚いた。ほとんどすべてのOB/OGが、会社を、辞めたか、転職したか、辞めたがっていた。その理由を聞くと、ほぼすべて、待遇に対する不満である。給料が安い、ボーナスも最低、サービス残業の嵐、ちょっと上くらいの先輩がいろいろ押しつける。しかも、かなり上の先輩の給料を聞くと、ぜんぜん給料が上がらないことが判明。これじゃ、辞めたくなるのは当たり前だ。もちろん、勤めてる会社によるけど、新卒がもう半分くらい辞めてしまっ
小野善康『消費低迷と日本経済』朝日新書が刊行されたので、満を持して、紹介したい。 消費低迷と日本経済 (新書639) [ 小野善康 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 820円「満を持して」とは、どういう意味か、というと、この本の企画にぼくが多少の関わりを持っているということ。あとがきに書かれているが、ぼくがぼくの担当編集者さんに小野さんの理論を紹介したことがきっかけで、この本の企画が誕生したからだ。ぼくは、この編集者さんと過去に『数学的思考の技術』ベスト新書を作った。この本には、宇沢先生の思想とともに、小野さんの理論も紹介している。この新書を作って以来、編集者さんとはことあるごとに小野さんの理論について話をしてきた。とりわけ、小野さんが朝日新聞大阪版で「ミダス王の誘惑」という連載を開始したときは、「絶対に読むべき」と伝え
今回は、いつものように黒川信重先生の本の紹介をエントリーしよう。紹介するのは、『絶対数学の世界』青土社である。 絶対数学の世界 リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想 [ 黒川信重 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 2,160円この本のセールスポイントを、ざっくりとまとめると、 (1) 縦書きである。 (2) 数論の歴史がわかる (3) あまり知られていない数学者の伝記がわかる (4) 数学者がどんなふうに青写真を描くのか、を垣間見れる。 本書は、青土社の月刊誌『現代思想』に掲載された論考をまとめたものである。だから縦書きなのは当然なのだ。でも、黒川先生にとって、初めての縦書きの本ではないか、と思う。 横道にそれるが、和書は今でも縦書きが主流だ。これは本当に解せないことである。ウェブ上のホームページでも、メールでも、会社の書
今回は、久しぶりに文系の本をお勧めしようと思う。最近は、数学書ばかり紹介してたけど、思い出してみると、ぼくの本業は経済学だからね(笑)。 お勧めするのは、4人の気鋭の学者の共著『大人のための社会科』有斐閣だ。著者は、井手英策さん、宇野重規さん、坂井豊貴さん、松沢裕作さん。 大人のための社会科 [ 井手 英策 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 社会科学 > 社会科学全般ショップ: 楽天ブックス価格: 1,620円 序文を読むと、この本のコンセプトは、「日本社会の将来を語り合うための共通の理解、土台のようなものを提案する」ということだそうだ。いわく、 思想的な立場にとらわれず、この魅力的な日本社会、それ自体に関心をもってもらえるよう、日本社会の「いま」と「これから」を見通すための材料、共通の知的プラットホームを提供しようと、私たちが積みあげてきた「知性」をすべ
つい最近、文庫化が刊行された、マリオ・リヴィオ『神は数学者か? 数学の不可思議な歴史』ハヤカワ・ノンフィクション文庫の解説を書いた。 神は数学者か?―ー数学の不可思議な歴史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫〈数理を愉しむ〉シリーズ) 作者: マリオリヴィオ,千葉敏生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る本の巻末の解説を書くのって、思いの外難しい。解説から先に読む読者もいるから、ネタバレはできないし、でも、解説を読んで買うかどうか決める人もいるので、この本がいかに面白い本かをアピールしなければならない、という二律背反に直面するからだ。でも、だからこそ、ライターの力量が試される仕事と言える。ネタバレなしに、いかにその口上で本をレジまで持っていかせるか。ここはプロの腕の見せ所である。 ところで、このエントリーだが、ここで本
[追記:8/21] いつになく話題になったようなので、少し補足する。ぼくの本からの引用で、前回は省略した部分を、書き加える。どのくらい親切に書いているかを知ってもらえば、こやつの「信じられなさ」が浮き立つと思う。(それに拙著の販促にもなると思うし)。 あと、ぼくが最も問題にしているのは、このメール文からわかるように、この教員が、自分がわからないことを理解する努力を怠ること。こういう人は入試の採点で、きっと、大変なことをやらかす。2次試験の記述問題は、通常、2人以上で行うと思うけど、もう一人の採点者が読み間違えた採点をこの教員はそのままスルーする可能性が高い(理解できないことを、掘り下げる努力を怠るから)。 今日、とある大学教員から、拙著『世界は素数でできている』角川新書に対して、質問とも批判ともつかないメールがきた。 もちろん、知らない人だし、面識もない。 この人、国立大学の教員のようだ。
素数の本を出した。『世界は素数でできている』角川新書という本だ。その本の販促は、前回(素数についての本が刊行されました! - hiroyukikojimaの日記)と前々回(もうすぐ、素数についての本が刊行されます! - hiroyukikojimaの日記)に行った。今回も、基本的には販促活動なのだけど(しつこい、って怒らんといて)、読者に新しい情報を提供しよう。 素数に関する予想で有名なものの一つに「ゴールドバッハ予想」というのがある。それは「4以上のすべての偶数は、素数2個の和である」という予想だ。これは、実は、ゴールドバッハが予想したものではない。ゴールドバッハは、「6以上のすべての整数は、3個の素数の和である」と予想して、それを1742年にオイラーに送った。オイラーは、返事に、これと同値な予想「4以上のすべての偶数は、素数2個の和である」を返したので、本当はオイラー予想と呼ばれるべき
ぼくの新著『世界は素数でできている』角川新書が、ネット書店にも入荷され、リアル書店でも並んだようなので、もう一押し、販促をかけることとしよう。 世界は素数でできている (角川新書) [ 小島 寛之 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 864円前回のエントリー(もうすぐ、素数についての本が刊行されます! - hiroyukikojimaの日記)では目次をさらしたので、今回は序文をさらすことにする。以下である。 『世界は素数でできている』 はじめに 皆さんは、「素数」をご存じでしょうか? 2、3、5、7、11、13、・・・と並んでいる数です。 素数とは、「割り切れない」数です。どのくらい割り切れないかというと、1と自分自身以外では割り切れないのです。だから、ある意味では、うとましい数です。例えば、37個のチョコがあるとしましょ
新著の刊行まであと一週間に迫ったので、そろそろ宣伝し始めよう。 来週、刊行されるのは、拙著『世界は素数でできている』角川新書。タイトルでわかる通り、素数について解説した新書である。 【店内全品5倍】世界は素数でできている/小島寛之【3000円以上送料無料】 ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: bookfan 1号店 楽天市場店価格: 864円今までも、素数に触れた本は何冊か書いたけど(『世界は2乗でできている』ブルーバックスとか、『数学は世界をこう見る』PHP新書とか)、素数だけに絞った本は初めてだ。本書は、全編が素数の、素数づくしの本となっている。今回は、まず、目次立てをさらすことにする。 『世界は素数でできている』目次 □第一部 素数のふしぎ 第1章 世の中は素数でいっぱい 第2章 素数にハマった数学者たち 第3章 素数についてわかった
7月は期末試験の準備と採点があって、なかなかブログを更新できない。そんな中だが、がんばって、数学書を一冊紹介しよう。それは、デュピュイ『ガロアとガロア理論』東京図書(辻雄一・訳、辻雄・解説)だ。とは言っても、この本を勧める理由は、デュピュイの書いた本体部分にはない。ガロアの実像については、加藤文元『ガロアー天才数学者の生涯』(中公新書)など、優れた最新の検証文献がある。わざわざ、古い本書を読む必然性は薄いと思う。本書を薦めるのは、全体の半分もの分量を占める「おまけ」部分がすばらしいから、なのだ。 むかし、ビックリマン・チョコというのがあって、子どもがおまけのシール欲しさに買ってチョコを捨てる、ということが噂になって、社会問題化したことがあった。そのときは、「さすがに自分の幼少期は貧しかったから、買ったチョコを捨てはしなかった。でも、本心では、おまけが欲しくて買ってたよな」と思ったものだった
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『hiroyukikojima’s blog』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く