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こんにちは、自然言語処理研究室助教の能地です。 自然言語処理というのは、コンピュータの上で言語を扱う研究全般を指します。分かりやすい研究分野だと、ある言語の文章を別の言語の文章に変換する機械翻訳などが該当します。私はこの分野の研究を始めて5年ぐらいですが、今日は私がこれまで取り組んできた、自然言語処理の中でも少し変わった切り口の研究を紹介してその面白さを伝えられたらなと思っています。 自然言語処理の大きな目標は、ことばの意味を理解し、人間のように使用できるコンピュータを構築することです。このためにはなぜ人間がことばを理解し、発することができるのか、その仕組みを明らかにしないといけません。つまり、言語の性質そのものに関する理解を深めることが、より高度な自然言語処理のシステムのために必要であるということです。この考えに基づき、すぐに特定の応用に結びつくわけではないけれども、コンピュータを使って
NAISTの知能コミュニケーション研究室で、コミュニケーションに関連する様々な技術を研究しています。今回の記事では、人とコンピュータのコミュニケーションを可能とする「対話システム」の研究について紹介します。対話システムはコールセンターの自動受付や雑談などの分野で既に実用化されているが、NAISTでは、今までにできなかった応用に取り組む新しい対話システムの枠組みを目指しています。 コミュニケーションの苦手を克服する「自動ソーシャルスキルトレーナー」 (田中宏季、D3) 私たちの生活において他の人と関わる状況というのは非常に多く存在します。例えば、雑談、プレゼンテーション、友達と遊ぶ、上司への報告など。皆さんはこれらのことが得意でしょうか、それとも不安に感じてしまうでしょうか。これらのコミュニケーションスキルは人との関係作りにおいて重要であり、生活の質(QoL)とも密接に関わっていることが近年
大規模システム管理研究室では,未来の大規模超並列分散コンピューティング環境のための要素技術やビッグデータ解析に関する研究と,それらの応用として大災害に対するリスク管理やサービス・マネージメントに関する研究を行っています.今回は莫大な規模のサーバマシンから構成されるクラウド・コンピューティングに関するスケジューリング問題を通して研究成果の一端をご紹介します. クラウド・コンピューティング環境 クラウド・コンピューティングは,莫大な数のサーバマシンを接続して分散コンピューティングを提供する計算環境の総称です.サーバ環境はデータセンター内に構築され,デスクトップPCからタブレットPC,モバイルフォンといった多様な端末がクライアントマシンとしてクラウド・コンピューティングサービスを利用しています. クラウド・コンピューティングを提供するデータセンターでは,普及品レベルのサーバを増やして処理を並列化
世界中の人々の間に大きく立ちはだかる言葉の壁は、この10年の技術革新で低くなりつつあります。その技術の名は「機械翻訳」で、人間の言葉を翻訳し、異なる言語で綴られた言葉でも理解できるようにしてくれます。今回の記事は機械翻訳の中で特に音声を入力とする「音声翻訳」についての話です。 音声翻訳を正確に行うために、3つの技術が必要になります。話された内容を正確に読み取り、コンピュータが理解できるテキストに変換してくれる「音声認識」、その内容を異なる言語へ翻訳する「機械翻訳」、そしてテキストを再び音声へと変換する「音声合成」です。この全ての技術は計算機が開発されてすぐにコンピュータの有用な応用先として取り上げられてきましたが、人間の言葉は複雑で、なかなか現実的な精度に及びませんでした。しかし、インターネットの普及によるデータの大規模化や、統計的な処理法の発展により、この10年で精度が劇的に改善され、よ
はじめに この度、NAIST Edgeの執筆を任されました、自然言語処理学研究室の修士2年、椿真史と申します。僕の所属する松本研究室では主に、コンピュータで言葉の処理をするための研究をしています。みなさんに馴染み深いところで言うと、インターネットで情報を検索したり、コンピュータで日本語を他の言語へ翻訳したり、パソコンで文章を書く時にひらがなを漢字に変換したり等々、みなさんのとても身近にあるものを支える技術について研究しています。僕も今、多くの先輩研究者やエンジニアたちの努力を噛み締めながら、ひらがなを漢字に変換しなければならないこの日本語という複雑な言語を使って、みなさんに何かを伝えるべくこの文章を書いています。日本語は世界の言語の中でも、コンピュータで扱うことがいちばん難しい言語のひとつなんです。 自然言語処理は総合格闘技 自然言語処理という研究分野は、けっこう特殊かもしれません。僕らの
池田和司 (教授): おいしいんです.数理モデルはいろいろな現象を数式で表したもので,数式にすることでその性質をより深く知ることができ,またある操作をした時にどんなことがおこるかを予測することができるようになります.数理情報学研究室ではこの数理モデルを利用して,脳情報学および適応システムを中心とするさまざまな問題を解決するとともに,新たな数理モデルを開発したりその性質を解析したりしています. では,実際に数理モデルを使って研究をしている人に,どんな現象をモデル化してどのようにおいしいのかを聞いてみましょう. 小西卓哉 (D2): 私は数理モデルを関係データに応用する研究をしています.関係データとは複数の対象の関連を表したデータのことで,商品の購買履歴やソーシャルネットワークのようなWeb上のデータがその代表例です.他にも脳の神経ネットワークや遺伝子の相互作用情報も関係データとみなせ,自然科
世間では統計学がブームらしい. Google のHal Varian氏は,2009年の時点で「今後 10 年間で最もセクシーな仕事は統計学者だ」と断言している.最近は日本でも統計学に関する本が売れているし,ビッグデータというキーワードにも手垢が付き始めている.私自身も研究者として,あるいは普通の市民として,様々な調査結果や統計データに接する機会が多くなっているような気がするが,その中には,首を傾げたくなるものも少なからず存在する.このボンヤリとした違和感は,統計学以前の,統計的な数字という「情報が作り出される仕組み」の取扱いに関する不適切さから来るのではないか,と最近は思いつつある.小文では,情報理論における「エルゴード性」というキーワードを軸に,この雑駁とした感じについて書いてみたい. 影の薄い「エルゴード性」 エルゴード性は情報理論で学ぶ基礎的な概念の一つであるが,抽象的でイメージする
立命館大学創発システム研究室の准教授ガルシア・グスタボです。2021年3月末に閉室となったロボティクス研究室(教授:小笠原司副学長)のOBで元スタッフでもあります。数年前からは「NAIST-RITS-Panasonic」のキャプテンも務めています。このチームは、ロボットで現実世界の問題を解決したいという情熱ある研究者・技術者たちで結成され、以下の国際ロボット競技会「Airbus Shopfloor Challenge 2016、Amazon Robotics Challenge 2017、WRS Future Convenience Store Challenge 2018-2022」に積極的に参加しています。 I am Gustavo Garcia, Associate Professor at the Emergent Systems Lab of Ritsumeikan Univer
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