「朝起きたら、なんか世界が違って見える……」 寝起きのぼんやりした頭で鏡を見て、光(ひかる)は叫びそうになった。 「は? なにこれ……俺、光莉(ひかり)になってる!?」 鏡に映るのは、見慣れた妹の顔。 そして制服もスカートになっている。 胸元にわずかに膨らみがあるのも、どう考えても自分の体じゃない。 そのとき、隣の部屋から悲鳴が上がった。 「うっそ!? ちょ、なにこれ!? お兄ちゃんの体!? 鏡割れるかと思ったんだけど!」 慌てて部屋を飛び出すと、そこには明らかに自分の顔をした誰かが、スウェット姿で仁王立ちしていた。 「……光莉?」 「うん、私。そっちは?」 「俺、光……ていうか、なんで体が入れ替わってんの!?」 「知らないよ! 朝起きたらこれだったんだもん! 夢じゃないよね、これ……」 二人はしばし見つめ合い、そして同時に言った。 「……面白そうじゃない?」 ■1時間後:朝の支度 光は妹