インバウンド(訪日外国人)による消費が拡大している。円安を背景にした訪日客の増加で、政府は今年、過去最高の年8兆円が視野に入るとする。膨らむインバウンド消費の現場で今、新しい動きが生まれている。 差額は1100円 「海鮮が大好きなので、この値段は安いと思う。日本人からしたら、お得になるのはありがたいですね」 7月下旬の夕方、東京・渋谷の飲食店「海鮮バイキング&浜焼きBBQ 玉手箱」。カップルで訪れた佐野紡希(つむぎ)さん(20)と関智也さん(19)は、網で焼いたカニやホタテを堪能しながら、こう笑顔で話した。今年4月にオープンした玉手箱は、60種類の海鮮食べ放題バイキングを提供する。にぎわう店内には訪日客の姿もあった。家族3人で来店したアジア系の客は店員に注文方法を聞きながら、カニとホタテを味わっていた。 実は玉手箱は、事実上の「二重価格」を採用している。外国人男性客向けの平日のディナー価格