代数学は数学の構造を考える分野であり,群・環・体は代数学における基本的な概念です. この群・環・体といった代数構造を定義するためには集合と2項演算が必要で,例えば 「整数の集合$\Z$」は「通常の加法+」によって群 「実数係数の1変数多項式の集合$\R[x]$」は「通常の加法+と乗法・」によって環 「実数の集合$\R$」は「通常の加法+と乗法・」によって体 となります. この記事では, 二項演算とは何か? 群の定義と具体例 環の定義と具体例 体の定義と具体例 を順に説明します. 二項演算とは何か? まずは群・環・体を定義するために欠かせない二項演算がどういうものか説明します. 二項演算とは2つの元から1つの元をつくる規則 例えば,整数の足し算や掛け算は \begin{align*}2+3=5,\quad 2\cdot3=6\end{align*} のように「2つの実数」から新たな「1つの実