サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
iPhone 17
neoneeet.com
突然ですが、プラントエンジニアの業務は結構わかりにくいものです。各種サイトなどでいろいろ書かれていますが一般的・共通的な要素を集めていくうちに、抽象的な内容になってしまいます。身近な業務ではないので、もともとイメージがしにくいものなので、理解もしにくいでしょう。 そこで本記事では、私の担当業務を実体験に基づいて書いてみようと思います。プラントエンジニアに興味がある人に少しでも役立てばうれしいです。 特定業務 プラントエンジニアの業務を特定業務と日常業務の2つに分けます。先に特定業務から解説します。こちらの内容の方が、プラントエンジニア的な内容です。 詳細設計 設備の詳細設計をするフェーズです。いかにもエンジニアの設計という業務です。成果物は設計書という書類になります。 設計書には以下のような内容が含まれます。 ・設備の主要な仕様 ・仕様を決定するに至った理由 ・付帯設備、安全設備などの考え
計算フォームはこちらです。 蒸気密度を計算する 気体の状態方程式の計算です。蒸気密度は蒸留や真空周りでの計算で使います。 $$ PV=nRT $$ 蒸気密度の計算をするので、以下の式に展開します。 $$ PV=\frac{m}{M}RT $$ $$ \frac{m}{V}=\frac{PM}{RT} $$ 圧力は絶対圧、温度も絶対温度で計算し、モル定数を\(8.31Pam^3/Kmol\)を使うと以下が具体的な計算式になります。 $$ \frac{m}{V}=\frac{(101.3+P)M}{8.31(273.15+T)} $$ 例えば大気圧で100℃、水の場合だと以下の通りになります。 $$ \frac{m}{V}=\frac{(101.3+0)18}{8.31(273.15+27)}=0.588 $$ 蒸気表だと0.598ですので多少の違いはあります。しかし、実用には耐えるでしょう。
計算フォームはこちらです。 流体流量と温度差から顕熱を計算する 比熱の公式は学生時代に習ったと思います。この式は、熱計算で非常によく使う基本式です。密度\(ρ\)、流量\(V\)、比熱\(c\)、温度差\(Δt\)を使って、顕熱\(Q\)は以下の通りに表せます。 $$ Q=ρVcΔt $$ 熱交換器に流体を流して熱交換をしたとき、流体は温度変化を受けます。流量が少ないと温度変化量が高くなりますが、相変化が起きたり熱交換への影響が出たりと問題もあるので、一定の流量を確保しないといけません。配管口径を設計するためのに必要となる式です。 計算式は単純ですが、単位が合っているかどうかは常に確認しましょう。 $$ kcal/h=(kg/m^3)(m^3/h)(kcal/kg/K)(K) $$ 比熱を熱伝導率と勘違いしたり密度を計算に含めていなかったり、手計算だと間違えにくいけどもスプレッドシートや電
CADといえば3Dが当たり前という世界になってきたでしょうか。化学工場の配管設計でも3D-CADがを使う機会はゼロではありません。ただし、個人的には極めて機会が少ないと思っています。10年以上前から話題になっていても、実現ができない理由を少し掘り下げました。 過去に2Dと3Dの比較をした記事を作成しています。このアップデート版です。 2D CADと3D CADの違いとは?プラント配管設計での使い分けガイドプラント配管設計における2D CADと3D CADの違いと使い分けを初心者向けに解説。特徴・メリット・併用例をわかりやすく紹介。neoneeet.com2025.05.28 過去に考えていた問題 過去記事で考えていた問題を改めて考えてみます。 スキルが必要 3D-CADを使える人が少ない、という問題は依然と残っています。これはプラントエンジニアリング会社の課題ではなくオーナーズエンジニア側
化学プラントの日常更新工事やプロジェクトなど、定期的に設備を購入する機会がある場合、工場内では予算見積には一定の精度が求められます。初めてだから仕方ない、という理由では社内では納得感を得られません。 オーナーズエンジニアはこの問題を解決するために、過去の実績をデータベース化するなどの活用方法を考え対応します。ところが、意外に見落としがちな理由でこのデータが上手く使えなかったという例はあるでしょう。 設備購入のために、過去の実績を使って予算見積を行う際の注意点をまとめました。 過去の実績と実行段階とで差が出る主な理由 過去の実績を使って見積をして、実行段階で金額に差が出る場合に考えられる典型的な理由を紹介します。 調達部とサプライヤーはもっといろいろなやり取りをしているでしょうが、私のところは調達部からその理由を適切に聞く機会はあまりありません。それでも、工場内や社内で説明するための理由とし
最近X(twitter)で、朝一番に蛇口から水道水を飲んで食中毒というポストを見ました。水は腐るもので、水道管内に滞留している水道水が危ない、ということは化学会社で働く技術系なら知っている人も多いと思います。 というのも化学工場の運転でも同じ考え方を使うからです。私のところでは端切りと呼んでいます。端切り自身は化学工場以外でも使われる表現です。今回の記事では、化学工場での端切りの例を紹介しましょう。 サンプリング サンプリングをするときには端切りは必須です。例えば、ポンプの圧力計やドレン抜きからサンプリングする例を考えましょう(この例自体があまり良くない危ないですが・・・)。 図の赤丸で囲った部分は、配管内でも液が動かない部分です。バルブを開けると最初にこの溜まっている部分の液体が排出されます。この液体をサンプリングとして採取した場合、本当に知りたい情報とは違う情報が得られてしまう可能性が
化学プラント建設(Plant construction)のプロジェクトで、よく使う0.6乗則について分かりやすく解説します。 設備のコストって、ざっくりでいいから見積もれない? こんなことを言われた経験は1度や2度ではないはずです。そんな時は、0.6条則の出番です。 ラング係数とセットで、設備投資の概算見積で大活躍します。この内容を知っていると、社内の見積を超高速化することが可能。 急遽見積をしてほしい!という製造課からの依頼に対しても、即日回答をして信頼感が一気に上がることになるでしょう。 社内で有利に仕事をできるようになりますよ。 この記事は、ラング係数シリーズの一部です。 ラング係数って何?化学プラントの投資概算見積 配管見積の考え方|初心者もわかる現場で役立つポイントと注意点 0.6乗則とは 0.6乗則は、設備投資額がプラント能力の0.6乗に比例するという法則です。 これだけ見ても
日本のものつくりの品質は極めて高い。こう言われて久しい一方で、品質問題が最近はたびたび発生しています。この側面には「過剰品質」があることは、最近では認知されるようになってきました。それでも、品質を下げることはとても難しいです。 この記事では、化学会社の品質について私が経験した範囲で、品質について感じている問題をまとめました。どうしようもないと思っていても表立って言えない問題、みなさんもありませんか? この記事は、品質シリーズの一部です。 原料の品質を落としても大丈夫? 化学プラントで考える“製品への影響” 4M変更管理の重要性:品質トラブルを未然に防ぐために 化学プラントの品質トラブルは“工事”で起きる:設計者が注意すべき落とし穴 安全・環境・品質が化学プラントで深く関係する理由 オーナーエンジニアが現場で実践すべき配管工事の品質管理手法 とりあえず決めた原料規格 化学会社では、原料に対し
サイクロンは粉体と気体が混じった系から粉体を取り出すときに使う装置として、有名です。取り出した粉体は再利用や廃棄を考えますが、直近の粉体工程ではなくその1つ前の工程に戻すことになるでしょう。できるなら直接再利用したいですが、そのためには結構慎重に考える必要があります。 本記事では、そんなサイクロンのライン設計で考えるべきことをまとめました。 サイクロン分割 最初は王道的なパターンを見てみましょう。 このフローは、粉体の入った容器(タンクとかホッパー)から気体と粉体とが漏れてきて、その粉体を回収するためにサイクロンを設置した例です。 粉体はサイクロンで分離され下部から排出され、気体は上部から排出されます。ブロアーのような排風装置がサイクロンの上部の下流側に設置されています。 サイクロン下部にバルブを設置しておき、定期的に粉体を排出するという流れが実現できます。ところが、ここには問題点が。 ・
日本の製造業はこの10年くらいを見ると、非常に大きな変化が起こっています。リストラが分かりやすい例ですが、化学業界でも石油化学で再編が話題になっています。 私は石油化学系の仕事ではなく、他人ごとのように考えていました。ところが、最近はようやく「これはちょっとまずいのでは・・・」という危機感を覚えだしました。化学関係といっても様々な分野がありますが、将来が見えない分野もあるでしょう。 本記事では、なぜまずいのかを機械系エンジニア目線で語ろうと思います。私が良く取りあげる、オーナーズエンジニアの能力に関する問題とは別次元の話です。 コモディティ化で起こっていること 石油化学の世界ではコモディティ化は良く知られていますが、少し離れた分野ではほとんど聞いたことすらない場合もあります。他人ごとでないということを理解するためには、コモディティ化の中で起こっていることを考えると良いと思います。石油化学に
化学プラントの投資を考えるとき、機械設備が中心に進みがちですが、実は土木建築の建屋部分が相当のウェイトを占めています。化学プラントにはそういうエンジニアリングを専門に扱う人はあまり多くはなく、投資を判断する企画系の人でも、この辺りの関係は意外と希薄です。そもそもプラントを建てるために建屋が必要ということは、設備の構成を考えると自ずと分かりますが、認識されにくいです。 本記事では、設備目線で人がアクセスするという操作上・メンテ上の必要性から、プラントが必要になるという基本的な論理展開を追っていきます。 プラントを作るには建屋が必要という前提条件が初めからあると、平置きの設備を建てるときに思わぬ失敗を招くこともありえます。基本的な事なので、しっかり押さえておきましょう。 設備には必要なアクセスの基本 化学プラントの設備は、設置したらおしまいというわけでありません。操作上必要になるかも知れません
プラント設計のような巨大な額の投資では、一度建てると何十年と使うことを前提とするために、概念設計がとても大事になります。しっかりとした文書などに残っている会社はあまり多くはなく、特にユーザーエンジニアの間では、一子相伝的に個人の頭の中で引き継がれている場合もあるでしょう。私の会社でもそうです。 この考え方は、頭の中にあるだけでは忘れてしまうのでは?という不安があります。いつでも見返せるように、文書にしようというのが今回の取り組みです。 この記事では、プラント建設費を構成する要素を体系的に見渡し、機械系エンジニアが全体を把握するための視点を紹介します。プラント設計の考え方の1つを知ることができます。プラントの特性などによって考え方が変わる場合もあると思いますので、1つの考え方として参考になれば幸いです。 プラント建設費と部門の関係 最初にプラント建設費と部門の関係を考えます。プラント建設費は
化学工学を学ぶ中で、「何から手をつけていいか分からない」「公式だけ覚えても実務で活かせない」――そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 私は大学で機械工学を学んで、会社で化学工学を少しずつ勉強していきました。気が付いたときには、化学工学の専門家として認知されていました。とても不思議な感覚です。 この記事では、私自身が学生時代から社会人になって実務に携わるまで、実際に役に立ったと感じた参考書・教科書を5冊ご紹介します。基礎から応用、そして現場感覚に至るまで、ステップアップしながら学べる内容です。 最初に勉強した本 私が最初に読んだ本は、化学工学会の化学工学 改訂第3版 解説と演習です。 化学工学 改訂第3版 解説と演習 [ 化学工学会 ] created by Rinker ¥2,750 (2025/08/07 00:55:48時点 楽天市場調べ-詳細) Amazon 楽天市場 Y
三菱ケミカルの早期退職が話題になって4年以上、「今後大手化学会社から順番に同じ流れになるでしょう。」と私も勝手に予想していて、住友化学が昨年4000人の人員削減を発表していました。 三菱ケミカルと同じように考えるのを忘れていて、今思い出しました。 2024年4月30日の経営戦略説明会の資料に書かれていました。エンジニア目線でその内容と背景を解説します。 住友ファーマでのリストラによる減少等 危機的な状態になった住友ファーマや他の海外グループ会社のリストラで、人員削減をしようという話です。 具体的な対象者や達成した数字に関する情報がありませんが、結構なリストラをしたのだと思います。会社から働きかけなくても自主的に見限って辞めた人も、それなりにいることでしょう。 製薬業界は異動や転職が盛んと聞きますが、親会社はこれまでリストラしていたのでしょうか?していなかったからこそ、このタイミングでようや
最近は、他社に対する監査やコンサルに関わる仕事が少しずつ増えてきました。 私は、どうやらかなりハイスペックな環境の工場経験をしてきたようで、行ったことも無い工場の不具合を写真だけであれこれ言えるようになっているようです。これが、他社の指導として使えるようです(まだ信じられません)。 では、指導する先の工場の実際とはどういうものだろう?と1つ例を紹介します。 そんなに難しく考えることもないことが、分かると思います。 この記事では、液体充填設備の最低限の構成や、実際に起こりうる不具合例について紹介します。皆さんの職場でも、表示位置や作業スペースに無理がないか、一度チェックしてみるのも良いでしょう。 この記事は、ドラム缶シリーズの一部です。 グラビティコンベアによるドラム缶搬送の設計例 ドラム缶を化学プラントで使う背景 ドラム・フレコンへの充填とコンベアの位置関係 液体の充填 ある液体を製造して
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントを長年見ていると、歴史の長いプラントほど経験が蓄積されていき、独自の標準化が進みます。もともとの意図としては設計の効率化や安全運転のためなのですが、トラブルが起きたら何か対策を積み増していくうちに、世間一般から外れたその会社でしか通じない標準化ができあがります。 これを担当者として気が付くのは難しいでしょう。レベルが上がっていき、そこに追いついていない他社の方が良くないのだ(だから事故が起こるのだ)、と考えてしまいがち。 ところが、水準の高い標準化のためにコストアップしていくと、コンペで負けるのは実は目に見えています。見えていないのはプラントの中で動いている人たち。 どういう設備の標準化が良くないかを、化学プラントでありがちなものとしてまとめました。 あなたの会社でも、こん
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. プラントエンジニアリングの現場では、「考えること」よりも「経験」が大切だと言われることがあります。私自身、これはある程度正しいと感じています。 たとえば、配管設計の仕事では、設計段階では見えなかった問題が、運転開始後にトラブルとして発生することがあります。ですが、そのトラブルも後から振り返ると起きて当然だと納得できることが少なくありません。 こうした失敗の経験を集め、知識として次に活かす仕組みを作ることは、安全安定な操業にとって非常に重要です。しかし、実際にこの「知識を蓄積する仕組み」を作るのは思った以上に難しいのです。以下では、私の実体験をもとに、その難しさと課題を紹介します。 報告書のハードルが高すぎる 多くの企業では、トラブルが発生した際に報告書を作成します。しかし、報告書作成に
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントでは、新製品や合理化などのトライアルに相当する取り組みが頻繁になされます。この段階になると失敗が起きることを恐れるために、いろいろな余裕を盛り込んだ計画となってしまいます。 これらの余裕は公の場に出ることは無く、各部署の計画の範囲に含まれてしまっています。機電系エンジニアならこれを予算や工期という点で、自身の財布の中に入れていることでしょう。こういう余裕としてどういう物があるか、それがどういう影響を後々与えるかを考えていきます。 予算 投資予算に対して余裕を持つのは、現代のエンジニアリングでは当たり前の話です。物価高騰が起こる前の時代(もう10年くらい前ですね)であれば、これまでの実績から適正な価格をほぼ正確に予想して、予算を絞り込むことが可能でした。 今では価格高騰が急に
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 製造業の現場では、日々さまざまなトラブルやムダと向き合っています。ところが、そうした問題が本社に報告されると、なぜか「とりあえずの対策」や「再発防止のテンプレ」が返ってくる──そんな経験はありませんか? この記事では、「現場が本当に困っていること」と「本社が理解しているつもりのこと」のズレを踏まえながら、“根深い問題”を見抜いて動ける人になるための考え方を紹介します。 化学工場に限らず製造業の工場に長くいると、「(工場なら)当たり前」という考え方を身に付けます。それは気が付かないうちに染みついてしまって違和感を覚えなくなるでしょう。 工場内に居たら王道の考え方であり、本社など工場外の人もその考えを理解して議論がされるので、間違ってないと思い込んでしまいます。それが必ずしもそうでもないと
私は化学工場の機電系エンジニアを主軸としたキャリアを進んでいて、一度中国に出向していました。当時は海外で働くというのは一定のステータスがあるものと思い、志望する人も一定数は居たと思います(その少し前の90年代に比べたら減った居たと思いますが、それでも)。 海外で仕事をしたら、日本の仕事の仕方とは異なると思い込んでいて、海外で経験したことが重宝されるだろうくらいに思っていました。日本に帰るとバラ色の会社人生(古い)が待っているのでは?という期待もわずかに持っていました。 それが実際にはほとんど実現しませんでした、という話です。 実体験を語る場が設けられる 機電系エンジニアが海外で仕事をするということは、化学工場ではレアな話のはずです。だから海外出向から帰ると、報告の場が何かしら設けられるのだろう(そして褒められるのだろう)と思っていました。 若かったです。 そんな場は、1回も設けられませんで
私は化学プラントの機電系エンジニアの仕事を20年近く経験して、今は少し離れた仕事をしています。異動したばかりのときは、「20年の経験を忘れないように」と心に誓いますが、気が付いたら忘れ去っていくものです。 そのまま忘れ去ってはいけない気もしますが、逆に当時は何でこんなことを思っていたのだろう、と今になって不思議になることもあります。 日記的な意味を込めて、その辺を言語化しておこうと思います。 会社の文化や考え方でかなり違う部分もあり、時代によっても違う部分もありますが、内と外のどちらにいるかだけでも結構違うと思います。 少しでも製造が楽になるように 化学プラントの機電系エンジニアは、オーナーズエンジニアとして自社工場のための設計をすることが仕事です。 プラントエンジニアリング会社とは違い、自社にとって有利になる設計をします。例えば、製造がとにかく使いやすいような設備を設計するというのは代表
新設プラントの案を決定する前には、いろいろな検討します。経済性を検討して最終決心をして、プラント設計や建設をしてきます。この段階になってしまったら、もう引き戻せないプラントの一生に影響を与える話を考えようと思います。 プラントエンジニアなどそのプラントの設計工事に関わる機会が少ない場合には気が付きにくいですが、長年そのプラントを担当しているユーザーエンジニアが感じる負の遺産の部分です。 特定の生産品目に特化 プラント建設は膨大な費用が掛かるため、できるだけ投資金額を最小にしたいと考えることは普通です。 この場合、建設対象の品目に対して、最低限の設備や建物でプラントが構成されます。投資が厳しい場合には、さらに設備を削れないか、安価な設備にできないか、自動化を削減できないか、といった「先送り」の設計変更がなされます。 生産品目が決まっていて他の品目が入らない連続プラントではなく、いろいろな品目
会社で仕事をしていたら、さまざまな部署でデータや情報を取り扱い、それらを共有する仕組みを作ることが求められます。 いろいろな背景が考えられますが、例えば以下のような理由は容易に思いつきます。 ある人に聞けば分かるがその人が居ないと分からなくなる 聞けばわかるけど、その手間を省きたい 手動で記録せずに、自動で記録したい 化学工場でももちろんこのニーズはあります。○○システムが乱立していきます。導入している側の気持ちとは裏腹に、使っている側としては悩みを抱えることになり、進展しにくいです。その辺りの背景を考えます。 PIシステムは見ない 化学工場の大きなデータといえばDCSのデータでしょう。PIシステムなどで、各種計器のデータを記録して、計器室以外でも情報が見れるようにする仕組みです。 オペレータとしては相当嫌がります。自分たちが仮にミスをしたらそれを隠すことができず、仮にリカバリーしても怒ら
日本の企業では「何か問題が起きたら何か対策を取る」ということを基本にしていることがとても多いと思います。 今までのシステム全体のどこが悪かったかは良く分からないが、ここが悪かったのは確か そこに対策を追加すれば、システムは良くなるはずだ 今までの取り組みの何かを減らすことは考えられない こんな感じですよね。その結果、いろいろな所で限界を迎えて綻びが見えてきたり、首が回らなくなってきています。化学工場ではどういう場所で顕著なのか、考えていこうと思います。 何か改善に取り組むことができない 製造部関係の話です。製造部では自部門での管理範囲内で、製造に関する各種改善に取り組みたいと思っています。現状より少しでも楽に作業ができると作業者は楽になります。今なら、退職者を少しでも減らすという喫緊の課題として位置づけられたりします。 ですが、製造の改善を判断すべき管理者がとても忙しいという問題が出てきま
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントの設計や運転に関わる機械・電気系エンジニアにとって、化学反応の基本的な理解は欠かせません。単なる反応式の知識だけでなく、反応の進行過程や副生成物の発生、さらには製品の劣化といった現場での実態を把握することが、より安全で効率的な設備運用につながります。 本記事では、機電系エンジニアが知っておくべき化学反応の基礎と、その重要性について解説します。 化学の基礎は知っておいて損でない 化学工場に勤める機電系エンジニアは、プラント建設や改造に特化した仕事をします。そのため、自社工場で作っている物を意識することが少なければ、その物の特性のために色々と考えることや関割っている人がいることを意識しにくかったりします。 特に反応がそうです。反応は化学研究者の専門分野で、自分たちに理解できるは
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントでよく使うタンクの構造に関する専門用語を解説します。新入社員など化学工場で初めて仕事する人にとっては専門用語の多さは、ハードルの高さになっていると思います。機電系エンジニアとして最初に理解しておきたい設備はやはりタンクでしょう。 「ここだけは理解しておきたい」という部分に限定します。 本体の名称 タンク本体の名称としては金属の板の名称が大事です。金属の板でタンクが構成されている以上、板に関する情報は最重要です。 名称ルールはかんたんで、天・胴・底とそれぞれ分割します。 上・側・下とそれぞれ呼ぶこともありますが、3つに分ける考え方は同じです。専門用語と呼ぶにはあっさりしすぎていると思います。漢字を知らずに音だけ聞いていると、少しわかりにくいかもしれませんよね。 3つの板は溶接
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 年度末の良い機会に、6年間を振り返ろうと思います。この6年間は仕事の点で大きな転換点になっているだろうと今になって思います。転換は過去にもあったのですが、気が付いたら元の仕事に戻ってしまった状態からスタートした6年です。 言語化しておかないと、後になって忘れたということになりそうなので。 守破離の「破」 会社人生を守破離の3段階で考えたときに、この6年は「破」から始まったと思っています。 忠実な「守」だけで10年 会社に入って10年間は、「守」のフェーズだったと思います。上司から言われたり、相談してもらった最速の答えを忠実に実行していく日々。あまり考えなくても成果が出てしまい、周りからはそれなりに評価されます。 ところが考えるということをしないので、何か問題が起きたときに困り出していき
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 撹拌機は化学プラントにおける反応や混合の要となる装置です。既設の撹拌機を再利用することでコスト削減が図れますが、「そのまま流用できる」と思って設計を省略すると、思わぬトラブルに繋がることもあります。 この記事では、撹拌機を別の用途や装置で再利用する際に確認すべきポイントを、現場目線でわかりやすく解説します。 バッチ運転の場合、撹拌機1つあれば色々なことができて助かるという場面があります。特に切替生産の場合には、既存製品とは別の製品の導入を検討することが多く、既存の撹拌機を使えるかどうかは投資の面でも重要な要素となります。 その撹拌機が使えるかどうかをチェックするには数多くの項目がありますが、最低限ここを抑えておけば致命傷にはならないだろうという点をまとめました。いざ生産を初めて実は動き
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントや工場の現場では、必ずしも流量計を使わずに流量を調整しなければならない場合があります。 そんなときに役立つのが「アナログ的」な流量制御の方法です。 この記事では、流量計を使わずに現場で実践できる流量制御のポイントと注意点を初心者向けにわかりやすく紹介します。 バッチ系の化学プラントの場合、バッチごとに特定の液体・特定の量・特定の速度で送りたいというニーズがあります。精度を高く求めるなら手動の流量計や自動制御の流量計を付けて、シーケンスを組み、誰がやっても間違いがないように運転方法を定めます。 ところが、こういう高級な方法を取れない工場や、そこまでのニーズはないけどもある程度は制御したいという、かなりあいまいな運転条件は存在します。そういう場合に、どういう対応をするかというこ
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『https://neoneeet.com/』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く