サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
インタビュー
neoneeet.com
化学工場に勤める機電系エンジニアは、プラント建設や改造に特化した仕事をします。そのため、自社工場で作っている物を意識することが少なければ、その物の特性のために色々と考えることや関割っている人がいることを意識しにくかったりします。 特に反応がそうです。反応は化学研究者の専門分野で、自分たちに理解できるはずがない。私もそうお思っています。だけど、全く知らなくて良いというのはもったいなく、化学工学の世界で言われる反応よりもさらに基礎的な部分を理解しておくだけで、実務で関係する場面に出会えるかもしれません。 そういうものだ、と知っておくだけでも良いと思います。 反応は単純ではない 反応は一般に反応式で書かれます。例えば以下のように、AというものからBというものに変わります。 何かしらうまい事工夫して、Bという目的物を得るのが化学工場の目的です。その中身が何であるかは化学関係の専門家に任せましょう。
化学プラントでよく使うタンクの構造に関する専門用語を解説します。新入社員など化学工場で初めて仕事する人にとっては専門用語の多さは、ハードルの高さになっていると思います。機電系エンジニアとして最初に理解しておきたい設備はやはりタンクでしょう。 「ここだけは理解しておきたい」という部分に限定します。 本体の名称 タンク本体の名称としては金属の板の名称が大事です。金属の板でタンクが構成されている以上、板に関する情報は最重要です。 名称ルールはかんたんで、天・胴・底とそれぞれ分割します。 上・側・下とそれぞれ呼ぶこともありますが、3つに分ける考え方は同じです。専門用語と呼ぶにはあっさりしすぎていると思います。漢字を知らずに音だけ聞いていると、少しわかりにくいかもしれませんよね。 3つの板は溶接でしっかり固定するのが基本です。 付属品の名称 タンクには形状を構成する板以外にも付属品が付いています。
年度末の良い機会に、6年間を振り返ろうと思います。この6年間は仕事の点で大きな転換点になっているだろうと今になって思います。転換は過去にもあったのですが、気が付いたら元の仕事に戻ってしまった状態からスタートした6年です。 言語化しておかないと、後になって忘れたということになりそうなので。 守破離の「破」 会社人生を守破離の3段階で考えたときに、この6年は「破」から始まったと思っています。 忠実な「守」だけで10年 会社に入って10年間は、「守」のフェーズだったと思います。上司から言われたり、相談してもらった最速の答えを忠実に実行していく日々。あまり考えなくても成果が出てしまい、周りからはそれなりに評価されます。 ところが考えるということをしないので、何か問題が起きたときに困り出していきます。保全での設備のトラブルが起きたときに、その場でどう解決するか(応急策)・今後の対策はどうするか(恒久
バッチ運転の場合、撹拌機1つあれば色々なことができて助かるという場面があります。特に切替生産の場合には、既存製品とは別の製品の導入を検討することが多く、既存の撹拌機を使えるかどうかは投資の面でも重要な要素となります。 その撹拌機が使えるかどうかをチェックするには数多くの項目がありますが、最低限ここを抑えておけば致命傷にはならないだろうという点をまとめました。いざ生産を初めて実は動きませんでした、という残念な結果だけは避けたいものです。 安全性 撹拌機で扱う液体(もしくは固体)の安全性データは必須です。示差走査熱量測定(DSC)が有名です。もともと使っている条件と並べて比較すると良いでしょう。既存よりも安全性に疑わしい情報があれば、前もって検討が必要です。本当に危ないものは化学式(構造式)を見れば、ある程度察することができるようです。 撹拌機は液を溜めて撹拌するという機械ですが、本当に危ない
バッチ系の化学プラントの場合、バッチごとに特定の液体・特定の量・特定の速度で送りたいというニーズがあります。精度を高く求めるなら手動の流量計や自動制御の流量計を付けて、シーケンスを組み、誰がやっても間違いがないように運転方法を定めます。 ところが、こういう高級な方法を取れない工場や、そこまでのニーズはないけどもある程度は制御したいという、かなりあいまいな運転条件は存在します。そういう場合に、どういう対応をするかということを考えましょう。 DXなどとは真逆の現場的でアナログな方法です。 開度を記録する 1つ目の方法はバルブ開度を記録する方法です。 今回の場合は、以下のような水をタンクに投入するという場合を考えましょう。 バルブ開度を調整すれば流量は変わります。流量計が無かったとしても例えばタンクに液面計があって時間記録が分かれば、それなりに測定はできるでしょう。水なら水道メーターや仮設の流量
この年になると将来のことを悲観的に考えることが増えました。最近のニュースでもこれまでは考えられなかった(見ていなかった)問題が結構起きているように感じています。八潮市の陥没事故は私の中ではかなり衝撃的なニュースでした。 私が担当している化学工場でも同じことが起きないか心配になります。化学工場で務めている人、特に製造や保全はこのニュースが気になって仕方がないはずです。もしくは考えることを拒否している人もいるかもしれません。他人ごととは思っていません。 公共の設備で問題になっていても、大手の会社ならしっかりしているだろうからヨシ!と思ってはいけない悲しい事情がそこにはあります。今後、そういう問題は確実に増えるでしょう。 背景を簡単にまとめます。内部で起こっていることは八潮市の問題とかなり似ていると思います。 メンテナンスをしない 化学工場は日本ではおそらく高度経済成長期あたりで勢いよく建設され
化学工場の調整部署が行っている仕事を紹介します。化学工場に限らず、大きな会社なら調整部署が存在しているかもしれません。私が働いている会社でもそういう部署が存在します。あまり目立たないかも知れませんが、縁の下の力持ちとして色々な役割を果たしています。 調整と言っても色々ありますが、技術系の調整に限定します。 工場内外の調整 化学工場の技術系調整部門が行うメインの業務は、工場内外の調整業務です。工場と外とをつなぐ窓口と言っても良いかもしれません。 工場外部から来る仕事としては例えば以下のようなものがあります。 販売や研究から来る依頼を受け入れるかどうか判断する 工場見学を受け入れるかどうか判断する 新規の原料や生産品目の導入検討の窓口となる 工場の外に販売や研究の部門があって、そこから依頼が来たときに正式な窓口となって依頼の管理をします。技術的な知識がある方が有利なのは間違いないですが、あまり
化学プラントというと、いくつもの大きな塔が並んでいるシーンが思いつきます。 例えば、Grokで「化学プラントのイメージ」で以下のようなイメージが作成されました。 ここにも塔がいっぱい並んでいます。この画像にはいろいろ気になる部分はありますが、塔がいっぱいあるのが化学工場、というイメージは私も同意します、 ところで、私が担当するようなバッチ系化学工場ではこのイメージが逆に全くありません。塔の設計の機会はほとんどなく、あってもすごく簡単な物ばかりです。塔の設計は難しいと思っていましたが、こんなに簡単でも、実運転で使えてしまうという実態についてまとめます。 塔径でほぼ決まる設計 バッチ系化学工場で私が行った塔の設計は、塔径を決めただけです。それもプロセス部門から提示されて、予め設計されたものの妥当性を検証するだけのもの。間違っていたら確かに運転ができないので、ダブルチェック目的で別部門がその部門
化学プラントの設備投資を経験していると、コスト削減目的の「移設」がたびたび話題になります。単純に簡易見積をするだけなら作業はそれほどではありませんが、この背景を少し想像してみると考えることはいくつか出てきます。 こんなことを考えると、提案の質が上がると思っていることを紹介します。 コストを削減したい 移設を考える場合、コストを削減したいという想いが背景にあります。投資採算性を考えるときに、少しでも安くするために、何ができるだろう・・・。こう考えて最初に出てくる案が移設です。 移設とは既存プラントにある設備を、別のプラントに移して設置するという意味です。 この段階では投資の中身を精査しているわけではないので、設備を新作する必要がない分だけコストが下がるはずだと思い、見積案として作成することになります。 この思い込みが見積結果を受領したときの戸惑いを生みます。 なぜ高いのだ!というお叱りを受け
化学プラントのような設備改造が多い現場では、運転中に工事をする機会が結構多いです。 SDMに向けて設計や調達をしようとしても、納期が延びたりしてSDMに間に合わないケースが増えています。この場合、運転を止めないように工事をしないといけません。ところが、ここを真剣に考えていないと、結構罠にハマってしまいます。 すごく簡単な設備改造工事ですら、運転を止めて工事をせざるを得ないようになると大問題になります。オーナーズエンジニアの工事としては規模的には初歩的ですが、意外にも中堅・ベテランでも見過ごしてしまう問題です。小規模工事だから簡単であるはずで甘く見るのではなく、しっかりと取り組みたいものです。 1つ典型的な例を紹介しましょう。 ポンプの増設 今回の例はポンプの増設です。 この工事はいくつかの理由が考えられます。 安定生産のために据付予備を置きたい 工事期間が確保できない中で、ポンプの更新をし
化学プラントのエンジニアリングの形態に、自社にその機能を持たせるオーナーズエンジニアがあります。私もその立場の仕事をしています。 機電系で化学プラントという選択は、基本的にはおススメの仕事です。ところが、諸手を挙げて賛成というわけではなく、当然ですがリスクもあります。 このリスクを認識したうえで、是非を判断する方が良いでしょう。私も何回も悩みました。 仕事の浮き沈みを吸収しにくい オーナーズエンジニアは仕事の浮き沈みの吸収がしにくいという、決定的な問題があります。 その会社やプラントで毎年定期的に仕事がある場合は、悩むことはありません。でも、10年20年と仕事が継続する保証はどこにもありません。ここで悲惨なことが起こりえます。 まずは社内で別の部署への異動が考えられます。それでも引き取り先がない場合には、子会社や関連会社への出向が考えられるでしょう。それでもダメな場合は・・・と考えてしまい
化学工場などで採用されるバッチプラントは、自ずと考え方が似るものです。ところが、完全に同じプラントというのはあまり存在せず、そのプラント独自の設備があることも事実です。 バッチプラントは同じような設備が並んでいて、複数の生産品目を切り替えて使うため、どのプラントでもどの生産品目でも製造できるようにしておくことが、理想形です。 特殊設備はこの理想形を妨げる方向にいってしまいます。プラント建設などでは新技術をとにかく取り入れて競争力のあるプラントにしようと一時期は言われていましたが、長期的な目線では実は非常に困った発想です。作る側にとってはチャレンジングかもしれませんが、何十年と使っていき廃棄やその後も考えると悪影響の方が強いです。作るときの情熱の方が強くて、見過ごされやすいお話です。 バッチプラントでどういう設備がそのプラントの特殊性を高めているのか、いくつか紹介しましょう。 皆さんのプラン
化学プラントの機械屋の仕事をして20年。FS(フィージビリティスタディ)もかなり経験しました。この中でも特殊な例として、「現場を見たこともないプラントのFSをして欲しい」という依頼がありました。 略フローや配置図や現場写真はある程度の質なので、絶対に見積が不可能というわけではありませんが、適当に見積しすぎると精度が大きくズレてしまって、依頼者からの信頼感を失いかねません。見積の精度をそれなりに出すためには、「納得感」としての見積根拠を持っておくべきです。 私が気を付けているコツをいくつか紹介しましょう。 建屋の構造 最初に確認すべきは、そのプラントの建屋がどういう構造かという点です。FSはどうしても製造プロセスだけが先走っている段階なので、見積も設備を中心としたものになります。 設備の仕様を細かくチェックして調査したとしても、建屋や工事の金額の精度が上がらないと、見積全体の精度は上がりませ
化学プラントを長年使い続けていくと、設備(計器・制御・電気も含みます)の更新をすることは頻繁にあります。しかし、建物は結構な量が忘れ去られていきます。建物の中でも床は最も目立つ場所で、かなり劣化してきてから初めて「床だけでも何とかできないか・・・」と考えます。 床は古いものではコンクリート、新しいものでは鉄板やグレーチングで作られます。コンクリートはメンテナンスがしにくいですし、今後は建設そのものが難しくなっていくでしょう。老朽化すると廃棄を前提とせざるを得ません。鉄板だと交換の可能性があり、建物を長く使いたいと思うなら、床の耐食性について考える機会があっても良いと思います。 基本は設備や配管と同じです。 ステンレス床 床の材質を鉄からステンレスに変えるという方法です。鉄錆が気になるようなプラントであれば、最初からステンレスにしているという場合もあるでしょう。架構レベルのプラントであれば、
八潮市の道路陥没が大きな問題になっています。2016年に博多でも道路陥没が起きましたが、この問題の背景には、これまで見てなかった地面の下の問題があります。 化学プラントで長年勤めていて、工場の運営や投資に関わる仕事をしている私にとって、プラントライフサイクルの一環として地面とくに地盤沈下に関する話題は昨今重要な課題になっています。 地盤沈下に関する問題を整理して計画的なメンテナンスをするために、化学プラントで考えておいた方が良いことを、まとめました。プラントが置かれている環境によって違うので、各自のプラントの実態に合わせて参考にしていただければと思います。 埋設配管 地盤沈下を考える上で、最初に考えることは埋設配管です。八潮市の問題でも下水がキーワードになっています。 埋設配管は、地面上の通行障害とならないメリットがありますが、漏れが起きているかどうかわかりにくく補修がしにくいというデメリ
化学プラントのDXといえば3Dスキャナ。導入して成功したとアピールする会社もあるでしょうが、「大半は上手く行かなった」という感度だと信じています。 私の職場でも3Dスキャナを5年以上前に導入しましたが、今となってはほぼ使っていません。 色々と理由を考えてみましたが、使う人たちにその気がないという結論に落ち着きそうです。成功しないでコストばかり掛けているので、早く打ち切れば良いのにそれもできない。負のイメージばかりが伸し掛かっています。 導入から失敗に至る現在までの過程をざっくり解説して、何が問題なのかを整理しようと思います。繰り返しますが、他の会社でも似たような感じだと信じています。でもそれでは駄目だということも・・・。 導入期 3Dスキャナという目新しい機械が発売されたことを知った会社は、「何としても速く導入するように」と飛びつきました。特に私の職場は、そういうことに敏感な人が数人いて、
一度建てたものが未来永劫使えるわけではない。 当たり前の話ですが、高度経済成長期に建てた化学プラントなどは、今になって大ごとになってきています。建てたときも高額だったでしょうが、その後の運用で一定の補修をしながら使い続けていって、限界が見え始めたこの頃。 実態を理解していない本社の企画部門に、設備投資の必要性を訴えるには、いくつかのコツがあると思っています。大手企業だと見積をする人と申請をする人が分かれていて、見積をする側からは見えない部分だと思います。その結果、見積額が高いけども削減しようがないという結末になりやすいです。 老朽化している 設備が老朽化しているということは、現在では力強いアピールです。設備投資として通るのは、老朽化だけに限定されるかもしれません。 この場合には、いくつかのコツがあります。 写真で訴える 老朽化の具合を写真撮影しましょう。ボロボロになっていて、いかにも朽ち果
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. カーボン熱交換器は、化学プラントのような腐食性の高い薬液を扱う場所で重宝します。金額は安く、伝熱性も良く、耐食性も高いからですね。 ところが、この設備を過信していると、思わぬところでトラブルに出会いかねません。しっかりしたメンテナンスや更新計画を立てて使うようにしましょう。SDMなどで分解して内部を見ないと、外見だけを見たら気が付かないかも知れませんね。 樹脂で持っている カーボン式の熱交換器は、カーボンというよりも樹脂が性能を決めます。 腐食性が重要な化学工場では、カーボンという耐食性の高い材質に目がいきがちです。実際にはカーボン熱交換器のカーボンは気密性はなく、ガスや液が漏れる構造です。この微細な穴を埋めるために樹脂を含侵させています。 見た目は黒いカーボンで覆われていて強固そうに
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. 化学プラントでは多くの撹拌機を使います。反応に使う反応釜や単純に混ぜるだけの撹拌槽など役割はいろいろあります。撹拌機の性能1つで生産性能が決まってしまう場合もあります。 撹拌機メーカーとしては撹拌性能を上げるために、色々な形状を開発しています。ユーザーとしてはかなり慎重に考えないといけない場合があり、私は単純更新でもかなり恐る恐る取り組んでいます。 この難しさについてまとめてみました。 何が影響するか分からない 撹拌機はパドル翼に代表されるように、撹拌羽根と撹拌軸を組み合わせてモーターで回す構造をしています。 既存の設備を更新する時に、新しい設備の形をほぼ同じに揃えることは可能です。ただし、使用条件に合わせるために、どこまで形状を揃えて良いかはわかりにくい場合があります。 翼の径・幅・
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements. DXという単語が流行って何年も経ちました。化学プラントでもDXを進めている会社はいっぱいあるでしょう。 対外的には凄いアピールをします。これで効果がこんなに出た!という主張。それっぽく見えますが、実態を知っている人から見ると、それってどうなの?という内容の方が多いです。 私の周りでDXの進みは最近落ちてきており、どういう展開になっているかいくつか紹介しましょう。 どこの会社も同じような展開だと信じて・・・ 何もしない DXが進まない理由の大半は、何もしないという展開です。 言葉通り何もしません。 使用者の感度を聞くわけではない 上位者に報告するわけではない メーカーに話を聞くわけではない 急いでいないが重要なものというカテゴリに入る仕事だからこそ、誰かが言わないとやらないという人は居ま
プラントエンジニアリングにおいてオーナーズエンジニアはエンジニアリング会社のエンジニアよりもスキルが低いと一般に言われます。エンジニアリング以外の仕事の有無や投資の頻度など、環境が違うために差が出て当然です。 そこで、プラントエンジの方がオーナーズエンジよりもスキルが高いという点に、個人的には疑問を感じています。 私1人が思っているわけではなく、周りのオーナーズエンジニアもほぼ同意見。それどころか製造課などお客さん側や少し離れた工場の人から見ても、似たような意見を聞きます。 あの丸投げで有名なオーナーズエンジニアから、「プラントエンジニアリング会社はこちら(オーナー側)に丸投げしてくる」という話をたびたび聞きます。カオスですね。 どちらが上かを考えるのではなく、オーナーズエンジニアがプラントエンジニアリング会社をどう思うのか?プラントエンジニアリング会社にとって得意不得意があるのではないか
バイオナフサなど再生可能エネルギーが注目されています。化学工場でもバイオナフサを作るという点は結構注目されますが、その原料を使った製品についてはあまり注目されていません。 世間的にはメリットばかりが注目されていますが、品質については少し慎重になった方が良いでしょう。気が付いたときには原料がバイオナフサに変わっていて、気が付いたときには製品の品質が変わってしまっていた、ということになりかねません。 バイオナフサに限らず、今まで使っていた原料工場の場所や製法が変わったときや、新たな会社の原料を採用する場合も、共通する考え方があります。 ざっくりイメージだけでも掴んでおくと、いつか役に立つときがあるでしょう。 CoAと使用用途との関係 製造物の品質を証明するために、CoA(成分分析証明書)というものが発行されます。化学工場向けには例えば下表の左列のような感じで、含量と不純物の規格が定められます。
プロセス中の異物除去などのためにストレーナもしくはフィルタを、ラインに設置することはよくあります。 この配管の設計をする際には、実は数パターンの方法が考えられます。どこまで対策を取るかはプロセスの危険性や作業内容によって変わる部分がありますが、数パターンのうちから選べるというのが設計者にとっては1つのスキルとなるでしょう。 ストレーナやフィルタの内部を交換する時に「いかに安全な状態にするか」ということがポイントです。 シンプルな方法 最初にシンプルなライン設計を考えます。 ストレーナ・フィルタの前後に遮断弁を設け、ベントとドレンのバルブを付けたパターンです。とてもシンプルですね。この方法で付いている現場も多いことでしょう。 遮断弁を閉じることで、本体を開放したときに液が外部に漏れない 内部の液はドレンとして排出する ドレン排出を良くするために、ベントラインを付ける この組み合わせが最低限だ
全溶接型プレート熱交換器という種類のプレート熱交換器があります。 世の中に出回ってから10年以上は経っていますが、私は一度も採用したことがありません。 未だに怖いと思っています。 だからと言って勉強しないわけにはいかず、いざ採用するという流れができたときに困らないようにしたいと思っています。 メリットとデメリットを理解することが大事ですね。 特にデメリット側はユーザーによってまちまち。 私が気になるデメリットと、使うとしたらこういう場面かなと考えていることをまとめました。 詰まる 全溶接型のプレート熱交換器は、詰まる可能性が考えられます。 もともとプレート熱交換器というのは、複数枚のプレートをガスケットで挟んだ構造です。 ガスケットを使う以上、耐圧性と耐熱性の限界があって、その問題を解決する手法として溶接でプレートを固定するという考え方になっています。 溶接してしまうと、プレート1枚1枚を
機械系エンジニアの人は、断面図を見る機会が多いです。 機会を専門に扱う会社であれば、断面図を見るのは当たり前で解読できて当然と思うかも知れません。 ところが、化学系の場合は化学機械の断面図を見る機会は、相対的に多くはありません。 教えてくれる人も決して多くはないでしょう。 そんな中で、メーカーから届いた図面を見たり、トラブルがあった時に図面を見ようとしたら、「何かよく分からない」という状態になりかねません。 1人で図面をずっと眺めていても、気が付きにくかったり時間が掛かったりすることでしょう。 そんな時は、図面の解読の基本である色塗りがおススメです。 簡単な例で紹介しましょう。 シリンダ的なもの 今回は下のシリンダ的なものを例に挙げます。 実際のシリンダとは似て非なるものなので、あくまで例題として考えてください。 この図を見てパッとシリンダがイメージできるなら、そもそも色塗りの必要はありま
化学プラントでは常々設備投資がなされます。 機械系エンジニアなら見積から始まって、工事設計や工事完成を経た後に、設備保全を行って、最終的には廃棄という設備のライフサイクル全般に渡る関わり方をします。 やりがいのある仕事です。 ところで、この「見積」の部分。 設備投資の目的によって、ニュアンスが少しずつ変わってきます。 会社によって考え方や仕分けかたが多少変わるかも知れませんが、こういう考え方もあるのだと参考になれば幸いです。 この使いわけがしっかりできていれば、エンジニアとしてはとても重宝されるでしょう。 法的要求 設備投資の中でも絶対に外せない目的に、法的要求があります。 化学工場なら消防法や労安法などの保安系の方もありますが、例えば医薬ならGMPなど、他にも要求されることはいっぱいあります。 この要求に答えられそうにない設備には、最優先で投資がなされるべきです。 一発アウトで生産できな
医薬の世界でCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)が話題になっています。 DがないCMO(Contract Manufacturing Organization)という言葉もありますね。 開発を受託するかどうかという違いが、CMOとCDMOの差。 社外の受委託の関係よりも狭い社内で、製造課の機能を考えるときに、CDMO的かどうかを考えてみようと思います。 体験範囲内の狭い話です。 CDMO的な製造 私の職場の製造課は、これまで経験した範囲ではCDMO的な機能を持っている課ばかりでした。 開発とまではいきませんが、製造データの解析・プロセス改善・合理化など色々提案する製造課です。 課長以下のラインでこういう業務を行える職場もありましたが、近年は変わってきています。 製造課内に独立したスタッフラインがあって、専門的に考
屋外タンクなど、タンクの底から液が抜けずに横から抜くパターンでは、タンク内の液が全量排出できないという課題があります。 いろいろな場面で問題になりえるのですが、そもそもなぜこの問題が起きるのでしょうか? また、その問題に対する考え方はどういうものでしょうか? 実務的な話をしようと思います。 タンクのデッド部とは まずは、タンクのデッド部を解説します。 屋外タンクでは、タンク底面がコンクリート基礎に全面接しているので、ノズルは横から取ります。 こんな感じのイメージになります。 タンク底板とノズルを同じ高さで設置することは、とても難しいです。 底板を溶接しても失敗すれば、全量漏れてしまうリスクがあり、底板の溶接はできるだけ少なくします。 ノズルを横から取ると、その部分だけ強度が落ちるので当て板などで補強するためや、溶接の影響を避けるためには、ノズルの位置は底板から少し高い位置にせざるを得ません
化学プラントの設計をしていて、最も悩み諦めざるをえないことに、防爆があります。 このせいで、いろいろな技術導入が遅れ、コストや納期の問題も出てきます。 安全を守るために仕方がないとはいえ、何とかならないものかと考える人は多いでしょう。 そんな中で、防爆設計に関するガイドラインが出ています。 すでに検証して採用している会社も多いでしょう。 逆に、私の所属会社のように、昔ながらの定数で防爆範囲を決めている会社の方が多いと思います。 すぐに使うわけでなくても、実際にガイドラインを使ってみて、どれくらいのオーダーの結果になっているかは、感覚として知っておいてそうはないでしょう。 実務でそう感じたので、試しの計算と検証を少ししてみました。 以下の資料を参考にしました。 プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン https://www.meti.go.jp/policy/safe
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『機械屋が化学会社で働いてみた』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く