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猛暑に注意を
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最近X(twitter)で、朝一番に蛇口から水道水を飲んで食中毒というポストを見ました。水は腐るもので、水道管内に滞留している水道水が危ない、ということは化学会社で働く技術系なら知っている人も多いと思います。 というのも化学工場の運転でも同じ考え方を使うからです。私のところでは端切りと呼んでいます。端切り自身は化学工場以外でも使われる表現です。今回の記事では、化学工場での端切りの例を紹介しましょう。 サンプリング サンプリングをするときには端切りは必須です。例えば、ポンプの圧力計やドレン抜きからサンプリングする例を考えましょう(この例自体があまり良くない危ないですが・・・)。 図の赤丸で囲った部分は、配管内でも液が動かない部分です。バルブを開けると最初にこの溜まっている部分の液体が排出されます。この液体をサンプリングとして採取した場合、本当に知りたい情報とは違う情報が得られてしまう可能性が
化学プラント建設(Plant construction)のプロジェクトで、よく使う0.6乗則について分かりやすく解説します。 設備のコストって、ざっくりでいいから見積もれない? こんなことを言われた経験は1度や2度ではないはずです。そんな時は、0.6条則の出番です。 ラング係数とセットで、設備投資の概算見積で大活躍します。この内容を知っていると、社内の見積を超高速化することが可能。 急遽見積をしてほしい!という製造課からの依頼に対しても、即日回答をして信頼感が一気に上がることになるでしょう。 社内で有利に仕事をできるようになりますよ。 この記事は、ラング係数シリーズの一部です。 ラング係数って何?化学プラントの投資概算見積 配管見積の考え方|初心者もわかる現場で役立つポイントと注意点 0.6乗則とは 0.6乗則は、設備投資額がプラント能力の0.6乗に比例するという法則です。 これだけ見ても
日本のものつくりの品質は極めて高い。こう言われて久しい一方で、品質問題が最近はたびたび発生しています。この側面には「過剰品質」があることは、最近では認知されるようになってきました。それでも、品質を下げることはとても難しいです。 この記事では、化学会社の品質について私が経験した範囲で、品質について感じている問題をまとめました。どうしようもないと思っていても表立って言えない問題、みなさんもありませんか? この記事は、品質シリーズの一部です。 原料の品質を落としても大丈夫? 化学プラントで考える“製品への影響” 4M変更管理の重要性:品質トラブルを未然に防ぐために 化学プラントの品質トラブルは“工事”で起きる:設計者が注意すべき落とし穴 安全・環境・品質が化学プラントで深く関係する理由 オーナーエンジニアが現場で実践すべき配管工事の品質管理手法 とりあえず決めた原料規格 化学会社では、原料に対し
サイクロンは粉体と気体が混じった系から粉体を取り出すときに使う装置として、有名です。取り出した粉体は再利用や廃棄を考えますが、直近の粉体工程ではなくその1つ前の工程に戻すことになるでしょう。できるなら直接再利用したいですが、そのためには結構慎重に考える必要があります。 本記事では、そんなサイクロンのライン設計で考えるべきことをまとめました。 サイクロン分割 最初は王道的なパターンを見てみましょう。 このフローは、粉体の入った容器(タンクとかホッパー)から気体と粉体とが漏れてきて、その粉体を回収するためにサイクロンを設置した例です。 粉体はサイクロンで分離され下部から排出され、気体は上部から排出されます。ブロアーのような排風装置がサイクロンの上部の下流側に設置されています。 サイクロン下部にバルブを設置しておき、定期的に粉体を排出するという流れが実現できます。ところが、ここには問題点が。 ・
日本の製造業はこの10年くらいを見ると、非常に大きな変化が起こっています。リストラが分かりやすい例ですが、化学業界でも石油化学で再編が話題になっています。 私は石油化学系の仕事ではなく、他人ごとのように考えていました。ところが、最近はようやく「これはちょっとまずいのでは・・・」という危機感を覚えだしました。化学関係といっても様々な分野がありますが、将来が見えない分野もあるでしょう。 本記事では、なぜまずいのかを機械系エンジニア目線で語ろうと思います。私が良く取りあげる、オーナーズエンジニアの能力に関する問題とは別次元の話です。 コモディティ化で起こっていること 石油化学の世界ではコモディティ化は良く知られていますが、少し離れた分野ではほとんど聞いたことすらない場合もあります。他人ごとでないということを理解するためには、コモディティ化の中で起こっていることを考えると良いと思います。石油化学に
化学プラントの投資を考えるとき、機械設備が中心に進みがちですが、実は土木建築の建屋部分が相当のウェイトを占めています。化学プラントにはそういうエンジニアリングを専門に扱う人はあまり多くはなく、投資を判断する企画系の人でも、この辺りの関係は意外と希薄です。そもそもプラントを建てるために建屋が必要ということは、設備の構成を考えると自ずと分かりますが、認識されにくいです。 本記事では、設備目線で人がアクセスするという操作上・メンテ上の必要性から、プラントが必要になるという基本的な論理展開を追っていきます。 プラントを作るには建屋が必要という前提条件が初めからあると、平置きの設備を建てるときに思わぬ失敗を招くこともありえます。基本的な事なので、しっかり押さえておきましょう。 設備には必要なアクセスの基本 化学プラントの設備は、設置したらおしまいというわけでありません。操作上必要になるかも知れません
プラント設計のような巨大な額の投資では、一度建てると何十年と使うことを前提とするために、概念設計がとても大事になります。しっかりとした文書などに残っている会社はあまり多くはなく、特にユーザーエンジニアの間では、一子相伝的に個人の頭の中で引き継がれている場合もあるでしょう。私の会社でもそうです。 この考え方は、頭の中にあるだけでは忘れてしまうのでは?という不安があります。いつでも見返せるように、文書にしようというのが今回の取り組みです。 この記事では、プラント建設費を構成する要素を体系的に見渡し、機械系エンジニアが全体を把握するための視点を紹介します。プラント設計の考え方の1つを知ることができます。プラントの特性などによって考え方が変わる場合もあると思いますので、1つの考え方として参考になれば幸いです。 プラント建設費と部門の関係 最初にプラント建設費と部門の関係を考えます。プラント建設費は
化学工学を学ぶ中で、「何から手をつけていいか分からない」「公式だけ覚えても実務で活かせない」――そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 私は大学で機械工学を学んで、会社で化学工学を少しずつ勉強していきました。気が付いたときには、化学工学の専門家として認知されていました。とても不思議な感覚です。 この記事では、私自身が学生時代から社会人になって実務に携わるまで、実際に役に立ったと感じた参考書・教科書を5冊ご紹介します。基礎から応用、そして現場感覚に至るまで、ステップアップしながら学べる内容です。 最初に勉強した本 私が最初に読んだ本は、化学工学会の化学工学 改訂第3版 解説と演習です。 化学工学 改訂第3版 解説と演習 [ 化学工学会 ] created by Rinker ¥2,750 (2025/08/07 00:55:48時点 楽天市場調べ-詳細) Amazon 楽天市場 Y
三菱ケミカルの早期退職が話題になって4年以上、「今後大手化学会社から順番に同じ流れになるでしょう。」と私も勝手に予想していて、住友化学が昨年4000人の人員削減を発表していました。 三菱ケミカルと同じように考えるのを忘れていて、今思い出しました。 2024年4月30日の経営戦略説明会の資料に書かれていました。エンジニア目線でその内容と背景を解説します。 住友ファーマでのリストラによる減少等 危機的な状態になった住友ファーマや他の海外グループ会社のリストラで、人員削減をしようという話です。 具体的な対象者や達成した数字に関する情報がありませんが、結構なリストラをしたのだと思います。会社から働きかけなくても自主的に見限って辞めた人も、それなりにいることでしょう。 製薬業界は異動や転職が盛んと聞きますが、親会社はこれまでリストラしていたのでしょうか?していなかったからこそ、このタイミングでようや
最近は、他社に対する監査やコンサルに関わる仕事が少しずつ増えてきました。 私は、どうやらかなりハイスペックな環境の工場経験をしてきたようで、行ったことも無い工場の不具合を写真だけであれこれ言えるようになっているようです。これが、他社の指導として使えるようです(まだ信じられません)。 では、指導する先の工場の実際とはどういうものだろう?と1つ例を紹介します。 そんなに難しく考えることもないことが、分かると思います。 この記事では、液体充填設備の最低限の構成や、実際に起こりうる不具合例について紹介します。皆さんの職場でも、表示位置や作業スペースに無理がないか、一度チェックしてみるのも良いでしょう。 この記事は、ドラム缶シリーズの一部です。 グラビティコンベアによるドラム缶搬送の設計例 ドラム缶を化学プラントで使う背景 ドラム・フレコンへの充填とコンベアの位置関係 液体の充填 ある液体を製造して
化学プラントを長年見ていると、歴史の長いプラントほど経験が蓄積されていき、独自の標準化が進みます。もともとの意図としては設計の効率化や安全運転のためなのですが、トラブルが起きたら何か対策を積み増していくうちに、世間一般から外れたその会社でしか通じない標準化ができあがります。 これを担当者として気が付くのは難しいでしょう。レベルが上がっていき、そこに追いついていない他社の方が良くないのだ(だから事故が起こるのだ)、と考えてしまいがち。 ところが、水準の高い標準化のためにコストアップしていくと、コンペで負けるのは実は目に見えています。見えていないのはプラントの中で動いている人たち。 どういう設備の標準化が良くないかを、化学プラントでありがちなものとしてまとめました。 あなたの会社でも、こんな設備仕様書になっていませんか?」 フランジやノズル周りの溶接が手厚い 金属系のタンクや熱交換器(製缶機器
プラントエンジニアリングの現場では、「考えること」よりも「経験」が大切だと言われることがあります。私自身、これはある程度正しいと感じています。 たとえば、配管設計の仕事では、設計段階では見えなかった問題が、運転開始後にトラブルとして発生することがあります。ですが、そのトラブルも後から振り返ると起きて当然だと納得できることが少なくありません。 こうした失敗の経験を集め、知識として次に活かす仕組みを作ることは、安全安定な操業にとって非常に重要です。しかし、実際にこの「知識を蓄積する仕組み」を作るのは思った以上に難しいのです。以下では、私の実体験をもとに、その難しさと課題を紹介します。 報告書のハードルが高すぎる 多くの企業では、トラブルが発生した際に報告書を作成します。しかし、報告書作成には時間がかかるため、現場では敬遠されがちです。 私のいた組織では、報告書の承認者が部長クラスであり、内容は
化学プラントでは、新製品や合理化などのトライアルに相当する取り組みが頻繁になされます。この段階になると失敗が起きることを恐れるために、いろいろな余裕を盛り込んだ計画となってしまいます。 これらの余裕は公の場に出ることは無く、各部署の計画の範囲に含まれてしまっています。機電系エンジニアならこれを予算や工期という点で、自身の財布の中に入れていることでしょう。こういう余裕としてどういう物があるか、それがどういう影響を後々与えるかを考えていきます。 予算 投資予算に対して余裕を持つのは、現代のエンジニアリングでは当たり前の話です。物価高騰が起こる前の時代(もう10年くらい前ですね)であれば、これまでの実績から適正な価格をほぼ正確に予想して、予算を絞り込むことが可能でした。 今では価格高騰が急に起こるリスクが高くなり、予算に余裕を持つことになります。この結果、起こることは・・・ 高い投資額になるので
化学工場に限らず製造業の工場に長くいると、「(工場なら)当たり前」という考え方を身に付けます。それは気が付かないうちに染みついてしまって違和感を覚えなくなるでしょう。 工場内に居たら王道の考え方であり、本社など工場外の人もその考えを理解して議論がされるので、間違ってないと思い込んでしまいます。それが必ずしもそうでもないという話をします。 特に化学プラントの場合は、装置産業で社内でコンペとなる工場もあまりないので、危機感を持っている人の方が少ないという特徴もあります。どこでも工場を作れるわけでも無いですからね・・・。 会社は工場の稼働の最大化を考えるべき 会社は自社工場の稼働を最大化させるように動く。 これが当たり前だと思っていました。一般的には当たり前の話ですよね。ところが、別に自社工場で作る必要は化学工場といえども100%成立するわけではありません。子会社・他社など国内外問わず色々選択肢
私は化学工場の機電系エンジニアを主軸としたキャリアを進んでいて、一度中国に出向していました。当時は海外で働くというのは一定のステータスがあるものと思い、志望する人も一定数は居たと思います(その少し前の90年代に比べたら減った居たと思いますが、それでも)。 海外で仕事をしたら、日本の仕事の仕方とは異なると思い込んでいて、海外で経験したことが重宝されるだろうくらいに思っていました。日本に帰るとバラ色の会社人生(古い)が待っているのでは?という期待もわずかに持っていました。 それが実際にはほとんど実現しませんでした、という話です。 実体験を語る場が設けられる 機電系エンジニアが海外で仕事をするということは、化学工場ではレアな話のはずです。だから海外出向から帰ると、報告の場が何かしら設けられるのだろう(そして褒められるのだろう)と思っていました。 若かったです。 そんな場は、1回も設けられませんで
私は化学プラントの機電系エンジニアの仕事を20年近く経験して、今は少し離れた仕事をしています。異動したばかりのときは、「20年の経験を忘れないように」と心に誓いますが、気が付いたら忘れ去っていくものです。 そのまま忘れ去ってはいけない気もしますが、逆に当時は何でこんなことを思っていたのだろう、と今になって不思議になることもあります。 日記的な意味を込めて、その辺を言語化しておこうと思います。 会社の文化や考え方でかなり違う部分もあり、時代によっても違う部分もありますが、内と外のどちらにいるかだけでも結構違うと思います。 少しでも製造が楽になるように 化学プラントの機電系エンジニアは、オーナーズエンジニアとして自社工場のための設計をすることが仕事です。 プラントエンジニアリング会社とは違い、自社にとって有利になる設計をします。例えば、製造がとにかく使いやすいような設備を設計するというのは代表
新設プラントの案を決定する前には、いろいろな検討します。経済性を検討して最終決心をして、プラント設計や建設をしてきます。この段階になってしまったら、もう引き戻せないプラントの一生に影響を与える話を考えようと思います。 プラントエンジニアなどそのプラントの設計工事に関わる機会が少ない場合には気が付きにくいですが、長年そのプラントを担当しているユーザーエンジニアが感じる負の遺産の部分です。 特定の生産品目に特化 プラント建設は膨大な費用が掛かるため、できるだけ投資金額を最小にしたいと考えることは普通です。 この場合、建設対象の品目に対して、最低限の設備や建物でプラントが構成されます。投資が厳しい場合には、さらに設備を削れないか、安価な設備にできないか、自動化を削減できないか、といった「先送り」の設計変更がなされます。 生産品目が決まっていて他の品目が入らない連続プラントではなく、いろいろな品目
会社で仕事をしていたら、さまざまな部署でデータや情報を取り扱い、それらを共有する仕組みを作ることが求められます。 いろいろな背景が考えられますが、例えば以下のような理由は容易に思いつきます。 ある人に聞けば分かるがその人が居ないと分からなくなる 聞けばわかるけど、その手間を省きたい 手動で記録せずに、自動で記録したい 化学工場でももちろんこのニーズはあります。○○システムが乱立していきます。導入している側の気持ちとは裏腹に、使っている側としては悩みを抱えることになり、進展しにくいです。その辺りの背景を考えます。 PIシステムは見ない 化学工場の大きなデータといえばDCSのデータでしょう。PIシステムなどで、各種計器のデータを記録して、計器室以外でも情報が見れるようにする仕組みです。 オペレータとしては相当嫌がります。自分たちが仮にミスをしたらそれを隠すことができず、仮にリカバリーしても怒ら
日本の企業では「何か問題が起きたら何か対策を取る」ということを基本にしていることがとても多いと思います。 今までのシステム全体のどこが悪かったかは良く分からないが、ここが悪かったのは確か そこに対策を追加すれば、システムは良くなるはずだ 今までの取り組みの何かを減らすことは考えられない こんな感じですよね。その結果、いろいろな所で限界を迎えて綻びが見えてきたり、首が回らなくなってきています。化学工場ではどういう場所で顕著なのか、考えていこうと思います。 何か改善に取り組むことができない 製造部関係の話です。製造部では自部門での管理範囲内で、製造に関する各種改善に取り組みたいと思っています。現状より少しでも楽に作業ができると作業者は楽になります。今なら、退職者を少しでも減らすという喫緊の課題として位置づけられたりします。 ですが、製造の改善を判断すべき管理者がとても忙しいという問題が出てきま
化学工場に勤める機電系エンジニアは、プラント建設や改造に特化した仕事をします。そのため、自社工場で作っている物を意識することが少なければ、その物の特性のために色々と考えることや関割っている人がいることを意識しにくかったりします。 特に反応がそうです。反応は化学研究者の専門分野で、自分たちに理解できるはずがない。私もそうお思っています。だけど、全く知らなくて良いというのはもったいなく、化学工学の世界で言われる反応よりもさらに基礎的な部分を理解しておくだけで、実務で関係する場面に出会えるかもしれません。 そういうものだ、と知っておくだけでも良いと思います。 反応は単純ではない 反応は一般に反応式で書かれます。例えば以下のように、AというものからBというものに変わります。 何かしらうまい事工夫して、Bという目的物を得るのが化学工場の目的です。その中身が何であるかは化学関係の専門家に任せましょう。
化学プラントでよく使うタンクの構造に関する専門用語を解説します。新入社員など化学工場で初めて仕事する人にとっては専門用語の多さは、ハードルの高さになっていると思います。機電系エンジニアとして最初に理解しておきたい設備はやはりタンクでしょう。 「ここだけは理解しておきたい」という部分に限定します。 本体の名称 タンク本体の名称としては金属の板の名称が大事です。金属の板でタンクが構成されている以上、板に関する情報は最重要です。 名称ルールはかんたんで、天・胴・底とそれぞれ分割します。 上・側・下とそれぞれ呼ぶこともありますが、3つに分ける考え方は同じです。専門用語と呼ぶにはあっさりしすぎていると思います。漢字を知らずに音だけ聞いていると、少しわかりにくいかもしれませんよね。 3つの板は溶接でしっかり固定するのが基本です。 付属品の名称 タンクには形状を構成する板以外にも付属品が付いています。
年度末の良い機会に、6年間を振り返ろうと思います。この6年間は仕事の点で大きな転換点になっているだろうと今になって思います。転換は過去にもあったのですが、気が付いたら元の仕事に戻ってしまった状態からスタートした6年です。 言語化しておかないと、後になって忘れたということになりそうなので。 守破離の「破」 会社人生を守破離の3段階で考えたときに、この6年は「破」から始まったと思っています。 忠実な「守」だけで10年 会社に入って10年間は、「守」のフェーズだったと思います。上司から言われたり、相談してもらった最速の答えを忠実に実行していく日々。あまり考えなくても成果が出てしまい、周りからはそれなりに評価されます。 ところが考えるということをしないので、何か問題が起きたときに困り出していきます。保全での設備のトラブルが起きたときに、その場でどう解決するか(応急策)・今後の対策はどうするか(恒久
バッチ運転の場合、撹拌機1つあれば色々なことができて助かるという場面があります。特に切替生産の場合には、既存製品とは別の製品の導入を検討することが多く、既存の撹拌機を使えるかどうかは投資の面でも重要な要素となります。 その撹拌機が使えるかどうかをチェックするには数多くの項目がありますが、最低限ここを抑えておけば致命傷にはならないだろうという点をまとめました。いざ生産を初めて実は動きませんでした、という残念な結果だけは避けたいものです。 安全性 撹拌機で扱う液体(もしくは固体)の安全性データは必須です。示差走査熱量測定(DSC)が有名です。もともと使っている条件と並べて比較すると良いでしょう。既存よりも安全性に疑わしい情報があれば、前もって検討が必要です。本当に危ないものは化学式(構造式)を見れば、ある程度察することができるようです。 撹拌機は液を溜めて撹拌するという機械ですが、本当に危ない
バッチ系の化学プラントの場合、バッチごとに特定の液体・特定の量・特定の速度で送りたいというニーズがあります。精度を高く求めるなら手動の流量計や自動制御の流量計を付けて、シーケンスを組み、誰がやっても間違いがないように運転方法を定めます。 ところが、こういう高級な方法を取れない工場や、そこまでのニーズはないけどもある程度は制御したいという、かなりあいまいな運転条件は存在します。そういう場合に、どういう対応をするかということを考えましょう。 DXなどとは真逆の現場的でアナログな方法です。 開度を記録する 1つ目の方法はバルブ開度を記録する方法です。 今回の場合は、以下のような水をタンクに投入するという場合を考えましょう。 バルブ開度を調整すれば流量は変わります。流量計が無かったとしても例えばタンクに液面計があって時間記録が分かれば、それなりに測定はできるでしょう。水なら水道メーターや仮設の流量
この年になると将来のことを悲観的に考えることが増えました。最近のニュースでもこれまでは考えられなかった(見ていなかった)問題が結構起きているように感じています。八潮市の陥没事故は私の中ではかなり衝撃的なニュースでした。 私が担当している化学工場でも同じことが起きないか心配になります。化学工場で務めている人、特に製造や保全はこのニュースが気になって仕方がないはずです。もしくは考えることを拒否している人もいるかもしれません。他人ごととは思っていません。 公共の設備で問題になっていても、大手の会社ならしっかりしているだろうからヨシ!と思ってはいけない悲しい事情がそこにはあります。今後、そういう問題は確実に増えるでしょう。 背景を簡単にまとめます。内部で起こっていることは八潮市の問題とかなり似ていると思います。 メンテナンスをしない 化学工場は日本ではおそらく高度経済成長期あたりで勢いよく建設され
化学工場の調整部署が行っている仕事を紹介します。化学工場に限らず、大きな会社なら調整部署が存在しているかもしれません。私が働いている会社でもそういう部署が存在します。あまり目立たないかも知れませんが、縁の下の力持ちとして色々な役割を果たしています。 調整と言っても色々ありますが、技術系の調整に限定します。 工場内外の調整 化学工場の技術系調整部門が行うメインの業務は、工場内外の調整業務です。工場と外とをつなぐ窓口と言っても良いかもしれません。 工場外部から来る仕事としては例えば以下のようなものがあります。 販売や研究から来る依頼を受け入れるかどうか判断する 工場見学を受け入れるかどうか判断する 新規の原料や生産品目の導入検討の窓口となる 工場の外に販売や研究の部門があって、そこから依頼が来たときに正式な窓口となって依頼の管理をします。技術的な知識がある方が有利なのは間違いないですが、あまり
化学プラントというと、いくつもの大きな塔が並んでいるシーンが思いつきます。 例えば、Grokで「化学プラントのイメージ」で以下のようなイメージが作成されました。 ここにも塔がいっぱい並んでいます。この画像にはいろいろ気になる部分はありますが、塔がいっぱいあるのが化学工場、というイメージは私も同意します、 ところで、私が担当するようなバッチ系化学工場ではこのイメージが逆に全くありません。塔の設計の機会はほとんどなく、あってもすごく簡単な物ばかりです。塔の設計は難しいと思っていましたが、こんなに簡単でも、実運転で使えてしまうという実態についてまとめます。 塔径でほぼ決まる設計 バッチ系化学工場で私が行った塔の設計は、塔径を決めただけです。それもプロセス部門から提示されて、予め設計されたものの妥当性を検証するだけのもの。間違っていたら確かに運転ができないので、ダブルチェック目的で別部門がその部門
化学プラントの設備投資を経験していると、コスト削減目的の「移設」がたびたび話題になります。単純に簡易見積をするだけなら作業はそれほどではありませんが、この背景を少し想像してみると考えることはいくつか出てきます。 こんなことを考えると、提案の質が上がると思っていることを紹介します。 コストを削減したい 移設を考える場合、コストを削減したいという想いが背景にあります。投資採算性を考えるときに、少しでも安くするために、何ができるだろう・・・。こう考えて最初に出てくる案が移設です。 移設とは既存プラントにある設備を、別のプラントに移して設置するという意味です。 この段階では投資の中身を精査しているわけではないので、設備を新作する必要がない分だけコストが下がるはずだと思い、見積案として作成することになります。 この思い込みが見積結果を受領したときの戸惑いを生みます。 なぜ高いのだ!というお叱りを受け
化学プラントのような設備改造が多い現場では、運転中に工事をする機会が結構多いです。 SDMに向けて設計や調達をしようとしても、納期が延びたりしてSDMに間に合わないケースが増えています。この場合、運転を止めないように工事をしないといけません。ところが、ここを真剣に考えていないと、結構罠にハマってしまいます。 すごく簡単な設備改造工事ですら、運転を止めて工事をせざるを得ないようになると大問題になります。オーナーズエンジニアの工事としては規模的には初歩的ですが、意外にも中堅・ベテランでも見過ごしてしまう問題です。小規模工事だから簡単であるはずで甘く見るのではなく、しっかりと取り組みたいものです。 1つ典型的な例を紹介しましょう。 ポンプの増設 今回の例はポンプの増設です。 この工事はいくつかの理由が考えられます。 安定生産のために据付予備を置きたい 工事期間が確保できない中で、ポンプの更新をし
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