「安楽死することは悲しくない。やり残したことは何もないし、本当に幸せな人生だったの。私のゴールはここ。やっと夢が叶うのよ」 【映像】「安楽死」を考える スイスで最期を迎えた日本人、「生きるのを諦めた」男性の選択、「生を選ぶ社会に」難病患者の訴え スイスのある施設で、まもなく安楽死を遂げようとしていた迎田良子さん(64)は、一点の曇りもない、晴れ渡った表情をしていた。 記者として、他人の人生に、ましてや、その人の命の決定に口を挟む資格はない。そのことを重々理解しつつも、私は「あなたは死が差し迫っているわけではないし、まだ生きられると思うんです」と問いかけた。迎田さんの中に生きる選択肢がわずかにでも残されていないかを確認したかったからである。 「誰かに頼って生きるなんて嫌なのよ」。澄んだ瞳で、そう話す迎田さんに、私は返す言葉を持ち合わせていなかった。なぜなら、私はこれまでの取材を通して、彼女が