「自分が弁護士として出世したいばかりに、優三さんの優しさにつけこんで結婚して、でもすぐ辞めて、優三さんに甘えて子供作って。結局優三さんは戦地に行って、大好きな優未とも離れ離れになって。だから、私にできるのは、謝ることぐらいで」 朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)第40話において、出征の決まった優三(仲野太賀)と出かけた寅子(伊藤沙莉)は、そう、優三に言った。朝ドラのヒロインの口から零れ出た、あまりにも等身大の、リアルな言葉に驚いた。一方で、それは彼女の弱さだとも思った。この期に及んで、何も優三の出征を前に謝ったところで、優三の心が安らぐわけでなく、ただ自分が楽になりたいだけではないかと。でもそれは「ずっと正しい人のまんまだと疲れちゃうから、せめて僕の前では肩の荷を下ろしてさ」と言ってくれる優三に対する甘えであり、優三の前だからこその「正しくない」寅子の姿だったのだろう。 『虎に翼』のすごいとこ