『宙わたる教室』は、東京都立高校の定時制に通う生徒たちが、科学部での活動を通して成長していく物語です。この作品は、困難を抱える生徒たちが自分自身と向き合い、新しい一歩を踏み出す姿を描いており、読者に「自分を諦めない」大切さを教えてくれます。本作を読み進める中で、私は彼らの挑戦する姿に共感し、自分の人生についても考えさせられました。 物語の中心にいるのは、文字の読み書きが苦手でディスレクシアを抱える21歳の柳田岳人、子どもの頃に学校に通えず夢を諦めたフィリピン人のアンジェラ、起立性調節障害で保健室登校を続ける16歳の佳純、そして戦後すぐに集団就職で働き続けた74歳の長嶺です。彼らが科学部の顧問・藤竹のもとに集まり、「火星のクレーター」を再現するという実験に挑む姿は、まるでバラバラのピースが一つの絵を完成させるように、次第にまとまっていく様子が感動的でした。 特に印象に残ったのは、主人公の岳人