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アメリカ大統領選
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地に足の着かないAI論 表現者クライテリオン最新号の特集テーマは「SDGs/AI批判序説」というもので、私は「AIの知能観――シンギュラリティ論に惑わされないために」という記事を書いています。思想誌でAI(人工知能)批判というと、 「AIが人間に追いつくことはない」 「AIの安易な導入には弊害がある」 というような内容を想像する人もいるかも知れませんが、私が言いたいのはそういうことではありません。AIの周辺では「言葉の定義」も「現存する技術との対応関係」も定かでない言説が飛び交いがちで、礼讃論と懐疑論のいずれも地に足が着いていないと感じることが多いので、まずは現代の人工知能技術の特徴を大まかにでも確認して頭を冷やしたほうがよいのではないかという話です。 また、AIが話題に上ると、すぐ「機械が人間に追いつき、追い越すことは可能なのか」という議論をしたくなる人は多いと思うのですが、そもそも「追
今回は『表現者クライテリオン』2021年9月号の掲載されている対談を特別に一部公開いたします。 公開するのは、前回に引き続き「日本人の死生観を問う」特集掲載、 呉智英先生×本誌編集長 藤井聡の対談です。 〇前回記事も読む 以下内容です。 興味がありましたら、ぜひ『表現者クライテリオン』2021年9月号を手に取ってみてください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 滅びつつある日本国家 藤井聡(以下藤井)▼ で、死生観を考えるときの主体として「国家」共同体を据えたとき、やはり、国家がどう死ぬのか、つまり滅びるかまで先駆的に覚悟することになるわけです。 国が亡びるとは一体何かについてはいろいろと定義はあるのだろうと思いますけど、僕は次のようなものをイメージしてるんです。 まず、経済的にどんどん凋落していって、新自由主義的な改革が極限まで進められ、グローバリズム的なもの
ステファニー・ケルトン 著 『財政赤字の神話─MMTと国民のための経済の誕生』 早川書房/2020年10月刊 の書評です。 書評者:金濱裕 『財政赤字の神話──MMTと国民のための経済の誕生』の購入はこちら この書評は『表現者クライテリオン』2021年5月号に掲載されています。 『表現者クライテリオン』では、毎号、様々な特集や連載を掲載しています。 最新号(2021年7月号)も、現在予約受付中です。 ご興味ありましたら、最新号とあわせて、ぜひ本誌を手に取ってみてください。 以下内容です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書は、政府の財政赤字に関する六つの「神話」を取り上げ、その背後にある誤った考えを打ち破ることを目的とした、現代貨幣理論(MMT)の入門書である。 実物資源に注目せよ 著者のステファニー・ケルトン教授は、米民主党の政策顧問として政界でも活躍する「政治
HOME『表現者クライテリオン』メールマガジン【藤井聡】今、「自粛派」になってしまっているのは、コロナに壊される「社交」を持たない人々なのだと思います。 僕は、自粛というものは「やり過ぎ」は良くないと考えています。 だから、当方は、本誌「表現者クライテリオン」の最新号、 「コロナ」が導く大転換 感染症の文明論 https://www.amazon.co.jp/dp/B088N67NYY/ でも、過剰自粛批判を様々に展開していますし、本誌編集委員、ならびに執筆者の多く(全員ではありませんが)も、同様に過剰自粛を様々な形で批判しています。 当方が「過剰自粛批判」をするのは、もちろん、自粛によって経済が壊され、それによって、私達がこれまで散々言ってきた「デフレ脱却」が出来なくなって、日本経済が疲弊し、日本国民が不幸になるからだ、と言う理由を口にすることはできます。 ですが、こういう意見に対して、
HOME『表現者クライテリオン』メールマガジン【藤井聡】私は、ソーシャルディスタンス確保論に断固反対します。~飲食店・公共交通・文化産業を不条理な「事なかれ主義」から守るべし~ ようやく、緊急事態宣言が解かれる方向となりました。 東京や大阪はまだ解除されていませんが、近日中に確実に宣言解除となるでしょう。 これで早晩、全国で「8割自粛」「Stay Home=家籠もり」も解除され、経済が少しずつ回り始める事になったのですが・・・その中で非常に大きな障害があります。 それが「ソーシャルディスタンス」すなわち「社会的距離」の確保です。 このソーシャルディスタンスは、TVでもほとんど毎日必要だと繰り返されており、専門家会議の「新しい生活様式」の中でも、「最も必要」という体裁で一丁目一番地に明記されています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bu
新型コロナウィルスが世界中に混乱の種をばらまいています。中国武漢での「謎の肺炎」が報道されたのは今年1月。それから3ヶ月あまりの間に、人の移動は止まり、経済はほぼ停止状態になり、地球上で三〇億人以上の人が都市封鎖の状態に置かれるという異例の事態に発展しました。 状況が刻々と変わる中で、今起きていることの全体像を見渡すのは非常に難しいのですが、今の時点ではっきりしてきたことがあります。以下、4つの項目に分けて整理してみます。 1.まず、今回のコロナ禍はグローバル経済の脆弱性を、誰の目にも明らかにしました。国境を越えた人の移動は制限され、企業のサプライチェーンは寸断され、世界経済は大混乱に陥っています。 グローバル化の本質は、国際分業にあります。各企業が専門性を高め、グローバルな供給網を形成することで生産の効率性を高めていく。それを可能にしたのが情報通信技術の発展であり、国際的な協調体制であり
『三島由紀夫 vs 東大全共闘:50年目の真実』という映画が公開されていますね。大学紛争の中心の一つであった東大全共闘が1969年に、政敵というほかない「右翼・反動」の三島由紀夫を招いて1時間強の討論会を行いました。その討論の模様を収めた映像と、討論に参加した東大全共闘メンバーや「楯の会」メンバーへのインタビュー、そして現役の学者や作家らによる論評で構成されたドキュメンタリーです。 三島の提起した問題や彼の割腹自殺を過去の出来事として片付けてしまっている印象も受けたので、ドキュメンタリーとして傑作だとは感じませんでしたが、討論そのものは興味深い(部分的には何年か前にYouTubeか何かで見たことがありました)。三島の態度は真剣でありながらユーモラスかつ鷹揚で、左翼学生たちの姿勢も立派なものです。 討論の冒頭で三島は、政治的立場が右と左で異なるものの、全共闘運動の心情には強いシンパシーを覚え
皆さんこんにちは、表現者クライテリオン編集長、京都大学教授の藤井聡です。 今、日本は、新型コロナ対策の一環で「過剰な自粛」ムードが蔓延し、とてつもない不況に突入し始めています。 折りから消費増税で大変な打撃を受けていた日本経済(なんと、一年で国民所得が一人あたり30万円もなくなる勢いで冷え込んでいます)で、過剰自粛ムードがこれだけ蔓延すれば、さらに途轍もない不況に突入することは必至です。 「マクロ経済」と同時に、「リスクコミュニケーション」「リスクマネジメント」について研究をして参りました当方からしてみると、これは、コロナの蔓延以上に恐ろしい事態であると認識し、次のような記事を配信しました。 過剰自粛という集団ヒステリー ~「100人以下」のイベントでの感染確率は「ほぼゼロ」である~ https://38news.jp/economy/15456 この記事で当方は、 (1)「過剰自粛」は経
映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を受賞して話題になっています。公開から一ヶ月以上が経っているので新鮮味はないかもしれませんが、なかなかに考えさせられる映画だったので、今回はこの作品の感想を記すことにしたいと思います。(なお、以下はネタバレを含みますので、これから映画館で見る予定の方はご注意下さい。) 格差社会をテーマにしているという触れ込みに惹かれて、私も先月末に見ました。この映画でもっとも印象に残ったのは、物語の中盤、半地下の家が水没するシーンです。大雨の水が階段を滝のように流れ落ちて、汚水と混じったどす黒い水流となって半地下の家々を飲み込んでいく。 このシーンは、新自由主義のトリックルダウン理論に対する見事な風刺になっていると思いました。トリックルダウンは「滴り落ちる」という意味で、レーガン政権の富裕層減税策を正当化する理論として使われました。減税で富裕層の消費が増え
皆さま今年もよろしくお願いします。 年末から年始にかけて、IR誘致をめぐる収賄疑惑で自民党の議員が逮捕されたり、日本維新の会の議員も受領を認めて離党したりと、話題になっています。要するに、グローバル資本が観光ビジネスで一儲けすべく日本でも様々な画策を行っていて、地域住民の反対や不安にもかかわらず法整備が進められてしまうという構図ですが、IR・カジノ利権はそうした背景が見えやすい典型的な例です。 ところで、これと似たようなことが薄く広い形で、世界中の観光地・観光市場において生じているという問題が、もっと議論されるべきだと私は思っています。最近、ここ数年で議論が増えてきた「観光公害」「オーバーツーリズム」の事例を調べていたのですが、これは「交通機関の混雑」や「外国人旅行客のマナーの悪さ」といったミクロな問題というよりも、「資本主義が市民の生活権を侵害していく現象」として捉えたほうがいい面がある
※ソレイマニ司令官殺害以降、一気に緊迫したイラン情勢――この状況を踏まえ、国際政治評論家の伊藤貫氏に、「アメリカの中東政策の失敗」という視点からイラン情勢の読み解き方を解説いただいた。次号(2月発売)の『表現者クライテリオン』に緊急寄稿頂いた論考を、本メールマガジンで特別配信しています。(編集部より) アメリカは1月3日、ドローンを使ってイランの革命防衛隊ソレイマニ司令官を殺害した。筆者は、「アメリカの中東政策は1947年から数多くの失敗を繰り返してきたのに、ますますその失敗を悪化させている。アメリカは今後も、愚劣で残酷な中東政策を続けるだろう」と暗澹たる気分になった。過去73年間、米政府は自らの軍事力・経済力・国際政治力の優越性に奢って、脆弱な立場にあるイラク、イラン、パレスチナ、レバノン、シリア、イェメン、リビア、アフガニスタン、ソマリアの民間人を、560万人以上も死亡させてきた(この
2016年に行われたイギリスの「ブレグジット」に関する国民投票や、トランプ氏が当選したアメリカ大統領選挙において、SNSなどオンラインでの宣伝合戦が大きな役割を果たしたのではないかという議論があります。 特に有名なのは、「ケンブリッジ・アナリティカ」というイギリスのコンサル会社が、フェイスブックなどから取得した数千万人分にものぼる個人データを用いて分析モデルを構築し、これがブレグジット推進派やトランプ陣営の選挙作戦に投入されたという話です。米大統領戦では、トランプ陣営が同社の分析に基づいてターゲットを定め、ヒラリー陣営の100倍の費用をかけてフェイスブック広告を展開したらしい。 このケンブリッジ・アナリティカ社については、 「フェイスブックなどの個人データを違法に利用したのではないか」 「ヒラリー・クリントンを中傷する虚偽広告の流布に関わったのではないか」 「ロシア当局による選挙への介入を
『表現者クライテリオン』の最新号が発売になりました。特集テーマは「安倍晋三、この空虚な器」です。 https://the-criterion.jp/backnumber/87_201911/ 安部内閣はもうじき7年目に入ります。11月には、第一次内閣時代を通算した首相在職日数が、桂太郎を抜き歴代最長になるとのこと。平成の終わりから令和にかけて、憲政史上でも稀な長期政権が生まれ、さまざまな問題が噴出しているにも関わらず、今のところ倒れる気配もない。いったい何が、この「人気」を支えているのか、というのが今回の特集で取り上げたい問題でした。 いま、世界的にポピュリズムが台頭しています。これは、冷戦終結後、グローバルな資本主義が各国の政治を飲み込んでいった結果、右派も左派も(資本の論理に忠実な)新自由主義を軸に中道化していったことへの反動と理解すべきでしょう。既存の体制に不満を覚える層が、一方では
表現者クライテリオンの最新号は、MMT(現代貨幣理論)の特集で、私も一文を寄せています。 https://the-criterion.jp/backnumber/86_201909/ MMTは、本格的な紹介が始まる前から、激しい非難にさらされています。財政赤字はまだまだ増やせる? 将来の金利上昇やインフレ・リスクをどう考えているのだ。インフレが始まったら増税で対処する? そんなことが政治的に可能だと思っているのか…。他にも上げていけばキリがないほどです。 しかし、それらの批判は本当に的を射ているのか。この八月、MMTの理論的支柱の一人、ランダル・レイによる入門書が翻訳・出版されました。 https://www.amazon.co.jp/dp/4492654887/ こちらを読めば、「悪評高い」MMTが実際に何を主張しているのか、MMTへのよくある批判がどこまで当たっているのかを、自分の目で
MMT(現代貨幣理論)の提唱者・ステファニー・ケルトン教授が来日してから、一か月以上が経ちました。 その間、日本の経済学者、エコノミストなどの発言がいくつも出ましたが、わずかな例外を除いて、大部分がMMTについての無理解と、日本経済の現状に対する無知をさらすものでした。 この人たちは、それらしき専門用語を使っていながら、人を煙に巻くだけではなく、頭が病理的な段階に入っていて、自分でも何を言っているのかわかっていないのではないでしょうか。 せっかく教授を招いて講演や対談が企画されたのに、これでは彼女に申し訳が立ちません。 こういうひどい「経済言説」がはびこっている日本の現状を深く憂慮します。 そこで筆者は三橋貴明氏の主催する「新」経世済民新聞に、2回にわたって、「MMTの服用を拒否する〇〇病患者を診断する」と題して、精神科医を演じた文章を載せました。 https://38news.jp/ec
こんにちは。ジャーナリストの松林です。 平成の終わりが近づき、過去30年を振り返る機会が増えました。時代を理解する手がかりの一つが流行語ですが、中でも「自己責任」という言葉は平成を通じてすっかり人口に膾炙した観があります。SNSの書き込みなどを見ていると、今や中高生でも日常的に使っているほどです。もちろん、ニュース記事にも頻繁に登場します。 “安田さんが海外で武装勢力に拘束されたのは04年のイラクに続いて2回目だ。最初の解放時は「自己責任」を追及する意見もあった。” (毎日新聞「シリアで拘束の安田さん まずは無事な解放を喜ぶ(社説)」2018年10月25日付 朝刊) “消費者金融からの借金苦や生活苦に対し、世間は「自己責任」と冷たかった。だが、低所得で保証人もいない人は、銀行などには相手にされない。“ (毎日新聞『ストーリー:困窮者に寄り添い20年 SOSから解法探る』2018年10月14
表現者クライテリオン編集長、 京都大学の藤井聡です。 ニューヨーク州立大学の ステファニー・ケルトン教授が、 7月15日から19日にかけて来日されました。 そのメインの滞在目的は、 京都大学の当方主催のMMT国際シンポジウムでの 基調講演をしていただくこと。 大変有難い事に、当方から打診差し上げたところ、 ご快諾いただき、この度の来日と相成りました。 ケルトン教授滞在中、当方のシンポジウム以外にも、 研究セミナーにもご参加された他、 100人近くもの記者を集めた記者会見、 テレビ、新聞、雑誌各社の単独インタビューと ネット動画(三橋TV)へのご出演、さらには、 与党代議士(西田・安藤・竹内先生)との意見交換会会等、 実に様々なイベントに、精力的にご参加いただきました。 あれこれとご一緒させていただいた中で とりわけ印象深かったのが、 ケルトン教授の「誠実さ」でした。 昨今の筆者は、 政治家
皆さんこんにちは、 表現者クライテリオン編集長、 京都大学教授の藤井聡です。 今、日本経済を救う力を持つ新しい経済理論として 大きな話題を集めているMMT(現代貨幣理論)。 MMTとは、 「自国通貨建ての国債では破綻しない」 という「事実」、ならびに、 「国債に基づく政府支出拡大は、経済成長を促す」 という「事実」の双方を踏まえつつ 「デフレ脱却までは、 国債に基づいて政府支出を拡大すべき」 (ただし、インフレになれば支出拡大を抑制すべし) と主張するもの。 これまで「国債発行は悪いことだ」という 認識が、我が国では共有されてきましたから、 実に様々な人達から MMTは「批判」されているのですが、 それらのMMT批判が如何に不当であるかは、 筆者も含めて、様々に指摘してきた通りです。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429 https://3
去年の今ごろ、とある学会の発表会で、面白い研究発表を見ました。(ちょうど同じ発表会が今週末にあるので、ふと思い出しました。) 発表者は京都大学の工学部を卒業したばかりの小嶋さんという人で、内容は彼が卒業論文としてとりまとめたものだったのですが、発表会の司会を担当していた神戸大の先生と私がともに、「大学4年生の卒論でこんなに面白いものがあるとは」と感心するものでした。 ちょうど同じ頃、私が所属している研究室の学生の一人は、災害に強い道路ネットワークを作るための、橋梁の「耐震化」の効果を計算していました。大地震が発生した際、橋が物理的に損傷・崩壊すると道路ネットワークが寸断されてしまって、復興が大変になるからです。 一方、小嶋さんの研究発表は橋梁の「耐爆性(耐弾性)」に関するものでした。聞き慣れない言葉ですが、彼(と彼の所属研究室のチーム)が調査していたのは、第二次大戦中に、当時は日本領だった
(1)「大阪W選」で維新側が共に勝てば、都構想の「住民投票」が事実上決定します。 統一地方選の中でも特に注目を集めているのが、 大阪の知事・市長の「W選挙」。 何といっても、現職の知事と市長が突然辞任して、 しかも、立場を入れ替えて立候補したのですから、 皆が唖然とするほどのその強引な手法に、 話題が集まったのです。 その争点は大阪市を廃止・分割する「大阪都構想」。 このW選で「維新」候補が共に勝てば、 大阪都構想の「住民投票」が実現する 可能性が極めて現実的なものとなります。 一方で、いずれか一方でも「維新」候補が負ければ、 それだけで住民投票は事実上消滅します。 つまり、今回のW選は事実上、 都構想の「住民投票をするか否かを決める」選挙 なのだと考えられるわけです。 (2)大阪都構想は、「毒まんじゅう」? では、大阪都構想とは一体何なのかと言えば、 「大阪市を廃止し、分割するもの」。
今、大阪では、市長と知事が同時に辞任して、 党利党略のために入れ替えてダブル選を行う 「投げ出しスワップ」選が決定しました。 その争点は、「維新」が主張する 大阪都構想、と呼ばれるもの。 これは、4年前に一度、 住民投票で否決されたものなのですが、 またぞろ持ち出されている、と言う次第です。 しかし、この「大阪都構想」は、 名前とイメージだけは何と無く良いものなのですが、 その中身は、大阪市民にとってはもうメチャクチャなもの。 例えば4年前、住民投票の三日前に書いた こちらの記事をご参照ください。 大阪都構想は、マジで洒落にならん話(1) ~賛成する学者なんて誰もいない編~ https://gendai.ismedia.jp/articles/-/43312?page=1 これを見ていただければ お分かりいただけると思いますが、 学者の世界ではホントに都構想なんて、 誰も相手にしない、トン
表現者クライテリオン・シンポジウム「消費増税を凍結せよ」(4/6) 2019年10月に予定されている10%への消費税増税。多くの国民は今、この増税は「確定」事項と諦めているようですが、それは決して確定ではありません。事実、菅官房長官は「不測の事態あらば増税は延期する」「その最終判断は3月下旬の予算成立後」との趣旨の発言をしています。しかも今、世界経済が不透明度を増す状況下での消費増税は、経済を激しく傷つけるのみならず、挙句に「財政を悪化」させるのも必定であるとの認識が、多くの学者・エコノミストの間で共有されています。 こうした状況に鑑み、『表現者クライテリオン』ではこの度、「消費税を凍結せよ」と題するシンポジウムを、昨年出版した同タイトルの別冊号の執筆陣にご講演いただく形で企画いたしました。 元日銀副総裁の岩田規久男名誉教授に基調講演いただいた上で、元内閣官房参与(アベノミクス担当)の藤井
昨年末、「流行語大賞2018」の候補に「GAFA(ガーファ)」がノミネートされていました。大して流行はしていないと思いますので違和感があるのですが、現代のビジネスを語る上でよく知っておくべき対象であることは確かです。GAFAというのはグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの頭文字を取ったもので、要するに今のIT業界を牛耳っている巨大企業を指す用語です。ただし後述するように、本当はすでにIT企業という枠には収まらなくなっているのではありますが。 先日、スコット・ギャロウェイというアメリカのビジネススクールの教授が書いた『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』という本を読みました。あまり面白い本というわけではないのですが、これら巨大企業と社会の関係を考える上で興味深い話がいくつも書かれていました。 アマゾンは周知のとおり小売分野で圧倒的な一人勝ちを続けていて、たとえばアメリ
2月に発売される次号の『表現者クライテリオン』では、第二特集として「移民」問題を扱うのですが、その関係でこのメルマガでも施光恒さんが何度か紹介されていたダグラス・マレー著『西洋の自死』(12月14日に邦訳版が出ています)を読みました。 移民問題の各論については雑誌で論ずるのでここで詳しくは触れないことにしますが、我が国の今年1年、さらには平成の30年を振り返る上でも重要なのではないかと思ったことをいくつか述べておきます。 『西洋の自死』はヨーロッパ各国における移民の大量受け入れの歴史を描いたもので、もちろん移民の過度な流入に批判的な内容なのですが、マレー氏の議論が特徴的だなと思ったのは以下のような点です。 1) 移民受け入れから利益を得る人たち(たとえば労働者への賃金の支払いを抑制することができる経営者や資本家)の思惑よりもむしろ、必ずしも直接の利益を得るわけではない大多数の知識人や各国の
第一次大戦終結100年の記念式典で、フランス大統領のマクロンが行った演説が話題になっています。 http://urx.space/NIbl 中でも目をひくのが、愛国心とナショナリズムが対立関係にある、としているところ。 マクロンは、ナショナリズムが愛国心への裏切りであり、「自国の利益が最優先で他国のことは気にしない」という倫理的に間違った態度だとしています。 名指しこそしていないものの、これが「米国第一主義」を掲げるトランプを意識した発言であることは間違いないでしょう。 では、ナショナリズムと区別される愛国心(パトリオティズム)とは何か。 パトリオティズムとナショナリズムの違いは、これまでも論争を呼んできました。 日本語では「愛国心」も「国民主義」も同じような意味になりますが、西欧語圏ではこの二つを区別して用いようとする傾向があります。 その場合、パトリオティズムは良い意味で、ナショナリズ
水道法改正案が国会で可決される見通しと報じられています。平成改革はいよいよ「水」という国民生活の根幹部分に達することになりました。 中身を見てみると、水道事業の広域化を進めるとしている部分はいいとしても、懸念されるのはやはり「民営化」に関わる部分です。 (所有権は公共団体に残して運営権のみを企業に売却する方式なので、厳密には「民営化」ではないという指摘もありますが、ここでは広義の「民営化」と捉えます。) 水道事業の「民営化」は、安倍政権の産業競争力会議や未来投資会議で盛んに提唱されてきたものです。日本の水道事業の料金収入は2兆7千億円(2014年度)と巨額ですので、「民営化」が認められればたくさんの民間企業、特に水メジャーと呼ばれる外資が参入してくるでしょう。 日本の水道事業が老朽化や設備更新費用の不足などの問題を抱えているのは確かです。災害によるインフラ断絶リスクも、他所に比べて高い。こ
目次 【巻頭企画】 なぜ今、「消費増税を凍結せよ」なのか?消費増税問題の基礎知識 座談会:「消費増税」は、あらゆる面で「論外」である/髙橋洋一×藤井聡×宮崎哲弥(司会) Q&A:「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ――10の想定問答(コチラで一部をお読み頂けます) 議員対談:党派を超えて「反緊縮」を拡大せよ!/安藤 裕×山本太郎×藤井聡(司会) 10%という税率の「分かりやすさ」がもたらす危険(コラム) 【特集1:日本経済への破壊的ディープインパクト】 物価安定目標達成まで凍結せよ/岩田規久男 消費税は消費を減らすための税である/松尾匡 安倍総理は国民を貧困化させるのか/三橋貴明 性急な「財政再建」は財政再建最大の敵である/飯田泰之 日本の社会保障政策は歪んでいる/島倉原 政府投資が日本経済を成長させる/菊池英博 消費増税は安倍退陣と日本滅亡への道/菊池英博×三橋貴明×安藤裕×浅田統
※ 本記事は、『表現者クライテリオン』2018年11月号に掲載された「京都大学山極寿一総長インタビュー記事(聞き手:藤井聡京都大学大学院教授)」の一部抜粋である。全文は下記より、本誌『表現者クライテリオン』を参照されたい。 ・11月号はコチラ https://the-criterion.jp/backnumber/81_201811/ ・定期購読はコチラ https://the-criterion.jp/subscription/ 藤井京都大学大学院教授▼ 今回のインタビューは、言論誌『表現者クライテリオン』の「ネオリベ国家ニッポン──『新自由主義』という悪魔の挽き臼」という特集の一環として、是非とも山極京都大学総長にお話をお伺いしたいということで、ご依頼申し上げたものです。お話をお聞きする前に、今回の背景からお話しさせていただきたいと思います。 今、日本のあらゆるところに閉塞感が漂ってい
杉田水脈議員が『新潮45』への寄稿で、「リベラルなメディアは『LGBT』の権利を認め、彼らを支援する動きを報道することが好きなようですが、違和感を覚えざるをません」と疑問を投げかけた件が、ここ最近炎上していますね。 特に、LGBTカップルのための支援は、子供をつくるという意味での「生産性」がない人たちに税金を投入することになるわけで、それが果たして良いことなのかどうか…と主張したのが批判を呼んだようです。 杉田議員の寄稿文自体は、「人間は生産性のために生きている」と言ったわけでも「子供をつくらなければ人間じゃない」と言ったわけでもないので、批判の中には不公平なものも混じっているようには思いました。しかしその寄稿文も後半になるにつれて、リベラル派から見れば「普通の人間」像の押し付けと感じられるような内容になっていたこともあって、まぁとにかく癇に障るという人がたくさんいたのでしょう。 ところで
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