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帝国データバンクが9月8日に発表したTDB BusinessViewによると、2023年度における出版社の業績は、赤字が36.2%、業績悪化の出版社は6割を超えたという(調査対象652社)。24年1〜8月の倒産・休廃業解散は46件と過去5年で最多ペースだ。 しかし、大手は好調だ。業界専門紙『文化通信』によると、集英社の83期(23年6月1日〜24年5月31日)決算は減収増益。売上高は2044億円で前期比2.5%減だが、前期に続いて2000億円を超えた。興味深いのはその内訳だ。出版売り上げの比率は59.3%で6割を切った。4割は広告と事業収入で、なかでも版権収入が大きい。また、出版売り上げの内訳を見ると59.5%がデジタルで占められる。紙の雑誌・コミックス・書籍はいずれも前期比マイナスで、デジタルのみが4.1%プラスだ。 帝国データバンクのリポートは「出版物の約4割が売れ残りとして返品される
原子力規制委員会が安全規制基準について「不合格」と判断した日本原子力発電の敦賀原発2号機 日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は8月28日、原子炉直下に活断層のおそれがある地層が存在し、安全規制基準に適合していないとする審査書案を了承した。2012年に規制委が発足してから、審査「不合格」は初めてである。この審査は、福島第1原発事故前に事業者の言いなりと評された規制行政が事故後にどう変わったかという観点からも関心を集め、表のような経過をたどった。 規制委の有識者会合は13年、2号機下の地層について、活断層と認定した。一方、原電は海外機関に依頼した調査などからそれを否定した。異なる科学評価を規制委がどう判断するのか注目されたが、20年に原電提出の文書に、地質データを80カ所改ざんした跡が発見され、規制委は審査を中断した。その後も同様の問題で審査中断と再開を繰
『財政・金融政策の転換点 日本経済の再生プラン』 著者 飯田泰之(明治大学教授) 中公新書 924円 2000年代に完成した「新・新古典派総合」理論では、経済の安定化は金融政策の役割であり、財政は抑制的に運用されるべきだとされていた。ところが、08年の金融危機後、非伝統的な金融政策が行われたものの経済の回復は思わしくない。それを踏まえて、金融政策の限界と財政政策の重要性が認識されるようになってきたと本書はいう。けれども、「金融政策はインフレには効くが、デフレには効かない」というのが評者の恩師・伊東光晴の持論だった。反対に新・新古典派総合に盲従し、「金融政策でデフレ脱却は必ずできる」と言い続けていたのがリフレ派だったことを本書は書いていない。 インフレ・ターゲットや量的緩和政策などの非伝統的な金融政策は、金融緩和が長期に及ぶという予想を作り出すことによって長期金利を引き下げる政策だという。け
新型コロナウイルスの5類移行から1年、人の移動は回復してきている JR旅客会社6社、大手私鉄14グループによる経営状況を占う2023年度(24年3月期)の決算が出そろった。昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行で行動制限が撤廃され、人々が市中に戻ってきた結果が反映されている。 >>特集「鉄道新時代」はこちら 各社の連結営業収益を22年度と比較すると、国際物流事業の低迷で減収となった西日本鉄道を除いて各社大幅な増収を達成した(上表参照。拡大はこちら)。連結営業損益も改善され、2329億円もの増益を記録したJR東海をはじめ、2045億円増益のJR東日本、957億円増益のJR西日本、163億円増益の阪急阪神ホールディングス(HD)と好決算が続く。JR北海道、JR四国は鉄道事業で設備の安全対策に投資した結果、営業損失が続いている。 各社の決算をコロナ禍直前の19年度と比べた場合、連結営業収益
北陸新幹線が3月に金沢ー敦賀間で延伸開業した 北陸新幹線が3月に敦賀駅まで延伸したが、その効果は軽微にとどまっている。新幹線網がさらに広がることが期待されるが、その見通しは不透明だ。 >>特集「鉄道新時代」はこちら 2024年3月16日北陸新幹線は敦賀まで開業した。 15年3月の金沢開業では、それまでの上越新幹線越後湯沢駅での乗り換えがなくなったことによる効果が大きく、首都圏の人たちにとって北陸地方が気楽に行ける地域となり、北陸に大きな経済効果をもたらした。しかし今回の延伸では、関西圏からは敦賀駅での乗り換えが増え、東海道地区からは米原駅と敦賀駅の2度の乗り換えが必要となった。 開業初日は、金沢─福井間の利用者はコロナ前の19年(同日)に比べて41%増加した。しかし開業ブームはほぼ1日で終わり、4月15日までの1カ月間では同12%増。首都圏から福井への利用が東海道新幹線経由に比べて北陸ルー
紙の雑誌の市場縮小が止まらない。出版科学研究所の発表によると2024年上半期、紙の雑誌の推定販売額は2025億円で前年同期と比べて7.8%のマイナスだ。雑誌の休刊も続いている。アイドル雑誌の『ポポロ』(麻布台出版社)、『声優アニメディア』(イード)、女性ファッション誌の『ジェリー』(文友舎)、『ステディ』(宝島社)など。なかでも『ポポロ』や『声優アニメディア』は、根強いファンに支えられて底堅いといわれていた。 紙の雑誌をめぐる環境は悪化の一途をたどっている。取次大手の日本出版販売がコンビニへの雑誌卸から撤退し、同業のトーハンが引き継ぐものの、雑誌を扱わないコンビニも多数出てくるもようだ。トーハンのキャパシティーの問題もあるが、コンビニ経営者にとって雑誌はもはや魅力的な商品ではない。 大都市の駅売店ではコンビニとの協業やコンビニへのリニューアルが進むが、こちらでも雑誌の扱いを縮小したりやめて
2大取次の日販(日本出版販売)とトーハンの2023年度決算が発表された。日販は減収減益の赤字決算、トーハンは減収増益の黒字決算ではあるが、両社ともに本業である取次事業は赤字だ。 日販は「課題とその背景」として、①書店売り上げの減少、②コスト効率の悪化、③運賃の上昇を挙げている。なかでも書店売り上げの減少の背景には、店頭売り上げの減少や書店閉店の加速だけでなく、客数の減少がある。同社のPOSシステム導入店舗約300店の実績で見ると、新型コロナウイルス流行前の2019年を100とした場合、23年は75.6%と大きく減少している。客単価は107.7%に上昇しているものの、到底客数減をカバーできるものではない。消費者の書店離れが急速に進んでいる。 日本の近代出版流通は取次を中心に動いてきた。毎日発行される雑誌も書籍もコミックも、そのほとんどは出版社から取次を経由して書店に運ばれ、売れ残ったものも取
海外の金融政策に起因する円安に対して日銀が柔軟に利上げを模索できないのかは一つの論点となる 輸入価格主導のインフレで「物価高不況」に陥っている日本に求められる処方箋とは。 >>特集「物価・金利・円安」はこちら 2022年以降の物価上昇は、海外発のインフレから始まった。エネルギーや食料などの国際価格が大幅に上昇し、円安がそれに拍車をかけた。その円安も米欧の利上げが主因なので、海外インフレが日本に波及する経路のひとつと見ることもできる。 物価高がコロナ貯蓄食い潰す 輸入価格主導のインフレは、国内の購買力を低下させるという意味で、いわゆる「悪い物価上昇」である。家計所得の代表的指標である雇用者報酬は、名目ベースではコロナ禍前(19年)よりも6%増加しているが、実質ベースでは4%以上も減少している(図1)。賃金を上回る物価の上昇により、この5年間で日本の家計はかなり貧しくなった。 しかも、家計が保
「書店・図書館等関係者における対話の場」は、出版文化産業振興財団(JPIC)、日本図書館協会、文部科学省総合教育政策局の連携の事業。書店や出版社、公共図書館、学識経験者らで構成され、2023年10月から24年3月まで4回にわたって開催された。4月1日に発表された「まとめ」では、これまでの議論で得られた現状や課題に関する共通認識や書店と図書館の連携方策が提示されている。 興味深いのは「複本問題」について。公共図書館がベストセラーを大量に所蔵して貸し出し、書店の経営や作家の生活を圧迫しているという批判は、20年以上前から続く。一部の書店や出版社からは、複本制限や貸し出し猶予期間の設置などを求める声もあった。しかし「まとめ」ではベストセラー本の複本は平均1.46冊で、約6割の図書館の複本は「2冊未満」で過度とはいえない状況にあるとした上で、実証研究に基づいて「全体として図書館による新刊書籍市場の
経済産業省は3月5日、省内横断の組織として街の書店を振興するプロジェクトチーム(PT)を設置した。ただし、具体的に何をやるのか詳細はまだ不明。業界内には、ネット書店の無料配送を禁止してほしい、キャッシュレス決済に対応するための設備投資を支援してほしいといった声があるようだが、一方、SNS等ではなぜ書店だけが振興対象なのかという疑問の声もある。激減しているのは書店だけではない。また、「文化」と結びつけて考えるというなら、なぜ経産省なのか。 筆者としては経産省PTよりも、高井昌史紀伊國屋書店会長の発言に注目したい。高井会長は専門紙『文化通信』(3月12日号)のインタビューで業界改革の実現を訴えた。具体的には返品率を下げて書店の粗利を増やす、そのために買い切り取引を導入していくというのである。 日本の出版流通は返品可の委託仕入れが主流だ。返品率は書籍で約30%、雑誌で約40%と高止まりしたまま。
ウクライナ戦争は、ロシアの歴史認識や価値観を軽んじた西側諸国に責任がある。「ディール」を優先するトランプ氏なら終結させることができるかもしれない。 >>特集「トランプ再び」はこちら 今年11月に行われる予定の米国大統領選挙は、前回2020年と同様、バイデン大統領とトランプ前大統領の対決になることが濃厚である。世界の安全保障にもっとも重要な米露関係においてどちらの候補が望ましいかという問いに答えるのは難しい。 だが、ウクライナ戦争についてはトランプ氏に期待する。彼が在任期間中に繰り出した政策は、「ディール」の発想に基づくものである。「取るものもあれば失うものもある」という妥協がディールの本質だ。トランプ氏なら、ウクライナを抑え、ロシアにある程度の恩恵を与えるという政策志向によって、ウクライナ戦争終結の道筋を見いだすかもしれない。 NATOが踏み越えた一線 ウクライナ戦争を考える時に、欧州諸国
「書楽」の「八重洲ブックセンター」への営業譲渡を通告した2023年12月27日の張り紙 東京・杉並区のJR阿佐ヶ谷駅前にあり、今月で閉店を予告していた書店が一転、営業を継続することになり、地元住民の間で安堵の声が広がっている。閉店を免れたのは、駅南口の商業ビルの一階にある「書楽(しょがく)」。昨年11月15日に、今年1月8日での閉店を予告していたが、昨年12月27日に大手書店の八重洲ブックセンターがその店舗を引き継ぐことが、急遽決まった。 阿佐ヶ谷は、戦前、井伏鱒二や太宰治はじめ界隈に住む作家が「阿佐ヶ谷会」を結成するなど「文士の街」としても知られ、住民も読書好きが多い。かつては、地下鉄丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅の真上にあった大型店「書原」をはじめ書店は6店舗ほどあったが、近年は経営者の高齢化やアマゾンなどのネット通販の流れに押され、次々に閉店。阿佐ヶ谷で新刊本を扱う書店は書楽のみとなっていた。
韓国大統領府が関係各所に送った年賀状。尹錫悦大統領(左)と妻の金建希氏子犬を抱えている=ソウルで2024年1月9日、日下部元美撮影 韓国国会で、犬の食用飼育や食肉処理などを禁じる法案が可決された。韓国の犬食は主として欧米の動物愛護団体や活動家から非難されてきたが、近年は国内でもペットを飼う人が増えてきたことから敬遠されるようになっていた。ほぼ半世紀にわたって繰り広げられてきた犬食の是非を巡る攻防を振り返ってみたい。 古代からある犬を食べる文化 韓国KBSテレビによると、始まりは1975年の畜産物加工処理法改正だった。犬の食肉処理に関する衛生基準などを定めたことで、犬食が法律で公認された形となった。ただ、欧米からの強い批判を受け、3年後には犬肉を「畜産物」から外す再改正に追い込まれた。ただ食用犬を育てる農場の根拠となる法律などは残されたため、犬食は合法とも、違法とも言えないグレーな存在となっ
出版取次最大手の日販(日本出版販売)が発行した『出版物販売額の実態2023』によると、22年度の出版物のインターネット経由での販売額は書店経由での販売額を超えた。紙の書籍・雑誌に限ると、書店ルートの推定販売金額は8157億円だったのに対しネット経由は2872億円と依然として書店経由が圧倒的に多いが、電子出版物が6670億円と推定される。購入ルート別ではネット経由(紙の本+電子出版物)がリアル書店を超えたことになる。書店ルートは縮小し、ネットルートが伸びる傾向は今後も変わらないだろう。 リアル書店からネット書店や電子出版物へと消費者が流れる原因のひとつに、リアル書店における在庫情報の不備が挙げられる。ネットで在庫情報を公開している書店も一部にはあるが、まだまだ少数で、各店を横断的に検索するのも難しい。1冊の本を探して何軒もの書店をハシゴした経験のある人は多いだろう。だからつい「急ぎの本はネッ
新NISAを使った投資をどう考えるべきか。経済アナリストの森永卓郎氏に聞いた。(聞き手=安藤大介・編集部) >>特集「とことん得する新NISA」はこちら ── 少額投資非課税制度「新NISA」が2024年にスタートする。 ■少なくとも今、新NISAは絶対にやってはいけない。現在の株価はとてつもないバブルの状態だ。ギャンブルとしてやるなら別だが、老後資金や生活費に回すお金でやってはいけない。 ── その根拠は? ■現状は1920年代の米国に似ている。当時、米国は家電と自動車のバブルに沸き、圧倒的な競争力を持っていた。繁栄は永遠に続くといわれていたが、29年10月24日の「暗黒の木曜日」に市場開始早々、ゼネラル・モーターズ株に大量の売りが入り、暴落が始まった。アップダウンを繰り返し、底値に達した32年7月にはニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は10分の1になった。 「技術が発達していな
倉重篤郎のニュース最前線 渾身特集 腐敗極まれり 岸田政権ズタボロ パーティー裏金問題 不記載理由と使途を徹底追及すべき 国民生活、ガザ、オスプレイ墜落…真の政治課題を浮上させよ 岸田政権そして自民党に致命傷を負わせた裏金問題の本質とは何か? それは独裁政権下の腐敗であり、記載できないカネの使途ではないか。共産党のホープ・山添拓氏が政権断末魔を斬り、混迷のいまの真の問題を明らかにする。 派閥のパーティー券収支を巡る裏金事件、その政局的破壊力が日々永田町で猛威を振るう。岸田文雄首相は、その中心にいる安倍派の閣僚4人の更迭を含む内閣大改造人事を断行した。安倍派パージにより混乱の収拾を図ろうとしている。 ただ、事が首相の思惑通りにいくかどうかは不透明だ。岸田派もまたパー券収支での不記載が指摘された。安倍派以外の政権内要職者に少額でも同様の裏金が出てこないとも限らない。交代すべき役職者のなり手がい
話題作となった映画「福田村事件」に出演。©「福田村事件」プロジェクト2023 水道橋博士が本誌だけに告白 水道橋博士が議員辞職するまでの経緯を明かして大反響の入魂エッセー、後篇。当選した博士を待っていたのは、全体像をつかめぬ激務、コロナ罹患、虐殺者役の映画出演だった。さらに、博士が掲げる反スラップ訴訟法制定は暗礁に乗り上げる。政治のデーモンに翻弄された、1人の藝人の赤裸々な軌跡。 先週号から引き続き、自分の懺悔(ざんげ)の値打ちもない「議員失格」の話を書き綴(つづ)っています。 コロナ罹患、分刻みのスケジュール、国民の負託の重圧… 現実はリベラル、映画では極右の虐殺者に引き裂かれた 2023年7月10日の投開票を経て晴れて参議院議員に就任したボクは議員会館の714号室をあてがわれました。12年に建て替えられた議員会館の高層階は国会を見渡す眺望、内装も広々と新しく、大きな窓からは新天地への希
マイナス金利政策、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)──。日銀は2%の物価目標に向けて異例の金融緩和を続けてきた。インフレが顕在化する今、日銀はどう動くのか。日本を代表するエコノミストの河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長 チーフエコノミストと門間一夫・みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミストの2人に対談してもらった。(司会=桐山友一/浜條元保・編集部、構成=村田晋一郎・編集部) >>特集「日本経済総予測2024」はこちら ── 4月に植田和男氏が日銀総裁に就任して半年以上がたった。ここまでの評価は? 門間 経済に不確実性が大きい中で、金融政策も市場などとのコミュニケーションもうまくやっていると思う。特に7月のイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の修正はうまくやったと思う。長期金利の変動幅の上限をそれまでの「0.5%程度」から「1%」とした
水道橋博士 水道橋博士が本誌だけに告白 水道橋博士が帰ってきた。昨年7月の参院選で当選を果たすも、うつ症状によって早々に議員辞職。私たちに心配と不可解を残して、時代の表舞台から消えた経緯の深層には何があったのか? 博士が、本誌だけに内心を赤裸々に告白した―。 当選の歓喜のなかで崩壊の予感が 山本太郎れいわ代表に命を救われた 恥の多い人生を送ってきました―。 自分には議員の生活というものが、見当がつかないのです。「猿は木から落ちても猿だが、議員は選挙に落ちればただの人だ」とは先人の教えですが、自らが議員職を放棄して辞職をすれば、もはやそれは「ただの人以下」なのです。 そのことを日々反省し自覚しながら読者の皆様に改めてご挨拶(あいさつ)をさせていただきます。 「恥ずかしながら帰ってまいりました!」 元日本兵・横井庄一さんの昭和の流行語と共に再び本誌に復帰しました自分は、水道橋博士61歳、たけし
BYDを筆頭に中国新興メーカーの勢いは止まらない。10月開催のジャパンモビリティショーの記者発表に臨むBYDの王伝福会長(左から2人目)筆者提供 中国では新エネルギー車(NEV)の拡大を受け、新興メーカーが台頭。一方で、大手既存メーカーは苦戦が続いている。 中国大手電気自動車(EV)メーカーのBYDの新車販売台数は2023年7~9月期に、スズキ、独メルセデス・ベンツを上回り、世界第9位にランクインした。10月の販売台数は初めて30万台を超え、日産自動車に迫る勢いだ。電動化シフトを加速するなか、日本の自動車メーカーが「脅威」ととらえるBYDがじわりと存在感を増しており、市場勢力図も書き換え始めた。 一方、中国にはBYD以外にも多くのプレーヤーが存在し、その背中を追っている。今後は、スマートフォン(スマホ)化したEVである「SDV(ソフトウエアが定義するクルマ)」や自動運転技術などを武器とする
取次最大手の日本出版販売(日販)がコンビニ配送から撤退するというニュースが、雑誌出版社に衝撃を与えている。日販はローソン、ファミリーマート、セイコーマートへ雑誌等を配送しているが、業界紙『文化通信』によると、2025年2月までに終了するという。もっとも、代わって取次第2位のトーハンが引き継ぐとみられ、多少の空白期間ができる可能性はあるものの、一般読者への影響は少ないだろう。 ただ、日販の撤退は雑誌販売がすでに抜き差しならない状況にあることを示している。日販がコンビニから撤退するのは利益が出ないからだ。00年代初めには7%ほどあったコンビニの総売上高に占める出版物の売り上げが、最近は1%程度にまで落ち込んでいる。売り上げが減っても配送する手間は変わらない。加えて、人手不足と燃料代の高騰が続いている。しかし、日販の後を引き継ぐとみられるトーハンにしても、その事情は同じだ。 コンビニにとって、雑
会場となる夢洲(ゆめしま) 大阪府と大阪市が巨額の経済効果を期待し、誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)。経済効果の実現性やギャンブル依存症の増加、地盤沈下、巨大地震など懸念は尽きない。 >>大阪IRを問う㊤はこちら >>大阪IRを問う㊦は12月18日公開予定 夢洲(ゆめしま)は1977年から建設残土や廃棄物の処分場として整備されてきた埋め立て地だ。恒常的に地盤沈下しており、地震の際には液状化の可能性が指摘されている。高層建築物の立地には不向きな土地だ。 「地盤沈下については、継続的に沈下量計測などのモニタリングを実施するとともに、想定以上の沈下が進行した場合などの対応について十分検討しておくこと。液状化対策については、今後の対策工法等の詳細及び対象範囲の確定に当たって不十分なものとならないように検討すること。土壌汚染については、仮に今後新たな事象が判明した場合に備えて対応策
G7広島サミットを機に首脳会談を行った韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相=2023年5月21日(代表撮影) 日本による植民地支配の記憶が残る韓国では、日本との軍事協力には拒否感が根強い――。そんな常識に疑問を突き付ける世論調査の結果が10月に公表された。韓国政府系シンクタンクの調査で、北朝鮮や中国の脅威に対応するための日本との同盟に過半数が「同意する」と答えたのだという。同時期に出た別の世論調査にも、同じような方向性を示す結果があった。正直に言えば、キツネにつままれたような気分にもなるのだが、詳しく見てみたい。 初の「日本との同盟」に関する設問 韓国統一研究院の「統一意識調査」という世論調査で、朝鮮半島の統一や周辺情勢など多岐にわたる200以上の質問に答えてもらう対面調査だ。2014年から毎年実施されている。 日本との同盟に関する設問は今年初めて入った。「北朝鮮の脅威に対応するため韓国
10月2日のジャニーズ事務所の記者会見 半世紀にわたる性的虐待を容認したのは日本の「ムラ社会の同調圧力」 故ジャニー喜多川の性加害を容認してきたメディアが一転して「人権」「正義」を振りかざす偽善。その中で一人、自らの道徳的責任を引き受けた藤島ジュリー景子。社会の不合理や不条理について言及し続けてきた作家が、現在のジャニーズ性加害報道の問題点について寄稿する。 私はジャニーズになんの興味・関心もないし、故・ジャニー喜多川の特異な性癖の噂(うわさ)はもちろん知っていたが、自分にとってはどうでもいい話だと思っていた。 そもそもこの地球上では、理不尽なことや許しがたいことが無数に起きている。あなたも私も、それを無視して平穏な暮らしをしているのに、なぜジャニーズ問題だけ大騒ぎしなければならないのか。 だが10月2日の記者会見で披露された手紙を読んで、すこし考えが変わった。 ジャニー喜多川の姪(めい)
書店で本を買うと、その店オリジナルのブックカバーをつけてくれる。そんな慣習がなくなるかもしれない。 リブロやあゆみブックス、パルコブックセンターなどを展開する書店チェーンのリブロプラスは、9月15日からブックカバーを有料化した。全サイズ各1枚につき、通常のブックカバーは5円、エコ素材のものは50円。リブロプラスの親会社である大手取次の日本出版販売(日販)は、2022年春から書店店頭でエコ活動を企画・支援する「ONE ECO PROJECT」を実施してきた。23年3月からは鳥取、島根、岡山、広島、山口の中国5県を所轄する中国経済産業局と共同で、積分館書店等でブックカバーの有料化を行ってきた。リブロプラスでの有料化はその全国拡大版だ。 ブックカバーは日本独特の習慣で、大正時代に始まったといわれる。本を汚さないためとか、精算済みであることを示すためとか、その目的には諸説ある。何を読んでいるのか他
女性たちの闘いを描いた小説『R・E・S・P・E・C・T リスペクト』を8月に出したブレイディみかこさんに話をうかがった。(聞き手=北條一浩・編集部) 『R・E・S・P・E・C・T』(筑摩書房、1595円) 2014年、英国ロンドンで実際に起きた事件をモデルに書かれた小説『R・E・S・P・E・C・T』。地方自治体の予算削減という名目でホームレス・シェルターから追い出されようとしていたシングルマザーたちが立ち上がり、占拠運動を展開する物語だ。 「反対運動というのはたいてい党派などのバックボーンがあるものですが、この占拠は、運動のウの字も知らないシングルマザー、しかもホームレスという社会的に最も弱い立場の人々が立ち上がった点に特徴があります。やがて当該地域の区長が『ガーディアン』誌に公式に謝罪文を掲載するような事態にまで発展しました」 日本ではまったくといっていいほど報道されなかったこの事件。ブ
がんばれ本屋さん/下 「書店よ、甦れ!」 直木賞作家+書店経営者、今村翔吾が語り尽くす 本誌の入魂キャンペーン 伊藤彰彦 大阪・箕面市に「きのしたブックセンター」をリニューアルオープンした時代小説の星・今村翔吾氏 まだ間に合う 「書店」が生き残る方法はある! 本誌前号の書店復興特集は大きな反響を呼び、読者からは数々の本屋さん体験と、書店文化の活性化に向けた願いが寄せられた。後篇では、本屋さんを熱愛する伊藤彰彦氏が、時代小説の俊英にして書店経営者である今村翔吾氏、個性的な棚でお客さんを誘う書店主・落合博氏らに訊きながら、出版の未来を展望する――。 10代を「読書」に夢中にさせる方策/超高齢化社会の書店形態とは 《私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモ
東京・紀伊國屋書店新宿本店 知と出会い、物語に触れ、情報にたどり着く場所であった街の本屋さんが、メディア環境の変化のなかで、消えつつある。危機感を抱いた出版界の風雲児・角川春樹氏と、本を愛する政治家・齋藤健法相が、本屋再興は人間復権だと言って立ち上がった。現代の知性と人間性はどこへ向かうのか? 角川「本の復権は人間の復権」 齋藤「ボクは〝原敬〟と書店で出会った」 この春、ロンドンに行った。地下鉄に乗ると、乗客は誰もマスクをせず、思い思いに新聞を開き、ハードカヴァー書籍を読み、携帯を見ていた。書店のチェーン店「FOYLES」は21時の閉店まで賑(にぎ)わっていた。帰国し羽田から京浜急行に乗ると、コンパートメントの全員がマスクをし、スマホを眺めている。日本が極端なデジタルシフトにより社会を画一化させ、電子書籍やネット販売が紙の本や街の本屋を駆逐しつつあるような印象を持った。 『週刊朝日』が5月
東京電力福島第一原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機 原子炉圧力容器を支える台座のコンクリートが失われており、圧力容器が落下したりすれば燃料デブリの取り出し作業も困難になる。 落ちれば燃料デブリ取り出しが困難に 水素爆発を起こした福島第1原子力発電所の1号機で、原子炉圧力容器を支える「ペデスタル」(台座)が激しく損傷している。大きな地震に見舞われれば原子炉圧力容器が落下し、溶け落ちて固まっている燃料デブリの取り出し作業に支障をきたしかねない。政府と東京電力は8月24日、燃料デブリに触れその一部を含んだ水の海洋放出を始めたが、廃炉作業が進んでいない今、海洋放出にも影響が及ぶ。 東電と国際廃炉研究開発機構(IRID)は昨年2~5月、1号機の原子炉格納容器の底の部分を、水中ロボットを使って調査した。底の部分には燃料デブリを冷却して溶融を止めるため、水が注入されている。鉄筋コンクリート製のペ
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