長く立派なホームにどこか懐かしさを感じる車両が滑り込む-。山々に囲まれた信州を走る「しなの鉄道」の日常風景だ。1997年10月の北陸新幹線高崎-長野間開業に伴い誕生した全国で初の並行在来線。地域をつないで四半世紀が過ぎ、時を経たからこその課題が浮かび上がる。「鉄路は必ず残さねば」。持続可能な姿を模索している。 しなの鉄道が走る旧信越線はかつて東京と長野・北陸方面を結ぶ幹線として多くの特急列車が行き交った。上下線が分かれた複線の線路や十数両分の長いホームなど、それまで必要とされていた高度な設備を引き継いだ。 しかし、長距離輸送は新幹線に移行。しなの鉄道は2~3両の普通列車がほとんどだ。同社はワンマン運転や駅の無人化といった運営の合理化をはじめ、沿線自治体と連携した積極的な利用促進策などで2005年度以降は最終黒字を確保してきたが、19年の台風19号災害や新型コロナウイルス禍で19年度から22