サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
アメリカ大統領選
www.hituzi.co.jp
文部科学省 教科書調査官(体育) 渡辺哲司 1. “役に立つ”研究書 とある大学のキャンパスで──日本人学生がアメリカ人教授の講義を聴きながら思う。「わかりやすいんだけど、いつもそう最初から結論っぽいことをズバズバ言われると、引いちゃうんだよなぁ」と。一方、その学生が書いたエッセイを読んだ教授は「うーん、それで結局、何を言いたいのかしら?」。次のフランス人学生のエッセイには「私の問いを勝手に作り替えて、まともに答える気がないのね!」と立腹。教授を立腹させたフランス人学生のほうは日頃「日本人は他人の意見を気にしてばかりでヘンだけど、アメリカ人みたいに自分の主張ばかりを、他の考えは存在しないかのようにするのもヘンだ」と思っている。そんな教室の片隅ではイラン人学生が「あの人たち、浅知恵しかない人間どうしで何を議論しているのかしら」と訝しむ。 以上は、本書の第7章2節「論理/非論理、納得/不服を分
アチャコ:また体重がちょっと増えました。 エンタツ:いくらくらいあります? アチャコ:最近、62キロですわ。 エンタツ:足も入れて? アチャコ:あたりまえやがな。タコ買いに行くんやなし。足だけ別に掛けるかい。 (秋田他2008『昭和の漫才台本』pp.22-23より) 1 社会言語学の研究と日常 社会言語学を専門とする人はよく周りの日常的なコミュニケーションから研究のアイデアをもらう。例を挙げよう。私自身はノルウェー出身だが、20年ほど前に留学生として初めて日本に来た時に映画館を訪ねた際、自分が笑うところは日本人と違うことに気が付いた。また、バーに行ってみて周りの人にふざけたことを言われて、ただ「は~」と答えると、その人に「そこつこっまなあかんで」とよくからかわれた。 これらの経験からいくつかの疑問や研究課題が湧いてきた。「日本と欧米の笑いはどこが違うのか」「日本の笑いにはどの特徴があるのか
まず、井上陽水の「青い闇の警告」12スタンザの冒頭と、ロバート・キャンベル氏による英訳‘Warning from the Blue Darkness’を見てください(ロバート・キャンベル著 『井上陽水英訳詩集』 講談社 2019)。 星のこぼれた夜に 窓のガラスが割れた 俺は破片を集めて こころのように並べた One night the stars spilled out. A window pane cracked so I picked up the pieces, lined them up to look like my heart. ロバート・キャンベル著 『井上陽水英訳詩集』 講談社 2019 年初めの、風なく温かい昼下がりウオーキングに出かけた。30分も歩いたとき、上空白いものを見かけ見上げたとたん、前のめりに転んで両手、両ひざと顔を地面にぶつけた。眼鏡が壊れた。蔓のとれたフ
国立国語研究所名誉所員 甲斐睦朗 1.はじめに 全国紙に上掲図書『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の衝撃的な広告が掲載されていたので、急いで取り寄せた。その衝撃的な広告は、図書の帯にも再掲されている次の表現である。 〈「ごんぎつね」で「母の死体を煮ている」と誤読する小学生たち〉 この内容は、本書の序章「『ごんぎつね』の読めない小学生たち」で詳述されている。都内のある公立小学校(校長は国語科上がり)で講演を依頼された本書の著者の石井光太さんが4年生の国語の授業を見た。教材は新美南吉の「ごんぎつね」で、兵十の母親の葬式の場面から一つの課題を与えられて班学習の形で取り組んでいた。その段落の本文は、次の通りである。 こんなことを考えながらやって来ますと、いつのまにか、表に赤い井戸のある兵十のうちの前へ来ました。その小さなこわれかけた家の中には、おおぜいの人が集まっていました。よそ行きの着物を着て、こし
日本語表記のアーキテクチャ:第1回:かきことばのアーキテクチャ /The Architecture of Written Japanese: 01 Introduction and Some Goals |今野真二・Chris Lowy 今野真二 [書記・表記・アーキテクチャ] このたび、ひつじ書房のご好意により、「日本語表記のアーキテクチャ」というタイトルのもと、今野とChristopher Lowy氏によって、12回にわたって原稿を連載することになった。 今野は日本語によって原稿を書き、Christopher Lowy氏は英語によって原稿を書き、二つの原稿を併載する。日本語の原稿と英語の原稿との関係はさまざまで、英語の原稿が日本語の原稿の翻訳もしくはそれにちかいものである場合もあれば、やや「距離」がある場合もあり、また、両者が同じテーマについての独立した原稿である場合もある。また一つの
ホーム 連載別, 著者, 場所によるものの呼び方の違い、日本列島あちこち、方言アレコレ, 岸江信介, その他 場所によるものの呼び方の違い、日本列島あちこち、方言アレコレ|第1回|「今川焼き」の呼び方、その違いを探る!|岸江信介 1.はじめに[1] 和菓子のなかでも庶民的で老若男女を問わず、人気が高いお菓子[2]に今川焼きがある。今川焼きは、主に小麦粉からなる生地に餡を入れ、金属製の焼き型で焼いた和菓子である。餡(あん)好きの日本人には大変好評で、低価格なのもよく売れている理由の一つである。 さて、この菓子には、全国各地で多くの呼び名(=方言)がある。食べ物にも方言があるものがけっこうあるが、この菓子の呼び名の数は非常に多い。ネット上でも、各地の呼び名が紹介され、歴史や地域差を含め、様々な角度から取り沙汰されている。 今川焼きの呼び方は、種類が多く、少なく見積もっても全国で100種類以上は
みなさんは、国語の授業で句読点の使い方について習った記憶はありますか? 私は残念ながら覚えていません。みなさんのなかにも私と同じように覚えてないという方がいるのではないでしょうか。そんな影の薄い句読点ですが、国語の教科書にはしっかりと取りあげられていて、その使い方が教えられています。 では、みなさんも毎日必ずと言っていいほど使っている句読点は、一体どのようにして取りあげられ、教えられているのでしょうか。今回は、日本の国語科教育、特に小学校において、どのように句読点が教えられているのかを見ていきたいと思います。 以下では、まず、教育指導要領においてどのように句読点の指導が記述されているのかを確認します。そして、そのあとに現在の国語の教科書においてどのように書かれているのかを見ていきたいと思います。 『小学校学習指導要領』における句読点にかんする記述 句読点にかんする内容は、『小学校学習指導要
阿部宏(Hiroshi Abe) 東北大学大学院文学研究科・文学部 / 教授 出原氏著の本書は、マンガを言語学、心理学等の研究の補助手段としてではなく、言語と対等な研究対象として扱い、さらにはマンガ学から言語研究のヒントをも汲み取ろうとする画期的な著作である。その中でも特筆すべき成果は、マンガ学でいわれる身体離脱ショットと欧米語の自由間接話法との共通性を指摘したことであろう。本書評では、この点を中心に考察を展開してみたい。 英語等の欧米語には、直接話法とも間接話法とも異なる自由間接話法という以下のような奇妙な話法がある。 Presently he told her the motion of the boat upon the stream was lulling him to rest. How green the banks were now, how bright the flowe
この第5回では、句点の使い方についての問題を取りあげたいと思います。 句点についての研究は読点の研究と比べるとあまり多くありません。それはやはり、句点は「文の終わりにつければいい」と思う人が多いからなのではないでしょうか。 ですが、よくよく考えてみると、句点をつけるかどうか迷う例はいくつか存在しています。今回は、そのなかでも三つの句点のつけ方の問題を取りあげます。みなさんの句点の使い方を思い出しつつ、読んでもらえたらと思います。 1)『くぎり符号の使い方』における句点の記述 まずは、一応のルールである『くぎり符号の使い方』の記述について見ておきたいと思います。句点については次のようにまとめられています。 一、 マルは文の終止にうつ。(例1、2、3) 二、 「 」(カギ)の中でも文の終止にはうつ。(例4) 三、 引用語にはうたない。(例5) 四、 引用語の内容が文の形式をなしていても
前回は、事典の記述をもとに、どういった意識から読点が打たれるのかということを六つの意識からまとめてみました(第3回 読点の打ち方:構造、長さ、意味、リズム、ジャンル)。このように、読点はさまざまな意識から打たれます。この意識の有無や強弱は、書き手によって差があると考えられます。前回の連載では「一人ひとりが持つ読点の打ち方の規範には、共通するものがある」と書きました。ですが、一人ひとりが読点の打ち方についての規範を持っていたと仮定しても、「ここに読点を打つべきか……。」と悩む人は多いのではないでしょうか。 そこで、今回は、打つかどうか迷いやすい読点を三つ取りあげて、検討していきたいと思います。 先に結論を言いますが、明確な答えはありません。なぜ読点を打つか迷うのか、ということを考えることで皆さんの持つ悩みを共有できたらと考えています。みなさんが迷う読点をTwitterのハッシュタグ「#わたし
山重壮一(図書館問題研究会高知支部(※1)) 1 やはり恵まれている東京 図書館は、自館に所蔵がなかった場合、利用者から「予約」又は「リクエスト」と言って希望を受け付け、他の図書館から借りるか、買うかして提供する。絶版、他の図書館を探してもない、そこの図書館の選定基準からはずれるという場合でもなければ、断ることはあまりない。 東京23区の場合、自区の図書館になければ、都内の他自治体や東京都立図書館から借りて提供する。普通の本だったら、新刊でなければ、都立図書館から借りて、それを利用者に貸出すことがたいていできた。 都道府県と市区町村に図書館があることを「二重行政」と言う人がいるが、現実味がない。私が勤め始めた1985年の目黒区立守屋図書館の資料費は27,215千円、目黒区6館(当時)全体で96,568千円だった(日本図書館協会『日本の図書館』1985年版による)。1985年の学習参考書を除
みなさんは、どの句読点の組み合わせを使っていますか。 そう言われても、何のことだかわからない人もいるかもしれません。実は、日本語の句読点には「、」(テン)と「,」(コンマまたはカンマ)、「。」(マル)と「.」(ピリオド)が存在します。ですので、可能性としては「、。」「,。」「,.」「、.」の4種類の組み合わせが考えられます。実際、パソコンでも「キーボード」の「入力ソース」設定から、これらの句読点の各組み合わせを選ぶことができます。 おそらくですが、横書きと縦書きのどちらにしても、日本語の場合は「、」と「。」の組み合わせが一般的だと思います。『平成29年度国語に関する世論調査〔平成30年3月調査〕』によると、横書きの場合に使う句読点は、「、。」が81.3%で最も多く、次に多いのが「,。」で9.5%、残りの「、.」が2.7%、「,.」が2.3%となっています。この調査では、縦書きの場合の句読点
未草のBOOK REVIEW: STRAY SHEEPは、ひつじ書房の言語学書についての書評を開催するということが出発点ですが、ひつじ書房の書籍に限らず、言語学に関連する書籍で、言語学の議論を巻き起こす書評も掲載したいと考えています。言語学においても言論は大事だと思うからです。今回は、言語学の考えを軸に思考された書籍を取り上げました。能動・受動という考えは言語学でも大きな比重を占めています。能動・受動の枠組みにとらわれない「能格言語」の研究者である今西祐介先生にお願いして、書評を書いていただきました。 今西祐介(関西学院大学) カツアゲされてお金を渡すことは自発的行為? 銃で脅され、自分の手でポケットからお金を出し、脅している相手に差し出す、つまりカツアゲに屈することは自発的なのかどうか? 突拍子もないことを問うているように聞こえるかもしれないが、これは本書で紹介されている、哲学者ハンナ・
はじめに 以前ある高校の英語教師をしていた時のこと。生徒の一人から「先生,なんで英語の勉強をせなあかんの?」と聞かれたことがあります。「将来,海外旅行に行くかもしれないし,仕事で英語を使わなければならないかもしれないだろ。」と僕が答えると,その生徒は「俺は海外旅行に行くつもりはないし,親父の跡を継ぐから仕事で英語を使う可能性もない。」と言い張り,僕が「お前がそのつもりでも,外国人に話しかけられたらどうするんや?」と言うと,「そんなもん,日本に来ているんだから日本語で話しかけるのが礼儀やろ。」と生徒に開き直られる始末。 実は,その当時の僕を含めて,日本人の多くはなぜ英語を勉強しなければならないのかという問いに対して明確な答えを持っていないようです。もちろん,「これからのグローバル社会では英語が必要だから」という漠然とした答えは持っているのですが,なぜグローバル社会では英語が必要なのかと問い詰
2020年最初のアップする房主の日誌になります。少し悲観的なトーンです。楽観的ではありませんが、ポジティブに打開策を考えてのことです。 ひつじ書房は、学術書を刊行しています。教科書類も刊行していますが、学術書の出版が中心の仕事です。その中でも英文の学術書を刊行しています。年始に数年の売れ行きを分析しました。今回は、英文学術書について、述べます。出版社としては、商売ですから、これらが大評判で売れていますと申しまして、勢いを付けて売っていくのが本当ですが、今回はそのようには申しません。売り上げというものは、公開されているわけではないのですし、公開する予定もありませんが、傾向を調べる方法はあります。学術書ですので、大学図書館が顧客として大きな比重になっています。その大学図書館にどのくらい入っているのかということを調べることができます。書名を入れまして、検索しますと何館の大学図書館に入っているのか
島田康行・渡辺哲司 1.批評に応える 2021年1月に刊行した本書『あらためて、ライティングの高大接続』に対し、方々からおおむね好意的な感想がeメール等で寄せられてくるなか、丁寧な批評を個人のブログで呈示してくれた人がいる。自らを作文教育に興味のある国語科教員と称する「あすこま」氏だ。 https://askoma.info/2021/02/14/8264 そのコメントは、われわれ著者にとっては少々痛いが、思考を刺激される建設的なものでもあった。そこで、本書の著者8人のなかでも重い責任を負う2人がきちんと応答しようという話になり、このように版元のwebマガジンの誌面をお借りする次第である。あすこま氏の他にも、興味のある方は遠慮なく参入していただきたい。 2.「あすこま」氏による注意喚起 あすこま氏がわれわれに注意を呼びかけるのは、要するに、ライティング教育をもっぱら大学におけるアカデミック
展示は、文章や講演とは異なる形でのコミュニケーションですが、その制作にあたっては、一般の情報発信と同様に、まず、何を伝えたいのか、テーマがはっきりしている必要があります。言語展示では、言語の何を見せたいのか、シグナルからなる人間の言語をモノとして見せる方針と方法について、手探りが続きました。 モノの展示とことばの展示 「ことばはおもしろい。そのおもしろさを伝えたい。ことばは複雑だ。でもその複雑さには規則がある。パズルのような、規則を見つける楽しさを知ってもらいたい。そして、ひとつひとつのことばには、人間の文化や、社会や、認知能力や、歴史や、いろいろなことが蓄積されている。ことばを通してみることができる、人間や社会のいろいろな側面を伝えたい。そして、普段は空気のような存在であることばの本質とはいったい何なのか、ちょっと立ち止まって考えるきっかけも作ってみたい。」 2009年に言語展示場のリニ
ホーム BOOK REVIEW: STRAY SHEEP 「面白くて心とらえる……」:A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language(若狭基道著)書評 熊切拓 (東京大学 大学院人文社会系研究科 研究員) すべてがすべてそうだというわけではないでしょうが、研究者が研究をするのは、その対象が面白くてたまらないからだと思います。とはいえ、そうした気持ちは、たいていの場合、論文に記されることはありませんし、あったとしても、謝辞か注のなかぐらいでしょう。そもそも個人的な感想ですし、研究の内容そのものとは関係がないからです。ですが、そんな気持ちが、若狭基道さんの「A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language(現代ウォライタ語の記述的研究)」(ひつじ書房、2020)では、しばしば本文中で表
庵功雄・田川拓海 編 定価4200円+税 A5判並製カバー装 332頁 装丁 坂野公一(welle design) ISBN978-4-89476-782-9 ひつじ書房 Reconsidering Tense and Aspect in Japanese Volume2 :The World of “shita” and “shiteiru” Edited by Iori Isao and Tagawa Takumi 『日本語のテンス・アスペクト研究を問い直す 第1巻 「する」の世界』 【内容】 シリーズ『日本語のテンス・アスペクト研究を問い直す』の第2巻。本巻では、「した」「している」に関する研究を集めた。「した」の形態論、副詞句のタイプとテンス形式、テンス・アスペクト体系とテンス形式、日英語のナラティブとテンス形式、東北方言から見た「した」とムード、英語の「した」、テイルの1つの意味
ホーム 「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?, 永田高志 「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?|第2回 ‘Plain English’と「やさしい日本語」|永田高志 「やさしい日本語」のように、簡素化された言語は世界的に見て存在するのであろうか。私がよく接している英語を見てみると、古くはBasic English、今はPlain Englishという概念が出されている。外国人に対してわかりやすい言語というと、すぐに思い浮かぶのがイギリスの心理学者、言語学者のCharles Kay Ogden氏(チャールズ・ケイ・オグデン、1889年–1957年)によって提唱されたBasic Englishである。使用する単語を850語に限定し、規則に従った簡易化された文法を開発しているが、あくまで人工言語である。Basic Englishは国際共通語としての英語を、
「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?|第1回 私にとっての「やさしい英語」とは。/「やさしい日本語」は書き言葉なのか話し言葉なのか。|永田高志 「やさしい日本語」の問題が表に出て論議されるようになったのは、1995(平成7)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、減災のための情報を外国人に分かりやすい日本語で発信しようと、弘前大学の社会言語学研究室の佐藤和之氏が考案したのが始まりであろうと思われる。それが最近では、多文化共生の問題として取り上げられることが多くなった。日本の少子化を補うために、労働力供給のために外国人が必要になったためである。総務省の統計では2019年10月現在総人口は1億2616万7千人であり、在留外国人の人口は法務省の統計調査では2019年6月現在282万9,416人になっており、2.24%になる。合法的に滞在している外国人は税金を払って
椎名美智著 A5判上製カバー装 定価3,600円+税 304頁 装丁・装画 小林真理(STARKA) ISBN 978-4-8234-1056-7 ひつじ書房 The Pragmatics of Sasete-itadaku: What Leads People to Use This Benefactive? SHIINA Michi 【内容】 「させていただく現象」の謎を解く。「させていただく」を言われて怒れる人がいる一方で、「させていただく」の氾濫はとどまるところを知らない。なぜ人は使いたくなり、何が違和感を生むのか? この問いに答えるべく、意識調査で許容と違和の境界を探り、コーパス調査で発話行為的観点から他の授受表現との勢力関係変化を探った。それらをゴフマン的枠組みから再解釈することで、授受表現に生じているシフトに対する洞察を得た。 ↓著者・椎名美智先生に自著の紹介をしていただきま
★この記事は、2020年11月17日までの情報を基に書いています。 今回は日本語教育推進議連(「議連」と略称)での話し合いを中心に書きますが、それを扱った「にほんごぷらっと」の記事への感想も書きます。そのことに関連して、現在の日本社会における日本語教育の存在価値に言及します。 1. 第13回「議連」総会の概要 第13回の「議連」総会は、10月21日13時から14時に行われました。そこでは、16名の「議連」所属の国会議員の他に、関係省庁の担当者や日本語教育6団体、日本語教育学会なども出ています。日本語教育学会の「おしらせ」には、この総会の式次第の抜粋が出ていますが、議事録は出ていません。日本語教育振興協会の維持会員のページには、出席者による会議のメモが出ています。現在公開されている資料は、これだけです。これ以外は不確かな裏情報ですので、振り回されてはいけません。 田尻はこれまでの議論を踏まえ
「アヴァロン」とは何か 多くの押井守ファンと同じように、僕もまた押井映画に通底している独特の世界観や長大な台詞回し(いわゆる「押井節」と呼ばれるもの)に、昔から深く魅了されていました。加えて、これもよく知られているように、多くの押井映画には、たとえば現実世界と虚構世界の違いはどこにあるのかという、きわめて形而上学的な思弁が頻繁に挿入されており、僕もまたこういった問いの立て方を、押井映画を観ることを通じて学んでいったように思います。 ということで、狭義の文学作品というわけではないのですが、今回は押井守がポーランドで撮影したSF映画『アヴァロン』(日本ヘラルド、2001)を扱うことにしましょう。この作品は、たとえば『GHOST IN THE SHELL』(松竹、1995)や『イノセンス』(東宝、2004)など、他の有名な押井映画に比べると、ややマイナーな位置に属するものかもしれません。その大き
以前、『日本語教育』『社会言語科学』『世界の日本語教育』などの日本語教育関連の雑誌を対象に、どのような統計手法が多く使用されているか調べたことがあります。もっとも多く使用されていたのがt検定でした。t検定とは、2つの母集団の平均値の間に有意な差があるかどうかを調べるものです。今回は、このt検定について日頃感じることをまとめてみました。 統計的推測は全数データでは行わない t検定のような統計的推測という統計手法は、母集団から抽出したサンプルデータに基づいて、母集団に関して差があるか否かを計算するものです。ですから、データが母集団の全データを扱うときには、この統計的推測の手法は使用しません。しかし、全データを扱っているにもかかわらず統計的推測法を用いた結果を掲載している論文を見ることがあります。そこで、先ずは、どういう場合に統計的推測を行うか、島田・野口(2017:vi)を以下に引用します。
本連載が書籍になりました。連載の内容に大幅な加筆をしての書籍化です。ぜひご覧ください。 並行世界の存在論 現代日本文学への招待 加藤夢三著 ISBN 978-4-8234-1181-6 2022年12月刊行 https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1181-6.htm ただ端的にある並行世界 冒頭から奇妙なことを言うようですが、僕は中学生か高校生くらいの頃から、並行世界というものが実際に存在するということを強く確信していました。別に、たとえば僕に瓜ふたつの人間がそこで生活しているというような、ある特定の具体的なドラマが仕立て上げられた時空間のことを想像していたわけではないのですが、とにかく世界がこのひとつだけであるとは単純にどうしても信じられなかったのです。僕にとって、それは科学的な証明とも哲学的な思弁とも一切関係なく、ただ端
2020年4月17日(金) 18日に少し改訂しました。 19日に少し改訂しました。● 22日に少し改訂しました。● 25日に2サイト追加しました。● オンライン講義に使うソフトのサイト(試験版) 試験版とします。ご意見をいただきまして、もう少し整ったものにできましたら、今は、ひつじ書房の房主(松本功)の日誌のページにおいていますが、別の階層に置くことにします。 大学が封鎖され入構することができなかったり、対面授業ができなくて、リモートで授業をやることを求められている大学の教員の方のために、オンラインで講義やゼミを行う際に必要な知識や情報が掲載されているサイトを新入社員の長野さんに手伝ってもらって集めてみました。重々ご存じの情報が多いと思いますが、参考になればと思いましてリストにしました。紹介の内容が間違っているとか、分かりにくいとか、有益なサイトがあるよなどがありましたら、教えて下さいまし
酒井順一郎著 四六判上製カバー装 180頁 定価2,600円+税 装丁 大熊肇 ISBN 978-4-89476-939-7 ひつじ書房 Learning Japanese in the Chinese Eighth Route Army:“We Do Not Murder Japanese Soldiers” Sakai Junichiro 著者 酒井順一郎 先生の本の紹介の動画 次の誤りがありました。お詫びしまして、訂正をいたします。 正誤表 【内容】 戦争は兵士による武器の戦いだけではない。言語の戦いもある。日中戦争の際、中国八路軍は、日本語を武器として扱った。日本人将兵に対して、投降や降伏さらには協力者を作るために日本語で工作をするためであった。そのために八路軍は将兵に日本語教育を行い、これを駆使し日本人将兵の心に響く説得工作を行った。本書ではこれまで、ほとんど知られていなかった戦
2019.9.20 終了しました。たくさんのお申込まことにありがとうございました。(2019.12.16) ひつじ書房は2020年に創業30周年を迎えます。 2019年秋から年末(12月15日(日)まで)にかけて、これまでのご支援ご厚情に感謝しまして、30周年記念大特価感謝セールを行います。 ひつじ書房の刊行書籍全点が対象となります(品切れ書籍は除く)。貴重な本も特価でお求めになれますのでこの機会にぜひご購入ください。 ------2019.11.8追記------ 在庫僅少書籍の品切れが増えております。 ご注文いただいた中に品切れの書籍が含まれる場合は、品切れの書籍を除いて発送させていただきます。ご了承ください。 ■割引率 発行年 割引率(私費) 割引率(公費)
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『出版の未来を切り開く、言語学出版のひつじ書房 Hituzi Syobo Home Page fax 03-5...』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く