第10回から12回までの3回は、噛んだものを飲み込む時の「喉の働き」と、飲み込んだ時に起こりやすい「むせ」について解説します。食事の時のみそ汁やお茶、薬を飲む時のお水などで、むせて苦しい思いをしたことはありませんか? この「むせ」はどうして起きるのでしょうか? ゴックンと飲み込むことを「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下は成長と共に身についた行為なので、普段は、ものを食べたり飲んだり唾液を飲み込んだりする時、「今から飲み込むぞ」と意識することは、あまりないと思います。 喉は、食べ物の通り道(食道)と空気の通り道(気管)が交差しており、わずか0.5~0.8秒のゴックンの瞬間に、口や喉のまわりの筋肉・神経が複雑に働いて、食べ物や飲み物を食道に送り込んでいます。 通常の飲み込みの仕組みをみてみましょう。 ❶ 食べ物が口の中にない時、喉は気管と交通して呼吸をしています(図1)。 ❷ 食べ物などが喉を